無謀にもほどがあるケル・ブルックがゴロフキンに5RTKO負け!! セコンドのナイス判断。止めてくれてホントによかった【結果・感想】

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ロンドン観覧車イメージ
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2016年9月10日(日本時間11日)に英国・ロンドンのO2アリーナでWBC、IBF世界ミドル級タイトルマッチが行われた。
同級統一王者ゲンナジー・ゴロフキンが、挑戦者でIBF世界ウェルター級王者のケル・ブルックと対戦。終始パワーで圧倒したゴロフキンが5Rにブルック陣営のタオル投入を呼び込みTKO勝ち。見事防衛を果たした。

なお、この試合はゴロフキンの保持するタイトルの一つであるWBAの承認が得られなかったため、記録上はKO防衛記録の更新はならなかったことになる。

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敗れはしたものの、序盤はゴロフキンのパワーに対抗してみせたケル・ブルックは試合後に「まだやれた」とコメントするなど、闘志は衰えず。この階級での手応えを掴んだ旨の言葉を発し、今後もミドル級に継続参戦することを示唆している。
 
「ジェイコブスさんがゴロフキンに勝つには? ニューヨークのヒーロー、ジェイコブスよ、GGGの圧勝予想を覆せ」
 

ケル・ブルックはがんばった。ウェルター級屈指の実力とパワーを随所に見せてくれた

今回の試合は、発表された当初から、

「ゴロフキンに果敢に挑むケル・ブルックの勇気はすごい」
「やはり勝つか負けるかわからない挑戦をしてこそ本物のボクサー」

など、ケル・ブルックに対して多くの賞賛が聞かれていた。

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以前にも申し上げたように、ケル・ブルックはナジーム・ハメドの系譜を継ぐ選手である。
リングを縦横無尽に動き回るハメドのスタイルをより効率的に、機能性を重視したものにブラッシュアップし、そこに持ち前のフィジカルを上乗せする。
見た目の派手さとは裏腹に無駄な動きが多く燃費も悪い従来のハメドスタイル。これをより機能的なものにしたのがケル・ブルックである。つまり、ケル・ブルックはハメドのスタイルを完成させた選手なのだ。

「ケル・ブルックは強化版ハメドだ!! ケビン・ビジェールに圧勝!!」

そして、今回もケル・ブルックは最強ゴロフキンを相手にそのスタイルをうまく機能させていた。
ガードの間を突き抜ける左右のアッパー、ゴロフキンのプレッシャーから瞬時に逃れるサイドステップ、ロープ際での上半身の柔らかさなど。すべての動きがモノマネでは決して実行できないもの。ハメドの遺伝子を色濃く受け継いだ人間の動きである。
さらに、ゴロフキンの前進を真正面から受け止めるフィジカル。特に、序盤3Rまでのブルックのがんばりには驚いた方も多かったのではないだろうか。

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一部ではケル・ブルックが足を使ってアウトボクシングするのではないかという予想もあったようだが、僕はさすがにそれはないと確信していた。
ブルックのスタイルは相手と真正面から対峙してこそ活きるものだし、あの大砲のような両肩から放たれるパンチは足場をしっかりと固めてこそのものである。

「ジェイコブスがセルジオ・モーラとの再戦を制す!! ゴロフキンの渇きを潤すのはアイツしかいねえよ【結果・感想】」

そもそも、ケル・ブルックは今まで足を使う試合をしたことなどない。それがいきなりアウトボクシングに切り替えたところで、ゴロフキンから逃げ切れるわけがないのである。
ケル・ブルックのとるべき作戦は一つ。正面衝突のみだ。

覚悟を決めたケル・ブルックは自らの持てる力をすべて発揮し、会場を大いに沸かせる好ファイトを披露した。
その上で、まったくなす術なくゴロフキンに屈したのである。

「安定王者へまっしぐら? ハスキンスがスチュアート・ホールに判定勝ち!! vs山中慎介観たい」

セコンドが止めるのが早い? なーにを言っとるんだね君たちは? あれほど有能なセコンドめったにおらんぞ

・地元の英雄
・最強王者への勇気ある挑戦
・ゴロフキンのパワーにパワーで対抗してみせた
・セコンドに止められてもなお衰えない闘志

ゴロフキンに億さず向かっていったケル・ブルックの勇敢さや、インタビューでの堂々とした態度。自国開催だったこともあり、試合開始から試合後までブルックに対する声援は止むことがなかった。
逆に、試合を止めたブルックのセコンドには辛辣なブーイングが浴びせられる一幕も見られた。

「パッキャオが復帰戦に快勝!! バルガスに格の違いを見せつけての判定勝利。次戦? やっぱりアイツしか考えられない」

確かにブルックの動きは5Rに入ってもキレていたし、自身もこれからだという思いがあったのだろう。セコンドのタオル投入が早すぎたという意見は理解できる。

「カネロ・アルバレスvsチャベスJr.決定! ビバ メヒコ! 大絶賛の時間だあああぁぁぁ!!」

だが、僕はあれでよかったと思っている。
というより、ブルックのセコンドは本当にいい判断をしたと思う。
不幸な事故が起きる前にストップの判断をしてくれて心底ホッとした。目の状態がどうなのかは定かではないが、ブルックが壊される前に止めてくれてよかった。
それが僕の率直な感想である。

「恐れ入りましたカネロ。リアム・スミスにあんな勝ち方するか」

予想記事でも申し上げたように、僕はこのマッチメークは無謀以外の何物でもないと思っていた。
ケル・ブルックは確かにウェルター級屈指の実力者だが、さすがに2階級上のミドル級でPFPトップ3常連であるゴロフキンに挑むなど愚の骨頂過ぎる。
しかもケル・ブルックは、アミール・カーンのように足を使って持久走作戦に持ち込める選手ではない。あくまでフィジカル面で圧倒してこそのスタイルであって、適正階級のウェルター級だからこその強さである。

「正気か? ケル・ブルックがゴロフキンに挑戦? しかもミドル級正規のウェイトで?」

つまり、フィジカル面での優位性を確保できないゴロフキン戦など危険極まりない。いくらジェシー・バルガス戦がポシャったとはいえ、健康を損ねてまでやるもんじゃないだろう。
そんな感じで勝敗云々よりも、とにかくケル・ブルックが無事にリングを降りてほしいと願っていた次第である。

そして有能なセコンドの判断によって、その願いは達成されたわけである。

「カーン仰向けにバッタリ。“カネロ”・アルバレスが壮絶カウンター一発でカーンを失神KO!!」

結局階級的な差があり過ぎた。技術云々以前の話ですよコレは

何度も言うように、僕はこの試合は無謀以外の何物でもないと思っていたし、結果としてケル・ブルックが無事にリングを降りたことに心底安堵している。

今回の試合、確かにケル・ブルックはがんばった。
最強王者ゴロフキンの突進を真正面から受け止め、カウンターをヒットするなどパワー面だけではなく高いスキルも見せてくれたと思う。

だが、それでも試合はゴロフキンの単なるワンサイドゲームである。
 
「KO必至? ブルックvsスペンスウェルター級頂上決戦の行方は? パワーとテクニックの最高峰の激突」
 
試合序盤はゴロフキンのプレッシャーにケル・ブルックがパワーで対抗して会場を沸かせる。だが、ラウンドが進むにつれて両者のフィジカル面での差が表面化し、徐々にゴロフキンに流れが傾く。
最後は防戦一方になったブルックが棒立ちでゴロフキンの攻撃を受けてダウン。その姿を見たレフェリーが両手を交差させて試合を止める。

これが僕の大まかな予想だったわけだが、だいたいその通りのことが起きていたのではないだろうか。

正直、今回のゴロフキンの出来自体はよくなかった
試合前の計量から体調不良がささやかれるなど、万全にはほど遠い状態だったのは誰の目にも明らかである。 
「カネロ・アルバレスvsゴロフキン予想。頂上決戦開幕だぜ。若き英雄か、破壊の帝王か。GGGのキャリア集大成の大一番の行方は?」
 
そのせいかはわからないが、この試合は序盤から左のリードが少なく詰め方も直線的。ガードも低く、すべての面において雑な動きを見せていた。

体調不良のために早期決着を目論んだのか、単純にケル・ブルックを舐めていたのかは知らないが、ここまで出来の悪いゴロフキンは珍しいと思う。

「ゴロフキンがウェイドを子ども扱い!! もう相手おらんなこりゃ。ゴロフキンがミドル級では頭5つくらい抜けてる」

コンディションが悪い。
動きも雑。
ここ数試合で一番の出来の悪さ。

ゴロフキンの状態が過去最悪レベルで悪かったにもかかわらず、ブルックはそのゴロフキンに圧倒され、なす術なく敗れているのである。5Rでセコンドが「これ以上は無理」と判断を下さざるを得ないほどのワンサイドゲームを強いられているのである。

つまり、直線的で雑なプレッシャーをかけてくるゴロフキンと、それを真正面から受け止めるケル・ブルック。この構図のおかげでブルックのカウンターがタイミングよくヒットし、サイドステップが機能した(ように見えた)。
逆に言うと、ゴロフキンの体調が万全であれば、さらに凄惨な試合になっていたとも考えられる。
一見ケル・ブルックが健闘したように見えるが、両者の間にはそれほど絶望的な差があったのではないだろうか。

いいかげんしつこいが、本当にケル・ブルックが無事でよかった。マジな話、こういう無謀なマッチメークは金輪際止めていただきたいと思う。
まあ、無理だろうけど。

というか、ブルック自身がミドル級で続ける感じを出してたしな。絶対止めた方がいいと思うけど。せめてS・ウェルター級でカネロに挑戦するとか、そっちの方がまだ可能性はあると思うんだけどね。

「“カネロ”・アルバレスがリアム・スミス挑戦にファン失望? ゴロフキンとの一騎打ちを回避」

やっぱりボクシング界はモンキービジネスやね。

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