マーくん、神の子、中5日。田中将大が黒田化して好投!! 中5日でグレーティスト、中4日で凡ピー。わかりやすい別人っぷり

マーくん、神の子、中5日。田中将大が黒田化して好投!! 中5日でグレーティスト、中4日で凡ピー。わかりやすい別人っぷり

フロリダタンパイメージ
米・大リーグのヤンキースに所属する田中将大投手が2016年5月27日(日本時間28日)に、敵地で行われたレイズ戦に先発。7回を投げて2安打無失点で今シーズン3勝目をマークした。

初回をわずか13球で3者凡退にするなど、順調な立ち上がりを見せた田中は4回までパーフェクトピッチング。
5回先頭のピアースにヒットを許すものの、自らの好フィールディングなどもあり後続を断って無失点で切り抜ける。

味方打線が先制した3点リードを守ったまま7回82球を投げきり降板。昨年の9月以来、11試合連続負けなしとした。

プレート位置を変えることでツーシームの威力がアップ!!

田中マー君3勝目!!

今回の登板もかなりよかったのではないかと思う。
前回のアスレチックス戦(日本時間2016年5月22日)からプレートの位置を三塁側から一塁側に変えたこともうまく作用しているのだろう。
ピッチングの生命線であるツーシームにより角度がつき、右打者の内側に鋭く切れ込んで詰まらせる。奪三振率は落ちるものの、打者の芯をうまく外すことでゴロアウトになりやすい質のピッチングである。

今回のレイズ戦↓

5月6日のオリオールズ戦↓

プレートを踏む位置が変わっていることがはっきりとわかると思う。

実際前回、今回とツーシームの威力がアップし、相手打者が差し込まれるシーンが増えている。内側を意識させることによって外側へのスライダー、スプリットがより効果的な球となり、好循環を生んでいる状況だ。

このクオリティのピッチングができれば球数の管理もしやすくなる。
前回登板が7回92球、今回が7回82球という結果がそのことを如実に表している。今のところ、プレート位置の変更は田中にとって好結果をもたらしてくれているのではないだろうか。
このピッチングを続けていけば、いずれチームの大エースになれる日もくるかもしれない。そう感じさせてくれるだけのピッチングを2戦連続で見せてくれている。

対左打者が課題? スプリットの落ちが悪いのが気になる

ただ、決していいことばかりとも言いきれないのが難しいところではある。
確かにプレート位置の変更によってツーシームの威力は増した。右打者に対してはかなりパワフルに攻められるようになった。それは間違いない。

だが、左打者からはやや見やすい軌道になっているのではないだろうか。
もともと左打者に対して外角に鋭角に落ちる軌道が持ち味の球だったのだが、プレート位置の変更によって若干沈む角度が緩くなっているように感じる。しかも一塁側から投げ込むことで確実に真ん中に入りやすくなっている。わずかな投げミスが即ホームランボールになる危険性をはらんだ球といっていいと思う。

まあそうはいっても、本当にわずかな誤差だ。正直、そこまで深刻に捉えるほどではない。それより、右打者への球威がアップしたことで得られる恩恵の方が大きいと考えるべきなのだろう。

一つ気になる部分としては、今シーズンに入ってスプリットの落ちが若干トロくなっていることだろうか。
特に今回のレイズ戦ではスプリットがダメダメで、スライダーを多投して左右の揺さぶりでピッチングを組み立てていた。

好投した前回、今回の登板でも、肝心の場面でスプリットを芯で捉えられるシーンが見られたことが懸念材料ではある。特にプレート位置を変えて左打者対策が課題になりそうな中、スプリットの不調は今後の成績に直面する可能性がある。
これが一時的なものなのか、それとも恒常的に続くものなのか。今後のピッチングに注目していきたい。

「2017年田中マー君はサイヤング賞を獲得できるか? 実はダルビッシュよりも可能性が高い?」

田中マー君の黒田化が止まらない。ここから先は黒田を超えられるかに注目だ

プレートの一塁側を踏むことで得意のツーシームの威力をさらにアップさせ、右打者の内側を抉って打球を詰まらせる。外側へのスライダー、スプリットとのコンビネーションで揺さぶり、凡打の山を築く。
そのかわりスライダー系の角度がつきにくく、左打者は踏み込みやすい。

なるほど、これは完全に広島カープの黒田博樹だ。

「黒田年俸6億で契約更改!! 広島カープとかいう金満球団」

もともと田中のピッチングスタイルは黒田に近かったことは確かだが、プレート位置を変えたことでその傾向はより強まったといえる。

そして、ここから先が田中マー君の本領発揮になるのではないだろうか。

プレート位置を変えることによって軸となるツーシームの威力をアップすることに成功した。だが、左打者に対しては苦労することが予想される。

じゃあ、どうするの?

とりあえず黒田博樹のスタイルは持ち前の器用さであっさりと自分のものにしてみせた。次はそれをベースに黒田博樹を凌駕する番である。

恐らく田中の投球術があれば、今のままでもそこそこ抑えることは可能だ。
だが、本当にエースと呼ばれる投手になるにはここから一段上に行く必要がある。そのために田中はどんな答えを見つけるのか。

「巨人? 広島? 優勝はどっちだ? セリーグ優勝ラインは80勝超えだろうな」

個人的な意見を言うのであれば、やはり進化のカギはスラッターの使い方にあると思っている。
以前の記事でも申し上げたように、今シーズンの田中はスライダーを進化させたスラッターを投げている(カッターとスライダーの中間の球なのでスラッター)。
80マイル後半のスピードで鋭く横滑りしながら沈む球、最近メジャーでトレンドとなっている変化球である。

「田中マー君覚醒!! スライダーの高速化、スラッター化でレベルアップ」

僕が思うに、左打者対策として最も有効な球になるのがこれではないだろうか。
鋭く横滑りする球を膝元に投げ込むことができれば、左打者は思いきって踏み込むことができなくなる。外側へのツーシームとスプリットがより効果を増してピッチングの幅が広がるというわけである。

ただここ数試合を見る限り、田中はこのスラッターをここぞというときしか投げていない。
いわゆるピンチの場面やこの回で降板になるという場面でのみ解禁して、それ以外ではこれまで通り80マイル前半のスライダーを投げているのである。
つまり、よく言う「ピンチの際のギアチェンジ」。このときにしかスラッターを使っていないのだが、これを通常時の左打者への決め球にも使うことができれば、相当ピッチングが楽になると思うのである。

恐らくスラッターという球は腕にかなりの負担がかかるのだろう。もともと不安のある肘が悪化する可能性が高く、あまり多投することができないのだ。

だが、今後田中がもう一段上に行くには、やはりこの球は必要になることは間違いない。もちろん普通のスライダーのみで抑えられればいいが、それはなかなか難しい。せめて苦手な左打者には勝負球として使ってもいいのではないだろうか。

まあ、もしかしたら田中本人が「もう一段レベルアップする」といったことにあまり興味がなく、シーズンを怪我なく乗り切ることに比重を置いているのかもしれないが。

「大谷翔平2016!! 二刀流に大賛成の僕が今さらだけどその理由を語ってみる」

結局中5日か中4日の違いですよ

長々と書いてはきたものの、ここ最近の田中の好調の一番の要因は結局登板間隔だ。

中4日の登板となったロイヤルズ戦、ホワイトソックス戦では7回7安打6失点、5回8安打4失点。
中5日の間隔を与えられたアスレチックス戦、今回のレイズ戦では7回5安打1失点、7回2安打無失点。
一目瞭然である

不調の続いたロイヤルズ戦、ホワイトソックス戦では「手術しろ」「肘がよくないのは明白」「普通以下のピッチャー」などと罵声が飛んでいたが、何のことはない。原因は単なる中4日による疲れに過ぎない。肘のせいにしたい気持ちは痛いほどわかるが、残念ながらそれは関係ない。
その証拠に前回、今回と登板間隔が中5日に戻った途端に連続の好投である。まさしく「マー君、神の子、中5日」だ。

これはもう、メジャーに挑戦する日本人投手にとって永遠の課題なのだろう。
マエケンもさい先よく勝利を重ねてセンセーションを巻き起こしたが、すでに成績を急降下させている。これも中4日の登板による疲れであることは明白過ぎるくらい明白だ。
もともと平均球速が90マイル前後と、メジャーのローテーション投手としてはボーダーラインギリギリである。それが落ちれば当然打たれるに決まっている。恐らく今のマエケンの球では打者3巡目前後でつかまるパターンが多くなるのではないかと思う。

「前田健太、抜群の適応力でノーノー未遂!! やべえ、本物だわ(調子を維持できれば……)」

それくらい日本人投手にとっての中4日は鬼門になっているのだ。

トミー・ジョン手術から復帰登板を迎えるダルビッシュも同様だ。
ダルビッシュは日本人投手で唯一サイヤング賞をとれる可能性を持ったピッチャーだと思っているが、それでもやはり中4日という課題を克服しない限り難しいと言わざるを得ない。

Advertisement

 

【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!