ベテルビエフこれアカンヤツやww プリエトを豪打のカウンター1発で生まれたての小鹿に。ウォードvsコバレフ再戦の勝者へ挑戦?【結果・感想】

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カナダケベック州イメージ
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2016年12月23日(日本時間24日)にカナダのケベック州ガティノーで、L・ヘビー級の主要団体で上位につける(IBF2位、WBA/WBC/WBO3位)アルツール・ベテルビエフが、イシドロ・プリエト(WBO8位)とのランカー対決に臨んだ。

世界前哨戦と称され、12回戦で行われたこの試合。ベテルビエフが1R2分44秒TKOでプリエトを退け、次期世界戦に名乗りを上げた。
 
「L・ヘビー級アツ過ぎもっと盛り上がって(^○^) バレラがスミスに大差判定勝利。神々の階級」
 
開始早々、自ら前に出て攻勢に出るプリエトに対し、ベテルビエフはガードを上げて冷静に対処する。ロープ際でプリエトの右にカウンターを合わせてダウンを奪う。

吹き飛ぶようにダウンしたプリエトは何とか立ち上がるが、ダメージが深くベテルビエフの攻撃に耐えることができない。コーナーに追い詰められ、無抵抗にパンチを被弾したところでレフェリーが試合をストップする。

これで戦績を11戦全勝11KOとしたベテルビエフは、2017年に再戦が噂されるアンドレ・ウォードvsセルゲイ・コバレフ戦の勝者へ挑戦する公算が高くなった。

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感情の揺らぎがまったく見られないベテルビエフは鋼のように「固い」

ベテルビエフ1RKO勝利!!
圧巻のカウンターで曲者プリエトを寄せつけず!!

日本では年末の世界戦ラッシュが控えているが、海外では目ぼしい試合はほぼ終了した感のある先週末。
やっぱり年末29~31日の3日間にわざわざ有名どころが日本になんか来ないよなあと思いつつ、観ていた試合がこのベテルビエフvsプリエト戦である。

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事実上のPFP頂上決戦と言われたウォードvsコバレフ戦の勝者との対戦が濃厚なベテルビエフ。無冠ではあるが、評価としてはWBC王者であるアドニス・スティーブンソンよりも上との噂もちらほら。ウォード、コバレフの二大巨頭を脅かす最右翼として期待がかかる選手である。

結果は観ての通りなのだが、改めてというか、やはりベテルビエフは強い。
印象としては強いというより「固い」。

何というか、鋼のような硬質な身体。
金属的な肌触りとでも言えばいいか、非常に無機質で冷徹なイメージである。
どうもこの選手を観ていると、ロッキー4のドラゴ(ドルフ・ラングレン)を彷彿とさせるのだが、どうだろうか。古いし、映画自体をリアルタイムで観ていないのだが。

ああ、そういえばドラゴもロシア(映画の中ではソビエト連邦)の選手か。
 
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とにかくこの選手の試合を観る限り、感情の起伏がなく淡々と「作業」をこなすという印象が強い。
今後、トップレベルの選手と対峙することでこの鉄仮面に揺らぎが見られるのか、それともまったく動じずに「作業」を遂行するのか。いまだ底を見せないベテルビエフの今後に注目である。

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前に出るプリエトをベテルビエフが迎えうつ。絶好のタイミングで出した右がさく裂した結果……

試合の流れとしては、積極的に前に出るプリエトをベテルビエフが受け止める展開。

開始早々、足を踏ん張って間合いを詰め、左を出しながらプレッシャーをかけていくプリエト。対するベテルビエフは左右に動きながら芯を外して反撃のタイミングをうかがう。
 
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ロープ際でプリエトがワンツーを放つが、ベテルビエフは右に飛び退るようにこれを回避。
リング中央で再び対峙する。

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さらに間合いを詰めるプリエトは左足をベテルビエフの内側にねじ込み、サイドから身体を寄せるようにロープを背負わせる。

そして、ベテルビエフが身体の正面を晒した瞬間、絶好のタイミングで右を振り抜く!!

ドンッ!!!

交通事故のような打撃音を残し、プリエトが吹き飛ぶ!!

は?

何が起きた?
何でプリエトが倒れてんの?

騒然とする場内。
ロープを掴んで必死に立ち上がろうとするプリエトを背に、ベテルビエフは右手を上げて悠然とコーナーに戻る。

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なんじゃこりゃ?
わけがわからん。

カウント8で立ち上がり、どうにか試合を再開したものの、プリエトのダメージは明らかに深い。
近づいて腕を抱え込もうとするが、ベテルビエフのフィジカルが強過ぎて近づくことができない。

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プリエトがクリンチでの時間稼ぎを狙っていることに気付いているベテルビエフは、あえて一気に攻めることはしない。冷静に状態を見極め、距離が近づいた瞬間を狙ってパンチを打ち込む。

言うことを効かない下半身をバタつかせながら必死に食らいつくプリエト。だが、ベテルビエフのパンチがこめかみをかすめるたびに腰が落ちる。

そして、ノーモーションの左でプリエトがひるんだ瞬間、一気に距離を詰め、コーナーでパンチを集める。
プリエトが大きく腰を落とし、立ち上がれないのを確認したレフェリーが両手を交差して試合を止める。

1R2分44秒TKOでベテルビエフ勝利!!
圧巻のKO勝ちである。

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プリエトはかなりいい選手だった。フィニッシュまでの流れも完ぺきだった。結果がついてこなかっただけで

意味不明なカウンターで驚愕のKO勝利を挙げたベテルビエフ。

ちなみにだが、僕はあれが右のカウンターだったことを試合後のスローで初めて知った

プリエトが右のモーションに入った瞬間、ベテルビエフは体を左に倒して右を出す。
反動もつけず、一瞬で腰を決めて打っているのでプリエトの右よりもはるかに速くコンパクトである。
無防備に被弾したプリエトは当然耐えることができない。見えない角度からパンチをもらうと甚大なダメージを負うという見本のようなダウンである。

惨敗を喫したプリエトだが、26勝1敗3分(今回で2敗目)の戦績が示す通り、かなりいい選手だった。この試合の前までは強豪のエレイデル・アルバレス以外に敗戦がなく、立ち上がりの動きも十分に期待を持たせるものだった。

恐らくこの選手は、本来グイグイ前に出るタイプではない。
多彩なコンビネーションで攪乱し、フィニッシュの右につなげるスタイルを得意としている選手である。

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だが、ベテルビエフ相手にそのスタイルでは歯が立たないと考えたのだろう。
パワー差のある相手に対して後退していたら勝てる見込みはないと判断し、自分から前に出る方法を選択したのだ。

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そして、その選択自体は決して間違いではなかった。
開始直後の突進にベテルビエフは面食らっていたし、ベテルビエフがあれだけ左右に動くというのは珍しい光景だったのではないだろうか。

うまくロープ際に誘導し、大きくスタンスをとってベテルビエフのインサイドに左足をねじ込む。相手に身体の正面を晒させ、得意の右を振り抜く。
プリエトにとってはほぼ完ぺきな組み立てである。

結果が逆だったというだけで。

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カウンター使いかどうかは不明。でもベテルビエフはヤバい。「感情の起伏がない村田諒太」は恐怖の塊だぞ?

正直、僕にはあのカウンターがとっさに出たものなのか、反復練習によって身体に染みついたものなのかはわからない。

それでもあの一発によって、「この選手にまともに近づくのは危険だ」という印象を与えたことも確かだろう。

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距離をとると押し込まれて強打に晒される。
接近戦では戦慄のカウンターが飛んでくる。
間違いなく今後対戦するであろう、コバレフやウォードに脅威を感じさせたはずである。

加えて、ダメージの深いプリエトをじっくり攻め落とす冷静さ。
明らかにピヨっているプリエトを無理に攻めず、左で距離を測って右を振り抜くタイミングを探す。そして、自分の射程内に入ったところで出力を上げ、ガードに意識を残しながら豪打をさく裂させる。

近づき過ぎず離れ過ぎず。
得意の右を出させないようプリエトの左側に回り込み、反撃の糸口を封じつつプレスをかける。

ああ、これアレだ。
強化版村田諒太だ。
しかも村田よりも攻防兼備で、なおかつ感情の揺らぎがない分恐怖を倍加させる。

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こういう生命の息吹を感じさせない強さというのは、コバレフともウォードともスティーブンソンとも違う。本当にL・ヘビー級というのはハイレベルでバラエティに富んだ階級である。

「左だけ? 違うわ! スティーブンソンがウィリアムスを4RKOで下す!! L・ヘビー級たまらんな」

実際、アンドレ・ウォードはこの選手とどう戦うのだろう。
神の子のさばきはベテルビエフに通用するのだろうか。
ベテルビエフは身体が固い分、芯を食えばそれなりにダメージが残りそうな気もするのだが。

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とにかく、この選手がL・ヘビー級戦線にどう絡んでくるかが楽しみで仕方ない。
ウォードvsコバレフ戦に匹敵する好試合の実現に期待である。

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