山中vsモレノ再戦予想!! 疑惑の判定勝利から1年。因縁の対決に決着をつけられるか? 暴落した株価を再び上昇気流に乗せられるか?【リマッチ】

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大阪ストリートイメージ
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2016年9月16日にエディオンアリーナ大阪でWBC世界バンタム級タイトルマッチが開催される。

「神の左()炸裂でモレノを撃破!! 山中慎介が宿敵とのリマッチを制して11度目の防衛に成功!!」

同タイトルを10連続防衛中の王者山中慎介が、ランキング1位の挑戦者アンセルモ・モレノを迎えうつ一戦。
両者は2015年9月に対戦し、2-1の僅差判定で山中慎介が勝利を収めている。だが、モレノの技巧に翻弄されて最後までペースを掴むことができず、判定結果は多くの物議を醸した。

「山中がモレノに判定勝ち!! 僅差判定で辛くもモレノに勝利した山中慎介は底が見えた?」

再戦となった今回、最強挑戦者の牙城を代名詞の「神の左」で粉砕することができるだろうか。

なお、この試合は同日に行われる長谷川穂積vsウーゴ・ルイスのWBC世界S・バンタム級タイトルマッチとのダブル世界戦として開催される。

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あまり興味がない再戦だったけど、あれ? もしかして意外とおもしろいんじゃね?

山中vsモレノ再戦!!

正直に申し上げると、僕は当初、この試合にあまり興味が沸かなかった。
前回の試合は微妙な判定だったとはいえ、両者とも死力を尽くした好試合だったことは間違いない。だが、これをもう1回観たいかと聞かれれば答えは「No」である。だいたいモレノの動きもわかったし、あえて2度も観たい試合とは思えなかったのである。

そもそも論として、僕はリマッチというのがあまり好きではない。いくらいい試合でも1度目と大きく変わることはないだろうし、それなら別の選手との試合を観たいというのが本音である。判定が微妙だろうが、そうでなかろうが。
もっと言うと、IBF王者のリー・ハスキンスとの統一戦を期待していたために、国内防衛戦と聞いてがっかりした部分も大きい。

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そんないきさつであまり興味の沸かない試合だったのだが、「長谷川穂積vsウーゴ・ルイス戦と抱き合わせで開催される試合だし一応触れておくか。興味ないけど」という軽い気持ちで前回試合を観たところ、ちょっと考えが変わった次第である。
「あれ? 実は意外とおもしろいんじゃないか?」

モレノの実力は山中以上だった。特にディフェンスの技術はまさしく「亡霊」

まず前回の試合を観直した上での率直な感想だが、純粋な実力だけでいえば山中はモレノに負けていたと思う。
リードの右の精度、身体のさばきやディフェンスに対する意識、位置取りのうまさなど。総合力ではモレノの方が一枚上だったと言わざるを得ない。

山中の代名詞でもある左ストレートだが、これも残念ながらモレノに攻略されていた。
右を数発見せておいてから大きく踏み込んでの左。これが山中の最強かつ唯一の必勝パターンだが、あの試合のモレノはこの左を見事に対策してきていたのである。

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山中がモーションに入った瞬間、モレノは左側に大きく身体を倒して山中の左が届かない位置に頭を移動させる。そのまま身体を寄せ、山中の右の脇の下に頭をねじ込む。身体を密着させることによって攻撃する箇所を隠すと同時に、山中の次のアクションを封じる作戦である。

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もともとの構えがやや腰を折ったくの字型であるため、膝を曲げてほんの少し身体を寝かせるだけで安全圏にエスケープすることができ、なおかつ復元力も高い。1発打つたびに頭を下げ、攻防のつなぎに間ができてしまう和氣慎吾とはレベルが違う。自分の特徴をよく把握した上での防御である。

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山中が左をボディに持ってきた場合は素早く身体をひねり、パンチを背中で受ける。こちらも半身の構えの特徴を最大限利用したモレノらしい防御といえるだろう。

スピーディな踏み込みや派手なフットワークだけではない。「亡霊」と呼ばれるテクニシャンぶりをふんだんに発揮したモレノの見事な山中封じだったのである。

そしてリードパンチである右のジャブ。
あらゆる角度から放たれる多彩な右が、ガードの甘い山中の顔を再三跳ね上げる。試合の主導権を支配する役割とともに、山中にもう一歩の踏み込みを躊躇させる効果も発揮していたのではないだろうか。

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前回の試合を改めて観てわかった。山中の右はモレノに通用する

対する山中だが、こちらはいたっていつも通り。
右で距離を測り、相手を崩しておいてから必殺の左につなぐ。手の届く位置までまっすぐ近づき、相手が出てきたらまっすぐ下がる。
槍の一手というか、やっていることは本当にこれだけである。

ただ、試合を観直してみてわかったのだが、山中の右はモレノに十分通用していた
もちろんモレノの右の方が上であることは間違いないし、山中のガードは相変わらず甘く被弾も多い。だが、よく見ると山中の右もモレノに十分ヒットしているのである。

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モレノは試合のペースを作り、ポイントをピックアップするために右を出す。
それに対し、山中の右はあくまでもくさび。左の大砲につなげるためのつなぎの役目を果たすものである。だが、それでも十分多彩で精度も高く、モレノに踏み込みを躊躇させるだけの効果は発揮していた。

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どのような試合になるかはモレノ次第。前回は終始ペースを握った上で「負けた」

再戦となる今回の試合だが、どのような展開になるかはモレノ次第ではないかと思う。

前回の試合は、オープン・スコアリング・システムも影響してラウンドごとに流れが大きく変わった試合である。

試合序盤から軽いジャブでポイントを取りにいったモレノだったが、4R終了時点でリードを許してしまう。
これを受けて、モレノは5Rから積極的にパワーパンチを打ち込んでいく。そして、8R終了時には逆にリードを奪い返してみせるのである。

だが、9R以降は逆に山中が前に出て強引に流れを引き戻す。10Rに得意の左をヒットしてモレノをぐらつかせ、この日一番の見せ場を作る。

勝負となったラスト12R。
リードしていると判断したか、モレノが守勢に回る。
そして、結果的にこの判断が裏目に出ての2-1。僅差判定で山中が判定勝利を収めたという試合である。

恐らくだが、あの試合でモレノがミスを犯したと言えるのは10Rにもらった左くらいだと思う。危険地帯に踏み込み過ぎたところに、山中の左をカウンターでもらってしまったシーンである。疲れのせいで踏み込みが甘くなったのかもしれないが、それ以外はほぼ完璧な試合運びだったのではないだろうか。

そして、その上でモレノは敗北を喫したのである。

つまり、細かいジャブをヒットするよりも1発のパワーパンチの方がはるかに評価が高いという傾向がモロに出た試合。
前半4Rで山中がリードしていたことからも、モレノのディフェンシブなスタイルが予想以上に低評価だったことは明らかである。
もちろん多少のホームタウンデシジョンはあったと思うが。

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勝敗予想は山中の判定勝利。案外モレノのできることが少ない?

これらを踏まえた上での勝敗予想だが、僕は今回も山中が判定で勝利するのではないかと思っている。

ディフェンシブなスタイルでポイント奪取に失敗した前半。
攻撃的に前に出て逆転した中盤。
失速して最後の最後に攻めきれなかった後半。

この流れを見ると、実は今回、モレノができることは意外と少ない

ジャブを多用するディフェンス重視のスタイルではポイントを取ることができない。かといって、山中の強打を警戒しつつ攻撃的に出続けるのは4、5Rが限界。試合開始直後からハイペースで攻めていては前半でガス欠である。

そう考えると、案外モレノは詰んでいると考えられないだろうか。
山中の強打に対する警戒心が強すぎるために印象的なパワーパンチを打ち込めない。これはかなり致命的である。

残された手段は一か八かのカウンターくらいだが、前回の試合で山中の強打を体感したモレノがそのリスクを冒してまで山中の踏み込みを許すだろうか。

あくまでジャッジの傾向が前回同様であること、山中が調子を維持していることが前提だが、今回の試合も山中が判定勝利を収めるような気がする。

ちなみに前回の最終ラウンドでモレノが攻めなかった理由だが、あれは単純な失速ではないかと思っている。リードしているという判断などではなく、ただ足が前に出なかった。10Rにもらった左の影響もあり、モレノが限界を超えていた。これがファイナルアンサーではないだろうか。

国内防衛記録更新を狙うのは全然悪いことじゃない。むしろ偉大な先人に肩を並べる偉業だろ?

僕は常日頃から山中慎介に対して「衰えが顕著」だの「国内防衛記録更新を目指した方がいい」だのと言いたい放題言っている。だが、何だかんだで応援している選手であることも事実である。

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また「本当に評価されるのは誰と試合をして、誰に勝ったかだ」と言われて久しいが、だからと言って「国内防衛記録などに何の価値もない」というのは違うと思っている。

具志堅用高の13連続防衛という記録は、内山高志や長谷川穂積でも手が届かなかった不滅の金字塔である。その事実だけでも、この記録の偉大さが証明されているのではないだろうか。

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13度の防衛というのは、年3回のペースで試合をして4年4カ月かかる数字である。もちろんその間にマッチメークのタイミングや故障などで時期がずれれば、あっという間に5年以上の月日が過ぎてしまう。

5年以上にわたって同階級での強さと体型を維持する。これは普通に考えてすごいことである。
自分に当てはめてみればわかるが、5年前と今の自分がまったく変わっていないと断言できる人はそう多くないのではないだろうか。強さ云々はともかく、体重を維持するだけでもかなりの節制が必要になるはずである。

「相手を選んで防衛戦をしていれば抜くことは可能」という話も聞くが、内山高志のように最後の最後にババが隠れている可能性もある。

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どう考えても「国内防衛記録などに何の価値もない」などと軽々しく言えるようなものではないのである。

まあ英国でのリー・ハスキンス戦を期待していた手前、国内防衛戦と聞いてガッカリしたことは否定しませんけどね。

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