ダニエル・ローマンがTJ・ドヘニーから2度ダウンを奪い王座統一! ドヘニーもナイスファイトな好試合に大満足です【結果・感想】

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統一戦イメージ
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2019年4月26日(日本時間27日)、米・カリフォルニア州で行われた世界S・バンタム級王座統一戦。WBA正規王者ダニエル・ローマンとIBF王者TJ・ドヘニーの一戦は、2-0(116-110、116-110、113-113)の判定でローマンが勝利。見事2団体統一に成功した試合である。
 
 
初回から足を使ってカウンターを狙うドヘニーに対し、ローマンはガードを上げてじっくりと前に出る。
立ち上がりは両者ともに手数の少ない展開が続くが、2Rにローマンが抜群のタイミングで左フックをヒットしダウンを奪う。
 
それ以降、ドヘニーはなるべくリング中央から下がらず打ち合い、ローマンに前進を許さない。
7Rには左フックをヒットし、逆にローマンを棒立ちにさせる。そのまま連打を浴びせてダウンを奪ったかに見えたが、これはスリップと判断されてしまう。
 
後半も一進一退の攻防が続くが、要所でローマンの的確なボディが突き刺さり、そのつどドヘニーが苦悶の表情を浮かべる。
 
そして11R。
ローマンの左ボディをカウンター気味にもらったドヘニーが膝をついてダウン。何とか立ち上がってこのラウンドをしのぐが、ダメージは深い。
 
だが、残念ながらドヘニーにはそこから盛り返す力はなく。そのまま12R終了のゴングが鳴り、判定2-0でローマンが勝利。4度目のWBA王座防衛を果たすとともにIBF王座の獲得に成功した。
 
「ダニエル・ローマンvsアフマダリエフは下がったら負ける? ローマンのセミファイナリスト感」
 

日本で戴冠を果たした両者の統一戦。思い入れのある好選手同士のナイスファイトだった

ダニエル・ローマンvsTJ・ドヘニーの王座統一戦。
 
両者ともに日本で王座初戴冠を果たし、そこから飛躍した選手同士ということでそれなりに思い入れもある。さらにスタイル的にも興味深く、実力も高い次元で拮抗しているのではないか。
 
そんな感じで、個人的にかなり楽しみにしていた試合でもある。
 
「ダニエル・ローマンvsTJ・ドヘニー。新しい扉のその先へ。後楽園ホールのリングは世界へ続いてた()」
 
で、試合を観た感想だが、
「すっげえおもしろかった!!」
 
うん、よかったですね!!
ダニエル・ローマンが好選手なのはもちろん、ドヘニーもめちゃくちゃいい選手。
岩佐亮佑、高橋竜平と日本のトップ選手2人を撃破しながら「大したことない」という評価が多いようだが、いや、そうか? と。
 
僕も岩佐戦を観た際には予想していたスタイルと違ったせいもあって「おや?」と思った。だが、前回の高橋戦での圧勝により、かなり印象が変わっている。
 
ん? 待てよ?
これはもしかしたらかなりいい選手なんじゃないか?
相手によってファイトスタイルをガラッと変えることができる柔軟さと勤勉さの持ち主で、実は相当めんどくさいタイプかもしれない。
 
ダニエル・ローマンとも普通に接戦になるんじゃねえか?
 
そんな感じで、この試合のドヘニーがどんな出方をするかに注目していた次第である。
 
「知ってた定期。ドネアがヤングを左フックで粉砕KO。やっぱりスピード&パワーが大正義。1発の威力がすべてをチャラにする」
 

距離をとってのカウンター狙いを選択したドヘニー。それだとローマンからは逃げ切れないんじゃないか?

まず、開始直後に大きく距離をとって動き回るドヘニーを観て「あ、それでいく?」と思ってしまった。
 
カウンター狙いの岩佐亮佑戦では距離をとって打ち合いを避ける。
サイドへの動きとアングル調整が得意な高橋竜平戦では、前後の動きを中心に多彩な右で迎撃。
そして、自分よりひとまわり小柄なマイク・タワッチャイには前に出ての物量勝負。
 
相手の長所短所をよく研究し、試合によってファイトスタイルを大きく変えることができる柔軟さがTJ・ドヘニーという選手の持ち味。
 
「高橋竜平完敗だったな…。ドヘニーが11RTKO勝利で初防衛成功。これはしゃーないか。ダニエル・ローマンと統一戦実現?」
 
なので、今回はどんな作戦を選択するかに注目していたのだが。
予想記事でも申し上げた通り、距離をとってのカウンター狙いの作戦は正直あまりいいとは思えなかった。
 
そして案の定。
徐々に距離を詰められ、抜群のタイミングで左フックを被弾しダウンを喫する。
 
おおう、やられた……。
やっぱりローマンの追い足から逃げ切るのは相当難しいよな。
 
ドヘニーのバックギアは久保隼よりもはるかに上だが、さすがにローマンのプレスから逃げ切るほどじゃない。リゴンドー並みのカウンターがあれば別だが、あれほどの精度と威力を両立できる選手はそうそういない。
 
どう考えてもダニエル・ローマン相手には前で打ち合う方がいい(気がする)。
 

リング中央で対峙し、多彩な右でローマンの出足を止めるドヘニー。いいね!! この切り替えの早さがドヘニーの持ち味だよね

などと思っていると、3Rからドヘニーの動きが微妙に変わる。
1、2Rほど大きく動かず、ローマンに前進するスペースを与えない位置で対峙。なるべくリング中央から下がらず、細かい右リードでローマンの連打の発動を抑え込みながらカウンターを狙う。
 
腕を強く振って打ち合う際には真正面から。
それ以外の局面では右回りを意識し、常にローマンのサイドに回り込む。
位置取りに注意しつつ、サウスポーの優位性を活かしてローマンの出足を封じる。
 
ああ、やっぱりええわTJ・ドヘニー。
最初の作戦が通用しなかったときのプランBへの切り替えや、相手の戦力を見極める観察眼。
12Rを同じペースで走りきるダニエル・ローマンの根気強さもすばらしいが、ドヘニーのスカウティング能力とそれをすぐさま実行する柔軟さもすごい。
 
思った通りというか、思った以上に好選手だった。
 
「ラッセルさんちっす! 年一のお仕事ご苦労さまッス! キコ・マルチネスに勝利し2019年の勤務を終える。長谷川穂積とは一味違う?」
 
もちろんダニエル・ローマンがよかったのは言うまでもなく。
高橋竜平を翻弄したドヘニーの多彩な右には付き合わず、じっくり距離を詰めて踏み込みのタイミングを測る。
そして、得意の連打でドヘニーを無理やり後退させ、ラウンド全般を支配。9Rにグサッとボディを突き刺し、それ以降は要所でのボディ攻撃によって反撃を許さず。
 
盛大に効かされた7Rも、あえて下がらず強めに打ち合うことでドヘニーにペースを渡さない。
ペースを変えずに12Rを走り切るのがこの選手の持ち味だとは言ったが、その中での強弱のつけ方も絶妙だった。
 
「やっばw プログレイスがレリクを顔面粉砕TKO。こんな一方的になるとは…。勝てるとしたらバランチェクの方が可能性高い?」
 

8Rに勝負をかけていれば、違った展開があったかも…。でも、ダニエル・ローマンもがんばってたし、マジでやっかいな選手


あえて言うのであれば、7Rのスリップは普通にダウンだったと思う。直後のローマンのピヨり方を見れば、あの左フックが効いていたのは明らか。
 
また、次の8Rにドヘニーがもっとスパートをかけていれば展開が変わった可能性もあった気はする。ローマンががんばったのか、ドヘニーが温存したのかはわからないが、あそこで躊躇してしまったのは残念だった。
 
とはいえ、あのラウンドは明らかにローマンもパンチ、圧力ともに強めてきていた。ここが勝負どころと踏んだか、ドヘニーを前進させないという気迫はすごかった。
 
ドヘニーとしては、ここでペースアップしても倒しきれない。それどころか後半に向けて貴重な体力を失う恐れもあると感じたのかもしれない。
この辺の駆け引きについてはリング上の両者にしかわからないが。
 
「亀田和毅vsレイ・バルガス予想。テンション爆上げだけどキツそう…。ポシャった場合は「逃げた」祭り?」
 
ただまあ、改めてダニエル・ローマンという選手はやっかいだなぁと。
足を使って動き回っても追いつかれるが、前に出て打ち合ってばかりでは体力がもたない。かといって、リング中央から下がってしまうと波状攻撃にさらされる。
 
突出したものがあるわけではないが、とにかく高次元でまとまった選手。以前、亀田和毅なら何とかなるんじゃねえか? と申し上げた記憶があるが、正直厳しいと思う。
 
それこそアイザック・ドグボエやレイ・バルガスなど、ぶっ飛んだ長所を持った選手が身体能力でぶち抜くとかね。本人もバルガス戦を希望してるみたいだし、いいと思うんですけどね。
 
あとはアレか。
ディエゴ・デラホーヤとのコンビネーション対決もいいかな。
 
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