僕が東京オリンピックに興味が持てない3つの理由。開催に美学を感じない。日本の獲得メダル数の最多更新が成功の最低条件だろうな
2021年7月23日にスタートした東京2020オリンピック。
競技自体は7月21日から始まっているが、日程上は開会式が行われた7月23日から8月8日までの17日間となっている。
で、開会直後から日本勢は目覚ましい活躍を見せており、7月26日までに獲得した金メダルはすでに5個。
下記の記事によると、これまで盛んにオリンピック中止を訴えていたワイドショーが突然嬉々として日本選手の活躍を讃える姿勢を見せ、視聴者からは皮肉交じりに「手のひら返し」呼ばわりされているとのこと。
東京五輪メダルラッシュで「#手のひら返し」トレンド入り 民放各局の姿勢疑問視「玉川氏も嬉しそうに」:中日スポーツ・東京中日スポーツ https://t.co/lvn71eKqiS
— 中日スポーツ芸能 (@ChuSpo_Geino) July 26, 2021
「いくら中止を訴えても大会が始まれば勝手に盛り上がる」「日本人選手が金メダルを獲得すれば批判の声はなくなる」といった声はこれまでもたびたび聞こえてきていたが、それが具現化されたと言えそうである。
僕の目の届く範囲でもオリンピック中止を訴える声は挙がっていたが、実際に大会がスタートした今は競技を楽しむ声にかき消されている感が強い。
まあワイドショーの華麗な変節っぷりはともかく。
要するに大会中止を訴えていた人間とオリンピックを楽しんでいる人間はまったくの別人なのだろうと。
開催反対を訴えていた人間は今でも変わらず中止を主張しているだろうし、声の大きな人の割合は実はそこまで高くない。
一方「どちらかと言えば賛成」「どちらかと言えば反対」だけど、わざわざ声を張り上げることはしない大部分の人たちは「やっていれば観る」人たちでもあるのだと思う。
SNSやニュースサイトの掲示板等、普段は声の大きな人たちの主張で埋め尽くされている場所が、オリンピックという国際大会の開催によって「やっていれば観る」人たちの声で上書きされた。
手のひら返しというより、絶対的な分母の違いによってそう見えるだけなのではないか。
ちなみにだが、僕自身はここまでオリンピックをまったく観ていない。
賛否両論あったらしい開会式も観ていないし、当然競技も観ていない。
理由はいっさい興味がわかないから。
以前申し上げたような「サッカーが嫌いすぎてサッカーの情報に触れることすら嫌になった」という話ではなく、単純に興味がわかない。
僕がサッカーを嫌いな理由。「悩みがある人間はスポーツをやれば解決する」とかいうスポーツ万能クソ理論が反吐が出るほど嫌いです
目に入ったニュースくらいは読んだりもするが、自分から進んで映像を観ようとはまったく思わない。日本人選手が金メダルを獲得したと聞いてもちっともワクワクしない状況が続いている。
というわけで、今回はその理由を具体的に考えてみようと思う。
一応言っておくと、今回の東京2020オリンピックを楽しんでいる人を否定する気はまったくない。“僕自身が”興味がないと言っているだけで、それを誰かに押し付けるつもりもない。
あくまで僕が興味がわかない理由を並べた備忘録に過ぎないことをお伝えしておく。
僕が東京オリンピックに興味が持てない理由:その1
「なし崩し的な開催」
僕が今回のオリンピックに興味が持てない1つ目の理由がこれ。
新型コロナウイルスの影響で2020年開催が難しくなり、1年程度の延期が発表されたのが2020年3月。
それ以降もコロナの状況が二転三転する中、政府や組織委員会はいつまでたっても開催するとも再延期するとも明言せず。
各人が言葉を濁した答弁に終始するうちに時間が経過していくふざけた事態に。
最終決定権がIOCにあるからとも言えるのかもしれないが、それにしてもあまりにも無責任である。
僕の知る限り、開催について最初に具体的な発言をしたのは2021年5月28日の小池都知事。
「小池知事「五輪の延期、難しい」 都民ファと意見異なる」
菅総理がマスコミからの質問を毎回フガフガと煙に巻く中、開会式まで2ヵ月を切ったところでようやくである。しかもそれが一国の総理大臣ではなく、東京都知事によるものだったという。
マジな話、物事をうやむやにしながら時間切れを待つ方法は大組織の典型的なやり口だと思う。
僕も経験があるが、あるプロジェクトがスタートした際、途中で100%期限に間に合わないと肌感覚でわかることは多々ある。発売時期やプロモーション、競合他社との関係等、さまざまな要因を加味した上で期限を設定するわけだが、「これは物理的に無理!!」という事態はまあまあの頻度で発生する。
そのときにどうするか。
答えは簡単で、誰かがギブアップするのを待つのである。
組織が大きければ大きいほど、プロジェクトが大きければ大きいほどそこに携わる人間も多くなる。
ひとたび「期限に間に合わない」と口にしてしまえば、責任はその部署の代表ということになる。それを防ぐためにも、意地でも最初に音を上げてはいけないのである。
自らの保身のために他の誰か(どこかの部署)がギブアップするのを待つ。自分以外の誰か(どこかの部署)が音を上げるまで口を閉じてやせ我慢を続ける。
責任を回避したい上層部の不毛な駆け引きの結果、多くの人間が振り回されるのである。
実際、こういうのってしょっちゅうありますからね。
期限が間近に迫っているのにまったく音沙汰がない。仕方ないので試しに探りを入れてみたら、いつの間にか延期になってましたみたいなことが。
もちろん今回の東京2020オリンピックも例外ではない。
5月28日に小池都知事が「再延期はしない」と明言した途端、直後の6月8日に丸川珠代五輪相がこう↓言い出したわけで。
「丸川五輪相「延期かなり難しい」 競技会場の確保理由に」
僕は日本でしか働いたことがないのでこれを“日本的”と言っていいのかは定かではないが、とにかく「誰かがギブアップするまでやせ我慢を続ける」というしょーもないやり口を国のトップが進んでやっていたことに心底うんざりさせられた。
僕が東京オリンピックに興味が持てない理由:その2
「日本を舐め腐ったトーマス・バッハ」
続いて2つ目の理由がこれ。
第9代国際オリンピック委員会 (IOC)会長トーマス・バッハ氏のあまりに日本を舐め腐った態度に愛想が尽きた。
2020年初旬から東京オリンピックの予定通りの開催を明言し、各国から疑問を投げかけられても考えを曲げなかったバッハ氏。
恐らくだが、オリンピック候補選手からの延期を訴える声がなければコロナの状況に関係なく開催に踏み切っていたと思われる。
それくらい、このおっさんの一連のムーブは日本を舐め切っていた。
2021年7月8日の来日以降、各所でのバッハ氏の発言が下記。
2021年7月13日、東京五輪・パラリンピック組織委員会にて「ジャパニーズピープル」を「チャイニーズピープル」と言い間違い。
「IOCバッハ会長、中国人と日本人言い間違える「チャイニーズピープル…」組織委訪問で痛恨」
2021年7月14日、首相官邸を訪れた際に菅総理に「我々が日本国内にリスクを持ち込むことは絶対にない」と、できもしないことを自信たっぷりに断言。さらに「感染状況が改善すれば有観客も検討してほしい」と無茶な要請をする。
→「バッハ会長「日本にリスク持ち込むことは絶対ない」 首相と会談」
→「バッハ会長「改善すれば有観客」要請 菅首相と面会時に」
2021年7月15日、都庁での小池都知事との会談時に「選手村の他の住人や日本人へのリスクはゼロ」とトンデモ発言。
「バッハ氏「日本人へのリスクはゼロ」 小池都知事に花束」
2021年7月20日、都内ホテルで行われた第138次総会の席で「今回は日本人の忍耐強さを示す大会になる。日本も輝く時だ」と発言。完全に余計なお世話である。
さらに「中止は選択肢になかった」と断言しつつ、実は五輪開催に疑念を持っていたことを明かす。
→「バッハ会長IOC総会「日本人の忍耐強さを示す大会。日本も輝く時だ」」
→「【東京五輪】 バッハ会長、「中止は選択肢になかった」 開催の決意語る」
→「バッハ氏、五輪開催の疑念「胸にとどめた」 総会で演説」
2021年7月23日、開会式が当初の予定から30分延長されているにもかかわらず、4分の持ち時間を大幅に超過し13分にわたって演説。ご存知の通り東京は緊急事態宣言の真っ最中。
「五輪開会式 21分遅延で日付変更ギリギリまで実施 バッハ会長大演説 宣言下配慮欠く」
誇張でも何でもなく、ここまで日本を舐め腐った+それを隠そうともしないヤツを僕は今まで見たことがない。
たとえ心の中でどれだけ見下していようがバカにしていようが構わない(構わなくはない)が、少しは相手の心情に配慮できないものか。
“日本人の心”“おもてなし”云々以前に、このおっさんには表に立つ人間としての最低限の配慮が欠けている。
「ジャパニーズピープル」を「チャイニーズピープル」と呼んだことについては単なる言い間違い。もともとバッハは日本よりも感染状況が酷い国からきている。その人間から見れば「この程度で何を騒いでるんだ?」と思っているに違いない。
などなど。
諸々の発言を擁護する声も聞こえてきたが、いや、そんなことに何の意味があるの? という話。
相手がこちらをリスペクトしていないのは明らかなのに、なぜわざわざその相手にこちらから歩み寄らなければならないのか。理解しようと努めなければいけないのか。
こんな舐め腐った人間が会長に就く運動会など、好意的に受け止めろという方が無理である。
バッハ笑
公の場でここまではっきり日本を見下したヤツって今までいたっけ。
単なる言い間違いとか欧米人は東洋人の顔は皆同じに見えるとか、冷静なかしこぶってるヤツがいるのも理解できん。
コイツが日本を舐めてるのはこれまでのムーブで明白だし、何でそんなヤツを理解しなきゃいけないんだよw https://t.co/IaYMZVLa1P
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) July 14, 2021
悲痛のワリエワ4位。女子フィギュアの尋常じゃないレベルアップ。10代半ばでピークを迎えて2度目の全盛期を待ってくれないロシアの構造?
僕が東京オリンピックに興味が持てない理由:その3
「不公平すぎるスポーツ大会」
そして、僕が今回の東京オリンピックに興味が持てないもっとも大きな理由がこれ。
あまりに日本選手に有利すぎて純粋なスポーツ大会として受け入れられない。
菅総理を始めとした要人、関係者たちが曖昧な物言いを繰り返しながら時間切れを待つ卑怯なやり方や、IOC会長トーマス・バッハの日本を舐め腐った一連のムーブ。
散々申し上げてきたように上記は僕の観戦意欲を削ぐ大きな要因には違いないが、それ以上に。
以前から何度も言っているが、今の日本は海外のスポーツ選手の出稼ぎ先としてまったく旨味がない。
来日後にもれなく隔離期間がついてくる上に家族を同伴するのも難しい。それどころか、タイミングによっては入国がかなわずにそのまま来日を諦めるパティーンすらも。
プロ野球では助っ人選手が家族と会えないことを理由に退団するケースが起きているし、ラグビーのトップリーグでは近年稀に見る人数の選手が退団、引退を表明している。
巨人スモーク退団‥‥。
本気でシャレになってねえな。
ラクビーもエグいくらいに退団してるしボクシングもちっとも世界戦やらなくなったし、今の日本って海外のスポーツ選手の出稼ぎ先としてまったく魅力ないからな。
国内ボクシングなんか、階級によってはそろそろ2週目に入る頃ジャマイカ? https://t.co/xO12Dzv1l7
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) June 17, 2021
ボクシングの世界戦では、海外から招聘された選手がホテルで2週間隔離されている最中に日本人選手がのびのびと練習して好調をアピール、その結果、試合前日に日本人選手のコロナ感染が判明して試合が中止になるという事態も起きている。
しかもその隔離期間中に興行主がコロナの規定に違反し、ボクシング協会から50万円の罰金を課せられるという笑えないオマケ付き。
この試合のことを今さらガタガタ言うつもりはないが、とにかく今の日本の状況は海外選手にとってあまりに不利すぎる。
来日した選手がさまざまな制限、制約を受ける中、日本選手側は好きなだけ準備ができる。
ボクシングの世界戦で起きた胸糞の悪い出来事がすべての競技で起きると考えると、このオリンピックをスポーツ大会として楽しむことは不可能としか言いようがない。
ひと言で言うと、開催側に美学が感じられないのである()
実際にサッカーでは南アフリカの選手がコロナ感染で2人欠場したまま初戦を強いられているし、野球ではメキシコ代表がコロナ感染者が出たことによって事前合宿を取りやめている。
しかもその間、日本代表は横浜スタジアムを借り切って練習、プロチームとエキシビジョンゲームを行うなど準備に余念がない。
バスケのアメリカ代表が初戦のフランス戦に76-83で敗れ、「アテネ以来17年ぶりの五輪大会敗戦」などと言われていたが、この状況なら十分あり得るでしょとも思うわけで。
「【東京五輪】王者アメリカがまさかの初戦黒星!五輪での敗戦は2004年アテネ大会以来17年ぶり<DUNKSHOOT>」
これだけ海外選手に不利な状況が揃う中、いくら「連日のメダルラッシュ!!」「日本選手の歴史的勝利!!」と煽られてもちっともテンションが上がらない。
日本選手のパフォーマンスが素晴らしかったことには違いないと思うが、だからと言って手放しで称賛するのは難しい。
漫画「YAWARA!」のモデルとなった山口香JOC理事も「今回の五輪は危険でアンフェア(不公平)なものになる」と断言しているわけで。
山口香JOC理事「今回の五輪は危険でアンフェア(不公平)なものになる」
――東京五輪の開催を危惧する山口香氏。なぜ政府は国民の不安や反対に応えないのか。今回の五輪、そして今後の五輪にどのような懸念があるか。単独取材に答えた
by 西村カリン @karyn_nishi https://t.co/4Q83WaHqDb
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) June 7, 2021
この記事が出たとき(2021年6月8日)と今では状況が変わっているし、各競技における制限も詳しくは知らない。だが諸々の話を聞く限り、今大会が日本選手に有利すぎるという意見には100%同意である。
これはもはや日本の獲得メダル数が過去最多を更新することが最低条件、それ以外は失敗と言っても過言ではない(僕の中では)。メダルラッシュすげー!! ではなく、まだこれだけしか獲ってないの? と捉える方がはるかに健全である(僕の中では)。
なお上述したボクシングの世界戦に関して、主催者側は試合前にスポーツ庁から「観客の感染対策や来日選手の管理などについて今後の国際大会のモデルケースにしたい」と言われていたとのこと。
「京口紘人と11・3対戦のタノンサック、ジム側は感染対策に万全 食事は3食とも弁当、お気に入りは「すき家の牛丼」」
・ホスト国(日本)の選手に有利すぎる隔離期間
・主催者の生き恥レベルの不備
・選手がコロナに感染
改めて振り返ると、あの世界戦が悪い意味でのモデルケースになってしまっていることがよくわかる。
唯一、コロナ感染が出ても試合自体は行われていることが改善された点といえばそうなのかなと。
東京オリンピック2020総括。競技を1秒も観ていない僕が今回のオリンピックを評価する。アスリートファーストという言葉が世界一嫌いになった
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!