ボクシングジムのプロ加盟金が必要だと思う理由と、参入障壁をさらに高くしてもいいと思う理由(部外者のクソ勝手な戯言)
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少々古い記事だが、ボクシングのプロテスト受講者は15年間で半分以下に減少しているらしい。
プロテスト受講者は激減。ボクシング界の打つ手は何か? 大橋秀行会長に訊く(後編)https://t.co/BzuMV7gdgr#V_sportsnews #井上尚弥 #大橋ジム #チャンプ #ローマン・ゴンザレス #ボクシング #村田諒太 #誤審 #亀田興毅
— VICTORY Sports News (@V_sportsnews) July 6, 2017
記事によると、現在大橋ジムを訪れる入門者の中でプロテスト志望者は1割以下。大橋秀行会長はジム活性化のために、この状況を逆に利用して「世界チャンピオンの横で練習できる」ことをウリにしている。
同時に、ボクシング人気を回復するには女性や子どもの人気獲得は必須で、それにはインスタグラムやFBなどの有効活用が欠かせないという。
またボクシング協会の会長を9年間務めた経験から、ジムの新規参入におけるJPBAへの協会加盟金1000万円(元世界王者300万円、元東洋太平洋王者400万円、元日本王者500万円)は必要な金額だと考えているとのこと。
その他、2018年8月には東日本ボクシング協会が新ジム設立希望者への助成金支給を決めるなど、裾野拡大のために新規参入の門出を開く動きも見られる。
「ジム設立に助成金支給へ 東日本ボクシング協会」
ボクシングジムのプロ加盟金は必要だと思う。理由は「ブランド価値」と「責任・覚悟」の2つ
まず最初に。
僕は今回、何かを批判する気もなければ「○○に物申す」などと偉そうなことを言うつもりもない。
自分の思ったことを適当に列挙するだけ。反対意見もあって当たり前だし、単なる部外者の勝手な戯言だと思っていただければ幸いである。
そして、部外者の戯言には興味がない、不快に感じるという方はここから先を読むのを止めることをおススメする。
とまあ、自己弁護と予防線をたっぷり張ったところでスタートしてみる。
表題の通りなのだが、僕はボクシングジムのプロ加盟金は必要だと思っている。
・元日本王者:500万円
・元東洋太平洋王者:400万円
・元世界王者:300万円
・それ以外:1000万円
この金額を個人レベルで負担するのはかなり困難で、率直に申し上げて新規にプロのジムを設立するというのはめちゃくちゃ敷居が高い。ファンや関係者などから「金額を下げるべき」「プロ加盟金を無料にした方がいい」という意見は多数聞こえてくるが、それもわかる気がする。
ただ、繰り返しになるが僕はプロ加盟金は絶対に必要なものだと思っている。
理由としては、
・ブランド価値
・責任・覚悟
主にこの2つ。
「僕の2019年ベストバウト6選完結編。“僕の”印象に残った試合第2、1位を発表する。いや、ホントに感動したんだってw」
「ブランド価値」は大事だよね。長年築き上げた信頼と知名度は決して安くない
1つ目の「ブランド価値」についてだが、これはもう、そのままの意味。
「「日本プロボクシング協会」の看板を背負って「日本ボクシングコミッション」の管轄内で活動する資格が無料じゃマズいでしょ」
1931年に設立された「日本プロボクシング協会」(前身:全日本プロフェッショナル拳闘協会)と、1952年に設立された「日本ボクシングコミッション」。
日本プロボクシング協会は90年弱、日本ボクシングコミッションは70年弱の歴史があり、どちらの組織も1国1コミッションの方針のもと、日本ボクシング界の根幹を担ってきた実績がある。
協会入りの資格を与える人間を“選定”することでブランド価値を高め、結果としてそれが社会的地位や信用につながる。「権威主義」という言葉はネガティブな意味で使われることが多いが、実際プロスポーツにおける“権威”は必要不可欠。当然だが、その過程で築き上げた信頼や知名度といった“格”は決して安くない。
以前にもちょろっと申し上げたが、たとえば「セブンイレブンの看板と販売ノウハウを無料でよこせ」などと言ったら笑われるに決まっている。
日本ボクシングの内情はよく知らんが、プロ加盟金をなくせはさすがに暴論過ぎないか?
セブンイレブンの看板とノウハウをタダで寄こせなんて言う奴おらんでしょ。ブランド価値を舐め過ぎだよな。
競技の特性上、1千万って金額もそこまでぶっ飛んでるとも思わんが。
JBCがいい組織かどうかは別の話。
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) September 6, 2019
加盟金の1000万円が適切かどうかの見直しは必要だが、無料にするというのはちょっと違うと思っている。
1国1コミッション体制が健全なのは当たり前。キックボクシングやバスケを見れば明白
また、これも以前に申し上げた覚えがあるが、プロスポーツにおいて1国1コミッション体制が健全なのも当たり前の話。
それはキックボクシング界を見れば明らかである。
現状、日本にはK-1、RISE、KNOCK OUTなど微妙にルールが違う団体が乱立し、それぞれに「世界王者」なるものが存在する。しかも契約の問題で各団体の王者同士が遭遇することはまずあり得ない。
また、RIZIN統括本部長の高田延彦が「K-1王者武尊とRISE王者那須川天心の一騎打ちをRIZINの舞台で」とうながした途端、光の速さで謝罪させられるという不可解な現象も起きている。
バスケで言えば、2015年にBリーグの前身であるNBLとbjリーグが初めて“JBA主催”で対抗戦を行うことが話題になったりもした。
「NBLvs.bj 初の対抗戦 〜NBL×TKbjリーグ DREAM GAMES〜」
このときは確か「ついに歴史が動いた」など、多くのファンが衝撃を受けていたことを覚えている。ただ試合をするだけなのに、である。
団体ごとに微妙にルールが異なり、それぞれに“王者”が存在する。その上、契約の問題で王者同士による最強決定戦が実現することはまずない。
格闘技でもバスケでもそうだが、とてもじゃないがこれを健全な状態と言えるわけがない。
つまり、方針が気に入らないからと言ってボコボコ新団体を設立していたら、どのスポーツでもあっという間にカオス化する。「不満があるなら新しく○○コミッションを立ち上げればいい」などと気軽に口にするのは違うんじゃないの? という話。
その点、曲がりなりにも70年近く1国1コミッション体制を維持してきたボクシング界はすばらしい(正確にはJBCの他にもコミッションは存在するようだが)。
「ヘイニーがアブドゥラエフにギブアップ勝利で初戴冠。強ジャブとバックギアのコンボがメイウェザー二世の条件」
「責任・覚悟」を証明する意味でもまとまった金額は必要。「ダメならやめた」じゃ困るしね
そして、2つ目の「責任・覚悟」について。
これは上記の記事での大橋会長のコメントにもある通り、ジム設立に責任を持たせる意味でもそれなりの金額を納付させることは間違っていないと思う。
ボクシングという頭部を攻撃し合う競技を商売にする以上、生半可な覚悟でジムをプロ化することは許されない。また、商売が軌道に乗らないからと言って簡単に選手を放り出されるのも困る。
少ないリスクで
「ちょっとやってみるか」
「うまくいかないからやーめた」
などと簡単に設立→放棄を繰り返されては、管理側としてはたまったもんではない。
つまり、加盟金は「責任・覚悟」の値段。
責任を持って協会に加盟するという意気込みに加え、ある程度まとまった金額を出しても経営がグラつかないだけの経済力を証明するためにも加盟金は必要だと言えるのではないか。
もちろん「決められた金額を収めれば誰でも入会可」などと言うつもりはない。
加盟金に加えてトレーナーの人数や練習場所の坪数など、練習環境が整備されていることは大前提。
Jリーグでは加盟金の他にグランド設備や収容人数、照明の明るさについても細かく規定があり、実際にその条件に達しなかったチームが新規参入を見送られたケースも多々ある。
下記のJBCルールブックにはジムの具体的な条件の記載が見当たらなかったのだが、そこの部分の審査があるべきなのは当然である。
「一般財団法人日本ボクシングコミッションルール」
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第8節 クラブオーナー
第41条(クラブオーナー)
3 クラブオーナーは、ジムにおいては、良好な練習環境と、練習生・選手 の健康と安全をはかり、ボクシングを通じてスポーツマンシップを教示 するものとする。
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ちなみに他のスポーツの加盟金をざっと調べたところ、だいたいこんな感じ。
・BリーグB1(バスケット):1500万円
・JリーグJ1(サッカー):6000万円
・NPB(野球):30億円
・トップリーグ(ラグビー):1500万円
・アジアリーグ(アイスホッケー):250万円
・日本ハンドボールリーグ(ハンドボール):70万円
さすがにプロ野球の30億円は笑うしかないが、それ以外は露出や人気を考えれば「なるほど」といった印象である。
上記がすべて団体スポーツであること、企業スポンサーの支援が大前提であることがボクシングとは決定的に違うが、頭部を攻撃し合うボクシングの性質を考えれば1000万円という金額がそこまで非常識とも思えない(僕には)。
「新井田豊とかいう全盛期ロマゴンと真正面から打ち合った男。新井田豊vs高山勝成は歴代日本人対決のベストバウト」
加盟金が必要か否かと組織としてイケてるかは別の話。そこをごっちゃにするとおかしくなる
なお、加盟金が必要か否かと「日本プロボクシング協会」「日本ボクシングコミッション」がいい組織かどうかはまったく別の話。
各ジムが加盟金に見合うサポートを受けられているか、組織の中の人間がイケているか。そこの精査は当然なされるべきである。
たまにJBCの管轄外で活動するフリーランスの選手が「JBCに試合を潰された」と嘆く声が聞こえてくるが、本当にそういうことが起きているのなら最悪。オリンピック出場のためにカンボジア国籍を取得した猫ひろしを日本陸上競技連盟が妨害するようなもので、完全に逸脱行為というヤツである。
2008年にタイでの試合が決まっていた辰吉丈一郎が開催寸前で中止を余儀なくされたことがあったが、もしかしたらアレもその類のものだったのかもしれない。
「JBCが辰吉戦のタイ人プロモーター処分」
その他、ジムのオーナーが多額の移籍金を選手にふっかけて移籍を阻害したりと、オーナー自身が問題というケースもあると聞く。
こういった諸々については、恐らく1国1コミッション体制の弊害なのだと思う。長年組織が停滞したおかげで新陳代謝が不足し、結果として中にいる人間の保身が最優先事項になってしまった。どこの組織でも起こりうる現象である。
ただ、だからと言って「加盟金をなくせ」というのは違う(と思う)。
納めた金額が適切に使われているか、サポート体制が機能しているかの問題と、「加盟金が必要か否か」は分けて考える必要がある。「加盟金をなくせ」という意見を改めて聞くと、そこの部分がごっちゃになっている気がしないでもない。
「プロへの参入障壁を今よりもさらに高くしてもいいと思う理由」については次回へ
続いて僕が「プロへの参入障壁を今よりもさらに高くしてもいいと思う理由」について。
と思ったが、だいぶ長くなってきたので次回以降に回すことにする。余裕があれば近日中に。
「ボクシングジムのプロ加盟の参入障壁をさらに高くしてもいいと思う理由。ここからさらに部外者のクソ勝手な戯言が加速するぞ」
繰り返しになるが、僕はここで何かを批判する気もないし偉そうに物申すつもりもない。
単純に自分の思ったことをそのまま述べているだけなので、部外者の戯言だと思って気楽に聞き流していただければ幸いである。
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