堀口恭司vsパトリック・ミックス感想。ミックスの作戦勝ちだろうな。やっぱり堀口の距離が近くなってるし、適性がフライ級なんてのは今さら過ぎるわな【ベラトール279】
2022年4月23日(日本時間24日)に米・ハワイ州で行われたBELLATOR 279。メインカード第2試合に登場した日本の堀口恭司がバンタム級ワールドGP1回戦でパトリック・ミックスと対戦。3-0(48-47、48-47、48-47)の判定で敗れた一戦である。
昨年12月のバンタム級タイトルマッチ、セルジオ・ペティス戦以来の再起戦を迎えた堀口恭司。
対戦相手は2019年末にRIZINのリングにも上がったパトリック・ミックスである。
試合は長身のミックスが前に出て圧力をかけ、堀口が激しい出入りと遠間からの打撃で受けて立つ展開。
1Rはミックスのグランドに苦しめられた堀口だが、2Rはスタンドの攻防で流れを掴む。ところが3Rには再びミックスのバックチョークに防戦一方の状態に。その後も一進一退の攻防が続くも、最終5Rを明確に取ったミックスが3-0の判定勝利。
自分が決勝まで残ればベラトールの日本開催が現実味を帯びると意気込んでいだ堀口だったが、惜しくも1回戦敗退となった。
Breaking Downが単純におもしろかった件。賛否両論あるけど僕は好き。オーディション編はいらないけどねw 木下優樹菜の輩感、馴染み方が尋常じゃない
- 1. 堀口恭司vsパトリック・ミックス戦の存在をすっかり忘れてた。数日遅れで(ライブ感ゼロの)感想を
- 2. どちらが勝つにしても接戦になりそう。前半型のパトリック・ミックスと5Rトータルで逆転を狙う堀口恭司
- 3. パトリック・ミックスの試合巧者っぷりが際立っていた。攻めるラウンドと守るラウンドを明確に分けての僅差逃げ切り
- 4. 堀口にとっては厳しい相手だった。コールドウェル戦と似た展開になると思ったけど、あらゆる面で上位バージョンを押し付けられた
- 5. 堀口が下降線に入ったのはガチだと思う。これまでよりも一足分くらい距離が近いせいで体力の消耗も大きくなる
- 6. 今は絶対強者というより好選手の1人という立ち位置なんだろうな。この試合に勝ったとしても厳しい相手ばかりだし
堀口恭司vsパトリック・ミックス戦の存在をすっかり忘れてた。数日遅れで(ライブ感ゼロの)感想を
堀口恭司vsパトリック・ミックス。
ただ、この日は早起きして午前中に外出しており試合の存在をすっかり忘れていた。
同日英国で行われたボクシングのヘビー級タイトルマッチ、タイソン・フューリーvsディリアン・ホワイト戦はその日のうちに観たのだが、こちらの試合は……。
タイソン・フューリーにディリアン・ホワイトが勝てるわけねえだろ。誰が興味あんねんこの試合→き、9万人!? 実況の絶叫が聞こえて気づいたらホワイトが大の字で寝てた
しばらく経って(結果もわかった上で)ようやく視聴した次第である。
なので、これから申し上げる感想はまったく新鮮味のない、ライブ感ゼロのものというのをご了承いただければ。
どちらが勝つにしても接戦になりそう。前半型のパトリック・ミックスと5Rトータルで逆転を狙う堀口恭司
まず最初に。
試合前に適当に考えた展望(これも忘れてた笑)は下記の通りである。
堀口恭司vsパトリック・ミックス予想。前半をしのげばチャンスなんじゃない? パトリック・ミックスは中盤から失速するし。過酷なトーナメントが始まる
・パトリック・ミックスは前半型。1、2Rは激強だけど後半に失速する
・堀口は前半をしのげばチャンスがくる
・流れ的には堀口vsダリオン・コールドウェル戦と似た感じになるのでは?
・両者ともに自分から展開を作るタイプなので、キワの部分での交錯がどうなるか
・堀口が勝つなら逆転での判定勝利
・ミックスが勝つなら先行逃げ切りの判定、もしくは一本勝ち
・勝敗予想は堀口の判定だけど、どちらにしても接戦必至
・堀口が若干下降線に入ったかも?
中でもパトリック・ミックスの前半型っぷりは顕著で、2020年9月のファン・アーチュレッタ戦などは典型的なパターン。
鬼のグランドで攻めまくった1、2R→3R以降の失速は尋常ではなかった。
恐らく堀口も2019年6月のダリオン・コールドウェル戦同様、グランドで追い詰められる展開になると思うが、そこをしのげば一気にチャンスが広がる(はず)。
ミックスの猛攻に2R耐えれば残り3Rでの逆転は十分可能だと予想する。
懸念材料としては、膝をぶっ壊して以降の堀口の距離が若干近くなっていることか。
復帰一発目の朝倉海戦は試合時間が短すぎてよくわからない。
前回のセルジオ・ペティス戦はペティスのカウンターを警戒してあえて近場で対峙した可能性もある。
ネタが少な過ぎて何とも言えないが、堀口が怪我の影響(と加齢)で下降線に入っているとしたらちょっとマズいかも?
だいたいこんな感じである。
パトリック・ミックスの試合巧者っぷりが際立っていた。攻めるラウンドと守るラウンドを明確に分けての僅差逃げ切り
実際の試合だが、感想としてはパトリック・ミックスがよく考えてきたなぁと。
ポイントこそジャッジ3人が48-47をつける大接戦ではあったが、試合を支配していたのは間違いなくミックスの方。
具体的には、
1R:攻める
2R:休む
3R:攻める
4R:休む
5R:攻める
の繰り返し。
ペースアップするラウンドと休憩するラウンドを明確に分けつつ僅差で逃げ切る。5Rをトータルで計算したうまい試合運びだった。
特にあえてペースダウンした2、4Rの試合巧者っぷりは目を見張るものがあった。
上述の通りパトリック・ミックスは自ら前に出て展開を作る選手。待ち構えてタックルを狙うコールドウェルとは違い、自身のサイズを活かしてガツガツ前に出るスタイルを得意とする。
だが今回はそこの押し引きが素晴らしかった。
2、4Rはプレッシャーをかけるだけで無理に組みにはいかず、堀口を左右に動かすことで疲弊させることに成功。
サイドに動く堀口を深追いすることなく、置いてきぼりを食わないギリギリの間合いをキープ。
タックルのタイミングでもグッと自重しつつ、ガードを上げて距離を詰めながら堀口の出入りにカウンターを合わせていく。
2Rが終了した時点でバテバテだったファン・アーチュレッタ戦とは大違い。
体力満タンの1Rは確実に取れると踏んでいたのだと思うが、極論1ポイント差で勝利するところまで見越していたのではないか。自身の失速癖をよく理解した戦術というか。
逆にグランドを警戒する堀口は絶えず前後左右に動かされ続け、ポイントと引き換えにスタミナをごっそり失ってしまった。
あるべき場所に戻ってきた堀口恭司。朝倉海を1RTKOに沈めて王座奪還。やっぱりRIZINの現地観戦はサイコーだなw
堀口にとっては厳しい相手だった。コールドウェル戦と似た展開になると思ったけど、あらゆる面で上位バージョンを押し付けられた
今回はパトリック・ミックスの試合運びがうまかったと申し上げたが、敗れた堀口にとってはファイトスタイル的にも厳しい相手だった。
展望記事で「2019年6月のダリオン・コールドウェル戦と似た流れになるのでは?」と申し上げたが、レスリングベースのコールドウェルに対してパトリック・ミックスはレスリング+柔術をバックボーンとする。
上のポジションでコントロールするタイプのコールドウェルとの一戦では上からタックルを抑えたままケージ際で休憩できたが、バックに回ってニュルニュルと絡みついてくるミックス相手にそれは難しい。
一本負けの危険と隣り合わせのまま背後からのサブミッションを回避し続ける。
消耗度的にはコールドウェル戦とは比べものにならないくらい激しかったと想像する。
ファイトスタイル、スケール感、体力配分、体格差。
あらゆる面でコールドウェル戦の上位バージョンを押し付けられた印象である。
堀口恭司が凄すぎてw コールドウェルに判定勝ちでベラトール王者に。RENAは残念だったけど、絶対諦めんなよ
堀口が下降線に入ったのはガチだと思う。これまでよりも一足分くらい距離が近いせいで体力の消耗も大きくなる
そして懸念していた“堀口が下降線に入った”説だが、これは割とガチだと思う。
前戦ではあの距離の近さがペティスのカウンターを警戒してのものなのか、もしくは純粋に踏み込みのレンジが落ちたからなのかが判然としなかったが、この試合を観るとどうやら後者だったっぽい。
堀口恭司vsセルジオ・ペティス感想。堀口1発KO負け…。でも、いい試合だったし満足度は高い。堀口の鈍感力には感心するよね
膝をぶっ壊す前の試合と比較するとわかるが、ここ2戦の堀口は相手との間合いが一足分ほど近くなっている。
「ビックリするくらい遠間からすっ飛んでくる→打撃をヒットしてパッと離れる」距離の長さ、踏み込みスピードが堀口恭司の一番の持ち味だったはずが、今は相手の攻撃が届く位置に留まる時間の方が長い。
それこそサウスポーのミックスと前手の差し合い、はたき合いをするなどこれまでの堀口では考えられなかった光景である。
距離が近くなったことで左右への動きが増え、その分体力の消耗も激しくなる。グランドに引き込みたいミックスとしても距離を詰めるのに余分な力を使わなくて済む。
また堀口の適正階級はフライ級という指摘もちょぼちょぼ見かけたが、さすがにそれは今さら過ぎる(と思う)。
申し上げたように圧倒的な距離の遠さ、激しい出入りのスピードで体格差を埋めていたのが堀口恭司である。そこが失われたからといって階級差を持ち出すのはちょっと違う。
今は絶対強者というより好選手の1人という立ち位置なんだろうな。この試合に勝ったとしても厳しい相手ばかりだし
しかも、仮にこの試合に勝っていたとしても今後も「堀口厳しいんじゃねえか?」という顔ぶれが並ぶ。
ダリオン・コールドウェルに勝利したレアンドロ・イーゴやこれまた柔術ベースのオールラウンダー、ラウフェオン・ストッツ、元UFC王者ヌルマゴメドフと同郷のマゴメド・マゴメドフ、などなど。
個人的にファン・アーチュレッタになら勝てるかな? と思っていたが、同興行でストッツにKO負けを喫してしまった。
渡辺華奈vsイリマレイ・マクファーレン。判定は…わからんな。グランドで優位に立ったと思ったけど。打撃を芯でもらいまくるのは相変わらずだった
正直、今の堀口恭司は北米基準で言えば“好選手の1人”という立ち位置なのだと思う。
トップ中のトップ相手にはいい勝負をするけどあと一歩で勝ち切れない典型的な選手。
数年前であればもしかしたらバンタム級ベスト3にも入っていたかもしれないが、手術明け&30歳オーバーの現状では絶対的な強さは失われてしまった。
残念ながら時の流れは残酷なのである。
などとMMAクソニワカの僕が偉そうに言ってみる。