鉄拳爆発!! ジャーマル・チャーロがテクニシャンウィリアムスを豪腕で沈める!! 5RKOで2度目の防衛に成功【結果・感想】
2016年12月10日(日本時間11日)、米・ロサンゼルスで行われたIBF世界S・ウェルター級タイトルマッチ。
同級王者ジャーマル・チャーロがランキング1位の挑戦者ジュリアン・ウィリアムスと対戦し、5R2分6秒KOで勝利を飾った。
会心の勝利で2度目の防衛に成功したジャーマル・チャーロは戦績を25戦全勝19KOとした。
ウィリアムスを相手に階級屈指の豪腕を見せつけ、前戦のオースティン・トラウトに続いてテクニシャンを相手に2連勝。パワーだけではなく、対応力の高さも証明した試合である。
「チャーロ兄ジャーマルがトラウトを撃破!! フィジカルモンスターが階級屈指のテクニシャンを力技でねじ伏せる!!」
全勝街道をひた走るジャーマル・チャーロだが、次戦以降どの方向に進むのだろうか。
一部報道によるとミドル級に階級アップを図るとか。
今後の動向にますます注目である。
「カリド・ヤファイっていい選手なの? コンセプションに勝ったけど、あまりピンとこなかったな」
なお、この試合は10月に行われる予定だったが、ジャーマル・チャーロのレーシック手術により延期されていた。
It's. All. Over!@FutureOfBoxing KOs @Jrockboxing in the 5th Round! #CharloWilliams pic.twitter.com/k3r0uh27BE
— PBC (@premierboxing) 2016年12月11日
やっぱりジャーマル・チャーロいいっすわ。このタイミングでミドル級も悪くないね
ジャーマル・チャーロ大勝利!!
僕の好きなジャーマル・チャーロが勝った。
しかも総合力の高い無敗のジュリアン・ウィリアムスを相手に見事なKO勝利である。
ウィリアムスはいい選手だったが、チャーロとはスケールが違う。
技術が〜、機動力が〜と言われるチャーロではあるが、この尋常じゃない馬力は文句なしに魅力的だと思う。
「エリクソン・ルビンvsジャーメル・チャーロ予想。チャーロ弟か、新星ルビンか。チャーロ弟がドネアとか井上尚弥っぽい」
以前にも言ったように、ジャーマル・チャーロはミドル級、S・ミドル級までの3階級制覇をしなくてはならない(僕が決めた)選手である。
冗談抜きでジュリアン・ウィリアムスを相手につまづいている暇はない。さっさとS・ウェルター級でやることを済ませて、ミドル級に殴り込んでいただきたい。
「クロフォードがモリナに圧勝! でもスター候補がそれでいいのか? ホントに強いのかクロフォード」
カネロとの一騎打ちが観たい気はするが、ゴロフキン戦を目指すカネロのプランに恐らくチャーロは入っていない。
エリスランディ・ララとの統一戦もいいが、あの選手が相手では史上最低レベルに退屈な試合になること請け合いである。しかもチャーロが勝てる見込みも少ない。わざわざクソ試合を開催した上で経歴に傷がつくなら、ララには手を出さない方がいい。
「ジャーマル・チャーロさんミドル級初戦キター!! セバスチャン・ヘイランド戦予想。ミドル級でもパワフルな剛腕は健在か」
後は残っているとすればリアム・スミスくらいだろうか。
もちろんあの選手もいい選手には違いない。だが、ブランド力の向上を目指すのであればシカトしてもいいような気もする。
「恐れ入りましたカネロ。リアム・スミスにあんな勝ち方するか。サウル・アルバレスが9RTKO勝ち」
そう考えると、報道にあったようにこのタイミングでミドル級に転向するのは悪くない。
チャーロ兄のさらなる飛躍に期待である。
「エキサイトマッチ総集編2016を観た感想と、俗世にまみれた雑感など」
2Rにダウンを奪われたウィリアムス。チャーロの圧力と破壊力がすごすぎて近づけない
豪快なKOで勝利を飾ったジャーマル・チャーロだが、それでも見た目ほど楽な試合だったわけではない。というより、実はちょっと苦戦していたのではないだろうか。
「ジャーマル・チャーロvsジュリアン・ウィリアムス予想!! チャーロ兄がまたしてもテクニシャンを迎えうつ」
いつも通りどっしり構えて相手を迎えうつチャーロに対し、ウィリアムスは遠い位置からのアウトボクシング。
距離をとって動きながらスピーディな連打を当てていく作戦である。
「こんなん予想できるかww ジャーメル・チャーロが怪童ルビンをワンパンKO!! まさかの1R決着で注目の対決を制す」
身体を振りつつタイミングを測り、瞬間的なスピードを活かして踏み込む。
ハンドスピードを重視した左右の連打を2、3発、チャーロの反撃が自分に届く前にパッと離れる。
相手が出てくればその分バックステップで距離をとり、左右に動いて視界をずらす。
踏み込む。
打つ。
サイドに動く。
「レミュー左フック一閃!! スティーブンスがスヤッスヤ。マザーの胸で安らかに眠れ」
基本に忠実というか、ハイスピードながらも非常にオーソドックスなスタイルである。追い足のないチャーロ対策として、もっともベターな戦法とも言えるのではないだろうか。
「チャーロ兄圧勝やね! センテノを2RKOに沈めて暫定王座獲得。村田諒太との違いが明確でおもしろかった。フィジカル上位の優位性」
だが、このウィリアムスのアウトボクシングはチャーロに通用しなかった。
とりあえず言えるのは、ウィリアムスの想定以上にチャーロにスピードがあったということ。そして思った以上にチャーロのリーチが長く、なおかつ破壊力があったこと。
そのため、ウィリアムスの踏み込みがチャーロに届かない。
打ち終わりに飛んでくるチャーロの反撃が速く、もう一歩懐に踏み込むことができないのである。
「ベテルビエフこれアカンヤツやww プリエトを豪打のカウンター1発で生まれたての小鹿に」
スピードに対抗するため、上半身に力を入れて左を打ち込むチャーロ。
ウィリアムスは左足に重心が乗った瞬間を狙って左を出すが、追撃の右を警戒するあまり近づくことができない。破壊力の差を感じてガードを下げられず、次の1発を打つタイミングを逃す。
そして2Rの1分過ぎ。
チャーロがノーモーションで出した左が、ウィリアムスの動き出しを捉える!!
押し倒されたように尻餅をつくウィリアムス。
すぐに立ち上がるが、足が言うことを聞かずにたたらを踏む。
コーナーで待機するチャーロに向かって「来いよ」というジェスチャーを見せるが、明らかに虚ろな表情である。
「ジャレット・ハードの理不尽フィジカルがトラウトを粉砕する。ダメだトラウト…。パンチがまったく効かない地獄」
これまで力みまくっていたチャーロがいきなりノーモーションで打ち込んだ左。これにまったく反応できず。
ハイレベルだがスケール感はなく、基本に忠実な勤勉タイプであるジュリアン・ウィリアムス。
やはり、想定以上の事態に直面した際の脆さは致し方なしといったところだろうか。
「ホプキンス引退!! ジョー・スミスにリングアウト負けで伝説に終止符。出がらし状態の51歳がラストマッチで豪快に散る」
ウィリアムスはダウンをきっかけに接近戦に活路を見出した。機動力のないチャーロはペースを掴まれる
2Rにいきなりダウンを奪われたジュリアン・ウィリアムス。
このままチャーロが破壊力を発揮して押し切るかと思われたが、何とか踏みとどまる。
そして、なんとここからウィリアムスが反撃をスタートするのである。
これまでよりも半歩距離を詰め、近い間合いでチャーロと対峙する。
上半身の動きとガードで攻撃を防ぎ、ポジションチェンジを繰り返しながらハンドスピードで勝負を挑む。
「デービスvsベドラサ感想。どうもピンとこない。新スター候補デービスが7RKOでペドラサを一蹴して初奪還」
チャーロの左をガードし、自ら踏み込んで顔面に左。
さらに身体を寄せてボディを1発。
押し込もうとするチャーロを低い姿勢で受け止める。
「チャーロvsセンテノ予想。センテノに圧勝すればミドル級のチャーロ兄の疑いが晴れるかな? そしてゴロフキン戦の実現を…」
リング中央に戻り、間を与えずにすぐさまワンツー。
チャーロが身体を丸めてガードした瞬間、サイドに回って右フック。
チャーロの打ち終わりに返す右も、試合序盤と違って距離が近いので届く。
「ロマチェンコに勝てるのは誰? 階級を超えたPFP、ハイテクボクシングマシーンをストップできそうな選手」
ガードの上からでも身体が流れるほどのワンツーにも怯むことなく距離を詰めるウィリアムス。
リーチの長い相手を至近距離でうまく空転させる作戦である。
「井上尚弥が米国デビュー。アローヨ兄弟よりマシじゃないの? アントニオ・ニエベス全然知らないけど」
恐らくこのスタイルに切り替えたのは2Rのダウン後。
力が入らない足ではアウトボクシングは無理。
そもそも離れて戦っていては自分のパンチが届かない。
だったら近づいて打ち合う以外に方法はない。
もちろん開き直りもあったと思うが、あのピンチを至近距離でしのいだことで手応えを感じたのではないだろうか。
フィジカルではるかに上回る相手に勇気を振り絞ったウィリアムスが試合の流れを掴んでみせた。このメンタルの強さはお見事である。
「ひっでえ試合。チャーロ兄がKO勝利って、ヘイランドとかいうヤツ、試合できる状態じゃねえじゃんか」
結局チャーロがパワーとフィジカルですべてを帳消しに。努力も無駄、試合の組み立ても無駄。絶望とともに崩れ落ちる堅実派
絶体絶命のピンチを一か八かの接近戦でしのぎ、なおかつ試合のペースを掴んだウィリアムス。
だが、結末は観ての通り。
チャーロの圧倒的なフィジカルと強打に屈するという残酷な最後である。
5R残り1分20秒。
ウィリアムスのスピーディなワンツーがチャーロの顔面を捉える。
そして、打ち終わりに防御姿勢を崩さない徹底ぶり。
チャーロの右に備えて、左のガードはすでに顔の横である。
さらに、そこから返しの左のモーションに入るウィリアムス。
バシュッ!!
凄まじい炸裂音を残し、ウィリアムスがコマのように回転しながらゆっくり崩れ落ちる。
万全の態勢から左を放ったはずのウィリアムスがうつ伏せに倒れ込む。
会場から巻き起こる大歓声。
総立ちのリングサイド。
右ストレートを警戒していたウィリアムスに対し、チャーロが放ったのは斜め下からのアッパー。
見えない位置からのパンチをモロに被弾し、なすすべなくダウンするウィリアムス。その姿は絶望と呼ぶにふさわしい。
勤勉型の選手がコツコツ積み上げてきたものを、フィジカルモンスターが土台からひっくり返す。
フィジカル至上主義を具現化したような光景である。
「ストレートの軌道に慣れさせておいて、いきなり下から突き上げたチャーロがうまかった」と言いたいところだが、アレはそんなことを考えて打った一撃ではない。
このラウンドの1分過ぎにも同じようなタイミングで右のアッパーを打っているし、恐らくウィリアムスのスピードに対抗しようとした結果だろう。
接近戦でペースを掴んだが、一度のミスが命取りになるウィリアムス。
ペースを掴まれても、どこかで1発当てればすべてをチャラにできるチャーロ。
ウィリアムスがあのままの動きを後半も維持できたとは思えないし、遅かれ早かれああいうことは起きていたのかもしれない。
チャーロ兄がミドル級でやれるかは「パワーが通用するか」。ゴロフキンを避けてタイミングと相手を選べばいける?
苦戦しながらも会心のKOで防衛を果たしたジャーマル・チャーロだが、果たしてミドル級でもこのまま勝ち続けることができるだろうか。
思うに、この選手がやれるかどうかは本当にはっきりしている。階級を上げてもフィジカルで圧倒できるか。それがすべてといっても過言ではない。
「左を出して相手のガードを崩して〜」という手順を踏むような選手ではないので、いかに前進して豪腕を振り回せるか。いかに相手の打ち終わりにエグいパンチを入れられるか。
そして、どれだけ相手の攻撃力に耐性を発揮できるか。それにかかっているような気がする。
まあ、個人的な意見を言うのであれば、そこそこやれるのではないだろうか。
ゴロフキンにさえ手を出さなければ、今のミドル級ならチャーロのパワーでどうにかなる。ウィリー・モンローJr.を避けつつ、穴王者に狙いを定めれば……。
「ジェイコブスがセルジオ・モーラとの再戦を制す!! ゴロフキン? いや厳しいでしょ」
といっても、ゴロフキンが3団体独占してるんだっけか。
だったら加齢による劣化を待てば何とか……。
いや、そうするとS・ミドル級に上がる時間がなくなるか?
ところで弟のファッションセンスすげえな。
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