阪神マット・ヘイグ(マット・ハグ)は活躍・成功できるか?【新外国人補強】強打の3塁手を好き勝手に評価してみる。阪神課題の三塁手問題は解決するのか?

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夕日イメージ
阪神、新外国人マット・ヘイグ獲得決定か?

MLBブルージェイズが、マット・ヘイグ内野手を譲渡金30万ドル(約3700万円)で阪神タイガースへ移籍させることに合意したと、現地のスポーツ専門局スポーツネット電子版で報道された。

前々から阪神が調査中との噂が出ていた同選手ではあるが、確度の高い情報が出たことで獲得はほぼ間違いないといってよさそうである。

というわけで、今回は「阪神マット・ヘイグ(マット・ハグ)は活躍できるか?【新外国人補強】」と題して、阪神が獲得するであろう新外国人のマット・ヘイグを好き勝手に評価してみたいと思う。

前回の記事で阪神の補強について適当極まりない記事を書いたところだが、ストーブリーグがスタートして徐々に来季補強の全容がぼんやりと見えてきた次第である。

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2016年の阪神タイガースが厳しいのは誰が見ても明白な中、どの程度まで戦力を充実させることができるか。今後も緩く見守っていきたいと考えている。

ローボールヒッターのヘイグ。いい選手っぽいぞ?

このヘイグ、結論から言うと悪くない選手ではないかと思う。

映像をいくつか見た上での印象を羅列すると、

・ローボールヒッターである
・特に左投手の緩い変化球(カーブやスライダー系の内側に入ってくる球)に強い
・左投手の外のチェンジアップにもバットが届く
・構え、スイングまでの動きを見る限り、スピードボールに間に合わなそう
・特にインハイのスピードボールが苦手

概ねこんなところだろうか。

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ちなみに今シーズン(2015年)は自己最高の打率.338(AAA成績)を残している。しかも2010年から毎年のように.280以上の高打率をマークしている選手である。

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これだけ毎年好成績をおさめながらメジャーに定着できないのは、やはり先ほど言ったように右投手が苦手であることが大きな原因ではないかと思う。
高い位置にバットを構え、いったんヒッチしてから始動するスイングなので、メジャーの95マイルを超えるスピードボールにはどうしても遅れてしまうのだろう。しかもあれだけバットを高く構えてそこから下ろす動きなので、インハイのボールへの対応はかなり窮屈になってしまいそうである。

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また、守備位置がファースト、サードのみ(外野もできる?)というのもメジャーに定着できない大きな要因の一つだろう。
ファースト、サードは基本的にチームの主軸が守る花形ポジションであることを考慮すると、やはりヘイグの打撃成績では物足りないと言わざるを得ない。

というより、競争相手が常にチームの主軸であるためにどうしても出場機会に恵まれなかったということなのだろう。
特に2015年に所属したブルージェイズはチーム本塁打数、打点がリーグ1位、チーム打率がリーグ2位の強打のチームである。しかもファースト、サードにはドナルドソンやスモーク、コラベロなどの中心打者がおり、現状ヘイグが入る余地はないと言っていい。

右投手が苦手であることに加え、競争相手が常にチーム1、2を争う強打者。そして30歳という年齢。これが今回マット・ヘイグに日本行きを決意させた理由なのだろう。

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ただ、NPB(特にセリーグ)には95マイル(約153km)以上のスピードボールをバンバン投げ込むような投手はめったにいない。強いていうなら阪神の藤浪だが、幸いなことに彼は味方である。
あれだけ高く構えて大きくヒッチするスイングでも、NPBの投手相手であればある程度やれるのではないだろうか。

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後は日本にくる外国人が苦労することの多い外に逃げていく変化球。ボールになるスライダー系の球にどの程度対応できるかだが、これに関しては映像が見つからなかったので今の段階では何とも言えない。

ただBB%(四球率)を見る限り選球眼はそれなりにありそうなので、ボール球にはある程度バットが止まるタイプなのかもしれない。
そう考えると、日本の配球に慣れれば十分やれるのではないだろうか。この辺はコーチや周りの人間がいかにケアするかにかかっていると思うが。

得意だと言われている対左投手だが、こちらに関しては素直に期待してもよさそうである。
繰り返しになるが、スイングを見る限り低めの緩い変化球には強さを発揮するのではないかと考える。左投手のカーブやスライダー系、内側に入ってくる球にはかなり強そうである。

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さらにスピードボールに弱点がありそうだとは言ったが、日本の左投手(特にセリーグ)には現状、速球派は皆無だ。
強いていうなら中日の大野だが、あの程度のスピードであれば恐らく十分対応できるだろう。フォークボールは要注意だが、ローボールヒッターのヘイグなら慣れれば問題ないのではないだろうか。

巨人のポレダも相当速い直球を持ってはいるが、球種自体が少ないのでこちらも対応はしやすいと予想する。

以上がパッと見たところの率直な印象だが、総じて悪くはないと思う。

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確実性の高そうな成績。選球眼のいい中距離ヒッター

ではここからは、アメリカでのヘイグの成績(AAA)を抜粋して、どのような打者なのかを考えていこうと思う。

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2013〜2015年のAAAでの成績を抜粋してみたのでご覧いただきたい。
なお、自分で計算している数値もあるので、多少の間違いは大目に見ていただけると幸いである。

・AVG(打率)
2013年:.285
2014年:.282
2015年:.338

・SLG(長打率)
2013年:.407
2014年:.465
2015年:.468

・BB%(四球率)
2013年:11.4%
2014年:11.0%
2015年:10.2%

・K%(三振率)
2013年:15.4%
2014年:17.2%
2015年:10.9%

これを見ると、全体的に打率はそこそこ高く長打率はまあまあ。K%(三振率)が低く、BB%(四球率)が比較的高い数値を記録していることからもわかるように、確実性のある中距離ヒッターという傾向が見てとれるのではないだろうか。

ちなみに2015年のメジャーでの三振率は26.7%と大幅に悪化しており、やはり95、96マイル以上のスピードボールにはついていけていなかったのだろうと思われる。

そして2015年のメジャーでの対左投手、対右投手それぞれの成績は、
対左:.400
対右:.143
となっている。
AAAでの成績を見つけられなかったので打席数の不足は否めないが、対左に限って言えばメジャーでもある程度やれるレベルの打者なのではないかと思う。

比較対象として、日本ハムのレアードのアメリカ時代、2014年のAAA成績を挙げてみると、
AVG .300
SLG .490
BB% 6.7%
K% 19.0%
となっている。

これを見ると、長打こそレアードに劣るものの、選球眼やバットコンタクトの技術に関してはかなり上回っていると考えてよさそうである。

当たれば飛ぶけど当たらない扇風機という、ダメ助っ人にありがちなパターンに陥る確率は低そうである。

ちなみにNPBでのレアードの1年目は、
AVG .231
HR 34
RBI 97
という成績だった。
この成績であれば打率以外は大成功の部類に入ると思う。

これらを鑑みた上で、マット・ヘイグのNPBでの成績を予想すると、

AVG .270
HR 15
RBI 75

くらいになるのではないだろうか。
もちろんレギュラーとして常時試合に出たと仮定した上での成績である。

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レアードとはタイプが微妙に違うので単純な比較はできないが、及第点の活躍はするのではないだろうか。
及第点ではあるが、三塁手の助っ人としてはやや物足りない。そんなイメージの成績を残すような気がする。

右打者有利の甲子園が本拠地になるのである程度の補正がかかるかもしれないが、概ね元DeNAのバルディリスに近い成績になるのではないだろうか。
日本食が合わない、チームになじめないなど、負の要因は当然考えられるので一概には言えないのだが。

守備に不安? 阪神ファンの辛抱が試される?

守備位置はサードを想定しているようだが、こちらは実際どうなのだろうか。聞くところによるとあまり上手ではないらしいが。

守備率も.930~.960と低い数字が出ているので、不安が残る部分ではある。
映像を見たわけではないので、打球処理、送球どちらに難があるのかはわからない。仮に本当に下手だったとして、果たして阪神ファンはそれを我慢することができるだろうか。

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完全に地蔵守備と化したショート鳥谷とサードヘイグ。この三遊間を、辛抱の欠片もない阪神ファンが温かい目で見守ることができるのか。
むしろバッシングの嵐を浴びせて左の代打専用機に追いこんでしまう可能性すらあるのではないかと懸念するが、いかがだろうか。

もし対左用の代打専用機になりさがった場合、外国人枠を1つ消費することも考えると相当コストパフォーマンスは低下してしまう。ただでさえ戦力が足りていない中でこれは相当痛いので、どうにか辛抱していただきたいところだ。

マートンの半額以下でマートン以上の成績

守備はともかく、何度も言うようにこのマット・ヘイグを獲得することは阪神にとって悪くない。

退団が決定したマートンの2015年の成績が、
AVG .276
HR 9
RBI 59
で、年俸が4億5000万円(推定)である。

今回のヘイグ譲渡金が4000万円弱ということを考えると、総額でもマートンの半額以下と考えて間違いなさそうである。
つまり、1億~2億で2015年のマートン以上の打者が買えて、なおかつ課題だった三塁手が埋まるのだから、総じて悪くはないと思うのだ。

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ちなみにだが、ヘイグと同時期に獲得候補に名前が挙がっていて、先日DeNAが獲得を発表したジェイミー・ロマックという選手。
少し見たがあれはダメだ。あれは本当に獲得しなくて正解だったと思う。
きっと梅雨の時期くらいに「なぜバルディリスを切ったんだ? GMは無能なのか?」と言われているような気がする。
もちろん日本の野球に適応して大化けする可能性は否定しないが。

とにかく、ここ数年とはうって変わって慎重な補強姿勢を見せる阪神タイガース。大物に破格の複数年契約を提示する節操のないいつもの補強に比べると、完全に派手さが鳴りをひそめている。
手堅い補強は阪神としては若干物足りない感があるのだが、それもまた一興である。今後も引き続き注視していきたいと思う。

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