ジャーマル・チャーロvsトラウト予想!! IBF王者が曲者トラウトを迎え撃つ。難敵をS・ウェルター級スター候補は攻略できるか?

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灯台と海
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2016年5月21日(日本時間22日)に米テキサス州ヒューストンでIBF世界S・ウェルター級タイトルマッチが開催される。

王者ジャーマル・チャーロに挑戦するのは同級9位で元WBA世界同級王者のオースティン・トラウト。先日、カネロ・アルバレスとテクニカルな一戦を繰り広げたミゲール・コットにも勝利したことのある技巧派サウスポーだ。

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王者ジャーマル・チャーロは次期スーパースター候補のハードパンチャー。2015年9月にコーネリアス・バンドレイジを壮絶KOで下して王座を獲得。わずか2ヶ月半後の初防衛戦でもウィルキー・キャンプフォートをまったく寄せ付けない強さで圧倒してみせた重量級のホープである。

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そのジャーマル・チャーロが迎えたスーパースター街道へ向けた最初の関門。カネロ・アルバレスやエリスランディ・ララなど、強豪との対戦経験もある元王者に対して強さを証明することができるか。

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2016年期待のジャーマル・チャーロが初めての難敵を迎え撃つ

ジャーマル・チャーロ、2度目の防衛戦!!
しかも相手はあのオースティン・トラウト。
すばらしいマッチメークである。

いや、これは楽しみだ。
ジャーマル・チャーロは僕が2016年に最も期待している選手の1人なので、この防衛戦は楽しみで仕方がない。

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これまで強敵と呼べる相手との対戦がなかったチャーロ。恐らくキャリアで初めて自分より格上の選手との対戦になる。しかも難敵中の難敵であるオースティン・トラウト。
今までは体格差とパワー差のゴリ押しで相手をねじ伏せてきたチャーロが曲者トラウトにどのような対応を見せるか。技巧派サウスポーに翻弄されずにきっちりと勝ち切ることができるかに大いに注目である。
そして、くれぐれもおかしな事情でこの試合が中止にならないことを願う次第である。

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僕は以前、ジャーマル・チャーロの本当の実力を測るためにエリスランディ・ララとの試合が見たいと申し上げた。
前回のキャンプフォート戦のような雑魚狩りをこれ以上続けていても何の意味もない。さっさとビッグネームと対戦してミドル級にアップしろ。そのためにもエリスランディ・ララやミゲール・コットクラスと試合をして強さを証明するべきだと。

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結果的に相手はトラウトに決まったわけだが、これに関してはまったく問題ない。トップクラスの技巧派に対してチャーロが自分の馬力を持て余すことなく攻めきれるかを見るには絶好の相手である。
エリスランディ・ララとオースティン・トラウト。ともにサウスポーで動きの柔らかいテクニシャンである。一発の威力というより相手を空回りさせてペースを掴み、ポイントを重ねるボクシングが得意なタイプだ。
両者の違いを挙げるなら、トラウトの方が踏み込みの幅が大きく動きが直線的であること。左右に動いて相手を撹乱するララ、前後に動きながら距離の長い踏み込みで左を打ちこむのが得意なトラウトといったところだろうか。
チャーロとしては、まっすぐ攻めてくる分トラウトの方がやりやすいと感じるのではないか。

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左で距離を測り、トラウトの踏み込みを避けてショート

今回の試合で注目すべきはチャーロの左。
チャーロのワンツー、特に左がトラウトにどれだけ通用するかが重要になるだろう。
トラウトは右をチョンチョンと出しながら相手との距離を測るのが得意な選手だ。右を小刻みに動かすことで相手の踏み込みを邪魔するのだが、これでまんまと出足を止められてしまうようではチャーロはまずい。右をうまくパーリングしつつ、前に出て自分のリーチを活かした左を打ちこめるかが大きなポイントになりそうである。

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もしチャーロがトラウトの右を持て余すような展開になった場合、金返せレベルのクソ試合になる可能性もあるので注意が必要だ。

トラウトの基本パターンは右で距離を測っておいてからの踏み込み。低いスタンスから広い歩幅を活かして踏み込み、そこからの右や突き刺すような左につなげるのが最も得意な攻撃パターンである。また、いきなりの右をボディに飛ばしたり、連打につなげたりといったバリエーションも持っている。
とはいえ、基本は歩幅の大きさを利用して相手の懐に踏み込むパターン。これがすべての攻撃の軸となっている。

つまり、チャーロが気をつけるべきはトラウトの1発目。鋭い踏み込みからの最初の1発をもらわないことである。これを被弾するようだと形勢は一気に悪くなる。
逆にこのパンチのタイミングをつかんでうまくバックステップで避けることができれば、試合を優位に進められる可能性は高い。

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遠い距離から思い切って踏み込む選手にありがちなのが打ち終わりの間である。日本の山中慎介もそうだが、このトラウトもご多分に漏れず打ち終わりに一瞬無防備な間ができることが多い。
チャーロが狙うべきはここだ。
トラウトの身体が流れた瞬間を狙ってショートのカウンターを叩き込む。これができればトラウトからダウンを奪うことは可能だろう。
2014年のダニエル・ドーソンがトラウトから2Rに2度ダウンを奪っているのだが、あれこそまさしくトラウトの打ち終わりをうまく捉えたカウンターによるものである。そして、チャーロのパンチ力があればそのまま試合を終わらせることも可能なのではないだろうか。

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自分の効き手側に回られた際の対応に注目

恐らくだが、トラウトはチャーロの攻撃力を警戒して距離をとるのではないだろうか。左右に動き回ってチャーロを翻弄する作戦を選択するように思える。
だが、離れて逃げ回っているだけでは勝てないし、ボクシングは殴り合いの競技である。必ず両者の距離が近づく瞬間はやってくる。

得意のワンツーでトラウトの警戒心を煽り、トラウトの右をバックステップでかわしてショートのカウンター。いきなりの左をボディに突き刺してくるというパターンもあるので、その瞬間を狙うのもいい。トラウトの身体が流れた瞬間にショートのパンチをカウンターで叩き込めば、チャーロのKO勝ちも考えられるのではないだろうか。

ただ、これまでのチャーロは自身のパワーで圧倒した試合がほとんどである。こういう一瞬の駆け引きや至近距離での対応に関してはまだまだ未知数な部分が多い。
今回はそうした瞬間的な対応力や引き出しの多さも試される試合になりそうである。

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逆にチャーロがトラウトの踏み込みの鋭さを持て余すようだとかなりまずい。ひょっとしたらトラウトの一方的な展開になる可能性もある。上下左右に打ちまくられて、自分が手を出したときには目の前にいない。

チャーロは恐らく左側へ動く標的に対しての追い足がない
自分の効き手側に回られる分にはうまく追い込むことができるのだが、左側に回り込まれると途端に足取りが重くなる。
もしトラウトにその弱点を突かれた場合、ひたすら翻弄されまくる可能性もあるのではないだろうか。ヒラヒラと逃げられ続けたまま12R終了のゴングを聞くという最悪のパターンである。

また、自信満々でラッシュを浴びせている際のカウンターにも注意したい。左右の剛腕を思い切り振り回すチャーロの攻撃力は確かに魅力的ではある。だが、ラッシュの最中に顔面ががら空きになるシーンが目立つので、そこをカウンターで狙われる可能性は十分に考えられる。
打ったらガード、打ったらすばやく戻す。
たとえ自分が有利な状況になったとしても、常にガードに対する意識は強く持ち続けるべきだろう。

勝敗予想は大差判定でジャーマル・チャーロ。まあ、勝つでしょ

あれこれ申し上げてはきたが、実際は大丈夫かなと思っている。
何だかんだでジャーマル・チャーロが勝つのではないだろうか。
根拠は僕がジャーマル・チャーロを応援しているから

距離はチャーロの方が長いし、スピードも負けていない。
あの鈍器のような左を突いていればトラウトはなかなか踏み込んでこられないだろう。
何よりチャーロは打ち下ろしと左のショートアッパーを得意としている。懐にトラウトを呼び込んで打ち終わりに左、さらに上から右をドカン。これで一瞬にして試合を終わらせることも可能なのではないだろうか。

サウスポー対策も懸念されるところだが、何といってもジャーマル・チャーロはいずれS・ミドル級まで制覇しなくてはならない選手だ(僕が決めた)。トラウトごときに苦戦するわけにはいかない。
何より僕はこの選手には数年以内にスーパースターになって欲しいと思っている。こんなところでつまづいてもらっては困るのだ。

基本的に僕はこういう硬質でクレバーな剛腕タイプが大好きである。アイク・クォーティをさらに多彩にしたようなイメージ。

スピード:7
防御:7
テクニック:7.5
フィジカル:9
攻撃力:10

パッと思いつきでジャーマル・チャーロのスペックを数値にしてみたのだが、日本の内山高志とちょっと近いと思いませんか?

分厚い壁のような圧力と破壊的なパンチがありながら、クレバーさも持ち合わせているところ。フリースタイル系の選手にはやや苦労しても、後半にきっちり対応してくるところなど、共通する部分は多いと思う。もちろん距離感などスタイル的には少し違うのだが。

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僕はジャーマル・チャーロには、セルゲイ・コバレフや内山高志のような攻撃に傾向したコンプリートファイターになってもらいたいと思っている。
アンドレ・ウォードのような並はずれた読みとセンスの塊のような選手も悪くない。だが、チャーロのようにパンチ力に秀でた硬質なバランス系の選手は個人的にめちゃくちゃ好みである。
もう少し上半身に柔軟性が出てくればコバレフになれるし、このまま硬派路線を貫けばクォーティやトリニダードを超えられる。どちらの方向に進んでもおもしろい。本当に楽しみしかない選手だと思う。

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というわけで、勝敗予想は大差判定でジャーマル・チャーロ。これでいきたいと思う。
右の打ち下ろしを警戒してなかなか踏み込んでこられないトラウトを終始左でコントロールしての判定勝利。
自身のキャリアで初めて迎える大きな壁だが、軽く乗り越えてくれることを願う。

まあここまで言っておいて、もしトラウトに完封されたら笑ってしまうのだがww

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