吉田実代vs小澤瑶生戦。露骨なローブローが大ごとにならない女子ボクシング? 男子だったら悶絶もののアレが下腹部に何発も入ってたけど【結果・感想】
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2022年5月30日に東京・後楽園ホールで行われた「MISAKO BOXING」興行を現地観戦したのは先日申し上げた通り。
村田零士vs今成太希戦現地観戦感想。この日の文句なしのベストバウト。村田選手は残念だったけどすごい試合だった。激闘の末に今成選手がTKO勝利
第2試合の村田零士vs今成太希戦を目当てに足を運んだわけですが、今回はその日のメインイベントについて。
WBO世界女子S・フライ級タイトルマッチ、王者吉田実代vs挑戦者小澤瑶生戦でございます。
前回も申し上げたのですが、最初はこの試合にあまり興味がわかず。
僕の中での吉田実代選手はボクサーというよりもキックボクシングの選手。2011年にシュートボクシングで神村エリカにKO負けした試合を始め、2010年代前半の女子格闘技を支えた1人という印象です。
なので、この人のボクシングの試合は実はほとんど観たことがない。
辛うじて2017年10月の高野人母美戦が記憶にあるくらいでしょうか。
挑戦者の小澤瑶生選手に関してはまったくの知識ゼロ。
パンフレットを眺めても「やたらとブランクがあるなぁ」「これでいきなり世界王座に挑戦できちゃうんだ」と漠然と思った程度です。
そんな感じでテンション低めのまま観戦スタートとなった一戦。
その割には楽しめたので、今回はこの吉田実代vs小澤瑶生戦の感想を言っていきたいと思います。
両者入場。スラッとした小澤選手と低い姿勢の吉田選手
最初に青コーナーから挑戦者小澤瑶生選手が入場します。
スラッとしてデカく見えます。
続いて王者吉田実代選手。
ああ、そうそう。
確かこんな顔でしたね。
ガウンがすげー派手です。
両選手の紹介、試合前セレモニーが終わり、いよいよゴングが鳴ります。
リング中央で対峙する両者。
クラウチング気味に低い姿勢で構える吉田選手に対し、小澤選手は背筋を伸ばしてスラッと立ちます。
数字上はあまり違わないらしいですが、両者の上背にはかなり差があるように見えます。
ガードを上げて前進する吉田選手をスピーディな連打で迎撃する小澤選手。約3年ぶりの試合でこのパフォーマンスは素晴らしい
試合展開も見た目通りで、ガードを上げて前進する吉田選手を小澤選手がスピーディなジャブ、ワンツーで迎撃する流れが続きます。
足が速く左右に動きながらジャブを連打する小澤選手に対し、吉田選手は高いガードとパリングを駆使してじりじり距離を詰めます。
ですが、思った以上に小澤選手のジャブが速く(威力もある?)、吉田選手はなかなか自分の射程に入れません。
吉田選手の左は届かず、
小澤選手のジャブだけが当たる。
被弾しつつも前に出続ける吉田選手ですが、小澤選手は距離が詰まるとさっと頭を下げてクリンチに。懐で暴れたい吉田選手の動きを早めに封じていきます。
低い姿勢で前に出る吉田選手とそれを遠い位置で待ち受ける小澤選手。
計量で並んだ写真ではあまり身長差はなさそうですが、リング上で対峙すると小澤選手が一回り大きく見えます。
出産11か月で世界挑戦の小沢瑶生 、吉田実代とのママさん対決に「ワクワクしている」 https://t.co/ODHvstbz7M #スポーツ #sports #ニュース pic.twitter.com/U11qHkMZ2Q
— スポーツ報知 (@SportsHochi) May 29, 2022
左をよけながらの右クロス。
接近戦での右アッパー。
ラスト3Rあたりは相当な疲労感だったと思いますが、何だかんだで最後までジャブのスピードは落ちず。
2-1(97-93、97-93、94-96)の判定で見事念願の初戴冠(3度目の世界挑戦だったらしい)を果たしました。
レフェリーにベルトを巻いてもらいます。
素敵笑顔ゴルァ笑
対戦相手をよく研究してきたことが伝わる&ど根性のナイスファイト。
約3年ぶりの試合でこのパフォーマンスはお見事でした。
吉田選手は絶対に負けちゃダメな試合だった。3年のブランク&産後で身体を動かしていない相手に世界王者が負けた事実は重い
逆に吉田選手は今回は絶対に負けちゃダメな試合でした。
小澤選手は約3年のブランク&オファーを受けたのが産後4ヶ月の時期だったとのこと。子育ての真っ只中でまったく身体を動かしておらず、最初はとてもじゃないが世界戦などできるわけがないと思ったとか。
短期間であそこまで仕上げた小澤選手が素晴らしいのはもちろんですが、それだけブランクのある相手に世界王者が負けた事実はまあまあ重い気がします。
黒木優子vsモンセラット・アラルコン。黒木優子は王座統一ヨカタ。結構際どかったけど。女子ボクシングは男子とは別競技だよね
ちなみに採点が割れた理由はよくわからんです。
僕は普通に小澤選手の勝ちかなぁと思っていたので、ジャッジ1人が吉田選手支持と聞いて「へぇ〜」となりました。
もしかしたら吉田選手は頭の一番硬い部分でパンチを受けているおかげで身体が流れるシーンが少なかったのがよかったのかもしれません。
逆に小澤選手は被弾こそ少ないものの、毎回後ろにのけぞるようにもらうせいで印象が悪かった? のかも?
吉田選手のローブロー連発とまったく動じない小澤選手。なるほど。女子ボクシングってこういうことがあるのか
そして、今回もっとも印象に残ったのが吉田選手のローブローの多さと小澤選手がそれにまったく動じなかったこと。
この試合は吉田選手の前進を小澤選手がクリンチで抱えるシーンが頻発したと申し上げましたが、その際に吉田選手のローブローが山ほど炸裂していました。
途中からそればかり気になって試合に集中できなくなるくらいに。
対する小澤選手は抗議するそぶりすら見せずに基本はされるがまま。
時おりセコンドから「低いよ!!」との声が飛んでいましたが、レフェリーは全スルー、吉田選手も最後まで躊躇することなく下腹部をぶん殴り続けました。
ああ、なるほど。
女子ボクシングにはこういう部分で男子との違いがあるわけね。
普段「打ち合いの真っ最中にバッティングやローブローをアピールして相手に隙を見せる選手が嫌い」と喚き散らしている僕ですが、今回に関してはそんなレベルじゃない。
仮にこれが男子であればアピール云々以前の話。1発で悶絶するようなヤバいヤツが何度も突き刺さっておりました。
シャクールvsナカティラ、鈴木雅弘vs永田大士、赤穂亮vs杉田ダイスケ振り返り。地獄のシャクールにあの名選手とそっくりな鈴木雅弘
僕もこれまでの人生で世の標準的な男性と同程度には下腹部への誤爆を受けてきた自負があります。
知り合いの肩が突き刺さったり、ワンバンしたボールが下から抉りこんできたり、鉄棒で巻き込んだり。
なので、生まれてきたことを後悔するような“あの瞬間”の苦しみは多少なりとも理解できているつもりです笑
逆に女性の痛みというのはよくわかっておりません。
ただ、今回の小澤選手の様子を鑑みるとそこまで酷いことにはならないという噂も?
少なくとも我々(笑)のように人間を辞めたくなるほどの地獄を味わうわけではなさそうです。
女子ボクシングに限ってはローブローで相手の集中力を乱す→顔面を攻撃する腹黒戦略も成り立つ?
吉田選手のローブローが故意などと言う気はありませんが、よくも悪くも“ローブローで腰を引かせる→低くなった顔面を攻撃”という珍妙な流れができていたのも事実。
そう考えると、極論女子ボクシングに限っては「ローブローで相手の集中力をかき乱して顔面の守りを疎かにさせる」的な腹黒戦略も成り立つのかな? とも思ったり。
ましてや吉田選手は“シングルマザーの世界王者”の肩書きで謎の好感度がありますからね。
「この選手がそんなことをするわけがない」というイメージを逆に利用してダーティに転じるとか。
繰り返しになりますが、吉田選手のローブローが故意だと言う気はまったくありません。
また、倫理的に問題があるようなら諸々の発言を大至急撤回します。
ちなみにこの試合のレフェリーは寺地拳四朗vs矢吹正道Vol.1を裁いた人でした。相変わらずラフファイトに寛容ですよねあの人。
栗原慶太vs小國以載、木村天汰郎vs高橋竜平現地観戦。MVPは文句なしに木村天汰郎。急遽のスパーリングも結構ヨカタ笑
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