ゴロフキン大苦戦の末に王座返り咲き。デレフヤンチェンコさんすみません。あんなに手数が出るとは思いませんでした【結果・感想】
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2019年10月5日(日本時間6日)、米・ニューヨーク州で行われたIBF世界ミドル級王座決定戦。元同級統一王者ゲンナジー・ゴロフキンvsランキング1位セルゲイ・デレフヤンチェンコの一戦は、3-0(114-113、115-112、115-112)の判定でゴロフキンの勝利。激闘の末に僅差判定でデレフヤンチェンコを退け、王座返り咲きを果たした試合である。
ゴロフキンにとってDAZNとの大型契約2戦目となった今回。
相手のデレフヤンチェンコは2018年10月にダニエル・ジェイコブスとのタイトルマッチで1-2の僅差判定で敗れるなど、知名度は低いが文句なしの実力者。
試合は初回からゴロフキンが積極的に前に出て、デレフヤンチェンコがそれを受けて立つ。
リング中央での重厚な連打でいきなりデレフヤンチェンコからダウンを奪うと、その後も圧力を強めて試合の主導権を握る。
ところが2R以降、デレフヤンチェンコが手数を増やして反撃。要所で懐に潜ってボディをヒットし、ゴロフキンに連打を許さない。
5Rには再び強烈なボディでゴロフキンを後退させ、激しい打ち合いを展開して会場を沸かせる。
試合は一進一退の大激闘の末、辛くもゴロフキンが勝利。
何とか戴冠を果たしたものの衰えは隠せず、今後のビッグマッチ路線にも不安を残す内容となった。
「俺は避けられているッッッ!!」チャーロ兄とデレビなんたらさん(ちっとも覚えられない)のマッチメークは実現させるべきだと思うの
セルゲイ・デレフヤンチェンコさんすみません、すごかったです。ミドル級版イバン・バランチェクだね
まず最初に。
僕はセルゲイ・デレフヤンチェンコさんに全力で謝罪したいww
前回の予想記事で
「ゴロフキンを止めるにはとにかく手数。だが、デレフヤンチェンコはそこまで連打が出ない」
「ゴロフキンの衰えは顕著だが、中盤以降パワー差を発揮してデレフヤンチェンコをKOする」
などとほざいたわけだが、結果はすべて逆。
「ゴロフキンvsデレフヤンチェンコ予想。デレフヤンチェンコって結構いいよね?」
デレフヤンチェンコの近場での連打は凄まじく、ゴロフキンのパワーも相殺してみせた。正面衝突で押されず逆に打ち勝つシーンの方が目立ったくらい。
過去の試合で左リードの鋭さは目についたが、まさかここまで連打が出るとは。
いや、ホントに申し訳ない。
ゴロフキンが下降線に入っていることは間違いないが、それ以上に今回はデレフヤンチェンコのタフさ、がんばりが光った試合だったと思う。
というか、デレフヤンチェンコって要するにミドル級版イバン・バランチェクですよね。
・全体的に小柄で筋骨隆々
・胴が異様に短く小回りが利く
・近場での連打で一気にペースを引き寄せるスタイル
タイミングを見計らってエンジンを吹かし、一瞬の爆発力であっという間に主導権を握る。
いいとこどりのハイライト動画では特に絶大なインパクトを与える。ちと古いが、全盛期のシェーン・モズリーもこれ系の選手だった記憶がある。
2018年9月にカネロが教えてくれた「ゴロフキンを抑えるには手数」を実践するにはうってつけの選手と言える。
初回のダウンを観るとゴロフキンが圧倒すると思ったけど。パワーとサイズ差でねじ伏せる雰囲気
一応申し上げておくと、初回の立ち上がりを観る限りデレフヤンチェンコがゴロフキンを慌てさせる要素は見当たらなかった。
開始直後からリング中央で左の差し合いを繰り広げる両者。
ゴロフキンの鋭いジャブがガードの間からデレフヤンチェンコの顔面を跳ね上げ、そこにデレフヤンチェンコが左をダブルで返す。
お互いに得意な距離が近く左リードを攻撃の起点とする。デレフヤンチェンコの過去の試合を観ると、この2人が戦えばだいたいこうなるかな? というスタートだった。
そして、この流れではデレフヤンチェンコが勝つのは難しい。
サイズ、1発の威力、連打の正確性など。あらゆる面でゴロフキンはデレフヤンチェンコを上回る。序盤はそこそこ拮抗しても、徐々にパワーの差が出るのでは? と予想していた次第である。
「クロフォードvsカバロウスカス決定。予想というか、これはクロフォードが勝たなきゃダメなヤツ」
で、案の定ラウンド後半にゴロフキンが圧力を強め、ガードの外側からフックを当ててダウンを奪取。思ったよりもアクションは早かったが、このままゴロフキンペースで試合が進むのではないか? という雰囲気のダウンだった。
また観たいなデレフヤンチェンコ。カウンターと手数でゴロフキンの圧力を相殺
ところが2R目からデレフヤンチェンコが反撃に転じる。
ゴロフキンの打ち終わりにワンツーを被せ、さらにもう一歩前へ。
同時打ちのタイミングで左をねじ込み、外側から強引に右フックをクロスで。
ゴロフキンが1発出すたびにデレフヤンチェンコは2発を返し、逆にゴロフキンを下がらせる。
強打に怯まずカウンターを返すことで連打の発動を抑え込む。
絶えず前後左右に動き続け、ゴロフキンに攻撃の起点を作らせない。
そして、インファイトではアングルを変えながら腕を振り続ける。
左を使ってうまく懐に侵入し、得意の連打を浴びせる展開に持ち込む。
時おり肩を入れて左ボディを打ち込み、徐々にダメージを蓄積させていく。
いや、すっげえわデレフヤンチェンコ。
てっきり初回の流れでねじ伏せられるだろうと思って観ていたら。
ダウンを喫して開き直ったのかは知らんが、中盤から後半にかけてのがんばりは目を見張るものがあった。
マジな話、最初のダウンがなければ本当に勝っていたかもしれないし、また観たいと思えるファイトだったのではないか。
1発1発のパンチに力が乗らず相手を怯ませられずに反撃を許す。ゴロフキンがこのスタイルを維持するのも難しい?
一方のゴロフキンだが、何度も申し上げているようにここ数試合の衰えは顕著。
とはいえ、前回のスティーブ・ロールズ戦と比べてそこまでコンディションが落ちたとは思わない。やはり今回はデレフヤンチェンコがよかったと考える方が正解な気がする。
「ホ、ホントにやるんかカネロvsコバレフ。さすがにこれはコバレフが勝たなきゃダメなヤツ」
それでも下半身の粘りのなさは深刻で、とにかく1発1発のパンチに力が乗らない。
特にデレフヤンチェンコのように前に出る力と粘りが信条の選手が相手だと、どうしても反撃を許しやすい。
ゴロフキンのプレス+コンビネーションのスタイルは基本、パワーでねじ伏せてナンボなので、圧力で怯ませられず手数を返されるようだとやはり効果は薄れる。
今後どの路線に進むのかはわからないが、トップレベル相手に今のスタイルを維持し続けるのは厳しいのではないか。そう考えると、前回アウトボクシングに切り替えようとしたのは案外正解だったのかもしれない。
ボディを効かされて身体が丸まるのは2018年9月のカネロ戦と同様だが、上下の連動が修復不能なほどバラバラになるのは今回が初めて。相手の動きを止めるために上から覆いかぶさるゴロフキンというのはある意味味わい深くもあった。
デレフヤンチェンコvs村田諒太を実現しなさい。ジェフ・ホーンなんて言ってる場合じゃない
そして、やはりデレフヤンチェンコは日本に呼んでvs村田諒太を実現すべきだろうなと。
・前後左右への動きと豊富な手数
・諦めずに前に出続けるガッツ
・鋭い左と近場での連打
ゴロフキン戦に備えるかどうかはともかく、スタイル的にもデレフヤンチェンコは村田諒太とは噛み合う相手だと思う。
しかもロブ・ブラントと違い、この選手は自ら前に出てくる。これまでアウトボクサーを追いかけてばかりの村田にとって、初めてインファイトで勝負できる相手になるのではないか。
「ベテルビエフvsグヴォジク何やコイツら気持ち悪っw フィジカルの暴力と超絶カウンター。あの打ち方であの効き方!?」
今回の敗戦によってデレフヤンチェンコが狙えるタイトルも限られるし、ゴロフキンとの対戦経験を加味すれば知名度的にもちょうどいい。純粋な実力も日本に呼べる選手としては最高レベルと言える。
まあ、十中八九こういうタイプは陣営が選ばないとは思うけどね。
てか、もう一度言うけどジェフユナイテッド市原・千葉ホーンテッドマンションとかいらんから。
今の村田に階級下のランカーを小突いてる暇なんかないから。
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