コルバートvsコラレス感想。コルバートいいな。対抗王者にも勝てるんじゃない? 安定のクソ試合でUFCとの差が明確だけど【結果・感想】
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2020年1月18日(日本時間19日)、米・ペンシルベニア州で行われたWBA世界S・フェザー級暫定王座決定戦。同級3位クリス・コルバートとランキング10位で元スーパー王者ジェスレル・コラレスの一戦は、3-0(117-110、117-110、116-111)の判定でクリス・コルバートが勝利。暫定ながらも初戴冠を果たした一戦である。
日本の内山高志に2度勝利したコラレスが再起に挑んだ今回。
対戦相手のコルバートは現在13戦全勝5KOの技巧派で、将来を期待されるプロスペクト。この試合が初のタイトル挑戦となる。
試合は序盤から両者がカウンターを警戒し合う動きの少ない展開が続く。
遠い位置で待ち構えるコラレスに対し、コルバートがジャブで威嚇。
コラレスはコルバートの左を右で迎撃し、左のフルスイングを狙うがなかなか当たらない。対するコルバートもコラレスの1発に細心の注意を払い、極力射程内に立ち入らず。
両者ともに山場らしい山場を作れず試合は中盤へ。
ところが10Rに入ると、コルバートがガードを上げて前進。バックステップで距離を取ろうとするコラレスを追い詰め、もみ合いの中でラフなパンチを当てていく。そしてラウンド中盤、離れ際に左フックをヒットしこの試合唯一のダウンを奪う。
その後も前に出続けたコルバートが終盤3Rを支配したまま試合終了。3-0の大差判定で見事初戴冠を果たした。
「カネロvs村田決まるのか? カネロが日本に来るのか? →コネー!!! 長期大型契約も大変だよな」
コラレスが連敗。マチャド戦での体重超過以降、完全に狂った感じか
内山高志に2度勝利したジェスレル・コラレスが2019年7月のラダリウス・ミラー戦に続き連敗を喫した。
これで内山戦での勝利以降、約2年半で2勝3敗。動きを観る限り著しく衰えた感じもしないのだが、ホントにうまくいかないものだなと。2017年10月のアルベルト・マチャド戦で体重超過をやらかしてから歯車が狂ったというか、内山戦での鮮烈な印象が霞んでしまった感がある。
「コラレス陥落。マチャドのカウンターで壮絶ダウン。って、体重超過で負けるってどこのネタキャラだよw」
そして、今回はついに登り調子のホープの踏み台役に。
前回、ラダリウス・ミラーとのサバイバルマッチに敗れたことで扱いは完全に“Bサイドの便利屋”へ。
長期政権を維持できるタイプには見えなかったが、それでも2年半でここまでガラッと変わるとは。何とも厳しい世界である。
実は意外とおもしろい試合だった。クリス・コルバートの実力は現時点でも対抗王者以上じゃないか?
肝心の試合についてだが、まあまあおもしろかった。
僕はこの試合が発表された当初から「2億%盛り上がらない」「コラレスが負ける可能性が高い」と申し上げ、実際の試合を観ても「だろ?」「こういう試合になるのは誰もがわかってたことだろ」などとほざいている。
クリス・コルバート3-0ジェスレル・コラレス(116-111、117-110、117-110)
まあ知ってたとしか。
てか、前回のラダリウス・ミラーvsジェスレル・コラレス戦といい、クソ技巧試合w になるのは100人中200人がわかってるのに、よくこんなマッチメークを許したよな。 https://t.co/79MFsGnx4c— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) January 19, 2020
だが改めて観直してみたところ、困ったことに結構おもしろい()
もちろん僕自身のコンディションもあるし、恐らく音を消して音楽をかけながら観ていたのも影響していたと思う。
ただ、それを踏まえた上で、僕はこの試合をまあまあ楽しんでしまった。
一番の理由は表題の通り。
クリス・コルバートの実力の高さである。
サウスポーで距離の遠いコラレスに対し、無遠慮に左リードを打ち込む。
前手の差し合いで完全にコラレスを上回り、中間距離を支配。
L字がキツすぎるせいで若干右の出が悪い気もするが、その分急所も遠くバックステップも効く。
内山高志はカウンター狙いのコラレスに対して生命線のジャブが機能せず、横の動きにもついていけなかったが、クリス・コルバートはそこをまったく問題にせず。
遠い位置からスルスルっと近づいて顔面を軽く跳ね上げ、サイドに動くコラレスの正面を外さない。
さらに10R以降、ガードを上げて強引に前に出たのもいい。
そこまではフラストレーションの溜まる展開だったが、ラスト3Rで一気に試合を動かしたのはよかった。
コラレスは動きも速くカウンターの左も威力抜群だが、手数自体は少ない。恐らく強引に前に出られるとバタバタするだろうなと思っていたが、コルバートがそれをそのまま実行してくれた感じ。
中間距離での差し合いで圧倒し、インファイトに巻き込んでダウンを奪う。
ブーイングまみれのクソ試合には違いないが、見どころ自体はそれなりにあったのではないか。
過去の試合を観ていい選手だとは思っていたが、今回の一戦でコルバートのランクが(僕の中で)さらに上がっている。
「ジェスレル・コラレスvsラダリウス・ミラー。瞬き推奨のおネムな一戦。ミラーはヘリングに勝ってるし面倒な選手だよな」
マジな話、現時点でも対抗王者に勝てる可能性は十分ありそう。
△レオ・サンタ・クルス(WBAスーパー)
○レネ・アルバラード(WBAレギュラー)
△×ミゲール・ベルチェルト(WBC)
○デビン・ファーマー(IBF)
○ジャメル・へリング(WBO)
だいたいこんな感じだろうか。
最近のコンディションが不確かなレオ・サンタ・クルス、連打型のベルチェルトは微妙だが、それ以外が相手ならそこそこいける気がする。
同じL字で言えば、ライト級元王者ロバート・イースターの上位互換くらいの実力はあると思うのだが、どうだろうか。
シャクール・スティーブンソンvsフェリックス・カラバロおもんなさ過ぎワロタw 久しぶりのボクシング、うすうすな試合だったな
ボクシングの王座乱立ががが。タイトルマッチの盛り上がらなさとUFCの熱狂との対比がエグい
改めてというか、相変わらずボクシングの王座乱立っぷりはすごい。
上記の通り、現在S・フェザー級だけでも「世界王者」と名のつく選手が都合6人。
しかも、今回の暫定王座決定戦の盛り上がらなさといったら……。
同じ日に行われたUFC246のメインイベント、コナー・マクレガーvsドナルド・セラーニ戦との落差は凄まじいものがある。
世界一強い選手を決める試合はどっちらけで、ノンタイトルのワンマッチがあの盛り上がり。
違う競技を単純比較するのはナンセンスかもしれないが、とにかくマクレガーのスター性には文句のつけようがない。
この説得力ですからね。
JUST LIKE THAT!
Conor McGregor beats Cerrone by TKO in 40 seconds! ?? #UFC246 pic.twitter.com/lj9ZI52kpm
— SportsCenter (@SportsCenter) January 19, 2020
セコンドについた試合でレフェリーと揉めたり、相手選手のバスを襲撃して無関係な人間に怪我をさせたり。
2017年のフロイド・メイウェザーとのボクシングマッチ以降、キャリアが停滞していたマクレガーだが、「ここで負けたら終わり」という瀬戸際の試合であの勝ち方ができるのはやはりスター。
特別ファンというわけでもないが、人気がある理由は十分理解できる。
クリス・コルバートvsハイメ・アルボレダとかいう地味な一戦を地味に予想する。地味すぎて話題になってないけど僕は地味に好き()
王座乱立はボクシング人気低下に影響する? するに決まってるよな。逆にUFCはちょっと厳しすぎる気が…
「王座乱立はボクシングの人気低下に影響があるか」といった議論はよく見かけるが、率直に申し上げて影響がないわけがない。
ただ「王座が多すぎてわかりにくい」という理由はちょっと違うかなとも思っている。
いや、違うというより「王座が乱立しすぎて観たい試合が決まりにくい」と言った方が正確か。
「世界王者」を認定する団体が4団体(実際にはもっと多い)もあり、各階級にスーパー王座、レギュラー王座、暫定王座、休養王座、フランチャイズ王座など、よくわからない呼び名の王座が複数存在する。
「僕のアーノルド・ケガイががが。フルトンのジャブで止められ大差判定負け。ブロック前提の選手がこれをやられるとキツい」
申し上げたようにS・フェザー級は現在6人の世界王者がいて、それぞれが同時進行で防衛を重ねる状況。
仮に統一戦の機運が高まっても開催時期や場所、ファイトマネーをめぐって交渉が難航し、決裂することも珍しくない。陣営やプロモーター、放送局が入り乱れて駆け引きをしているうちに旬を逃すパターンなどはしょっちゅうである。
「王座が多すぎるせいでファンが観たいと思うタイミングで観たい試合が決まらない」
これが王座乱立によるデメリットであり、人気低下を招く最大の要因かなと。
それに対し、UFCはちょっと厳しすぎるように思える。
たとえば2018年にコナー・マクレガーに勝利したハビブ・ヌルマゴメドフ。
この選手は次戦でダスティン・ポイエーに勝利し、2020年4月にはトニー・ファーガソン戦が決まっている。また将来的にはマクレガーとの再戦やジャスティン・ゲイジーの挑戦を受ける話もあるとか。
マクレガー→ポイエー→ファーガソン→ゲイジー。
MMAにあまり詳しくない僕でもこの「安パイの試合がまったく存在しない」過酷さは理解できる。
「ファンの観たい試合を実現する」気概はすばらしいが、さすがにこればかりやっていてはトップ選手が片っ端から擦り切れてしまう。競技人口の違いもあるとは思うが、そろそろ地域タイトルや階級増の措置によって分散させた方がいいような……。
だってアレだろ?
29歳のマクレガーがメイウェザーとの金儲けマッチをおっ始めるって相当ですよ?
メイウェザーのように自分の知名度を利用してボーナスステージに突入することが悪いとはまったく思わないが、さすがに29歳のメイウェザーはMMA選手とのボクシングマッチなどに手を出してはいない。
WWEには出場したが、あの時期はちょうど1度目の引退直前。現役真っ最中のマクレガーとは状況がまったく違う。
「メイウェザーが神である理由。「カネロ戦はイージーだった」。ビジネスはセンスとタイミング。意思の強さが必要」
お金が好きなのはもちろんだが、マクレガー本人にも「このままのペースでは潰れてしまう」「身体が動くうちにラクして一生分稼ぎたい」という思いがあったのかもしれない。
「世界一」の称号は1つだけにした方がいい。地域タイトルはいくらあってもいいけど
要するに現状、ボクシングは王座が乱立しすぎだし、UFCはあまりにギチギチすぎるという話。
恐らく競技人口や市場規模に対する「ちょうどいい位置」があるはずで、競技性orエンタメの議論と同様、どちらに寄りすぎてもバランスを欠いてしまう。
個人的には地域タイトルはいくら増やしてもOKだと思っているが、やはり「世界一」の称号だけは1つの方がいい。オリンピックの金メダル並みの希少価値を出せとは言わないが、せめて「1つの階級に世界一が6人」という状態は何とかしたい。
たとえば4年に一度、強制的に4団体の統一戦が開催されるルールにするとかね。日本ボクシングのチャンピオンカーニバルのようなイベントを世界王者レベルでやれればおもしろいとは思う。WBSSと違ってワンマッチなので、負傷離脱や妙な遅延も極力避けられるしね。
まあ、実現は100%不可能だと思いますが。
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