選手としてのブローナーには何の期待もないけど、ブローナーという生き物には少し興味がある。約2年ぶりの復帰戦でサンティアゴに勝利【結果・感想】
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2021年2月20日(日本時間21日)、米・コネチカット州で行われたウェルター級12回戦。元4階級制覇王者エイドリアン・ブローナーがWBA世界S・ライト級15位ジョバニ・サンティアゴと対戦し、3-0(117-110、116-111、115-112)でブローナーが勝利。約2年ぶりの復帰戦を飾った一戦である。
ガードを高く上げてじりじりと近づくサンティアゴに対し、ブローナーはやや低いL字気味の構えでこれを迎え打つ。
初回は時おり鋭いジャブの交錯が見られるものの、両者ともに手数が少なく静かなラウンドとなる。
それ以降も動きが重く、本調子とは言えないブローナー。
サンティアゴの左リードでロープ際に追い込まれたりとなかなかペースを掴むことができない。
だが中盤5、6Rでサンティアゴのタイミングを覚え、得意のカウンターで反撃に転じる。
8Rにはスリップ気味ながらもフックでサンティアゴを腰砕けにするなど、後半はブローナーのペースで試合が進む。
序盤の劣勢を持ち直したブローナーがラスト3Rで逆転し、そのまま試合終了。2017年2月のアドリアン・グラナドス戦以来の勝利を手にした。
カネロvsイルディリム、ビックリするくらい何もなかった。蜂の巣にされて3Rノーマス。“特別な選手”には“ふさわしい舞台”がある
ブローナー以外にもいろいろな選手が出場してたね。って、ライアン・マーティンだと!?
2019年1月のマニー・パッキャオ戦以来、約2年ぶりの復帰戦となったエイドリアン・ブローナー。
同興行にはオット・ワリンvsドミニク・ブリージールのヘビー級12回戦やロバート・イースターJr.vsライアン・マーティンのS・ライト級12回戦など。バンタム級のラウシー・ウォーレンを含めて多くの有力選手が参戦している。
って、ライアン・マーティン!?
え?
アイツって禁止薬物陽性で4年間くらい出場停止食らってなかったっけ?
いつの間に解除になっとったんすか?
模範囚は刑期が短縮されるとか、そんな刑務所みたいなことがあったりするの?
ジョシュ・テイラーにはイージーゲームだったか? ライアン・マーティンの何もなさに逆に驚いた。もう少し工夫すると思ったけど
いやまあ……。
息をするようにシャバと檻の中を行き来するブローナーさんがメインを張っている時点で大体のことが許されてしまうわけだがw
僕自身、体重超過よりも法律違反の方がはるかに悪いと思っている人間だが、ブローナーさんは両方やるから。
と言っても、これまでブローナーさんから禁止薬物陽性反応が出たことは一度もないけどね。
エイドリアン・ブローナーという選手にはすでに何の期待もない。コンディション管理が甘過ぎるせいで、すでにトップ戦線に食い込むような状態ではなさそう…
まず申し上げておくと、僕はエイドリアン・ブローナーという選手には何の期待もない。
ことあるごとにパクられる素行の悪さはもちろん、この選手は体重管理があまりにヌル過ぎる。おかげで“ボクサー”としてのブローナーに対する期待は数年前に失われてしまっている。
今回の試合も直前で契約体重がS・ライト級からウェルター級に変わったとのこと。
もともとこの選手はライト級あたりが一番動ける階級で、ウェルター級では完全にフィジカル不足。
この試合でも序盤は明らかに動きが重く、普段はS・ライト級のサンティアゴに押し込まれるシーンも目立っていた。
だがS・フェザー級、ライト級時代のブローナーは今とは別人だったと言っても過言ではない。
動きは軽快でパンチも強烈。見切りのよさを活かしたカウンターをチラつかせながらスピード差で煽りまくるファイトはド派手で観客の目を引く華やかさがある。
日本の内山高志がS・フェザー級時代のブローナーからの対戦オファーを蹴ったことがあるらしいが、その判断はマジで正しかった気がする。
平岡アンディ、レイモンド・フォード、オースティン・ウィリアムズ他先週末振り返り。あと、何気に一番目を引いたのがノーマークのアイツ…
ところが2013年12月にマルコス・マイダナに負けて以降、徐々にコンディション管理の甘さが目につくように。
2015年のvsジョン・モリナ戦を直前でキャッチウェイトに変更したり、わずか0.4ポンドのオーバーの再計量を拒否、罰金を払って試合を敢行したり。
その他、どう見ても適正階級を超えているウェルター級にこだわるのは注目度の高さもあるとは思うが、それ以上に体重を落とすのが億劫だからというのがもっとも大きな理由だろうと。
今回の試合などを観ると、この選手がライト級時代のキレ、スピード、パワーを取り戻すのはもはや不可能としか言いようがない。
今後も人気と話題性でそこそこ注目はされるだろうが、再びトップ戦線に食い込むような状態ではないというのが率直な印象である。
ジョバニ・サンティアゴはいい選手だった。左リードが鋭く身体も強そう。でも、ブローナーを攻略するには決め手が足りなかったかな
一応言っておくと、対戦相手のジョバニ・サンティアゴは普通にいい選手だったと思う。
上下の打ち分けもよく微妙に角度を変えながら打ち込むコンビネーションにも威力がある。身体の強さもありそうで、これまで無敗の戦績をキープしているのもなるほどと思わせる。
中でもよかったのが左リード。
中間距離よりやや離れた位置から打ち出す左はスピーディで、ガードの間をまっすぐ突き抜ける。
ブローナーの手数がなかなか増えなかったのも、この左が邪魔だったからというのは明らかである。
試合自体も大差判定(117-110、116-111、115-112)ではあったが、実際には数字以上の接戦と言える。僕自身、採点をしながら観ていたわけではないが、何となくの感覚では115-112というのが一番近い印象。
ただ、そこからの追撃のネタに乏しかったのが何とも残念だった。
申し上げたようにサンティアゴの左リードはブローナーを大いに苦しませたが、それで勝てるか? と聞かれればそこまでとは言い難い。
ブローナーのキャリアにおける4敗は、
・マルコス・マイダナ
・ショーン・ポーター
・マイキー・ガルシア
・マニー・パッキャオ
突進力があり、近場で連打が出るタイプを苦手とすることがわかる。
ブローナーはもともとL字気味の構えと見切りのよさを活かしたカウンター使い。
鋭い左リードで相手の出足を鈍らせ、わずかなバックステップでショートのカウンターを打ち込む流れを得意とする。
その反面、カウンターにビビらず身体ごとぶつけてくる相手には窮屈な試合を強いられることが多い。
さらにウェルター級ではフィジカル面が心もとなく、左だけでは相手の前進を止めることができない。上体反らしが間に合わず、ロープ際に押し込まれて防戦一方になるシーンも。
2017年7月のマイキー・ガルシア戦では、マイキーの左リードを捌き切れずにガードを固めて亀になる展開を何度も強いられている。
パッキャオvsメイウェザーの世紀の一戦から5年だって。WOWOWがパッキャオ特集やるらしいけど、あの試合に総額300億の価値はあった?
だが、今回のジョバニ・サンティアゴにはブローナーを追い詰めるだけの決め手に欠けていた。
マルコス・マイダナやショーン・ポーターのような問答無用の突進力もなければ、マイキー・ガルシアほどの貫通力もない。マニー・パッキャオのように激しい出入りでブローナーを置いてきぼりにするフットワークもない。
左リードとコンビネーションはよかったものの、そこからもう一歩突き抜けられないというか。
ジャッジの1人が117-110の大差をつけたのも、全体的なインパクトの薄さが影響したのかな? という気がする。
ブローナーの才能はやっぱりすげえよな。マジでメイウェザー二世になれるヤツだったかも。今後は珍獣として僕を楽しませろ
また、この試合でもブローナーの才能が随所に見られたことも確か。
1Rこそ相手の攻撃力を警戒してほとんど手が出なかったが、中盤5Rにはしっかりとタイミングを掴んでいた。8Rに見せたカウンターなどは「やっぱりブローナー」という1発だった上に、終盤の追い上げもさすがの一言。
ブランク明けということを加味すれば、序盤の動きの悪さもある程度は許容範囲なのかもしれない。
というより、改めてブローナーはもったいないヤツだったなぁと。
あれだけ鋭い左リードのタイミングをあっさり覚え、中盤には得意のフックをカウンターで合わせてしまう。
で、そのカウンターをチラつかせながらプレッシャーをかけ、身体能力抜群の見切りと左リードで相手の手札を奪っていく。
それこそライト級時代は左リードだけでほぼ相手の出足を止めていたわけで、まともにガードを上げる必要すらもなかった。
冗談でも何でもなく、この選手はマジでメイウェザー二世になれた逸材だったのかもしれない。もちろん「コンディション管理さえしっかりしていれば」という注釈つきではあるが。
まあブローナーにはメイウェザー ほどのバックギアがなく、そのせいで階級をアップするごとに相手のプレスから逃げきれなくなっていったわけだが。
どちらにしろ、これほど“才能の無駄遣い”という言葉が似合う選手というのも珍しいww
いつの間にか身体を大きく伸ばした左のボディジャブも出なくなってるしね。
メイウェザーベストバウト3選。プリティからマネーへ。金の亡者のL字ガードと左ジャブ
だからアレだ。
僕は今後もブローナーがどんなことをしでかすかをぼちぼち楽しみにしている。
申し上げたように選手としてのブローナーにはすでに何も期待もないが、ブローナーという生き物には少しだけ興味がある。
周囲の人間はたまったものではないだろうが、遠い国に生息する珍獣として眺めている分には結構笑えるのでねww
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