井岡一翔がいれば大丈夫。4階級制覇に向けて大貴ジムで日本復帰。アストン・パリクテとの決定戦か
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2019年3月22日、世界3階級制覇王者井岡一翔が、Reason大貴ジム所属選手としてJBCにライセンス申請書を提出したことがわかった。
2017年大みそかに一度引退を表明した井岡だが、2018年9月に米国で現役復帰。SANKYOのサポートを受け、今後は海外を拠点に活動していくことが発表された。
そして同年大みそかに4階級制覇をかけて中国マカオでドニー・ニエテスと対戦。一進一退の攻防の末、惜しくも2-1の判定で敗れキャリア2敗目を喫する。
「井岡完敗やな。ニエテスが凄すぎた。個人的には111-117かな。インファイトで歯が立たないのは予想外だった」
その後、日本での活動を再開するべく新たに国内ジムへの移籍を決意したとのこと。
なお、現在井岡はWBO世界S・フライ級2位にランキングされており、近い将来同級1位のアストン・パリクテとの王座決定戦が濃厚と言われている。
ドラマのような幕引きだったイチローの引退劇。平成の終わりとともに、イチローの夢も終焉を迎える
それはまるで、ドラマのような幕引きだった。
45歳のシーズンを迎えたマリナーズのイチローが、東京ドームで行われた開幕2戦目を最後に現役引退を表明した。
「イチロー引退。スカした言動と態度とは裏腹に人一倍暑苦しくて泥臭いヒットマン。競技性orエンタメなんていう議論が全部不毛に思える」
8回裏。
いったん守備についたイチローはグローブをつけた左手をベンチにかかげ、了解の意思を示す。
そして、後ろを振り返って観客席に手を振り、ゆっくりと仲間の元へ向かう。
万雷の拍手の中、グラウンドを横切るイチローの姿に我々は夢の終わりを知る。
チームメートと抱擁を交わすスーパースターの背中を誰もが目に焼き付け、全盛期と重ね合わせる。
「プロはグラウンドでは美しくなくてはいけない」
2009年当時、WBC日本代表のコーチだった山田久志はイチローに「試合前のノックを止めましょう」と進言されたという。
プレーボールの直前、花のように野手がダイヤモンドに散っていく光景こそが美しい。それがプロのあるべき姿であると。
動じず騒がず美しく。
かつて「センター前ヒットならいつでも打てる」と豪語した男が1本のヒットすら打てなくなっても、決められたルーティンを淡々とこなす。美しくあることを貫く姿はまさしくプロフェッショナルとしての美学。
1992年に一軍デビューを果たし日本で9年、アメリカで19年。
平成の終わりとともに、イチローのフィールド・オブ・ドリームスも終焉を迎えた。
「これが井岡一翔じゃゴルァ! って試合だったな。パリクテを10RTKOに下して4階級制覇。今回は厳しいかも? とか言ってスマソ」
強くて上手いけど地味な井岡一翔。その発言から反感を買うことも
多くのファンに鮮烈な印象を残したイチロー引退の翌日。
世界3階級制覇王者井岡一翔の日本復帰が報じられる。
思い返せば、2010年代の日本ボクシング界は井岡一翔とともに歩んだと言っても過言ではない。
2009年のデビュー後、ほぼペースを崩さず年3試合をこなし、2011年以降大みそかの舞台には必ず井岡一翔の姿があった。
派手さはないが堅実で知的なファイトを持ち味とする反面、「唯一無二の存在」「僕だけの場所」等の発言で反感を買うこともある。どこか浮世離れしているというか、「井岡一翔」を演じる自分に酔っているようにも感じられた。
強くて上手いけど、地味で退屈。
どうも発言が鼻につく。
熱烈な支持者も多いがアンチも生む。
特に亀田兄弟の国外追放以降、代わりの矛先として過剰な批判に晒されたのが井岡一翔という選手でもあった。
「井岡一翔結構危ないんじゃ? アストン・パリクテのパワーと長さに屈するかも。カネロvsジェイコブスっぽくなる?」
この人はボクシングが好きなのか、それともボクシングをしている自分が好きなのか。
どこか掴みどころのない井岡一翔の「井岡一翔っぽさ」に、僕は何とも言えない感情を抱いていた。
当たり前のようにそこにあった存在が突然失われた。ドラマのような幕引きもなく、ただただ突然に
ところが、2017年4月のノクノイ・シットプラサート戦を最後に井岡一翔の続報が途絶える。
ジムの会長である父親との確執など、よからぬ噂が立ち始めたのもこの頃だった。
そして明確な説明もないまま、2017年大みそかに本人が単独会見で引退を表明。井岡一翔は完全に表舞台から姿を消してしまう。
僕自身、ボクシング観戦は好きだが、決して井岡一翔が好きなわけではない。
この選手の試合を退屈に感じたこともあるし、どちらかと言えばド派手でわかりやすい試合にエキサイトする。
ただ、ボクシングファンとして井岡一翔の存在をごく自然に受け入れてきたこともまた事実。
野球に興味がなくてもイチローの名前は知っているように、2010年代の日本ボクシングは井岡一翔を抜きにして語ることはできない。
年3回ずつ試合の日程が発表され、そのたびに対戦相手の名前に失望する。
そして、大みそかのリングで挑戦者を圧倒する姿に、強敵との対戦を妄想する。
好きか嫌いかではなく、当たり前にそこにある。恒例行事となった予定調和に慣れ、日々の生活に完全に同化していた。
「ネリ圧勝。アローヨを4度倒し棄権に追い込む。WOWOWがネリの試合を放送するとは。井上尚弥と伊藤雅雪のテンションの低さw」
それがある日、突然失われてしまった。
大みそかにテレビをつければ必ずリングの上にいた男が、我々の前から姿を消した。
イチローのような華麗な幕引きもなく、ただただ突然に。
男は再び戻ってきた。欠けたピースを埋めるために。「僕だけの場所」で叫ぶために
ここで僕は初めて気づかされる。
井岡一翔という男の存在が、日本ボクシングと同義であったことに。
それまで当たり前にあったものが、こつ然と姿を消した。その現実にひどく狼狽し、言いようのない寂しさを覚えるのである。
いや、参ったなオイ。
僕はこれから誰を指標にすればいい?
若手のボクサーを観て「現役では井岡一翔に似てる」と言えない現実をどう受け止めればいい?
2018年9月の現役復帰後、マックウィリアムズ・アローヨ、ドニー・ニエテスとの2連戦には大いに興奮したが、あくまで立場はフリーランス。JBCのライセンスを持たない井岡一翔が今後、日本のリングに上がることは難しい。
「俺たちの井岡一翔(SANKYO)が帰ってきたぞ。強豪アローヨに何もさせずに圧勝!! 待たせんじゃねえよボケがww」
大みそかのドニー・ニエテス戦も会場こそ中国マカオではあるが、スクリーンには延々と日本人選手のハイライトが流され、リングには巨大な「SANKYO」のロゴ。これが日本で試合ができない井岡一翔のために用意された舞台であることは誰の目にも明らかだった。
と同時に、2017年大みそかにぽっかりと空いた穴がいまだに埋まっていないことも強く実感させられた。
それから約3ヶ月。
男は再び戻ってきた。
「僕だけの場所」で「カッコよかったですか?」と叫ぶために。
「キッズ・リターン」の金子賢が「バカヤロー!! まだ始まっちゃいねえよ」と絶叫してから20数年。
井岡一翔の第2章はまだ始まっていない。
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