僕の2019年ベストバウト6選完結編。“僕の”印象に残った試合第2、1位を発表する。いや、ホントに感動したんだってw

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ボクシング女性
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先日からスタートした「僕の2019年ベストバウト6選」
今年僕が観た中で印象に残った試合を第6位から順番に挙げているわけだが、今回はその完結編。第2、1位の発表である。
 
前回までのランキングはこちら
「僕の2019年ベストバウト6選。期待した試合はないかもだけど文句なしの名試合。僕のランキングなので異論は認めない」

なお前回も申し上げたが、あくまで“僕の”印象に残った試合なので、井上尚弥や村田諒太、井岡一翔など、いわゆるメジャーどころと呼ばれる試合はランクインしていない。
 
それを踏まえた上でお付き合いいただければありがたいと思う。
 
「井岡vsシントロン感想。たくましさ、荒々しさの増した井岡が長身サウスポーに完勝。僕はこっちの井岡の方が好きかな
 

僕の2019年ベストバウト6選:第2位

○レイマート・ガバリョvs中村優也×
(ノンタイトル10回戦)
 
2019年2月9日、フィリピンのマニラで行われたノンタイトル10回戦。
WBA同級暫定王者レイマート・ガバリョと日本の中村優也が対戦し、2R1分44秒TKOでガバリョが勝利した一戦。
 
「中村優也vsレイマート・ガバリョ戦に感動した話。あの舞台で初回から勝負をかけられるって、めちゃくちゃすごいことだと思った」
 
この試合は初回から格上の相手に全力で向かっていく中村優也の姿にめちゃくちゃ圧倒された。
 
恐らく両者の実力にはかなりの差があり、普通にやっていては中村の勝ち目は薄い。
ただガバリョは比較的スイングが大振りで、打ち終わりに身体が流れるタイプ。射程内に踏み込んでカウンターを当てれば何かが起きる可能性はある。
 
まともに勝負していたのでは10%も勝ち目はない(と思う)が、体力のある序盤に1発でも当てることができればマジでわからない。
アウェイのリングで、なおかつ「暫定王者との10回戦」という大舞台で躊躇なくそれをやってのける中村優也の思い切りのよさに僕はクソほど感動したし、この選手の試合をまた観たいとも思った。
 
 
と同時に、僕が「フリーランスのプロボクサー」という存在を認識したのもこの試合前後から。
彼らはJBCに所属せずに海外を拠点とする選手たちで、中でも中村優也はファイトマネーの交渉や同僚のマネージメント、トレーナーまでこなすとのこと。
 
特定のジムに所属せずに試合の交渉等も自分でやるため、ファイトマネーからマネージメント料が引かれないというメリットがある。
その反面、すべてが自分次第なので、自分を売り込めなければ何も始まらないし、仮にいきなり試合が決まってもそれを拒否すれば次がなくなる可能性もある。
その上、JBCから茶々が入ったおかげで試合が飛んだことも一度や二度ではないとか。
 
 
2017年末に井上尚弥に挑戦したヨワン・ボワイヨ。
あの選手はフランス、アルゼンチンを中心にモロッコ、スロバキア、ハンガリー、ブラジル、セルビア共和国、クロアチア、イングランド、スコットランドなど、数え切れないほどさまざまな国に渡り、なおかつS・フライ級〜フェザー級まで階級を問わずにリングに上がっているが、要するに彼らがやっているのもそういうことなんだろうと。
 
「Yoan Boyeaux」
 

いろいろ道はあっていい。どちらがいいとか悪いとかではなく

さらに先日、JBC非公認のIBO世界タイトル挑戦者決定戦に出場する際、明らかに細工された体重計で計量が行われ、その上どこからどう見ても質の悪いグローブを使わされたという。


ご本人がおっしゃるように海外のボクシングではこういうことは恐らく日常茶飯事。いちいち気にしていても仕方がないのだと思う。
 
先日、体重超過をやらかしたルイス・ネリ陣営からの「ファイトマネー上乗せ+試合決行」の申し出を断ったエマヌエル・ロドリゲスが賞賛されていたが、はっきり言って今回はその比ではない。
 
ボクシング界()のことを考えればロドリゲス陣営の判断は正しいが、それによってロドリゲスがタイトル戦線から干される可能性もある。もはやこれは一選手が現役のうちに何とかできる問題ではないし、フリーランスという立場の中村優也が躊躇なく試合を受けたことが一概に間違っているとも言えない(気がする)。
 
 
と同時に、JBC傘下のジムに所属する選手はいろいろな面で守られてるんだなぁと。
 
仮に理不尽な試合をドタキャンしても、日本のジムに所属していれば国内で試合をこなしながらチャンスを待つこともできる。というより、そもそもJBCに認可されていないタイトルに挑むこと自体があり得ない。
 
いろいろ笑えないレベルの話は聞こえてくるが、それでもジム制度がそこまで悪いものだとは僕には思えない。
 
だって、だーれも知らない四回戦の選手が当たり前のように2000人規模の会場でデビューできたりするわけでしょ? それも所属ジムが試合のマネージメントも兼ねてるのが大きいんじゃないの?
 
メキシカンに肩入れするWBCがアカンと言っても、さすがに公開計量の体重計が正確じゃありませんでしたってことはないんじゃない?
 
「ボクシングジムのプロ加盟金が必要だと思う理由と、参入障壁をさらに高くしてもいいと思う理由(部外者のクソ勝手な戯言)」
 
以前にも申し上げたが、力のある側が好き勝手できるガバガバ状態がよくないのであって、制度自体が悪いわけではない。
なので、「不満があれば自分で新しくコミッションを立ち上げればいい」といった意見はお話にならない。身体に障害が残る可能性のある商売に対して「ジムのプロ加盟金をなくせ」というのもあまりに乱暴過ぎると思うわけで。
 
フリーランスとJBC所属、どちらがいいとか悪いとかではなく、両方あっていいよねという話。
 
などなど。
いろいろと考える機会にもなった面も含め、レイマート・ガバリョvs中村優也戦は印象的だった。
 
 
てか中村パイセン、東京で試合やらんのかな。
やれば絶対観にいくけどな。
 
イベント開催にこぎ着けるだけでいろいろめんどくさいんだろうけど。
 

僕の2019年ベストバウト6選:第1位

○ダニエル・デュボアvs藤本京太郎×
(WBOヘビー級インターナショナルタイトルマッチ)
 
2019年12月21日(日本時間22日)、英・ロンドンで行われたWBOヘビー級インターナショナルタイトルマッチ。
同級王者/WBO世界5位のダニエル・デュボアとWBA13位/WBO15位の藤本京太郎が対戦し、2R2分10秒KOでデュボアが勝利した一戦。
 
「京太郎、デュボアの右に沈む。覚悟を決めてカウンターを狙いにいった京太郎に感動しました。日本ヘビー級の歴史が動いた」
 
これも以前から申し上げているが、日本では不毛の地であるヘビー級で1人がんばる藤本京太郎を僕はずっと応援していて、この試合が決まった際にはアホほどテンションが上がった。
 
「国を挙げてバックアップすべき案件」的な冗談も言ったが、少なくともボクシング界全体で盛り上げるべき試合だったと今でも思っている。
 
だって、ファイトマネー1億円(推定)でしょ?
タイトルマッチでもない、ただの前哨戦でこの金額はヤバいでしょ。どう考えても夢しかないでしょ。
日本ボクシングの重量級を活性化させる大チャンスだったでしょ。
 
後楽園ホールで開催される「世界前哨戦」とは桁が違うんじゃないの?
別に後楽園ホールの試合を見下してるとかではなく、ヘビー級のスケール感、半端じゃないよねってことで。
 
 
そして、試合は2RKOという結果で終わったが、間違いなく京太郎陣営はあの試合を勝ちにいっていた。
「未来の王者候補」と呼ばれる怪物を相手に勇気を持ってカウンターを狙い、勝機を見出そうとした。
 
あの姿を見せられて「無謀」「思い出挑戦」などと京太郎をバカにする人間はいないと思うし、僕自身、本当に感動させられた。
 
今後、京太郎がボクシングで再起するのか、キック系と並行するのかは不明だが、とにかくナイスファイト。どんな決断をするにしても「日本人ヘビー級の道を切り拓いた」という圧倒的事実が消えることはない。
 

やっぱりロマンを感じたいわけですよ。自分が好きで観てる競技の頂上決戦だからね

またこれは余談だが、個人的にヘビー級だけはロマンを感じさせてほしいというのがある。
 
どんなに劣勢でも一瞬で形勢が逆転し、圧倒的不利予想の側がまさかのアップセットを起こす。
体力ゲージがワンパンでゼロになるというか、ダメージの数値がカンストした漫画の世界。そういうものが唯一許されるのがボクシングのヘビー級だと思っている。
 
先日のアンソニー・ジョシュアvsアンディ・ルイスJr.の再戦ではジョシュアが上背とリーチを活かしたアウトボクシングでルイスを完封したわけだが、僕があの試合に失望したのはそういう意味もある。
 
「ジョシュアがルイスJr.を再戦で塩漬け。ジョシュアの安全策とルイスの動きの悪さが…。そっくりさん同士の試合か?」
 
「あの試合がおもしろくなるわけがない」
「普通に考えればああなるのはわかる」
「何を期待していたのかわからない」
といった意見を数多く見たが、そんなものは「ヘビー級だから」の一言ですべてが解決する。
 
全階級で唯一体重制限のないヘビー級で、なおかつ三団体統一戦。
まさしくボクシングの頂上決戦というヤツ。
 
この試合にロマンを感じなくてどうするの?
「普通に考えれば」の“普通”って何?
 
アレが一番可能性が高い展開?
そんなんクソ喰らえだわww
 
自分が好きで観ている競技の頂上決戦にロマンを感じられなくてどうすんねん?
 
そんな感じで、誰もが思いつく安全策をそのまま実行したジョシュアに僕は大いに失望させられた次第である。
 
 
てか、第1戦でジョシュアの塩漬けを予想して思いっきり外してますからね自分。
 
ちょうどウラジミール・クリチコ時代が終わって、デオンティ・ワイルダー、タイソン・フューリー、アンソニー・ジョシュアの3強を中心にヘビー級がおもしろくなってきたところなのに。それもあの試合をきっかけにヘビー級が大きく動き始めたと言っても過言ではないのに。
 
クリチコの暗黒時代を終わらせた張本人がそれをやったことに、僕のテンションはだだ下がりである。
 
 
何度も申し上げるが、あくまで僕が思っているだけなので特に他意はないっす。
 
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