栗原慶太vs小國以載、木村天汰郎vs高橋竜平現地観戦。MVPは文句なしに木村天汰郎。急遽のスパーリングも結構ヨカタ笑【2022.5.20 A-SIGN BEE 31感想】
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2022年5月20日に東京・後楽園ホールで行われたボクシング興行「A-SIGN BEE 31」を現地観戦してきました。
この日のメインはOPBFバンタム級王者栗原慶太vs元IBF世界S・バンタム級王者小國以載戦。ファンにとっても大注目のイベントとなっております。
ですが、僕のお目当ては第4試合に予定されていた野口将志vs柳達也戦。
以前から応援している野口選手の2020年12月以来の復帰戦、ジム移籍後初の試合ということで「これは現地観戦せなアカンな」と。
大急ぎで用事を済ませて後楽園ホールに向かった次第です。
野口将志勝利ぃぃぃ!!! 山口拓也に2-1の判定勝ちで4年3ヶ月ぶりの白星。いい笑顔しとったなぁww A-SIGN.BOXING現地観戦
ところが会場に到着すると、場内にアナウンスが。
「予定されておりました野口将志選手と柳達也選手の試合は野口選手の体調不良により中止となっております」
いやマジか……。
結構前から楽しみにしてて、汗だくになりながら会場に滑り込んだのに。
冗談でも何でもなく「ガビーン」という効果音が脳内に鳴り響きました。
てか、この「ガビーン」ってなるヤツ、本当にあるんすね笑
昔の漫画にありがちな演出ですけど。
到着早々、テンションがダダ下がりになったことを報告させていただきます。
千葉開が栗原慶太にTKO勝利。千葉は完全にゾーンに入ったな。ゴングとともにコーナーから飛び出して前のめりで栗原を待ち構える姿が印象的だった
お目当ての試合が中止と聞いてささくれまくった。正確な情報が一つもねえ笑
そもそも最初から怪しかったんだよな。
何時に行けば野口選手の試合に間に合うのかと思って調べてみたら、
配信ページの概要欄には「第3試合 ライト級」とある(「A-SIGN BEE.31イベント概要」から引用)。
ところが対戦相手の柳選手が所属する伴流ジムのブログには「第4試合 スーパーライト級」との記載が(「試合予定 | 伴流ボクシングジム」から引用)。
で、会場でもらったパンフレットには「第6試合 スーパーバンタム級」。
・第3試合 ライト級
・第4試合 スーパーライト級
・第6試合 スーパーバンタム級
なんすかねこれは……。
第3試合なら大急ぎで行かなきゃだけど、第4試合なら多少余裕が出る。第6試合なら自分のペースで行けばいい。
この程度の予定すら組ませてくれないって、さすがに適当すぎませんかね。
え?
舐めてんの?
バカなの?
まあ、実際舐めてるんでしょうね。
極論「メインとセミさえ成立させりゃあ勝手に喜ぶだろ」とでも思ってるんじゃないの?
もちろんリングサイドに陣取る“偉そうな謎のおっさん”連中も相変わらず。
あいつらが試合中に大声でアドビャイス()を送るあれ、クッソ寒いですよね。
「声出し禁止って言われても思わず出ちゃうよね〜」
↑企画もののAVか何かか?
別にお前らの恍惚を見たって1ミクロンも興奮せえへんぞ?
宇津木秀vs鈴木雅弘感想。ジャブで圧倒した宇津木が9RKO勝利。“何か偉そうなおっさん”との遭遇率UPで後楽園ホールが不快な空間に逆戻り
大人数の家来を引き連れて悦に入る様子もいつも通り。
先日ミニシアターで映画を観た際に関係者の内輪ノリが心底だせえと思ったけど、どいつもこいつも群れるのが大好きだよな。
映画「生きててよかった」はボクシング好きなら気に入る作品だと思うけど、劇場内に溜まってた関係者(たぶん監督、主演と取り巻き)の内輪ノリがクソ寒かったな。
マイナー業界の人間が群れたがるのはどの界隈も変わらんなと。遠足のバスの一番後ろみたいなダサいノリを見せられると一気に冷める。 https://t.co/fmgp0X2Qpy
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) May 16, 2022
などなど。
自分でも行き過ぎだろというくらいにささくれだっておりました。
代替のスパーリングが結構よかった。これまで観た中でトップレベル
そして、その低空飛行を宮崎選手? トレーナー? のスパーリングが救ってくれたという。
場内に「柳選手のスパーリングの相手はトレーナーを務める宮崎さんです」というアナウンスが流れた際は「おお!!」ってなりましたよね。
減量なしのナチュラルウェイトのパンチをブンブン振り回し、打ち返されるとロープにもたれて「もうダメ」の表情を浮かべる。
短い時間ながらも会場の空気をホットにして帰っていきました。
恐らく急遽駆り出されたのだと思いますが、これはファインプレーだったんじゃないでしょうか。
試合中止の代替スパーリングは何度か観たことがありますが、その中でもトップレベルによかったです。
おかげで僕のテンションも多少マシなものになりました。
宮崎辰也vs重田裕紀戦感想。宮崎選手惜しかった!! 剛腕ぶん回しでチャンスを演出するもTKO負け
栗原慶太vs小國以載は勝敗予想がしにくかったよね。普通に考えれば階級上の元世界王者が有利なんだろうけど…
メインイベントの栗原慶太vs小國以載戦ですが、こちらは4Rに発生したバッティングにより負傷ドローという結果に。注目された試合でしたが残念ながら尻切れとんぼで終わってしまいした。
この試合は個人的に結構複雑で、勝敗予想的なものがめちゃくちゃしにくかったです。
普通に考えれば階級上&元世界王者の小國以載がOPBFバンタム級王者の栗原慶太に負けるとは思えない。
その一方で約3年のブランクを考えると現在地がまったく不明。
一方「目標は井上尚弥」と公言する栗原慶太にとって元世界王者の小國は絶対に超えなくてはならない相手。
以前小國以載がスパーリングで井上に圧倒されたことを嬉しそうに語っていたのを聞いて「あ〜あ」と思った経緯もあり、井上を“倒すべき相手”と認識している栗原慶太に勝ってもらいたいところ。
ただ、小國って観察眼というか、洞察力がめちゃくちゃ高いからな……。
栗原慶太vs小國以載は勝敗予想は何とも言えないけど。
小國以載は鋭い洞察力&飄々とした我が道を行くってタイプで、少しだけ落合博満と似た空気感があるんだよな。
将来どうするのか知らないけど、ボクシングを続けるなら指導者というより弟子を育てるお師匠様みたいなスタンスが合いそう。
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) May 19, 2022
そんな感じで「何とも言えないけど小國有利かなぁ〜」「でも、それを口に出したくねえんだよなぁ」と悶々としたまま当日を迎えたわけでございます。
小國以載はやっぱりうまい。洞察力の高さと瞬時の判断力
試合の感想としては、小國以載はやっぱりうまいなと。
各パラメータの数値はそこまで高くないと思いますが、とにかく“うまい”。
恐らく1R終盤〜2R序盤あたりで試合勘が戻ってきたと想像しますが、それ以降は圧倒していたといってもいいくらい。
ボディストレートで栗原を突き放し、微妙にアングルを変えながら同時打ちのタイミングでカウンターを狙う。
また何度かパンチをもらって効いた局面もありましたが、そこでの対応も素晴らしい。
パンチを被弾して一瞬動きが止まるものの、すぐに距離をとって左を出しながら回り込んで時間を稼ぐ。
べた足でのしのし前に出るタイプの栗原にとっては非常にやりにくかったのではないかと。
ピンチを迎えても自分のやるべきことをわかっているというか。
事前に相手の特徴を把握しつつ、どの場面で何をやるか、何をやらないかを瞬時に判断している印象。
元世界王者・小国以戴が3年ぶりリング復帰…計量一発パスも「気持ちは『無』」 https://t.co/WA4RSNxlQQ #スポーツ #sports #ニュース pic.twitter.com/ZmR3pBiZBX
— スポーツ報知 (@SportsHochi) May 19, 2022
昔みたいに『勝つぞ』とか気持ちの高ぶりとかはない
試合感は鈍っているのは当たり前
このコメントを聞いて案外やるんじゃねえか? って思ったんですよね。
本音を見せずに飄々とした態度を崩さないのは相変わらずの小國以載です。
栗原慶太は左が上達してるっぽい。でも階級アップの影響も多少あったかな…
一方の栗原慶太は右の破壊力はもちろんですが、以前に比べて左がうまくなっている気がします。
前回中嶋一輝を3RTKOで下した際も思ったのですが、左を使って誘い出す、右を当てるチャンスを作る場面がこれまでよりも増えている気が……。
平岡アンディvs佐々木尽、栗原慶太vs中嶋一輝。数日遅れで視聴したので感想を。さすがの平岡アンディと栗原慶太の圧勝っぷり
ただ、小國以載がすぐに回復していたところを見ると、階級アップの影響は少なからずあったのかもしれません。今後小國との再戦が組まれるかは不明ですが、そのあたりにも注目です。
あとは2021年1月の井上拓真戦のようにネタを使い切ったときにどうするか? とかですかね。
試合時間が短かったので何とも言えませんが。
井上拓真vs古橋岳也、平岡アンディvs赤岩俊、石井渡士也vs福永輝、岩下千紘vs山名生竜。井上vsドネア2アンダーカード振り返り。あと、レイチェル・マーシャルさんがヨカタヨ
木村天汰郎はこの日のMVP。世界戦経験もある高橋竜平のプレスを凌ぎきっての判定勝利
そしてこの日もっとも僕のテンションを上げてくれたのがセミファイナルの木村天汰郎vs高橋竜平戦。2-0(77-75、76-76、77-75)の判定で木村天汰郎が勝利した試合です。
僕は木村天汰郎のことをまったく知らなかったのですが、あとで聞いたところ先日前田稔輝と対戦した木村蓮太朗の親戚とのこと。
前田稔輝vs木村蓮太朗現地観戦感想。初めて生で観たけどやっぱり前田稔輝カッコいいな。木村蓮太朗の粘りもすごくていい試合だった
しかも現在の戦績が10戦8勝2分でKOはゼロ。プロフィールを見た瞬間に興味が湧いた次第です。
対戦相手の高橋竜平は2019年1月に米・ニューヨーク州でTJ・ドヘニー挑戦した選手。ガードを上げてガツガツプレッシャーをかけるファイターだった記憶があります。
実際の試合ですが、本当に素晴らしかったです。
木村天汰郎は思った以上に足が速くカウンターのタイミングもいい。
1発の威力はそこまで感じませんが、どんな姿勢からでもパンチを当てる精度の高さやヒラヒラと身体を入れ替えるバランスには目を見張るものがあります。
場内は完全に高橋寄りというか、木村にとってはアウェイだったと思いますが、そんなことは知ったこっちゃない。
あれだけ後退しながらもしっかりパンチを当てつつ会場を覆う凄まじい空気も気にとめない。自分のできることをやり通すメンタルと根気強さは僕の琴線にビシビシ触れるものがありました笑
文句なしにこの日のMVPでございます。
判定結果が読み上げられた瞬間にどよめきが起こりましたが、いや、木村天汰郎の勝ちだと思いましたけどねぇ。僕はギリギリ木村が逃げ切ったと思っていたので場内の「は? 嘘だろ」みたいな反応はちょっと意外でした。
後半はだいぶ疲れてたっぽいですけどね。
高橋竜平のプレッシャーがキツかったのと、一つ一つのアクションが大きいせいで体力の消耗が激しかったのだと思いますが(ボディが効いたかどうかはちょっとわからんです)。
田中恒成vs橋詰将義感想。田中が人気ある理由がよくわかる試合。相手に力を発揮させた上でスピード&パワーでゴリ押し→ストップ勝ち
ちなみにこの試合のレフェリーは寺地拳四朗vs矢吹正道Vol.1で物議を醸したあの人がつとめましたが、やっぱりラフファイトに寛容なんですよね(小声
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