ほら見ろ。今のウェールズはそこまで強くない。日本が勝つタイミングはここしかないというくらいに。30-33で惜敗【2016年11月19日ラグビー感想】
2016年11月19日にイギリス南西部カーディフにあるプリンシパリティスタジアムで行われたラグビーテストマッチ。
ヨーロッパ遠征第2戦の日本代表は世界ランキング6位のウェールズと対戦し、30-33で惜しくも敗れた。
序盤、2本のPGで先制した日本だが、その後すぐに2本のトライを喫して逆転を許す。
前半を1点差で折り返したものの、後半は一時11点差まで離され劣勢を強いられる。
だが、ここから脅威の粘りを見せ、2つのトライを奪い返して30-30の同点まで追いつく。
最後は残り9秒でドロップゴールを決められ大金星とはならなかったものの、7万人を超えるアウェーの中で日本ラグビーの進化を見せられたことは大きな収穫となった。
いや、今のウェールズはそんなに強くないからな? 日本が接戦に持ち込めたのはまぐれじゃないぞ?
今回はまず、思いっきりドヤ顔させていただきたいと思う。
「ほら見ろ、今のウェールズはそんなに強くないって言っただろ? お?」
「ウェールズvs日本戦予想!! ラグビーテストマッチ2016。日本勝てるんじゃないのかこれ? 言うほど今のウェールズは強くないぞ?」
世界6位のウェールズと大激戦。
大番狂わせを期待させる展開に日本ラグビーの未来を見た。
残り9秒の悪夢。
それでもウェーズル相手にこの試合はすばらしいのひと言。
残り9秒、3点差での敗戦ということで、悔しさと賞賛に驚きの入り混じった感想が飛び交っていた。
インターネットのスポーツサイトでも「日本が強豪ウェールズに善戦できた理由」「今後の日本ラグビーの課題」といった旨のコラムが掲載され、2019年のW杯に向けての展望を報じる様子が見られている。
ただ、ガチな話をすると、今回は「ウェールズが大して強くない」というのがファイナルアンサーである。
いやマジで。
「マジでショック…。日本がフィジーに敗戦。絶対負けちゃいけない試合だった。身体能力にやられたというより自滅」
試合前から「ウェールズってそんなに強いか?」と問いかけまくっていたが完全にスルーされ、土曜日の放送後にも再び言い続けたのだがまったく相手にされず。
これだけ声を大にして言っているのに誰も振り向いてくれずに切ない思いをしているのだが、それでもめげずに断言しようと思う。
「今のウェールズはそこまで強くない。だからこの接戦に驚きはない」
「帝京vsサントリー感想。サントリーは舐めプし過ぎだ。8連覇の学生王者を見下してる暇ちゃうぞ」
予言者と呼んでもらっていいですか? エディーの辛口コメントに少し安心した
繰り返しになるが、今回の試合で日本がウェールズに勝つ可能性は相当高かった。戦力的にもタイミング的にも「ここしかない」というくらいのチャンスがある試合だった。
前回の予想記事で申し上げているのが、
・ウェールズのスタイルは日本と相性がいい
・日本の快速バックスリーがディフェンスラインを突き破ればチャンスはくる
・ウェールズのバックスは大したことない
・ディフェンスはジョージア戦のようなタックルができれば大丈夫
・20〜30点前後のスコアでの競り合いに持ち込めれば勝てる可能性が高まる
といった内容である。
おいおい、予言者か。
まあ冗談はともかく、直近の数試合を観る限り今のウェールズはそこまで飛び抜けた強さはない。SOのダン・ビガーも出場しないし、ジャイアントキリングを起こすならここだろうと思っていた。
「日本vsフランス感想。フランスボロッボロだな。日本もよかったけど、勝てる試合だった」
あまりに相手にされないので凹んでいたのだが、日本の前HCであるエディー・ジョーンズがウェールズを辛口批評したという記事を読んで、ほんの少し溜飲を下げた次第である。
相変わらずコイツのギャグはクソつまらんのだが。
とまあ、偉そうに言っておりますが、当日はテレビの前で叫びまくりでしたけどねww
「【ラグビー】帝京vs東海感想。帝京は小型版オールブラックス? 驚異の8連覇の秘訣を考察」
現在のラグビー界は各国の戦力が拮抗している。ほんの少しの差で結果が逆になる
日本とウェールズはスタイル的に相性がいい。
何度も言うように、これが僕がこの試合が接戦になるのではと思った一番の理由である。具体的な内容については前回の記事で散々述べたので繰り返さないが。
また、この試合を含め直近のテストマッチを観ると、各国の実力がかなり拮抗していることに気づくと思う。
今回の日本だけでなく、イングランドが南アフリカを敗るなどといった予想外なことが普通に起きているのである。もちろんすべての試合を観ているわけではないので何とも言えないのだが。
恐らく2015年のW杯以降、ティア1の下位とティア2の上位の差などあってないような状態なのだ。それこそ「相性の差」や「主力選手の不在」、または「相手の裏をかく作戦」など些細なきっかけで結果がひっくり返るくらいに。
「久々に酷い試合。サンウルブズがチーターズに完敗。ヒエッヒエで11敗目。行かなくてよかった【2017スーパーラグビー結果・感想】」
たとえばアルゼンチンにギリギリ勝利したウェールズは日本に3点差まで追いつめられ、そのアルゼンチンは日本をダブルスコアで敗っている。
各国の力が拮抗している分、ちょっとしたことが大きな差になり得るのである。
つまり現状では世界ランキングなどあってないようなもので、逆に言うとここからの3年間の成果如何によって、2019年のW杯の結果が大きく変わってくるのだ。
だからアレだ。
日本ラグビー界は、スーパーラグビーのサンウルブズのようなグダグダな失態を二度と犯してはならないのである。
「サンウルブズがなぜ勝てないかだって? 弱いからでしょ。戦力と準備、全部が不足してる。だから弱い」
エディーの野郎、日本を実験台にしやがってww
ちなみにだが、先日のイングランドvs南アフリカ戦をご覧になられた方はいらっしゃるだろうか。上述の通り、イングランドがジャイアントキリングを果たした試合だが、実際どう思われただろうか。
僕は思わず笑ってしまったのだが。
なぜなら、日本の試合運びとあまりに酷似していたからww
南アフリカというのは基本、縦突進と外展開のチームである。
密集近くではパワーとサイズで圧倒し、外展開ではランニングスキルで圧倒する。
要は相手との身体能力の差を活かしたゴリ押しラグビーである。ひとたびリズムに乗れば凄まじい力を発揮するが、その反面仕掛けはわかりやすい。
そして、このチームに対抗する一番の方法は、やはり前に出てのタックル。
密集サイドの突進も外への展開も、ボールキャリアがスピードにのる前に潰す。
サイズで劣るのであれば2人がかりのタックル。1人目が下、2人目が上に入ってボールキャリアの動きを止めるディフェンスである。
また、以前にも申し上げたように南アフリカのディフェンスは待ちのスタイルである。
大きな身体を活かして相手を上から抑え込み、ボールの動きを止めるディフェンス。手足の長さによる優位性を活かしたパワフルなディフェンスである。
だが、待ちのディフェンスゆえに前に出る圧力はそこまでではなく、縦突進でボールをつなぐFWのラッシュには弱い。
1人目が低い姿勢で当たり、すぐさま2人目がフォローに入る。なるべく少ない人数でボールを出し、次のフォロワーに素早く渡す。突進の勢いを失わずに連続攻撃を仕掛け、ディフェンスの間を狙って突破する。
どうだろうか。
まさしく2015年のW杯で日本が実行した作戦そのものではないだろうか。
そして今回、イングランドがこの作戦をそのまま踏襲していたのである。
しかもイングランドのFWは日本よりもサイズがあるので、より少ない人数でボール出しが可能になるという状況。
「日本が南アフリカに勝利!! 日本代表を支える外国人。ラグビーW杯で起きた奇跡をひも解く」
いや、そりゃ笑うでしょww
エディー、コラおいww
日本を実験台にしてイングランドで完成させてんじゃねえよww
まあ、ある意味これがスカウティングの結果というヤツで、各国の実力が拮抗している証拠でもある。
さらに、各国横一線の中に日本がいること自体が、日本の成長そのものといえるのだろう。
「TMOって必要? テレビジョンマッチオフィシャル不要論を唱えてみる。暴論かな?」
日本代表の今後の課題は一つ。苦手チームの克服だ
ジョージアを敗り、ウェールズに肉薄した日本代表。
では、今後に向けた課題はあるのだろうか。
まず方向性としてはこのままでOK。今の方針のままブレずに突き進んでいけばいいと思う。
ディフェンスの裏にハイパントを上げて空中戦に持ち込む。
たとえ相手にとられても、すかさずNo.8とフランカー陣がタックルに入る。
キックを多用してスピーディなプレッシャーをかけ、相手のペナルティを誘うラグビーである。PGで細かく得点を刻み、最終的には30点前後で競り勝つ。恐らくプロトタイプは今回のウェールズだ。
ディフェンス面で言えば、外側を意識的に上げて相手を囲むラインディフェンス。外に大きく展開されることを防ぐスタイルである。
予想記事では「日本がやろうとしているのはSO田村に依存するスタイル」だと申し上げたが、どうやらそれも杞憂である。試合中に田村が負傷交代した際にもチームとしての意思疎通ができていたし、特に大事故が起こる様子もなかった。このままSHのキックの精度を高めていけば、より機能するのではないだろうか。
ディフェンス面についてはまだまだ連携不足が見られるが、それも場数を踏めばいずれ解消されるだろう。
正直な話をすると、「世界一のフィットネス」を標榜したかつての低空タックルの頃に比べれば若干の緩みが見えることは確かだ。
ただ、その分組織力の向上というプラスの面もある。この辺は方針の転換ということでうまく切り替えていければと思う。
後はやはり、相性の悪い相手にどう対応するか。ここが今後の重要な課題になってくるのではないだろうか。
何度も申し上げているように、日本はウェールズのようなチームとは相性がいい。南アフリカチームへの対策もある程度見えている。ジョージアのようにラグビーを舐め腐った相手にはそもそも負ける気がしない。
「日本vsジョージアテストマッチ感想。タックルの精度と両翼の決定力が光った試合。そもそもジョージアがダメ過ぎたけど」
だが、日本の最大の弱点として、横の動きへの脆さというのがある。
これは伝統的にそうなのだが、サイドに小さく動く相手が日本は本当に苦手だ。
つまりアルゼンチンのようなチーム。ああいうスタイルのチームがマジで苦手である。
細かいステップを踏んだりコンタクトの瞬間にアングルチェンジをするなど、個人技が得意なチームに翻弄される試合を過去に何度観てきたことか。
ああいう野性的な動きを得意とするチームへの対策は、ダンゴ状態の勢力図から抜け出すためには絶対に必要な要素である。
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まあ、それでも何とかしてくれるだろう。
今の日本はやればやるほど成長するイケイケ状態だ。
前回の試合でも後半11点差を追いついたりと、確実に底力もついてきている。
次のフィジー戦でもいい試合をすればまた一段上にいけるだけのポテンシャルはある。
と、最後は楽観的に締めてみる。
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