映画館ビジネスがコロナで苦境? 久しぶりに映画館に行ったら終末感が尋常じゃなかった。配信に舵を切るのはいいけど映画館文化は残してほしい
- 2021.01.14
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先日「銀魂 THE FINAL」を観に映画館に足を運んだことは前回申し上げた通り。
新型コロナウイルスの影響で最近は映画館に行くこともなくなっていたのだが、「これは観とくべきだな」ということで久しぶりに行ってきた次第である。
銀魂 THE FINAL感想。やっちまったなぁ。普通でよかったのに「銀魂らしさ」の呪縛にガッチガチで身動きできなくなってるw
なお、それ以前に映画館に行ったのは2020年3月。広瀬すず主演「一度死んでみた」を最後に約9ヶ月間、映画館から足が遠のいていた計算になる。
映画「一度死んでみた」感想。陰口をのぞき見できる超怖い映画w 自分がいないところで他人の本音を知る
本当に久しぶりの映画館だったわけだが、そこで感じたのはやはりコロナの影響の大きさ。
足を踏み入れた瞬間から場内がどんよりしていて、僕の記憶と照らし合わせても終末感が尋常じゃない。
売店は20:00以降はフード販売停止(ドリンクのみ)。設置されていたベンチもすべて撤去され、マスクをつけた職員さんの表情も心なしか暗いように感じられる。
この日はレイトショーの回だったせいでもともとお客さんが少なかった(スクリーン内には僕を入れて3人)こともあるが、それを差し引いても景気の悪さはビンビン伝わってきた。
大手シネコンのイオンシネマでさえこうなのだから、恐らくミニシアター系の深刻度はその比ではない。
映画界の厳しさは噂では聞いていたが、こうして直接肌で感じるとそのヤバさが身に沁みる。
とは言え、ここから映画館の集客がV字回復するかと聞かれれば、とてもじゃないがそうは思えない。このご時世、同じ場所に多くの人間が長時間留まる映画館からは自然と足が遠のくというのは僕のような素人でも理解できる。
だったらどうするの?
このまま「今は我慢のとき」と言いながらバタバタ倒れていくのを待ってるだけ?
いやいや、さすがにそんなことはしないでしょ。
ということで、先日感じた映画館の現状を踏まえつつ、今回は「どうすれば映画館が生き残れるのか」について勝手に考えてみようと思う。
映画館が好き。でも、マスクをしたまま2時間その場に留まるのはめちゃキツい
まず大前提として、僕は映画館が好きである。
巨大なスクリーンの迫力はもちろん、現地に向かう道中やだんだんと場内が暗転していくときに感じるワクワク。異様に長い上映前のCM、法外レベルで高額なフードやドリンクを含め、わずか2000円前後で非日常が味わえるお手軽感は希少価値が高い。
特に最近はあらかじめ席予約を済ませてから出向くことが多く、前の日からのワンセットで“映画の日”というイメージ。同じ映画鑑賞でも、自宅のテレビで観る感覚とはまったくの別物である。
なので、たとえコロナの影響が大きくても「劇場で映画を観る」文化は残ってもらいたいと思っている。
だが、今の状況ではなかなか映画館に足を運ぶ気にならないのもまた事実。
クラスター発生、三密回避云々はもちろんだが、それ以上にマスク着用の鬱陶しさが……。
僕にとって映画鑑賞は“リラックスできること”が最低条件で、比較的人の少ないレイトショーを好むのもそれが理由だったりする。
人の少ない広々とした場内でふかふかの座席に座り、自分だけの世界に没頭する。
これが映画鑑賞の醍醐味と言っても過言ではなく、作品の内容に匹敵するほどの重要事項となっている。
ところが耳から顔半分を不織布で覆われた状態というのは明らかに不自然。
ドリンクを飲む際に一度マスクをずらし、飲んだあとにドリンクホルダーに戻して再びマスクを上げる。
マスク着用による煩わしさや窮屈さはリラックスとはほど遠く、約2時間にわたってこの状態をキープするのが苦痛で仕方ない。
映画館は好きだし劇場で鑑賞する文化も廃れてほしくはないが、マスクをしながら観るくらいなら家でいい。
それがこの9ヶ月間、僕の足が映画館から遠のいた要因であり、久しぶりの映画鑑賞で感じた不便さである。
新型コロナウイルスの影響は甚大。大量の失業者を出す中、配信に大きく舵を切ったアメリカの映画界
その流れで現在の映画界の状況をちょろっと調べてみたところ、やはりコロナの影響は各方面に出ているらしい。
下記の記事によると、アメリカでは映画館の大量閉鎖により従業員約15万人以上が職を失ったとか。
また日本でもクラウドファンディングを利用したりドライブインシアターに注目したりと、映画館が生き残りをかけて模索を続けているとのこと。
「生きさせろ!」 コロナショックで苦境に陥る映画館、生き残りかけ模索
ーー不要不急の外出自粛が求められるなか、各国の映画関係者は必死の闘いをしているhttps://t.co/KBWUdhvxpU#パンデミック #感染症対策 #感染拡大 #感染爆発 #オーバーシュート #外出禁止 #都市封鎖 #エンターテインメント— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) April 6, 2020
ミニシアター系は体力のあるシネコン以上に厳しく、営業が再開された今も先行きは不透明。
現在、日本の映画の70%がミニシアターで上映されており、ここがコケると映画界そのものが立ち行かなくなる危険性を孕んでいるという。
コロナ禍の映画業界―「SAVE the CINEMA」ムーブメントから半年 ミニシアターはいま《前編》 https://t.co/6WftMEAu4U
— @minitheaterpark 公式 (@minitheaterpark) October 9, 2020
国への援助申請とともに20代~30代の若手の映画監督や俳優、プロデューサーなどが中心となって立ち上げた「SAVE the CINEMA movement」などの取り組みも行なわれているようだが、根本的な解決には至っていない印象である。
そんな中、ハリウッドを中心としたアメリカの映画界では劇場公開から配信にシフトする動きが目立つ。
米ユニバーサル・ピクチャーズが映画館チェーン大手のAMCシアターズとの間で「劇場公開から17日後にオンデマンド配信が可能になる」という新契約を締結(従来は「劇場公開後3ヶ月」が慣例)したことにより、新作「Trolls World Tour(トロールズ ミュージック パワー)」は配信だけで100億円以上稼いだとのこと。
新作映画が17日後に配信開始…!ハリウッドに地殻変動が起きている : https://t.co/gcE9wRdHnd #現代ビジネス
— 現代ビジネス (@gendai_biz) July 30, 2020
また動画配信サービス「Netflix」は年明け早々に「2021年は毎週新作映画を配信する」と発表し、加入者を歓喜させている。
Netflix、2021年は毎週新作映画を配信へ 27本一挙紹介動画にファン歓喜https://t.co/bOAdUNqOTT
— シネマカフェcinemacafe.net (@cinema_cafe) January 13, 2021
さらにウォルト・ディズニーも自社の動画配信サービス「ディズニー+」のサービス拡大促進を打ち出し、実写版「ムーラン」やアニメ映画「ソウルフル・ワールド」の大々的な配信に踏み切っている。
アングル:ディズニーも「動画配信重視」に舵、映画館の先行きは https://t.co/rnAxeTZdNK
— ロイター (@ReutersJapan) October 16, 2020
だが、こうした配信重視の流れは映画館をさらなるピンチに追い込む危険性を孕んでいる。
上記の記事にもあるように劇場公開の場合は映画館と映画会社で収入が折半されるのに対し、オンライン配信では映画会社の取り分が8割となる。
定額サービスの「Netflix」などはそれでも十分なのかもしれないが、映画館にとっては一大事である。
日本でも同様の問題が持ち上がっている。
ピース又吉原作「劇場」が2020年7月の劇場公開と同時に「Amazon Primeビデオ」で配信されたことが話題になったが、この流れが続けば映画界全体の衰退を招く可能性もあるとのこと。
【「劇場公開か配信か」で揺れる映画界のジレンマ】 配信優先の作品が増えれば映画界は自滅する#東洋経済オンラインhttps://t.co/h3NW0dwTGR
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) July 17, 2020
なるほど。
映画の根幹は劇場or配信の二者択一ではないものの、コロナの影響によって映画ビジネスが分岐点にきていることは間違いなさそうである。
配信サービスは映画界全体を衰退させる危険性? 映画館自体が配信サービスを提供すればすべてが解決するんじゃないの?
長々と僕の感じたコロナ禍での映画館の状況、映画ビジネスについて語ってきたが、そろそろ結論を。
コロナがあろうがなかろうが、恐らく映画界が配信サービスにシフトしていく流れは止まらない。
そんな中でも「映画館で映画を観る」文化は残してほしいし、家で観る映画とはまったく別物であるという考えも変わらない。
だが、現状はハリウッドを中心に配信サービスにシフトする傾向が強まっており、映画館ビジネスの先細り感は尋常じゃない。
だったらどうするか。
僕の中での答えはめちゃくちゃ簡単で、映画館自体が配信サービスを提供すればいいと思っている。
今は映画配給会社が「Netflix」や「Amazon Primeビデオ」などのサービスと契約して配信を可能にしているわけだが、それを映画館がやれば。
同額もしくは8掛けくらいの値段で、劇場公開とともに“劇場が管理する”配信サービスを提供できればいいんじゃないの? という話。
と思って調べてみたら、こんな↓サービスを見つけた。
「アップリンク」
独立系の配給会社が協力して立ち上げたサービスで、各社の過去作品が定額○○円で視聴可能になるとのこと。
映画の裏方・配給会社の苦境 映画館再開後も問題山積み #HelpThe映画配給会社 https://t.co/pc7JgvE2Ev
— シネマトゥデイ (@cinematoday) May 30, 2020
そうそう、こういうことですよね。
これを配給会社ではなく各映画館が協力して実現できれば最高だと思うのだが。
ひょとしたら「劇場公開と配信が同額は値段が高過ぎる」という声も挙がるかもしれないが、大丈夫。安心していい。そういう人間はそもそも映画館に行かないから。
以前にも申し上げたようにシネコンの損益分岐点は座席占有率15%。その上、年4回以上映画館に足を運ぶユーザーは全体の12%に過ぎない。
映画館とかいうポテンシャルの塊。今はシネコン最強で座席占有率15%が損益分岐点なんだってさ
100席中15席が埋まればトントンで、なおかつ年に4回現地に行くだけで“ヘビーユーザー”と呼ばれてしまう。
つまり、映画館ビジネスはほんの一握りの熱烈なファンに支えられていると言っても過言ではなく、ゴチャゴチャと文句をつけるガヤなど無視してもまったく問題はない。
恐らく劇場公開と同時のオンデマンド配信が実現すれば年4回の“ヘビーユーザー”以上の人間がサービスを利用するはずで、これまでよりも収益が上がる可能性すらある。
しかも現在は動画サービスも発達しているので、わざわざ「Netflix」や「Amazon Primeビデオ」のような独自のプラットフォームを持つ必要もない。
上記の「アップリンク」同様に「vimeo」のオンデマンド販売を利用すれば、リンク元に予告動画と概要を記載するだけで配信サービスがスタートできてしまう。
「Vimeo オンデマンドで販売を開始」
現状、TOHOシネマズの「シネマイレージ®」もイオンシネマの「ワタシアター」も“劇場に行く”ことを前提としたサービスを展開しているが、そこに配信利用の項目も付け加えていただければ。劇場同士がうまく協力して、劇場公開+配信を独自に展開してもらえればと思う。
一つの動画サイトで新作が観られるようになれば、利用する側としてもありがたい。
僕も一時期多くの配信サービスに登録していたことがあるが、結局使い切れずにAmazon PrimeとWOWOWだけに絞った経緯があるので。
映画「フォードvsフェラーリ」感想。ル・マンは大人の鬼ごっこ。バカでカッチョいいおっさんが企業の政治的都合に振り回される青春映画
まあ、実際にはタテヨコのつながりなどもあって実現は難しいとは思うが。
イオンシネマなんてドコモとズブズブだしねww
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