フェリックス・ベルデホがウィリアム・シルバとの無敗対決を判定勝ちで制す!! スピードバトルとなったライト級10回戦は予想以上の好試合に!!【結果】
2016年2月27日(日本時間28日)に米.ニューヨークにあるマディソン・スクゥエア・ガーデンで行われたライト級タイトルマッチ10回戦。
スター候補筆頭のフェリックス・ベルデホとウィリアム・シルバの試合が行われ、フェリックス・ベルデホが3-0(100-90、100-90、99-91)の大差判定で勝利をおさめた。
なお、この試合はメインのテレンス・クロフォードvsハンク・ランディ戦のセミファイナルとして行われている。
「テレンス・クロフォード防衛!! ハンク・ランディを5RでKOに沈める見事な勝利!!」
観客の期待には答えられず。好選手のシルバを攻めあぐねる
ド派手なKO勝利を量産し、次世代スーパースターの筆頭候補であるフェリックス・ベルデホだが、今回は残念ながら消化不良の試合と言わざるを得ない。
KOどころかお互いに効いたパンチもなく、淡々と10Rを経過するという何とも盛り上がりに欠ける内容であった。
ベルデホの派手なKO勝利を期待していた観客にとってもかなり不満の残る内容だったのではないだろうか。
メインのクロフォード戦につなぐ意味でも盛り上がりが欲しかったところだが、これといった見せ場もなく、平坦な試合にフラストレーションが溜まった人も多かったように思う。
だが今回の試合はベルデホの出来が悪かったというより、対戦相手のウィリアム・シルバがよかった。
ベルデホに負けないスピード。ガードの堅さ。ランキング15位とは思えないほどのいい選手だった。
「フェリックス・ベルデホがボクシング界を背負う? 次世代ホープのプエルトリカン、太陽の申し子ベルデホに注目するぞ!!」
試合後半に入ると、手間取るベルデホに対して客席からブーイングが聞かれる一面もあったが、そういうことではない。単純にシルバがいい選手だった。それでベルデホが攻めあぐねたのである。
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ビューティフル・バランスのベルデホ。今回の試合はいい経験になった?
実況も「ビューティフル・バランス」と言っていたように、ベルデホの持ち味はどんな体勢でも強いパンチを打つことができるバランスのよさにある。
安全な距離感を保ちながら身体を振り、上下左右に自在に打ち分けつつもガードが崩れない。全局面でハイレベルな攻防を実現する一体型のスタイルである。抜群のカウンターのセンスも、このバランスのよさによるところが大きい。
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オールマイティタイプのベルデホに対し、対戦相手のシルバのスタイルはやや平面的で、攻撃のバリエーション自体は少ない。ほとんどがストレート系と左右のフックであり、ベルデホの防御を崩すまでの多彩さを持ち合わせてはいなかった。
さらに回転速度を上げてもパンチの威力を保てるベルデホに対し、シルバはベルデホのスピードに対抗しようとするとどうしても手打ちになってしまう。これといった脅威を与えられなかったのもそのせいだろう。
「ベルデホダメか? マルティネスにはKO勝利したけど課題山積」
当て勘も防御勘もベルデホの方が上。
各ラウンドごとにわずかな差がつき、最終的に大差判定でベルデホが勝利を掴んだ。そういう試合だったと思う。
「パッキャオvsブラッドリー第3戦目予想!! フィリピンの英雄のラストマッチの行方は?」
ただ、繰り返しになるが今回のウィリアム・シルバは本当にいい選手だった。
今までベルデホとのスピード勝負でここまで渡り合える選手はいなかったのではないだろうか。
ベルデホにとってもこれだけ自分のスピードについてくる選手と対峙するのは初めてだったに違いない。ここから一段上のレベルにステップアップするためにも、非常にいい経験になったと思う。
ベルデホ対策がちょっと見えた? ハンドスピードを活かしてカウンターを打つ間を与えないことが重要
今回の試合はベルデホが予想以上に手間取っただけでなく、ベルデホ攻略の糸口が少し見えた試合だったのではないだろうか。
ひと言で言うとスピード勝負。
ベルデホにカウンターを打つ間を与えないほどのハンドスピードで対抗することが有効であることが証明された試合だったと思うのだが、どうだろうか。
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とにかくベルデホにカウンターのチャンスを与えないこと。ガードの上でもいいし、軽いパンチでもいいのでとにかくスピーディなコンビネーションを打ち込むことである。
そして、カウンターパンチャーであるベルデホに先に攻めさせ、ガードした瞬間の打ち終わりを狙うこと。
この二つである。
つまり、自分から手を出すときはスピード重視のコンビネーション。強いパンチを打つときはベルデホの打ち終わり。
この二つを徹底できるだけのスピードと防御技術があれば、何もできずにカウンターの餌食になるという惨劇だけは防げそうである。
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そういう意味でも今回のシルバはすばらしかった。
ガードを上げてジリジリと距離を詰め、ジャブで誘いながらベルデホに手を出させる。高く上げたガードでベルデホのコンビネーションを防ぎ、打ち終わりに強いパンチを返す。
自分から攻めるときはスピード重視の連打。手打ちでも軽くてもいいのでスピーディなワンツーを打ってカウンターを出す間を与えない。そして打ち終わったら素早く離れる。
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自分の手持ちの武器でどう対抗するか、ベルデホに一泡吹かせるにはどうすればいいかを徹底的に研究してきたことがよく伝わる試合運びだったと思う。ベルデホのカウンターを警戒するあまり徐々に手数が減ってしまったのは残念だったが。
まあ、当たってないんだけどね。
シルバはいい選手だったが、残念ながら勝てる可能性はなかった
シルバは確かにいい選手だった。それは間違いない。
だが、ベルデホに勝てる可能性があったかと聞かれれば「No」と言わざるを得ないことも確かである。
最初に申し上げたとおり、シルバの攻撃はややバリエーションが少ない。スピードはあってもパターンが決まっているので読みやすい。ベルデホにとっても非常にしのぎやすかったのではないかと思う。
スピードでは互角でも、当て勘や防御勘はベルデホに及ばない。試合自体は常にシルバの一歩上を行っていたベルデホのワンサイドゲームである。
気取った言い方をすれば「インテリジェンスに差があった」というヤツだ。
ただ、それでもベルデホのスピードにまったくついていけずにカウンターの餌食になったこれまでの選手とは違い、一定以上の答えを示してみせたことは間違いない。
恐らくベルデホは打たれることが大嫌いなのだと思う。特に顔を打たれることに関しては蕁麻疹が出るほど嫌なのではないかと予想する。
今回の試合のようにハンドスピードのある選手に対して必要以上に顔面を守ろうとするとろこからも、そのことがうかがえる。
正直、シルバの軽いパンチなら多少被弾しても危険は少ないと思うのだが、打たれることが嫌すぎてガードを下ろせないのである。
ベルデホ攻略のカギは、案外このメンタルにあるのではないだろうか。
顔面への攻撃をたっぷり意識させておいてど真ん中からボディ、もしくは顔面にアッパーを突き上げる。これができる選手であれば、もしかしたらベルデホを慌てさせる可能性があるかもしれない。
基本的にストレート系とフック系しかないシルバでは難しかったが。
勝負の土俵に立てることはわかった。次はベルデホをしのぐコンビネーションを打てるかどうか
とりあえず今回の試合で、防御に高い意識を持ちながらハンドスピードで対抗することができれば、見た目上はいい試合ができることが証明された。
今までの選手は、そもそもベルデホのスピードにまったくついていけずにKO負けを喫していたので参考にもならなかったが。
「ジャーマル・チャーロがキャンプフォートを圧倒敵な強さで下して防衛に成功!!」
だが、今回のシルバによってスピード負けをしなければ勝負の土俵に上がれることはわかった。
超絶カウンターを持つベルデホもまったく付け入る隙がないわけではない。それがわかっただけでもかなりの収穫である。
次は一段階進んで、ベルデホのガードをいかに崩すかである。
ベルデホのスピーディなコンビネーションをさばきながら自分のパンチを先に当てることができるか。そして、ベルデホは自分と同等のコンビネーションを持つ相手にどうやって対抗するか。若きホープのさらなる好選手との激突を待ちたい。
いつの間にかベルデホの倒し方を考える記事になってしまったが、もちろん次世代のスーパースター候補であるフェリックス・ベルデホには大いに期待している。絵に描いたようなスター街道を歩めるか、それとも思わぬ挫折が待っているか。ここ1、2年のベルデホからは目が離せない。
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