KODトーナメントをBOXING RAISEで視聴したので感想を。洗練されてない雑多な手探り感が最高におもしろかった
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表題の通りなのだが、2019年10月19日に東京・後楽園ホールで行われたDANGAN228「内山高志presents KNOCK OUT DYNAMITE賞金マッチトーナメント」をBOXING RAISEで視聴したので、その感想を。
本日はいよいよDANGAN 内山高志presents「KNOCKOUT DYNAMITE 賞金トーナメント」です!
※長いですね…w#DANGAN #KODトーナメント
を付けて投稿頂けると幸いです!
タグ付けも大歓迎でございます。皆様のご来場、後楽園ホールでお待ちしております。 pic.twitter.com/u9C9xT0ELU
— Dangan Boxing PR(公式) (@DanganPr) October 19, 2019
もともと僕はBOXING RAISEには登録しておらず、これまでDANGAN主催の試合は現地/テレビ以外では観たことがない。大した理由ではないのだが、単純に僕にとってBOXING RAISEは明らかにオーバースペックだから。
主催イベントがライブ配信され、なおかつ次の日以降、順次試合動画がアップされる。しかも月額980円。
ボクシング好きにとってはめちゃくちゃありがたいサービスなのだが、僕が登録しても恐らくなかなか利用しきれない。
ラグビーW杯、プロ野球シーズンが大詰めとなり、そのタイミングでバスケとアメフトのシーズンが開幕。さらに年末に向けてK-1やRIZINなど国内格闘技イベントもあり、ボクシングの世界戦も発表された。
観なきゃいけないものが多過ぎて、はっきり言ってDANGAN主催の試合まで手が回る気がしない。
月額980円は魅力だけど、やっぱり止めとくか。
そんな感じで、これまでBOXING RAISEの登録を見送っていた次第である。
だが今回「内山高志」の名を冠したトーナメント「KNOCK OUT DYNAMITE賞金マッチトーナメント」が開催されるとのこと。しかも全試合5R制というのはなかなかいい。
うん、これは観なきゃアカンぞと。
ただ、10月19日はどうしても外せない用事があり、現地観戦は不可能。なので、今回初めてBOXING RAISEに登録してみたという流れである。
「マービン・エスクエルドは5Rボクシングのゲーオになれる。5R特化型主人公誕生。KOD トーナメント決勝戦現地観戦」
KODトーナメントいいですね!! メインのデスティノ・ジャパンvs宮崎辰也戦が最高だったぞ
まず試合をざっと観た感想だが、いや、これはいいぞと。
5R制の試合運びに慣れていないというか、どの選手も探り探りやっている感じが凄まじい。
以前にも申し上げた記憶があるが、僕は旧K-1の初期の雰囲気が大好きである。
立ち技の各競技から第一人者が集まり、同じリングでしのぎを削る。
キックボクシング、ムエタイ、テコンドー、空手、ボクシングなどなど。
それぞれの選手が得意技を出し合い、強み、弱みを発揮してお互いにKOを狙う。
雑多なごちゃ混ぜ感というか、立ち上げ初期の洗練されていない感じは個人的に大好物である。
そして、今回のKODトーナメントもアレに近いものがあった(気がする)。
1Rから全力で飛ばした結果、2R後半にはゼーハーゼーハーだったり、立ち上がりは様子見でいこうとしたらいきなりダウンさせられたり。
特にメインのデスティノ・ジャパンvs宮崎辰也戦は最高だった。
開始直後から大振りのフックをぶん回してKOを狙う宮崎選手に対し、デスティノ・ジャパンも真正面から応戦。バックステップを使いながら側頭部にフックをヒットしつつ、上から連打を浴びせて1回目のダウンを奪う。
宮崎選手も落ち着いて立ち上がり、再び左フックを強振。
だが回転力で勝るデスティノ・ジャパンのフックが再三カウンターで宮崎選手の顔面を捉え、ロープ際で2度目のダウンを奪ったところでレフェリーが試合をストップする。
これを言うと怒られるのかもしれないが、最初から最後まで笑いが止まらない。
宮崎選手が以前から「1RKOを狙う」と宣言していたのは知っていたが、何の捻りもなくそのままじゃねえかと。あれだけ高らかに宣言するというのは多少駆け引きの意味もあったのかなぁ? などと思っていたところ、マジで1RKOを狙いにいって返り討ちに合うという。
繰り返しになるが、最高だった。
こういう漫画みたいな試合が実現するのも5R制というルールに加え、競技として洗練される前のごちゃ混ぜ感の醍醐味だと思う。
うん。
僕はこういうのを待ってたんだよww
宮崎辰也vs佐々木尽感想。宮崎選手は数少ない思入れのある選手。A-SIGN BOXING in新宿FACEを現地観戦してきたぞ
てか、よく見たら次回は決勝戦なんだな。
当初は8人のトーナメントと言っていた記憶があるが、結局4人になったんですね。
スポーツにおけるルール変更はめちゃくちゃ重い。ラウンド数、肘の有無など、少しの違いでまったくの別物になる
これは何度か申し上げているのだが、スポーツにおけるルール変更というのはめちゃくちゃ重い。
同じリング系格闘技でもキックボクシングとボクシングではまったくの別物だし、ひと言で「キックボクシング」と言っても肘の有無による影響は大きい。
当然ラウンド数によっても試合運びは違ってくるし、ボクシングとキックボクシングでは試合間隔も異なる。
たまにK-1やRISEがムエタイの第一人者を呼んで試合を組んだりしているが、ムエタイ選手がルールの違いに対応しきれないケースはよく目にする。
たとえばK-1は基本肘なしの3R制なのに対し、ムエタイは肘ありの5R。しかも1、2Rは様子見に終始するのが普通で、インターバルも2分ある。同じキックルールでもKO決着を求められる速攻型のK-1とはまるで別競技と言える。
2019年3月の武尊vsヨーキッサダー戦などはその典型。
そういう意味でも、引退した元ボクシング選手をローキックで生まれたての子鹿にしていた魔裟斗はだいぶしょーもないと思っていたし、五味隆典との年末バラエティマッチですらローキックを連発した姿には日本で一番と言っていいくらいにブチ切れた。
「魔裟斗vs五味(まさとvsごみ)とかいう最低のクソ試合。何だアレ、茶番ですらないわ。何がしたいのかさっぱりわからん」
ボクシングも同様で、試合を重ねるごとに4R→6R→8R→10R→12Rとだんだんルールが変わっていくことに以前から微妙に違和感を感じていた。
デビュー初期の4Rは体力、技術面から考えても仕方ないと思うが、6、8R制になると確実にそれ仕様の戦術が必要になる(気がする)。
世界王者を目指すために短距離選手→長距離選手に矯正するのもいいが、6、8R制最強の選手がいてもいい。というより、短いラウンドが得意な選手って絶対にいると思うのだが、どうだろうか。
なので、同時開催中の「山中慎介presents GOD’S LEFTバンタム級トーナメント」に関しては、実はいまいちピンときていない。
1回戦が6R制、準決勝、決勝戦が8R制で、なおかつ日本王者、OPBF王者が参加した場合は相応のラウンド数になるとのこと。
勝ち抜くごとにルールが変わり、それ仕様の練習が必要になるトーナメントの賞金が100万円……。
いや、どうなんだこれは?
過酷さの割にちょっと賞金が安いんじゃないか?
いきなり全階級でやらず、比較的層の厚いバンタム級で実験的に開催するというのはいいと思うけど……。
一応言っておくと、これは批判ではなく“違和感”です。
5R制はすばらしい。以前あったBKBにも少し近い?
上記を踏まえた上で、5R制トーナメントというのはすばらしいと思う。
優勝賞金50万円以外にも1RKOで50万円、2RKOで30万円、3RKOで15万円、4RKOで10万円、5RKOで5万円とKOラウンドごとに賞金が設定されており、勝利だけがすべてでないのも「ノックアウト・ダイナマイト」らしくていい。
K-1の3Rはあまりにも短距離走過ぎるが、10、12Rの長丁場は試合によっては間延びする可能性も高い。
その点、5R制のバランスは絶妙。
たとえば1度のダウンで8-10となっても、その他すべてのラウンドをとれば48-46で勝てる。1、2Rを失っても、残りの3Rをすべて奪えば逆転が可能になる。
仮に判定決着となっても間延びせず、なおかつ適度な駆け引きもある。
以前、米・ネバダ州で開催されていた「BIG KNOCKOUT BOXING」(通称BKB)というイベントが1R2分、ラウンド数はタイトルマッチが7R、それ以外が5Rというルールで行われていたが、イメージとしてはそれに近いのかなと。
駆け引きの妙とKOのエキサイティングさを考えると、個人的に「7R制が理想かなぁ」と漠然と思っていたのだが、この5R制を考えた方はさらに「マニア<<ライト層」の思考なのかもしれない。
てか、BKBにはめっちゃ期待してたんですけどね。いつの間にか消えちゃったんですよね。
「早過ぎたボクシングのエンターテイメント BIG KNOCKOUT BOXING(BKB)。ロープなし、すり鉢状の“ピット”で戦う格闘技」
5R制の完成形? 佐々木蓮vs伊集盛尚戦が5R制の醍醐味、可能性が詰まった一戦だった
そして、僕が今回のトーナメント初戦でもっとも印象に残ったのが56kg級の佐々木蓮vs伊集盛尚戦。
長身サウスポーの佐々木蓮選手がファイタータイプの伊集盛尚選手にダウンを奪われつつ、2-1(48-46、48-46、46-48)の判定で何とか勝利した一戦である。
初回は鋭い右とサイドへの動きで伊集選手の突進をさばいていた佐々木選手が、2Rにコーナーで左フックを被弾してダウン。そこから伊集選手がペースを上げ、ぐいぐい佐々木選手を攻める。
だが佐々木選手も要所でボディ、顔面への打ち分けで伊集選手の前進に耐えて勝利。
個人的なガバガバ採点では47-47での引き分けだったのだが、どちらが勝ってもおかしくない大接戦だった。
で、内容的にも5R制の醍醐味、可能性がいろいろ詰まった試合だったと思う。
最初は長身サウスポーを攻めあぐねていた伊集選手だが、2Rに踏み込みを強めて自分の距離を作る。セコンドも盛んに「攻めろ」「強引に行け」と言っていたし、あと2、3RあればKOも可能だったのかもしれない。
いやでも、待てよ。
仮にこの試合が8R制だった場合に2Rからあそこまで思い切って飛ばせたのか?
などなど。
5R制ならではの試合展開だったと言えるのではないか。
「高橋悠斗vs堀川謙一戦、吉野修一郎vsハルモニート・デラ・トーレ戦感想。まさかの週2で後楽園ホール参戦」
今回のトーナメントで勝ち残った選手を見ると、
・佐々木蓮
・山内祐季
・高畑里望
・ディスティノ・ジャパン
と、全体的にリーチの長い長身選手が多い。
もしかしたら、5R制では長いリーチ(サウスポーならなお可)を活かして遠い位置で釘付けにするタイプが有利になるのかな? ファイタータイプが身長差、リーチ差を克服するには5Rはやや短いのかな?
という気がしないでもない。
いわゆる5R制の攻略法というか、競技として洗練/成熟した際の完成形を想像するのも楽しかったりする。
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