やっぱりカライジッチいい選手。ベテルビエフとの壮絶なカウンターの打ち合いに散る。船井vsアンカハスは興味ないからいいや【結果・感想】
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2019年5月4日(日本時間5日)、米・カリフォルニア州ストックトンで行われたIBF世界L・ヘビー級タイトルマッチ。同級王者アルツール・ベテルビエフがランキング13位ラディボェ・カライジッチと対戦し、5R13秒TKOで勝利。2度目の防衛に成功した試合である。
12戦全勝全KOと、パーフェクトレコードを継続するベテルビエフ。
今回の相手は24勝1敗17KOの戦績を持つラディボェ・カライジッチ。唯一の敗戦は2016年4月のマーカス・ブラウン戦で喫したもので、内容的には互角以上だったとも言われている。
身長188cm、リーチ193cmとサイズのある選手で、ベテルビエフにとっても強敵の部類に入る。
だが、試合は序盤からベテルビエフのペースで進む。
開始直後の左でいきなりカライジッチをロープに吹き飛ばすと、そこから距離を詰めて積極的に腕を振る。カライジッチも得意のジャブとカウンターで対抗するが、パンチ力の違いは明白。そのつど打ち負け徐々にコーナーに詰められるシーンが目立ち始める。
3Rにダウンを奪って流れをつかんだベテルビエフはそのまま攻撃の手を休めず。リング中央での打ち合いからオーバーハンドの右でダメージを与え、5R開始早々のレフェリーストップを呼び込んでの勝利。
見事2度目の防衛に成功するとともに、戦績を13戦全勝全KOとした一戦である。
「やっばw プログレイスがレリクを顔面粉砕TKO。こんな一方的になるとは…。勝てるとしたらバランチェクの方が可能性高い?」
楽しみにしていたベテルビエフvsカライジッチ。カネロvsジェイコブス戦のせいで完全に空気だったけど
カネロvsジェイコブス戦との同日開催ということで、完全に日陰者扱いとなってしまったこの一戦。しかも日本人選手が絡むことがめったにないL・ヘビー級ということで、恐らく多くの方にとっては空気だったと想像する。
「カネロがジェイコブスに辛勝。相手のよさを消すのが得意なジェイコブス。カネロ打倒一番手はまさかのアイツ?」
だが、僕自身はこの試合を結構楽しみにしていて、それこそカネロvsジェイコブス戦以上の熱量を持って視聴した。
理由は単純で、僕が勝手に注目しているL・ヘビー級だから。そして、僕の好きなラディボェ・カライジッチが怪物王者のベテルビエフに挑戦するから。
以前にも申し上げた記憶があるが、ラディボェ・カライジッチという選手はなかなかいい。
2016年のマーカス・ブラウン戦はマジで惜しかったし、普通にやれば間違いなくトップ戦線に食い込める。ロシアの化け物4人と比べればワンランク落ちるが、それは比較対象が凄すぎるだけ。アイザック・チレンバやスリバン・バレラと同等の力はあるのではないかと思っている。
そして、今回の試合で改めていい選手だなと思わせてくれた次第である。
「ほら見ろ。やっぱりカライジッチはいい選手だっただろ」
「負けたけど」
みたいな。
「再戦だろうなパスカルvsブラウン。引退撤回のジャン・パスカルが8年ぶり王座戴冠。前に出る勇気と腕を振る思いきりのよさ」
ベテルビエフのフィジカル、パンチ力でねじ伏せられてしまった。カライジッチもがんばったけど
ただ、やはり相手がベテルビエフでは荷が重かった。
長身+長いリーチを活かしたクネクネディフェンスとカウンターを得意とするカライジッチ。予想記事でも申し上げたように、この選手の鞭のような左が機能すればベテルビエフともいい勝負をするのではないか。
あの左でベテルビエフの前進を止め、リーチ差を利用する展開に持ち込めれば。
だが、左が通用しなかった場合は非常にマズい。
両者のフィジカル差、パンチ力の差は明白で、近場でまともに打ち合っていては勝負にならない。過去、ベテルビエフはカウンター使いを何人もボロ雑巾のように葬ってきているし、今回のカライジッチもそのパターンで撃沈する可能性が高い。
そして、結果はまさしくそのまんま。
遠い位置での左はあっさりかいくぐられ、圧力で後退させられる苦しい展開。開き直って打ち合いに持ち込んだ結果、フィジカル差、パワー差でねじ伏せられてしまった。
「カライジッチが怪物ベテルビエフに挑戦。マーカス・ブラウンを苦しめた長身カウンター使いが初の世界戦。がんばれ俺のカライジッチ」
序盤の足を使う作戦を捨て、近場での打ち合いに転じた覚悟と判断はすばらしい。負けはしたが、カウンターの打ち合いは見ごたえ十分だった
ここまで言うと「何だ、カライジッチ大したことないじゃん」「いつものベテルビエフの相手と同じじゃん」と思われるかもしれないが、いや違う。今回のカライジッチはめちゃくちゃがんばっていた。少なくとも僕の中では。
まず、開始直後にパワフルな左でいきなりロープに吹っ飛ばされるところからスタートしたわけだが、この時点でカライジッチの表情に余裕はゼロ。明らかにベテルビエフの圧力に面食らっていた。
そして左右に動きながら距離をとり、離れた位置でベテルビエフと対峙する。
だが、ベテルビエフに動じる様子はまったくない。ガードを上げて平然と距離を詰め、カライジッチの進行方向に先回りする。そのままあっさりコーナーに追い詰め、落ち着いて攻撃開始。恐らくカライジッチの動きをある程度想定していたのだと思うが、相変わらずの冷徹な壊し屋っぷりである。
「ベテルビエフvsグヴォジクとかいう地球が割れるかもしれない統一戦。退路を断った爆腕と重量級の拳四朗楽しみやね」
これに対し、カライジッチはすぐさま前に出ての打ち合いに切り替える。
前回のカラム・ジョンソンは超接近戦でベテルビエフと打ち合い、ダウンを奪ったてみせた。結果的にKO負けを喫したが、ベテルビエフのパンチ力と超絶カウンターを封じる方法としては悪くなかったと思う。
今回のカライジッチも同じ。足では逃げ切れないと判断した瞬間に接近戦での勝負を選択。自ら前に出て距離を潰し、近場でカウンターを打ち合う展開に巻き込む。
正直、ここでのカウンター合戦はめちゃくちゃ見ごたえがあった。
カネロとジェイコブスの神経をすり減らすような差し合いもよかったが、こういうどつき合いもまたおもしろい。しかも、両者が相手のパンチにカウンターを合わせまくり、お互いのビッグパンチが無遠慮に飛び交う迫力満点の打ち合い。
申し上げたようにフィジカル、パンチ力では数段ベテルビエフが上。正面衝突で当たり負けしたカライジッチは徐々に追い詰められてダメージを蓄積させていったが、その中でもいいタイミングのパンチも当てていた。最終的にはフラフラになってレフェリーストップ負けを喫したものの、とにかくすばらしい打ち合いだった。
「ダニエル・ローマンがTJ・ドヘニーから2度ダウンを奪い王座統一! ドヘニーもナイスファイトな好試合に大満足です」
まあでも、オーバーハンドの右を食い過ぎたってのはあるかな。
L字気味の構えでコーナーに詰まればどうしても右は当たりやすくなる。あの状況下でもクネクネディフェンスでしのぎきれるのはメイウェザーかカネロくらい。残念だがレフェリーの判断は仕方ないかな? とは思う。
船井vsアンカハス? すまん。興味がなさ過ぎて観てもいない。ザルなディフェンスを左で打ち抜かれまくってのTKOとか?
また、同日行われたIBF世界S・フライ級タイトルマッチ、同級王者ジェルウィン・アンカハスに日本の船井龍一が挑んだ一戦について。
非常に申し訳ないのだが、この試合はあまりに興味がなさ過ぎて観ていない。
船井龍一に関しては後楽園ホールでワルリト・パレナスとの一戦を観たことがあるのだが、正直あまりピンとこなかった記憶がある。ディフェンスがザル過ぎておっかないな〜くらいで、むしろ別の試合の真っ最中に目の前で常連客っぽいヤツと談笑してたのを「コイツ邪魔だな、どけよ」と思った印象の方が強い。
それ以来、存在すら忘れていたのだが、アンカハスに挑戦すると聞いて「いや、ちょっと厳しいんじゃないか?」と。
で、結果は7RTKO負けとのこと。
これはまあ、仕方ない気がする。
序盤からアンカハスの左がガードの間を突き抜けまくり、徐々に両目がふさがってのレフェリーストップ。だいたいそんな感じだったのか? 知らんけど。
よくわからんが、ナイスファイト。お疲れさまでございます。
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