べスプーチンvsブタエフとんでもなっ!! かる~く観始めたら超いい試合でビックリした。地味強ロシア人がウェルター級にも…!【結果・感想】

NO IMAGE

モナコ海イメージ
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2019年11月30日(日本時間12月1日)、モナコ・モンテカルロで行われたWBA世界ウェルター級王座決定戦。同級1位アレクサンデル・ベスプーチンvs2位ラジャブ・ブタエフの一戦は、3-0(116-112、116-112、116-112)の判定でベスプーチンが勝利。見事初戴冠に成功した試合である。
 
 
空位のWBAレギュラー王座決定戦として開催されたこの試合。
13戦全勝のベスプーチンと12戦全勝のブタエフの一騎打ちは両者ともに譲らぬ大接戦となる。
 
ハンドスピードとフットワークを駆使してハイスピードな試合運びを見せるベスプーチンに対し、ブタエフも長身とリーチで対抗。序盤からハイレベルな攻防が続き、観客席からもそのつど歓声が挙がる。
 
ヒット数ではベスプーチンが上回るものの、1発のパワーとフィジカルではブタエフ。
ブタエフのパンチが顔面を捉えるたびに動きが止まるベスプーチンだが、瞬間的な連打で盛り返し、完全にはペースを渡さない。
ロープ際でのラッシュに巻き込まれるシーンも見られたが、フルスイングのカウンターでブタエフの動きを止めてサイドへ脱出。
 
結局最後まで足を止めずに手を出し続けたベスプーチンが3-0で判定勝利し、初戴冠を果たした。
なお、初黒星を喫したブタエフは判定結果に不満を示し、ベスプーチンを祝福することなく引き上げたとのこと。
 
「テテ負けたの!? カシメロ勝ったの!? フィリピンの腕力大王がバンタム級の長い人をワンパンで沈める」
 

よく知らない人たちの試合…。のはずが、あっという間にくぎ付けでしたw

DAZN興行のメインとしてモナコのモンテカルロで行われたこの試合。
 
とはいえ、もともと僕は両者のことをよく知らず。
何となく名前を聞いたことはあったが、試合を観たことは1度もない。それどころか、この2人がウェルター級の上位ランカーなことすら知らなかったという体たらくである。
 
そんな感じで「そういえばDAZNでボクシングやってたなぁ」と気軽に見逃し配信を観始めたところ、
「おお、何じゃコイツら」
「両方ともめっちゃいい選手やんけ!!」
 
あっという間にくぎ付けになり、最後まで夢中で視聴してしまった。
 

ハイテンションなサウスポーのベスプーチン。3R制のアマチュアスタイルをそのまま持ち込んだような

まずベスプーチンについてだが、この選手の印象をひと言で言うと“よく動くハイテンションなサウスポー”
 
1発当てるとサッとサイドに動き、絶対にその場に留まらない。
右回りでオーソドックスの背中側に回り込むことで被弾を回避し、ガードの外から連打を浴びせるスタイル。
 
実況が「足運びがロマチェンコと似ている」的なことを言っていたが、なるほど。
耐えず足を動かし相手の正面を外しまくるスタイルは確かに“ハイテク”ロマチェンコを彷彿とさせる。
 
「キャンベルがロマチェンコに肉薄。長身サウスポーと多彩な右リードが機能。お互いがリスクを負った好試合」
 
ロマチェンコに比べてベスプーチンは1発を強めに打つので、その分溜めも大きく体重の上下動も激しい。だが、自分のペースで動いている際の高次元の攻防分離は間違いなくロマチェンコと同種のもの。
あとはまあ、風貌やパンチの軌道はホセ・ペドラサに似てなくもない? かな?
 
 
というか、こんなハイテンションなボクシングでよく12Rもつよな。
序盤から前後左右に激しく動きながらも1発1発のパンチは常にフルスイング。アマチュアの3R制をそのまま12Rのリングに持ち込んだというか。
 
1、2Rを観て「これはどこかでガス欠起こすでしょ」と思ったのだが、何だかんだで最後まで走りきったのはすごい。
普段からこのテンションなのか、それとも身体が大きなブタエフに対抗するための作戦だったのか。他の試合を観ていないので何とも言えないが。
 

長身とリーチのブタエフ。スティーブン・バトラーの上位互換かな

対するブタエフだが、こちらは高身長と長いリーチを活かしたボクサーファイター(に見えた)。
 
上背は179cmとこの階級では高身長で、170cmのベスプーチンと対峙すると体格の大きさがより際立つ。ちなみに統一王者のエロール・スペンスJr.が177cmなので、ブタエフはそれよりもひと回り大きいことになる。
 
構えはやや前傾姿勢で、ガードを下げた状態からフリッカー気味にジャブを打ち出す。そのため、対戦相手はより遠い位置でくぎ付けにされてしまう。
 
左でスペースを確保し右ストレートを打ち込む。それなりにハンドスピードもあり、はっきり言って強い。ここまで全勝なのも納得の強豪である。
 
何となくだが、2019年12月に村田諒太と対戦するスティーブン・バトラーの上位互換かなと。
 
「村田vsバトラー予想。ロブ・ブラントVol.2のラッシュでKOを目指せ。「圧力をかけられたら何もできない」」
 

ヒット数のベスプーチン、パワフルなブタエフ。目まぐるしい攻防に夢中でした

実際の試合だが、もうめちゃくちゃおもしろかった
申し上げたように序盤からリング上の両者にくぎ付けになり、最後までドキドキしながら観てしまった。
 
右の連打でブタエフのガードを上げさせ、タイミングを測って左ボディ。
さらにもう一歩踏み込み右フックをヒット。と同時にサイドに回り込む。
 
対するブタエフも連打に耐えながら前進し、長い左でベスプーチンを下がらせる。
ベスプーチンにロープを背負わせ、左のリードを駆使して進行方向に先回り。正面を捉えた状態で右ボディ、右ストレートを打ち込んでいく。
 
ヒット数ではベスプーチンだが、パワフルなのはブタエフ。
動き回るベスプーチンがブタエフを翻弄しているように見えるが、少しでも足が止まるとブタエフのパワーに押し潰されそうになる。
 
だが、ベスプーチンはそのつど瞬間的な出力アップでピンチをしのぐ。高速の連打と刹那のカウンターでブタエフの出足を止め、スルッとサイドに回り込む流れ。
 
いやすごい。
ブタエフのプレスがベスプーチンを動かしているのか、ベスプーチンのポジショニングが巧みなのか。あまりの目まぐるしさに、僕には最後までどちらが優勢なのかの判別がつかなかった。
 
 
しかしアレだな。
ベスプーチンのオーバーハンドのフックと左ボディはよかったよね。
 
肩を視点にグルッと上から打ち込むフックはゴロフキンがよく使うヤツにそっくり。
また、左ストレートと同じタイミングで打ち込む左ボディはブタエフの前進を何度も寸断していたし、ホントにロマチェンコっぽかったなぁと。
 
「岩佐亮佑がタパレスにスカ勝ち!! セサール・フアレスとの打ち合いで吹っ切れたっぽいなコイツ。オラ感動したぞw」
 
なお、この選手は全体的にもう少し滑らかさが出せればさらによくなる気がする。
 
申し上げたように現状は腕を強く振る分上下動が大きく、足を踏ん張るシーンも目立つ。この試合でも何度も正面での打ち合いに巻き込まれていたし、最大出力での打ち合いはそれだけ消耗も激しい。
 
思いきって階級を下げて、フィジカルの余裕を確保するのもアリかもしれない。
 
「ジョシュアがルイスJr.を再戦で塩漬け。ジョシュアの安全策とルイスの動きの悪さが…。そっくりさん同士の試合か?」
 

ベスプーチンはこれからどうするんだろな。こういう地味強ロシア人は敬遠される? かも?

勝利したベスプーチンだが、今後はどうするのだろうか。正直、ここから先はあまり道が拓けないように思えるのだが。
 
日本の村田諒太同様、WBAのレギュラー王者は上にスーパー王者の存在がある。
 
しかもこの階級のスーパー王者はレジェンド枠のマニー・パッキャオ。
もはやビッグマッチ以外に興味がなく、レギュラー王者との統一戦などが起こるはずがない。
この試合でベスプーチンがやっかいな選手であることが知れ渡ったせいで、高額のファイトマネーが見込める有名選手に敬遠される可能性もある。
 
その上、レギュラー王者では他団体との統一戦も実現できない。結局“そこそこの”ランカー相手に細々と防衛戦を重ねる以外に方法がない気がするのだが。
「フランチャイズ王座」なるものを新設したおかげで手詰まり感が尋常じゃないWBCミドル級王者のジャーマル・チャーロともちょっと近い? かな?
 
「ベテルビエフvsグヴォジク何やコイツら気持ち悪っw フィジカルの暴力と超絶カウンター。あの打ち方であの効き方!?」
 
どちらにしろ、こういう地味強ロシア人が突き抜けるのはホントに難しい。
僕の大好きなセルゲイ・コバレフもカネロ戦でのビッグマネーにたどり着くまでに相当な不遇を味わったし、実力と人気を両立するのは至難の業だなと。
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 
 

 
 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!