3150FIGHT vol.3感想。いい試合ばっかりでしたね。出場選手すら知らなかったけど。皇治vsヒロキングとJBCのゴタゴタで全容をまったく把握してなかった【結果・感想】

3150FIGHT vol.3感想。いい試合ばっかりでしたね。出場選手すら知らなかったけど。皇治vsヒロキングとJBCのゴタゴタで全容をまったく把握してなかった【結果・感想】

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2022年8月14日にエディオンアリーナ大阪第1競技場で開催された「3150FIGHT vol.3」。
元3階級制覇王者でKWORLD3ジム会長の亀田興毅氏による初の単独興行。メインイベントではヘビー級の但馬ブランドンミツロが韓国のイ・ソンミンに1R1分9秒TKOで勝利したほか、OPBF S・フェザー級王者力石政法がフィリピンのトムジュン・マングバットを4Rに強烈なアッパーでKOするなど盛りだくさんの内容となった。
 
一方、エキシビジョンとして行われた皇治vsヒロキング戦は再三のバッティングが多発する荒れた展開に。後日亀田興毅氏が自身のSNSでヒロキングに厳重注意を与えたことを報告している。
 

ジムの品評会感ゼロの“どちらが勝つかわからない”おもしろい試合だらけの興行だった

亀田興毅氏にとっての初の単独興行となった「3150FIGHT vol.3」。
何週間も前から各所で話題となり、賛否両論聞かれる中でようやく当日を迎えたわけだが……。
 
僕は例によってリアルタイム視聴できずに後追いで一通り眺めたのだが、なかなかおもしろかった
メイン、セミ以外は微妙なタイ人やフィリピン人をジムお抱えの選手にボコさせる、いわゆるジムの品評会のような興行ばかりだったこれまで(コロナ前)とは一味違う。いわゆるガチのマッチメイクというか、どちらが勝つかがまったくわからない試合ばかり。
 
しかも出場選手もKWORLD3ジムの所属選手以外がほとんどで、ラインナップを見た瞬間に何となくジムごとの棲み分けがわかるような縄張り感はいっさいなかった。
 
 
選手のチケット手売り廃止によって看板選手の負けもある程度許容できるようになったのか、今後を見据えた先行投資なのか、もしくはその両方なのか。
どちらにしろ“どの試合もちゃんとおもしろい”“出場選手もバラエティに富んでいて飽きない”ボクシングイベントは(僕の中では)かなり珍しい。
 
恐らく単独興行1発目ということで亀田興毅本人も相当気合いが入っていたのだと想像するが、次回以降もこのクオリティを維持できるかは割と楽しみだったりする。
 
 
てか、てっきりメインイベントは坂晃典と奈良井翼による日本S・フェザー級タイトルマッチだと思ってたんですが、この試合は9月だったんですね。
 
亀田興毅プロデュース「3150FIGHT vol.3」について思ったこと。何ごともバランスが大事よね。ガワの部分をゴテゴテさせすぎて肝心の試合に目がいかないのが…
 
上記でも散々申し上げたのだが、皇治vsヒロキング戦が全面に出すぎたせいで出場選手の詳細をまったく把握しておらず。結果一覧を見て初めて「あ、こんな試合が組まれてたのね」となったことを報告しておく。
 
なので、できることなら次回以降はもう少し余興の部分は抑え気味に、試合ごとのプロデュースをがんばってもらえればと思っている。
 

◯福永宇宙vs山下賢哉×(判定3-0 ※76-75、76-75、77-74)

まず山下賢哉については以前に一度だけ現地観戦したことがあるのだが、その際は確かS・フライ級だった記憶がある。
ところが今回は56.5kg契約とのことで、やたらと階級を上げたなぁと。
 
またその試合では序盤は持ち前の爆発力で相手を圧倒するも、中盤から息切れ→最後はKO負けという結果に。
前半型すぎる&動きが単調なせいでいまいちピンとこなかったことをうっすら覚えている。
 
対する福永宇宙に関しては申し訳ないことに名前すら知らず。
10戦全勝5KOと無敗を継続中、期待されている選手とのことだが、残念ながら僕は「宇宙」を“そら”と読むことをこの試合で初めて知った体たらくである。
 
 
具体的な感想だが、いや、すごい試合でしたね
8R24分間、両者一歩も譲らず打ち合う姿はマジで目が離せなかった。
 
 
なお僕の印象としては、福永宇宙の左リードの精度と体格差が勝敗を分けたかなぁと。
 
飛び跳ねるように打ち込む山下のジャブはド迫力で見応え十分だが、どちらかと言えば最短距離をスパッと通す福永の左の方がヒット率は上。恐らく1発1発の威力は同程度だと思うが、精度の差で若干福永が上回った印象である。
 
また体格差はかなり顕著で、接近戦での打ち合いではどうしても山下が後退させられるシーンが目につく。
お互いにいいタイミングでヒットしているのだが、毎回キワの部分で押し負けるというか。リング中央で対峙した両者を比べても身体の分厚さは一回り違った。
 
ただ、山下賢哉も僕が観たときよりもペース配分がうまくなっていた気がするしまだまだいけそう。ファイトスタイルに華もあるので今後もがんばってほしい。
 
ちなみに僕の素人採点は76-75で福永勝利でした。
 
比嘉大吾、堤駿斗、森武蔵振り返り。割と強かったカルコシア、ちゃんと強かったジェミノとサルダール。比嘉のガッカリ感が尋常じゃない
 

×宮崎亮vsアサエル・ビリャル◯(1R2分42秒TKO)

移籍3戦目を迎えた元世界王者の宮崎亮。
この試合の勝利を世界再挑戦への足がかりにしたいと意気込んで臨んだ一戦だったが、結果はまさかの1RTKO負け。パナマのアサエル・ビリャルの強打に押されまくり、棒立ちになったところでレフェリーストップ。
今後については会長の亀田興毅と相談して決めるとのこと。
 
 
試合の感想だが、とりあえず宮崎亮は宮崎亮だったなぁと。
もともとの階級がミニマムで身長156cm、リーチ159cmとサイズも小柄。
2016年8月の田口良一戦では(階級内では)長身の田口の懐に入れず、ひたすらリングをサークリングし続けて終わったという。
 
基本的にセンスを活かした見切り、カウンターを持ち味とする選手なのだが、その反面射程が短く有効なパンチを当てるには中で勝負しなくてはならない。
ところがカウンターを狙うタイプのせいか「ガードの上を打たせながら〜、圧力をかけて〜」といったやり方はあまり得意ではなさそう。
 
さらに今回のアサエル・ビリャルは上背、リーチともに宮崎よりも上で1発の威力もある。
宮崎のパンチ数がほとんど伸びなかったことからも、田口戦同様自分の射程に入れずモタモタしていたのだと想像する。
 
 
宮崎亮の今後については正直よくわからない。
会長の亀田興毅と相談して決めるとのことだが、フライ級でのサイズ不足が顕著な中でどの程度やれるのか。
 
持ち前のセンスでそこそこまではいけると思うが、田口良一やアサエル・ビリャルのように“デカくて動ける”タイプと遭遇するとああいう結果になる可能性は高いのかもしれない。
 
藤田炎村vs湯場海樹戦現地観戦。100%試合がおもしろい藤田選手。こりゃあ人気出るわ。リングネームが炎村(ほむら)はカッコよすぎる
 
てか、戦績18勝1敗3分14KOってなんだよ笑
よく見たらほとんどの試合を序盤KOでクリアしてるし。
 
そんなデンジャラスなヤツをためらいなくぶち当てるガチ感ね。
厳しい試合ばかり組んでいてはあっという間に選手がぶっ壊れてしまうが、そこは元世界王者&復帰3戦目なので遠慮もいらない。
亀田興毅としても単独開催1発目ということもあった? のかな?
 
まあ、本来「どちらが勝つかわからない試合」なんてごく普通のことなんですけどね。
その程度ことで「おお、すげえ!!」などと驚いている僕もだいぶ焼きが回ったなぁと感じている。
 

×大沢宏晋vsジョー・サンティシマ◯(5R2分54秒TKO)

こちらもまさかの結末となった試合。
世界戦経験もある大沢宏晋がジョー・サンティシマに2つのダウンを奪われてのTKO負け。
 
と言ってもジョー・サンティシマはエマヌエル・ナバレッテやジョエト・ゴンサレスといった世界王者かそれに準ずる選手との対戦経験もある強豪で、大沢としては自分の現在地を証明するためにも絶好の相手だった。
 
そして、まさにその通りの結果が出たという。
 
大沢宏晋の試合を観たのは2016年11月のオスカル・バルデス戦(WBO世界フェザー級タイトルマッチ)が初めてなのだが、その際は7RTKO負けという結果ながらも内容はかなり肉薄していた。
シャープな左リードで突進をうまく寸断しつつ、身体の大きさを活かして打ち合いを挑むやり方はバルデス対策として十分機能していた(と思う)。
 
ただ、基本的に前で勝負するタイプのせいかフック系のパンチを被弾するシーンが多く、バルデス戦では最終的にこのフックを効かされてTKO負けを喫している。
 
また今回も2度のダウンはいずれもフックを顎に被弾してのもの。
それまでにもリーチの長いサンティシマのフックを再三もらっていたが、効いたそぶりはほとんど見せず。
 
上記のバルデス戦でもある時点でダメージが噴き出した印象だが、要するにひたすら我慢して我慢して、我慢しきれなくなったところで決壊するタイプなのだろうと。
 
花田歩夢vsアサエル・ビリャル、力石政法vs木村吉光。すごい試合が2つ出ました。花田はよく勝ったな。力石は相変わらず長かった
 
とは言え、勝ったサンティシマも相当辛そうだったのも確か。
序盤から大沢のジャブを被弾し続けていたせいで4、5Rには明らかに動きが落ちていた。
あのまま大沢が致命打をもらわずコツコツとワンツーを当てていれば逆の結果が出ていたのではないか。
 
それでもじっくり耐えながらチャンスをうかがっていたサンティシマはやっぱり強かった。
微妙にサイドに動いて芯を外しつつ「エンジンをふかす→休む」のメリハリをつけながら1発をぶち当てる瞬間を探す。
試合を通して一定のペースを守り続けた大沢に対し、サンティシマは強弱の“強”の部分にすべてをかけたというか。
 
 
お互いに世界挑戦経験があり地域タイトルを獲得した実績もある。
戦績も大沢宏晋が36勝5敗4分21KO、ジョー・サンティシマが21勝4敗18KOとほぼ互角。似たような立ち位置、実力的にも五分同士の対戦で、まさに“どちらが勝ってもおかしくない”一戦だった。
 
 
負けた大沢宏晋は引退を表明したとのことだが、いや〜、もったいないっすね。
本人が決めたことなのであれこれ言うのもアレだが、普通にまだできそう。せっかく3150FIGHTという注目を集める舞台ができたのだから今後も参戦してゴリゴリ稼いじゃえよとも思ったり。
 

続きは次回

ちょっと長くなってきたのでセミファイナルとメイン、エキシビジョンマッチについては次回に。
 
3150FIGHT vol.3感想完結編。力石政法、但馬ミツロ、皇治vsヒロキング戦、などなど。あの頭突きを肯定する気はないけど気持ちはわからんでもない笑
 
こんなに長く語るつもりもなかったのですが、いい試合ばかりだったのでいつの間にか笑
 
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