田中恒成がゴンサレスを7RTKO。だから田中は近場の差し合いで勝負する選手だと8億5248万5年3ヶ月前から言ってる【結果・感想】

田中恒成がゴンサレスを7RTKO。だから田中は近場の差し合いで勝負する選手だと8億5248万5年3ヶ月前から言ってる【結果・感想】

プエルトリコ海イメージ
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2019年8月24日、愛知県で行われたWBO世界フライ級タイトルマッチ。同級王者田中恒成がランキング1位ジョナサン・ゴンサレスと対戦し、7R2分49秒TKOで勝利。2度目の防衛に成功した試合である。
 
 
今年3月に元L・フライ級王者田口良一との激闘を制した田中。
2度目の防衛戦となった今回の相手は、22勝2敗1分のサウスポー、ジョナサン・ゴンサレス。元王者ジョバンニ・セグラや井上尚弥へ挑戦したリカルド・ロドリゲスとも対戦したテクニシャンである。
 
 
試合はカウンター狙いで待ち構えるゴンサレスに対し、田中が前に出ながらプレッシャーをかけていく展開。遠い位置での差し合いからゴンサレスの左がヒットするなど、序盤はやや田中が劣勢を強いられる。
 
だが、2Rから田中がパワー勝負に切り替えると、徐々に流れが変わる。
ゴンサレスがコーナーに詰まるシーンが目立ち始め、田中の的確なボディが何度も突き刺さる。
 
そして3R。
身体を伸ばして放った田中の右ボディによりゴンサレスがダウン。試合の流れを一気に引き寄せる。
続く4Rにカウンターの左でダウンを奪い返されるものの、その後もパワー差を発揮してゴンサレスを圧倒。7Rに強烈なボディで3度のダウンを奪いレフェリーストップ。見事2度目の防衛に成功した。
 
 
なお、勝利後のインタビューで今後の展望を聞かれた田中だが、「やりたいことが見つからない」とコメント。陣営は次戦以降、他団体王者との統一戦を含めたビッグマッチ実現に向けて動くとのこと。
 
「田中恒成指名試合するってよ。ジョナサン・ゴンサレスと8月24日に名古屋で。vsサウスポーの対応に注目してマス」
 

田中vsゴンサレスは僕が楽しみにしていた試合でした。忘れてたけど

田中恒成勝利!!
 
僕が以前から楽しみにしていた試合が終わった。
 
相手のジョナサン・ゴンサレスはカウンターが得意な技巧派サウスポーで、日本人選手が苦手とするタイプの1人。今年5月にS・フェザー級の伊藤雅雪が同じサウスポーのジャメル・へリングに翻弄されまくった挙句にポイントアウト負けを喫しており、田中恒成がコレ系の相手にどう対応するかに注目していた。
 
と言いつつ、数日前まで試合の存在自体を忘れていたのは内緒である。
 
だって!!
突然ゴンサレスが来日するし、前日会見をネット中継するとか言い出すから。
こちらもビックリするじゃないっすか(違う)。
 

すげえ安心感があったな。2Rで「田中勝つな」って思ったしね

そして、感想については「さすが田中恒成だったな」と。
 
本人の「全然ダメだった」とのコメントを聞く限り、コンディション自体はあまりよくなかったのかもしれない。減量に苦労したという話も聞こえてきたので、恐らく想定していた試合運びではなかったのだと思う。
 
とはいえ、今回に関してはめちゃくちゃ安心感があった。
 
カウンター狙いのゴンサレスに対して1Rで早々にスピード勝負を諦め、2Rからパワー重視のスタイルへ。
左をクイックイッと動かしながら距離を詰め、外側に足を踏み出しゴンサレスの逃げ場を塞ぐ。
前後の動きでゴンサレスのカウンターを外しつつ、ジリジリとコーナーに詰めていく。
 
うん、すばらしいですね。
試合前の煽りVでは「スピードで勝つ」「俺の方が速い」などと言っていたので「ん?」と思ったが、2Rの動きを観て「ああ、これは大丈夫そうだな」と。


3Rもそのままの流れでゴンサレスを圧倒する田中。
うまく距離を詰めて逃げ道を封じ、わずかにサイドステップしながら右ボディをねじ込み最初のダウンを奪う。
 
これは案外早く終わるかな? と思い始めたところ……。
4Rからゴンサレスが反撃に転じるわけだが。
 
「やっぱりエストラーダとビーモンじゃ実力差があり過ぎたよな。相手を挑発したりおちょくったりはエストラーダには似合わんけどな」
 

4Rから攻撃に転じたゴンサレス。ダウン後に手数勝負を仕掛けたのはよかった

4Rに入ると、これまでとは打って変わりゴンサレスが自ら前に出る展開に。
リング中央から下がらず田中の右に積極的にカウンターを合わせ、無理やりペースを奪いにくるゴンサレス。
 
どうやら3R終了時点で陣営から「手数を出せ」「下がるな」との指示があったとのこと。
 
そうそう。
ゴンサレスは下がっちゃダメなのよ。
こういうクネクネ系のカウンター使いが圧力で後退させられるとロクなことにならん。
 
2013年のジョナサン・ゴンサレスvsジョバンニ・セグラ戦もそうだし、2016年のジャメル・ヘリングvsデニス・シャフィコフ戦もそう。重厚なプレスによって逃げ道を失い、ジリ貧になった技巧派サウスポーの地獄っぷりは過去に何度も繰り返されている。
 
「田中恒成がトロハツに圧勝KO。田中はホントに定まらんよな。トロハツさんが水準に達していたかはともかく」
 
逆にブロック&リターンのタイプには手数勝負が有効なのも確か。
2015年のゲンナジー・ゴロフキンvsウィリー・モンローJr.戦では、モンローが手数勝負に切り替えた中盤から流れが変わった。また2018年10月の村田諒太vsロブ・ブラント戦では、ブラントの手数とサイドへの動きで村田のプレスが完全に無効化された。
 
そういう意味でも、このラウンドからゴンサレスがリング中央での手数勝負に切り替えたのは文句なしですばらしい。特に大振りの左カウンターが再三田中の顔面をかすめるなど、ゴンサレスにとってはいい流れになりかけていたのではないか。
 

ゴンサレスもがんばったが、田中の勝ちは動かない。ちょっとパワーに差があり過ぎたかな


ただ、それでも個人的に田中の勝ちは動かないと思っていた。
 
4R以降、自ら前に出て腕を振るゴンサレスだが、どう考えてもキツい。全身のパワーを総動員して田中の反撃を食い止めているのが丸わかりで、とてもじゃないがこのペースで最後までもつとは思えない。
 
もしかしたらポイントはリードされているかもしれないが、そんなもんは知ったこっちゃない。どこかで田中が捕まえることは確実だし、結末はそんなに遠くない。
 
などと思っていたら案の定。
7Rに田中が自分の得意な距離を確保し、顔面への連打→ボディの流れでゴンサレスを追い詰める。都合3度のダウンを奪い、見事にTKO勝利という結末である。
 
ゴンサレスが手数勝負に出た際に多少手が止まったが、何だかんだで結果は圧勝。今回に関しては終始安心して観ていられる試合だった。


まあでも、アレだな。
さすがにパワーレス過ぎたよな。
 
1、2Rに何発かゴンサレスの左が田中の顔面にクリーンヒットしたが、田中がビクともしなかったのがね。
 
先日の伊藤vsヘリング戦では伊藤がヘリングの右にかなり手こずっていたが、今回の田中はまったくそんなことはなく。前後左右に動いて芯を外しながらプレスをかけたせいもあるが、それ以上にゴンサレスのパンチがほとんど脅威になっていなかった。
 
2019年4月のノニト・ドネアvsステフォン・ヤング戦同様、両者のフィジカルにあまりに差があり過ぎた。ゴンサレスは間違いなくいい選手だったが、このレベルでやるには身体が小さ過ぎるのかもしれない。
 
「これが僕のコバレフ! ヤードに苦戦しつつも11RKO勝利で初防衛に成功。もうカッチョいい。最高にカッチョいいww」
 

やっぱり田中恒成は近場での差し合いが得意だよね。ずーっと言ってるけど、和製ロマチェンコではないから

そして改めて思ったのが、田中恒成はやはりこういう近場での差し合いが得意だよなということ。
これはもう、8億5248万5年3ヶ月前から連呼し続けているのだが、田中恒成は断じて和製ロマチェンコではない。そういうのは拳四朗に任せておけばいい。
 
田中はむしろ、強靭な足腰を活かした近場での差し合いというか、しっかり足場を決めて腕を振ることで強さを発揮するタイプ。
 
前回の田口戦のあと、
「田中恒成の試合は確かにおもしろいがもどかしい」
「本来は打たせずに打つスタイルなのに、それを忘れつつある」
「テクニカルに相手を翻弄することができるのを知っているだけに」
といった内容のボクシング記事を読んだ気がするが、いや、逆に聞きたい。
 
田中恒成がその「本来のボクシング」とやらを発揮したのはどの試合なの? と。
 
アンヘル・アコスタ戦では執拗なボディで粘るアコスタをダウンさせ、パランポン戦では序盤にイキり倒して動き回った結果、あっさり追いつかれて顔面崩壊。
ロニー・バルドナド戦、木村翔戦ではインとアウトを使い分けて勝利し、田口良一戦では自ら前に出てきた田口をインファイトで圧倒した。
 
「田中恒成にデラホーヤ、パッキャオを感じた日。田口良一を大差判定で粉砕」
 
ある程度の被弾は覚悟でプレスと手数を駆使し、得意のボディで削るスタイル。いくら探しても、打たせずに打つ本来のスタイル()とやらは見当たらないのだが。
 
要は、テクニカルなスタイルからパワー型に傾倒しているというより、単純にこのレベルの相手に田中の足では難しいというのがファイナルアンサーな気がする。
と同時に、拳四朗があれだけアウトサイドを支配し続ける姿を観れば一目瞭然でしょという話。
別に見る目があるとかないとかではなく、リングの上で起きている事実として。
 
 
田中本人の理想像と乖離している部分は大いにあるんだろうけどね。
 
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