格闘技選手がSNSや動画を積極的に発信することについて。競技レベルの底上げってのは絶対にあるよね。デメリットも多いけど
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以前から何度か「スポーツ選手がSNSを使うのは一長一短ある」と申し上げている。
メリットとしては、積極的に情報を発信することで広く自分を認知してもらえること。競技以外の素の部分を出すことでファンの拡大につながることなどが挙げられる。
その反面、SNSは無駄にストレスを溜める危険も伴う。
誰でも手軽に利用できる分、心ない罵声や誹謗中傷を浴びるケースは非常に多い。特に人気スポーツのトップ選手が悪目立ちすると、あっという間に針のむしろになることも。
先日、恋愛リアリティ番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラー木村花選手がSNSでの誹謗中傷を苦に自ら命を絶ったと報道されていたが、それが本当なのであれば許しがたい出来事である。
木村花選手の逝去に思うこと。いくら考えても誹謗中傷? 罵声? を浴びせた人間が最悪としか思えないんだよな
SNSを活用することのメリットは大きいが、競技生活に支障が出てまで無理してやることでもない。そして、スポーツ選手や芸能人のSNSに誹謗中傷、くだらない批判を浴びせる輩は全力で軽蔑させていただく。
それが僕の中でのファイナルアンサーだったりする。
プロ野球選手のレベルアップに驚かされてばかり。思った以上に若い選手はSNSや動画で情報収集している
僕はボクシング以外にもいろいろとスポーツを観るのが好きで、今は約3ヶ月遅れで開幕が近づくプロ野球に注目している。
そして、若手選手の全体的なレベルアップにいちいち驚かされている。
ピッチャーの投げる球は強度が上がり、変化球はカクッと消える。
打者はどの選手も無理のないスイングでボールを捉え、きれいなフォロースルーとともにぐんぐん打球を飛ばす。
2015〜2016年あたりでMLBのレベルが一気に上がったのは周知の事実だが、数年遅れでNPBにもその波がきている感じ。
「ピッチャーのレベルが上がる→バッター側がそれに追いつく」という流れが基本なのだが、そのスパンがめちゃくちゃ短くなっている(気がする)。
これは恐らくSNSやYouTubeなどで情報共有がしやすくなったためだと思うのだが、ここ数年はそれが特に顕著。
新人選手の名前を検索するとたいていSNSが見つかるし、プロ以外にも有能な方は山ほどいる(僕もよく参考にさせていただいている)。
我々が思っている以上に今の選手はSNSや動画を活用しているのだろうと。
野球だけでなく、ラグビーもそう。
2018年10月に日産スタジアムで行われたオールブラックス(NZ)vsワラビーズ(オーストラリア)戦を観て、あまりのレベルの高さに目ん玉が飛び出た記憶がある。
オールブラックスvsワラビーズw 観に行くべき試合だった。超後悔のドリームマッチ感想。日本との立ち位置が違い過ぎる
僕がこれまで知っていたラグビーとはまったく別物で、わずか数年でここまで別競技になってしまうのかと唖然とさせられた。
要は、多くの方がSNSや動画で情報を発信することで競技レベルの底上げが進むってのは絶対にあるよねという話。自分を認知してもらうだけでなく、技術やトレーニング方法の共有によって業界全体のハイレベル化につながるというか。
てか、僕も結構有益なことを言ってるはずなんですけどね。共有される気配がまったくないのはなぜなのか……。
スイング見る限りでは陽川は状態キープできてるっぽいな。
今年はそこそこ期待できるんちゃうか。 https://t.co/5ixvbpXMR0
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) June 3, 2020
だって、日本人は全員阪神を応援する義務があるって聞いたぞ(聞いてない)。
長濱陸選手(OPBFウェルター級王者)の動画がおもしろい。「スキルとスキルセット」。できることとできないことの取捨選択?
そして、最近僕が楽しく拝見しているのが東洋太平洋ウェルター級王者長濱陸選手の動画。
長濱選手は2020年2月に初めて試合を観て以来、(勝手に)注目している選手。もともとクドゥラ金子選手の豪快なKOに期待して会場に足を運んだところ、相手の長濱選手の試合巧者っぷりに驚いたというのが一番最初である(いや、ホント申し訳ないw)。
長濱陸がクドゥラ金子を寄せつけずにOPBF戴冠。土屋修平は山口祥吾にTKO負けで復帰戦を飾れず
その長濱選手がYouTubeとブログで情報を発信されているのだが、これがなかなかおもしろい。
直近の「戦略と戦術、スキルセットとスキル」についてもなるほどと思うことが多かった。
「戦略と戦術、スキルセットとスキル」
「スキル」とはいわゆる道具、「スキルセット」は道具箱と考えればいいのかなと。
道具箱の中にある道具をうまく組み合わせることにより、やりたいことの実現に近づく。
DIYをするにはドライバードリルは必須だが、原付のバッテリーを取り替える程度なら普通のドライバーで事足りる。
テーブルを自作するためにはヤスリや塗料は必須だが、パソコンを組み立てるのにそんなものがあってもあまり意味はない。
手持ちの道具の中から最適なものを選び、目的によって使い分ける。
ただ、全部をやろうと思っても器用貧乏になる可能性が高く、自分にできること、できないことの取捨選択は必要になる。
特に現役生活の短いボクシングでは、あれもこれもと欲張っていては時間がいくらあっても足りない。各々に向き不向きもある。
それならむしろ、自分の長所だけを伸ばす(限られた道具を強力にする)方向に舵を切るのも一つの手なのではないか。
でも、ごくたまに全部の道具がバカでかいヤツがいるから困るよね。
こちらは金づち、ペンチ、万能ハサミ、電動ドリル等々、手持ちの道具を総動員してるのに、アイツが手にしているのはペンチだけ。
汗だくで金づちを振り下ろす自分を尻目に向こうはペンチを金づち代わりにしてサクサク釘を打ち付けていくみたいな。
手持ちの道具(スキル)の種類は同じなのに、もともとのスペックの違いが大き過ぎて話にならない。
こういう不公平さもまたスポーツのおもしろさであり、効果的なトレーニングによってその差を埋める醍醐味があったりする。
朝倉未来「ボクシングの12Rは覚悟がいる」。でも12R制の醍醐味ってのも間違いなくあるよね。井岡一翔の試合運びは感動的ですらある
今後は有能な指導者のもとへの一極集中が進むかもね。で、最終的に“才能こそ大正義”の結論に着地する?
申し上げたようにSNSや動画の発達は競技レベルの底上げに間違いなくつながる(と思う)。
格闘技界でも例外ではなく、恐らく今後はその方面に進化が加速するのではないか。広く情報を収集し、自分で良し悪しを判断できる柔軟性を持った選手が頭角を現す。で、数年遅れで周りがそれに追随する。
と同時に、指導者側は選手以上に情報/知識のアップデートが必須となる? かも?
これまで以上にトレンドや時代の流れに敏感であることが求められ、過去の常識を捨てる勇気も必要になるのだろうと。
先日、アマチュアの有名選手4人が帝拳ジム入りしたことが話題になっていたが、今後は有能な指導者のもとに選手が集まる一極集中がより進むのかもしれない。
全日本王者の藤田健児&村田昴がプロ入り発表 アマ出身ホープ4選手 帝拳から世界目指す https://t.co/tYTtPf1pqW
— ボクシングビート (@beat_macc) June 6, 2020
そして行き着くところまで行くと、最終的には“才能こそが至上”“努力では到底追いつけない領域がある”という極地に達する可能性すらも……。
どなたかがおっしゃっていたが、
「朝まで飲んでも結果を出すのがカッコいい」時代から、今は「体調管理、トレーニングをしっかりやらなければ結果が残せない」時代へと変わった。
そして、ここから先は「動画等での情報共有が容易になり、みんなが同レベルの知識を得られる」時代がくる(はず)。
つまり、誰もが最先端のトレーニング、技術に触れられる状況になり、他を出し抜いて一歩抜きん出ること自体が困難を極める。
その結果、“才能こそ大正義”という持って生まれた才能のみでしか差がつかない場所になってしまうのかなと。ある意味究極ではあるが、それ以上に残酷でドライ過ぎる気がしないでもない。
どんな競技でもそうだが、技術レベルが上がるにつれて試合の熱量が失われるというのは確実にある。
最適解だけを求めて淡々と機械的に“こなす”ことが勝利への近道なのは間違いないが、それだけではプロスポーツとして成立しない。格闘技は見せ物的な要素も強いだけに、ときにはリスクを承知で危険地帯に踏み込むブチ切れ具合も必須となる。
ギジェルモ・リゴンドーvsノニト・ドネア戦のように勝利だけを求める平坦な試合が続けば確実に観客の心は離れるが、那須川天心vsフロイド・メイウェザーJr.的な1発勝負ばかりではさすがにうんざりする。
全盛期のドネアやっばww ノニト・ドネアvsフェルナンド・モンティエル感想。これは井上尚弥にも勝てるかも?
競技レベルの向上と熱量を両立できるバランス感覚というのは、プロスポーツにとって本当に重要な要素だと思う。
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