K.O CLIMAX 2025現地観戦。スパイク・カーライル、カルロス・モタ、大雅。UNLIMITEDルールが洗練されつつある? タン・フォンは文句なしのMVP【2025.12.30、KNOCK OUT.60感想】
2025年12月30日に国立代々木競技場第二体育館で開催された「MAROOMS presents KNOCK OUT.60 ~K.O CLIMAX 2025~」を現地観戦してきた。
KNOCK OUTの年末イベントは去年初めて行ったのだが、めちゃくちゃ楽しかった覚えがある。
中島玲、渡部太基、森岡悠樹、壱・センチャイジムみんなすげえ。KNOCK OUTすげえ。キックすげえ。斜陽なんて嘘だろ? 熱狂しかあれへん
で、今年はどうしようか? と思っていたところ……。
UNLIMITEDルールに出場する選手を見て「これはGO!! でしょ」と。
具体的にはカルロス・モタとスパイク・カーライル、大雅の3人。
カルロス・モタは去年初めて観てから動向を追っていた選手、スパイク・カーライルと大雅はRIZINで結果が出ずにKNOCK OUTに働き場所を見つけた感じか。
何となくUNLIMITEDルールが試合枯れ気味? のMMA選手のセーフティネットになりつつあるが、今回はそれがいい方に転んだ気がする(僕にとって)。
さらにUNLIMITEDルールは去年の手探り状態から徐々に洗練されつつある(と思う)。
実は今後が楽しみだったりする笑
というわけでこの3人+-60.0kgトーナメントで優勝したタン・フォンの感想を。
ちなみにこの日は第一体育館で浜崎あゆみのライブがあり、グッズ売り場に冗談みたいな長蛇の列ができていた。
それに比べて第二体育館の小規模っぷりが……。
○スパイク・カーライルvs宮原穣×(1R2分21秒KO)
まずは第9試合のスパイク・カーライルvs宮原穣戦。
申し上げた通り僕が現地観戦を決めた理由の一つがスパイク・カーライルの参戦である。
カーライルは今後のキャリアを日本で送るために拠点を日本に移したとのこと。
先日はパンクラスに出場して大ベテランの村山暁洋を瞬殺していた。
正直あの試合は「何で組んだの?」という内容で、発表されたときからMMAをよく知らない僕ですら結末が想像できてしまった。
だが今回は31歳の宮原穣が相手。
空手ベースで組みの経験もあるとのこと。
グラップラー寄りのカーライルとはいい勝負になるのでは? と思った次第である。
まったくでしたね。
いや、まったく相手にならなかったです。
カーライルのテイクダウンに宮原穣は対応できず。
遠間で何回か蹴りを放ったものの、すぐにキャッチされて倒されてしまう。
で、最後はバックを取られてパウンドの連打→レフェリーストップ。


あ〜、これはアレだ。
この階級でカーライルと渡り合えるのはそれこそRIZINファイタークラスでないと難しいのではないか。
どなたかがおっしゃっていたが、出場する日を1日間違えてる気が……。
そもそもRIZINに干されている理由が謎なんですよね。
体重超過をやらかしたのが今年3月。
それ以降まったく呼ばれる気配がない。
たった1回のやらかしでそこまで嫌われるもんなの?
ただでさえ層が薄い階級なのに。
本人は日本で現役を終える覚悟なのに、肝心のRIZINにそっぽを向かれているのが不憫である(真相は不明)。
○大雅vsプンルアン・バーンランバー×(1R2分37秒KO)
お次は第10試合の大雅vsプンルアン・バーンランバー戦。
大雅は2024年12月のMMA転向以来期待しているのだが、今のところ2戦2敗と結果が出ていない。
その中でのUNLIMITEDルール参戦は悪くないと思っている。
一方のプンルアン・バーンランバーは今年8月に古村匡平とREDルールで対戦している。
今回はUNLIMITEDルールに挑戦とことだが、煽りVでは組みの素養もあると紹介されていた。
古村匡平vsプンルアン、ゲーオガンワーンvs軍司泰斗、祐輝vs勇成。印象に残った試合の感想を言っていく。八角形リング、コの字型の客席、ダルダルのロープ
大雅の入場シーン。

パッと見ではいい顔つきをしていたように思う。
一方、兄貴のHIROYAは貫禄が増していたのが……。
まだ33歳と聞いて「おおう…」となった。
そして、試合はほぼほぼキックボクシング。
タックルを警戒する? せいでプンルアンはなかなか肘の距離に入れない。
大雅が遠間からのロー、ミドルを駆使してどんどん差をつけていく。
じっくり対峙しつつ近場で打ち合いたいプンルアンと、スピードで置き去りにしたい大雅。
K-1とRISEで王者になった大雅がキックの実力を発揮して一気に決めてしまった。


いや、この日の大雅は強かったですね。
有利なルール、相性のいい相手だったのもあると思うが、ここまでキレッキレの大雅を観たのは初めてかもしれない(僕は)。
試合後のコメントによると今後もUNLIMITEDルールで参戦したいとのこと。
しかも60kgまで落として(今回は61.5kg契約)スーパーフェザー級王者倉本一真に挑戦したいと。
冗談抜きでUNLIMITEDルールが微妙な立ち位置のMMAファイターの一つの道になりそう。
○カルロス・モタvs有川直毅×(2R1分55秒KO)
そして第15試合のUNLIMITEDフェザー級王座決定戦、カルロス・モタvs有川直毅戦について。
カルロス・モタは去年の年末イベントで初めて観た選手。
その際にKNOCK OUTを気に入り継続参戦、今回が4回目の来日となる。
対戦相手の有川直毅のことは知らなかったのだが、2023年までパンクラスを主戦場にしていたとのこと。ブランクを経て復帰したらしい。
カルロス・モタの入場を待つ間に有川直毅がコーナーで逆立ちをしていたのだが、その際の身のこなしがめちゃくちゃ軽い。
アレを見た時点で調子がよさそうだなと思った次第である。
そして、実際いい動きをしていたと思う。
開始直後から野生的な動きでモタを追う。
八角形のリングをサークルするモタに鋭い踏み込み+伸びる打撃で迫る。
目と勘がいいのだと思うが、どことなく福田龍彌を彷彿とさせた。
1Rなどは「モタ負けるんじゃねえか?」と思ったほどである。
だが、2Rに入るとモタが対応力を見せる。
1Rに比べて近い距離で対峙、有川の打撃にカウンターを合わせにいく。
最初のラウンドが終わった時点で近場で勝負した方がいいと判断したのだろうと。


スピーディな差し合い、カウンターの応酬でそのつどモタが有川を上回る。
で、最後はモタの左クロスで有川がうつ伏せにダウン→レフェリーストップで勝負あり。


カルロス・モタが打撃でKOする結末は一番予想していなかったのでちょっと驚いた。
サークリングからのタックルで漬ける印象しかなかったので笑


余談だが、上述の通りUNLIMITEDルールは洗練されつつある(気がする)。
去年このルールを観た際に「これは人を選ぶのではないか?」と申し上げている。
打撃系のMMAファイター、もしくはグランドの素養があるキック選手ならおもしろくなるが、グラップラーや打撃オンリー(グランドはダメ)のキック選手だと動きの少ない退屈な試合になりやすい。
倉本一真、大沢文也が参戦。KNOCK OUT-UNLIMITEDとかいう謎ルール。ストライカー寄りのMMAファイター、組みのできる立ち技選手に適正?
だが1年経って“UNLIMITEDルール仕様”の立ち回りが確立されてきた印象。
特にグランド状態でパウンドを落とす、そのスペースをこじ開ける技術が進化したのではないか。
グランドの膠着状態が発生しにくくなった(ブレークがかからない)せいで必然的にスタンド勝負が増える。グラップラー系の選手はより積極的にテイクダウンにいける。
そこの攻防、駆け引きはなかなかの見応えである。
カルロス・モタvs有川直毅戦はそれが顕著だった(と思う)。
現状は嘲笑気味に見下されているUNLIMITEDルールだが、このまま独自の進化を遂げれば試合枯れのMMAファイターが片手間で参戦できる場ではなくなるかもしれない。
知らんけど。
タン・フォンやばすぎワロタ
ラストは-60.0kgトーナメントで優勝したタン・フォンについて。
この選手は今年11月に初参戦、瑠夏を1RKOで下して度肝を抜いたとのこと。
いきなりトーナメントの優勝候補に躍り出たとかで、僕も「へえ、そうなんだ」と興味が湧いた次第である。
そして実際の試合は……。
まさかの2試合連続1RKOで優勝をかっさらうという。
準決勝の平川蓮斗戦では(僕が)やや集中を欠いているうちにいきなりのKO勝利。
第14試合の決勝戦では「見逃したらアカン」と(僕が)高い集中力で臨んだものの、まったく間に合わなかった笑


この体勢から

飛び込んだと思ったら、

冗談でも何でもなく、気づいたら新田宗一朗がリング外に飛び出していた。
リングの端から端まで一瞬で到達する踏み込みスピード。

僕のテンションも
「マジかよ!!(驚愕)」からの
「マジかよ……(呆然)」
という落差。
いや〜、やべえっすね。
コイツはやべえ。
僕の中では文句なしのMVPでございます。
プロフィールによるともともとはキックルールを主戦場にしていたとのこと。
「タン・フォン(TANG Feng)|KNOCK OUT 選手プロフィール」
グランドの対応力が上がればUNLIMITEDルールでは敵なしになりそう。
まだ22歳と若いのでいずれはMMAでも観てみたい。
MMA選手のもう一つの道、キック選手が総合に挑戦するきっかけになるだけでなく、こういうスター候補が出てくるのもUNLIMITEDルールの醍醐味かもしれない。
その反面、松嶋こよみvs漁鬼戦のような地獄が生まれたりもするのだが。
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