ヘイニーvsロマチェンコ再視聴。言うほどロマチェンコは勝ってない、ヘイニー勝利と断言するほどでもない。理不尽な罵声を浴びせられたヘイニーが闇落ち。あ〜あ…
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2023年5月20日(日本時間21日)に米・ネバダ州で行われたライト級世界4団体統一戦。同級統一王者デビン・ヘイニーと元3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコが対戦し、3-0(116-112、115-113、115-113)の判定でヘイニー が勝利。2度目の防衛に成功した試合である。
先日、米・ネバダ州ラスベガス、MGMグランドで開催されたライト級4団体統一戦。
同級統一王者デビン・ヘイニーがワシル・ロマチェンコの挑戦を退けたわけだが……。
微妙なラウンドが多かったせいか、試合後に各所でロマチェンコの勝利を主張する声が噴出。中には「ヘイニーが勝利を盗んだ」といった過激な言葉すら聞かれる事態に。
ロマチェンコの勝利を主張するファン? がヘイニーのSNSに突撃を繰り返し、数日後にはヘイニーが闇落ちするなど後味のよくない状態が続いている。
僕は当日は採点しながら観ていたわけではないが、ヘイニーの勝利に文句はない。
ただ、ロマチェンコ勝利の声がそこまで多いのであれば!! と思って再視聴してみた次第である。
というわけで、今回は「デビン・ヘイニーvsワシル・ロマチェンコ戦の感想再び!!」である。
ロマチェンコvsカンボソス。何も変わってなかったカンボソス。ロマチェンコとの相性最悪なまま置いてきぼりを食って11RTKO負け
当日はめちゃくちゃ混乱した。接戦だと思ったらヘイニーが一方的と言われ、終わってみたらロマチェンコの勝ちだと言われ
まず、僕がなぜ今になってこの試合を観直そうと思ったかというと、最近までめちゃくちゃ混乱していたから。
試合中(確か5Rくらい)に試しにTwitterを覗いてみたところ、
「ここまでヘイニーのフルマーク」
「ロマ、このままだと完封されるぞ」
「ロマチェンコは何かを変えないと」
といった文面がいくつも目についた。
僕はそこまで一方的ではない、むしろわずかにロマチェンコ寄りか? と思っていたのでこれにはかなり驚いた。
え? 言うほどヘイニー支配してるか?
僕には普通に接戦に見えるんだが。
基本的にWOWOWエキサイトマッチは消音設定で観ている(ジョー小泉が嫌いだから)のだが、もしかしたら解説陣がミスリードしている? のか?
などと思いながら両者のがんばりに「おお!! すげえ」となりつつ視聴を続けた。
で、結果は僅差判定でデビン・ヘイニーの勝利。
ああ、そうか。
ロマチェンコの追い上げ及ばずか。
まあでも、ヘイニーもがんばったしこの結果は納得できる。
両者ともにナイスファイトでしたね。
と思っていたところ……。
SNS上にはロマチェンコの勝ちをヒステリックに主張するファンや関係者で溢れかえっていたという。
おいおい、マジか。
さっきの「ヘイニーの一方的な試合」な人たちはどこに行ったのよww
いつの間にか「ロマチェンコ絶対勝った」マンに差し代わっとるやんけ。
僕が見たアレは幻覚だったの?
4団体統一王者デビン・ヘイニーがロマチェンコの追い上げを振り切り僅差判定勝利。またしても不動のPFP No.1っぷりを証明したな
接戦(ややロマチェンコ寄り)だと思っていたらヘイニーが圧倒していると言われ、「ロマチェンコががんばったけど届かなかった」と思っていたら今度は「絶対にロマチェンコの勝ちだ」と。
中には「○○もロマチェンコを支持している」等、有名人の威を借りるしょーもないヤツも散見された。
そんな感じで、自分の印象とSNS上の感想があまりに違っていたせいで大パニックに。
おかげでヘイニーへの罵詈雑言や本人の闇落ちにリアクションするまでに至らなかった次第である。
僕の素人採点は115-113でヘイニー勝利。でも迷ったラウンドが多くどちらが勝ってもおかしくない。ジャッジ3者の採点は納得できたよ
前置きが長くなったが本題に。
試合を再視聴した感想を言っていくことにする。
とりあえず僕のど素人クソ採点は下記。
結果は115-113でデビン・ヘイニーが勝利。
ただ、迷ったラウンドが3つ(右側に「?」)。ここは正直わからない。
もっと言うと前半にも「おや?」と思うラウンドがあり、(僕の中では)非常に振れ幅の大きい試合だったことをお伝えする。
「117-111でのヘイニー勝利」から「116-112でのロマチェンコ勝利」くらいまであり得るというか。
もう一度観ればまた別の結果が出る可能性すらある。
言うほどロマチェンコは勝ってないけど、絶対にヘイニーの勝ちとも言えない。
要するに僕が当日感じた印象そのままである。
うん、そうだよな。
中盤までのヘイニーは全然支配的じゃなかったし、ヒステリックにロマチェンコの勝ちを主張するほどでもない。
ジャッジ三者の採点は普通に納得できるものだったと思う。
デビン・ヘイニーvsライアン・ガルシア。アマチュア時代3勝3敗だって。ガルシアが勝つなら後半勝負かな。ホルヘ・リナレスのパターンで
GBPのオスカー・デラホーヤが「ロマチェンコの勝利を否定する人間はボクシングを見る目が皆無」とキレ散らかしていたようだが、いや、そもそもあなたはヘイニー勝利を予想しとったじゃないっすか。
ロマチェンコの勝利を主張するなら大ハズレだし、あの内容でロマチェンコの勝利を断言してしまう神経自体が謎。デラホーヤには二重で見る目がないことが確定しているわけだが、そのデラホーヤの威を借りるなど本末転倒である。
そもそも論として、あの判定でそこまで他者に攻撃的になれる理由が僕にはわからない。
“ゴールデンボーイ”と呼ばれたかつてのスターもすっかり老害化してしまったわけか。
ラウンドごとの浮き沈みがおもしろかった。今のロマチェンコはフルスロットルで動ける時間が限られてるんだろうな
試合を再視聴しておもしろかったのが、ラウンドごとにめちゃくちゃ浮き沈みがあったこと。
大雑把に言えば前半はヘイニー、後半はロマチェンコだが、その中でも序盤の3Rと4〜6Rでは様相がガラッと変わる。
また後半からペースを上げたロマチェンコに対してヘイニーは“下がらない”ことで勢いを止めてみせた。
ボディのカウンターとクリンチを駆使してロマチェンコの動きを封じつつ、顔面の被弾をうまく相殺していく。
11Rに勝負をかけたロマチェンコだったが、ラウンドの後半からガクッと失速。そこから12R終了までペースが上がらずヘイニーに逃げ切りを許した。
あのラッシュは確かにすごかったが、あそこでの失速はちょっと衝撃。
というより、ロマチェンコは試合を通してラウンドの中でペースを露骨に上げ下げしていた。
ラウンド前半は抑え気味に、後半から出力を上げてジャッジにいい印象を植え付ける。
もともとスロースターターな選手ではあったが、適性を超えた階級&ベテランの域に達している今のロマチェンコはフルスロットルで動ける時間も限られているのだろうと。
ロマチェンコが苦労の末に判定勝利。ジャーメイン・オルティスは期待以上にいい選手だった。でも勝負どころを見極めたロマチェンコはさすが。衰えについては…
デビン・ヘイニーもすごかった。自分にできることをやり尽くして勝利したのに、あんな罵声を浴びせられればね
デビン・ヘイニーも本当にがんばったと思う。
前回申し上げた通り「自ら前に出て勝負」「入ってきたところにボディカウンター」のやり方はロマチェンコを山ほど研究した成果。苦手な接近戦でも亀にならずに全力で腕を振り続けたのもすごい。
11Rなどは心が折れかかっていたと思うがギリギリのところで何とか踏みとどまった。ロマチェンコが先に疲れたことを考えると、根比べでもヘイニーが勝ったと言っていい。
過去の選手を参考に自分の長所(デカさ、長さ)を前面に出した作戦を遂行。
“ロマチェンコに勝つには下がったらダメ”という、初期の頃から言われていた対策を貫き12Rを走り抜けた。
ロベイシ・ラミレスまさか? の陥落。長身のラファエル・エスピノサが新王者に。アンディ・クルスの化け物感はロマチェンコvsローマン・マルティネス戦を思い出した
決して相性がよくない&元PFP No.1のロマチェンコを相手に自分のできることをやり尽くして勝利したのに、あれだけ罵詈雑言を浴びせられれば……。
挙げ句の果てにプロモーターにまで「あの判定は間違いだ」と言われれば、そら闇落ちもするでしょという話。
勝者はSNSで罵声を浴びせられて黒化、敗者陣営は周りの声に乗じて判定を不当とする声明を出す。
あんなにいい試合だったのに、何とも言えない結末になってしまった笑
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