那須川天心vsビクトル・サンティリャン。「天心ナイスファイト!!」と思った直後の落ち込み具合に驚いた。天心が一番力を発揮できるのはパーネル・ウィテカーだと思うけど燃費が悪い&両立が難しいんだよな【結果・感想】

那須川天心vsビクトル・サンティリャン。「天心ナイスファイト!!」と思った直後の落ち込み具合に驚いた。天心が一番力を発揮できるのはパーネル・ウィテカーだと思うけど燃費が悪い&両立が難しいんだよな【結果・感想】

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2025年6月8日に東京・有明コロシアムで開催された「Prime Video Boxing 13」。
セミファイナルのバンタム級10回戦で那須川天心とビクトル・サンティリャンが対戦、3-0(99-91、99-91、100-90)の判定で那須川天心が勝利している。


メインイベントのバンタム級二団体統一戦の感想は下記の通り。
 
中谷潤人vs西田凌佑。中谷の野生味、アドリブ力が西田の作戦遂行能力を上回る。西田のプランを力でぶっ壊した中谷。中谷ってもともと草食男子の振りした戦闘民族ですよ?
 
今回はセミファイナルについてである。
 
全編視聴は下記↓

 
 
ちなみに何日か前から天心の試合が正規のバンタム級ウェイトになるのか、キャッチウェイトになるのかでザワついていた。
 
僕はたまたま忙しくて詳しく知らなかったのだが、調べてみるときっかけは試合の表記? が「バンタム級10回戦」から「ノンタイトル10回戦」に変わっていたことだとか。
 
おいおい、相変わらずすげえな。
不確かな情報どころか「粗探しをしよう」と思って探さなければ気づかないものを見つけるのもすごいし、それをまるで確定情報のように吹聴するのもすごい。
 
そしてアイツらは何で怒ってたの?
仮にキャッチウェイトだったとしても、確定した後ならまだしも真偽が不明の段階であのテンションでイラつける精神構造には心底驚かされる笑
 
で、結局普通にバンタム級10回戦だったわけだがそこはどうなった?
中谷潤人のダーティだかラフファイトだかの話題にかき消されているが、僕はしっかり覚えてますよOK?
 
 
まあ、状況によって立ち位置を変えるのはアイツらの得意技ですからね。
今さら筋を通すなどあり得ないのもわかりきっているのだが。
 
那須川天心vsジョナサン・ロドリゲス正式発表。WBO-AP決定戦? カマセのタイ人? 日本ボクシングの凋落? 全部間違ってるじゃんw 一つも合ってないってどういうこと?
 

今回の天心はめちゃくちゃよかった。この相手に大差判定勝ちなら実力は疑いようがない

まず全体の感想としては、めちゃくちゃよかった。
 
那須川天心の成長? 進化? を感じられたし試合としてもおもしろかった。
 
対戦相手のビクトル・サンティリャンも前評判通りのいい選手。
石田匠と互角に渡り合ったサンティリャンを大差で退けた天心の実力に疑う余地はない(謹慎中のリングアナみてえだな笑)。
 
サンティリャンと五分だった石田匠にダウンを奪われながらも判定勝利した井上拓真と、石田と五分だったサンティリャンに文句なしの勝ちを収めた天心。
ちょっと乱暴な比較だが、今の天心の実力は井上拓真と同等かちょい上かなと思っている。
 
ボクシングに転向して約2年で井上拓真に匹敵する実力を身につけた(僕の中では)のだから、武居由樹とともにコイツらのポテンシャルはとんでもない。
 
以前にも申し上げた通り「ボクシングは甘くない」と言うなら「キックで頂点に立った選手のポテンシャルはもっと甘くない」。
 
武居由樹がモロニーに勝利、キック出身選手で初の世界王者に。要は「ボクシングは甘くない」勢が他競技のトップ選手のポテンシャルを舐めてたんでしょ
 

公開練習動画ではサンティリャンとの打ち合いを想定してるように思えた

下記で天心の公開練習動画を観た印象を申し上げている。
 
那須川天心vsビクトル・サンティリャンもうすぐ。恒例の天心の公開練習動画がアップされたのでその感想を。何気にラジオを始めたのが懸念材料かな? と思ってる
 
ビクトル・サンティリャンは痩躯で懐の深いサウスポーだが、アウトボクシング一辺倒というわけではない。
むしろ前手の右を鞭のように使って自分から試合を動かすタイプ。
接近戦でのボディや外旋回のフック等、打ち合いで強さを発揮する。
 
ただ、強引にこられるとタジタジになるのも特徴で、正面から押し込まれて後退するパターンも。
 
 
そして公開練習では天心が中に入って近距離で打ち合うシーンが目についた。
特に意識していたのが右の使い方。本人のコメントにもあったように右ジャブで流れを掴む試合運びを目指していたのだろうと。
 
要するにサンティリャンとの打ち合いを想定していたのだと思うが、あえて危険地帯に足を踏み入れる姿にますます試合が楽しみになったことをお伝えする。
 

想定通りの打ち合いでサンティリャンを圧倒する。打たれもしたけど今回は覚悟があったよな

実際の試合も公開練習と近かったのではないか。
 
微妙にアングルを変えつつ右リードをヒット。
スルスルッと中に入ってボディ、顔面に鋭いパンチをスパっと当てる。
さらにあえてその場に留まり真正面からの打ち合いを展開する。
 
サンティリャンの鞭のような右をもらうこともあるが、この日の天心はそれも想定済みだった印象。
“くるとわかっていれば耐えられる”というか。
 
右リードでペースを掴み、近場の打ち合いでスピード差、精度の差を発揮する。
サンティリャンは天心のペースについていけず圧力を感じて徐々に後退する。
 
サンティリャンのKO率の低さも踏まえつつあの位置で打ち勝ってやろうという覚悟が感じられた。
 
減量が厳しいのでは? という心配を払拭するほど調子はよさげだったし、本番で練習通りのものを出せるのもすごい。改めて「コイツは天才やな」と思った次第である。


で、前回のモロニー戦同様、リズムが出てきた中盤から得意のイキりタイムに突入。
 
近場でスルスルと左右に動き、ガードの間からパンチを通しまくる。
相手に反撃の隙を与えずひたすら自分のターンを押し付ける。
時おり打ち込むカウンターもさすがのタイミング。
天心の真骨頂とも言える時間帯である。
 
まあ、前回はその直後に右をもらってダウンしかかったんですけどね笑
 
那須川天心vsジェイソン・モロニー現地観戦おもしろかった。適応は進んだけどいい意味での“ボクサーらしくなさ”が薄れた気も…。基本的にメンタルが“こっち側”なんだろうね
 

天心の落ち込み&陣営の評価の低さが意外だった。あれだけマン振りしてダウンすら奪えなかったのがショックだったっぽい

そんな感じで僕の感想は「天心ナイスファイト!!」だったのだが、試合後のインタビューや会見では後ろ向きな発言が聞かれた。

「いろんな課題も見えて、ボクシングの奥深さを知れた。(現状で)他のボクサーに比べてもパンチ力があるとは思えないし、パンチ力がない」

「なかなか自分の思い通りにいかないところが、皆さんに刺さっているというか」


陣営の評価も厳しいもので、正直これは意外だった。
武居由樹の苦手な接近戦であれだけやれた上にカウンター狙いだけではない、打ち合いの強さも見せたのだから十分合格点に思えたのだが。
 
要するに11、12Rにあれだけマン振りしまくったのにダウンすら奪えなかったことがショックだったのだろうと。
 
 
ちなみに僕はあの打ち合いをハラハラしながら眺めていた。
サンティリャンの右は最初からタイミングが合っていたし、角度的にも打ち下ろしの位置にちょうど天心の顔があった。
 
「せーの」で打ち合いをするとちょっと危ない、サンティリャンの方が先に当たるんじゃねえか? と思っていたら、案の定いいタイミングでもらって効かされるという。
 
那須川天心が那須川天心であり続けるためにもあそこはいかなくてはいけないのだと思うが、あれだけ大差をつけた状況から逆転されたら目も当てられない。
 
 
まあでも、同時打ちのタイミングで勝負できるというのはそれだけですごいことかもしれない。
KOの少ない選手として引き合いに出される亀田和毅などはカウンター勝負の土俵に上がることすらしないので。
 
もちろん亀田和毅の安全策が悪いなどと言うつもりはない。
 
亀田和毅vsアンジェロ・レオ。和毅は肉薄したけど最後の一歩がデカい。元祖亀田家スタイル(親父のボクシング)がフェザー級王者にも通用したのは感動したよ
 

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足場を決めてしっかり打ち込むファイトを目指してるけど、相手のレベルが上がるにつれてそれをやる余裕がなくなる

那須川天心がなかなかKOできない理由は2024年10月のジェルウィン・アシロ戦で感じたことと変わっていない。
 
デビュー当初の天心はスピード差を活かしたカウンタースタイルだったが、3戦目あたりから腰を落としてしっかり打ち込む意識に変わっている。
それによってパンチに体重が乗るようになり、2024年7月のジョナサン・ロドリゲス戦では見事なKO勝利を挙げた。
 
だがジェルウィン・アシロ、ジェイソン・モロニー、ビクトル・サンティリャンと相手のレベルが上がるにつれて“足場を決めてしっかり打ち込む”余裕がなくなった。
特にジェルウィン・アシロは天心にスピード負けしない選手で、必然的にそっちで勝負せざるを得ない状況に。
結果、やや後ろに体重を残した&ベクトルが下を向く打ち方に戻っている。
 
那須川天心vsジェルウィン・アシロ。アシロが強かった&遠間からすっ飛んでくる剛腕との相性もよくない? 天心の調子も悪かったかもね
 
何度か言っているように那須川天心はデビュー戦から強い相手との対戦が続いている。
カマセ路線がどうたらという声も多いがとんでもない。ちょっとアレだったのは3戦目のルイス・ロブレス(代役)くらいで、それ以外は全員ちゃんと強い。
 
ここにきて知名度や注目度のせいで「格下の相手にやりたいことを試す」「KOのコツを掴む」試合が許されなかった弊害が出ているのかもしれない。
 

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天心が一番ポテンシャルを発揮できるのはウィテカースタイルだけど、燃費が悪すぎるのよね…

ちょろっと申し上げたように那須川天心のポテンシャルが一番発揮できるのはデビュー当時のナジーム・ハメドやパーネル・ウィテカーのようなスタイル。
よく言うフロイド・メイウェザーやギジェルモ・リゴンドー、ワシル・ロマチェンコではなく、である。
 
ただ、あのファイトはめちゃくちゃ燃費が悪いのが弱点。
カウンターのタイミングがくるまで目と足で相殺する必要があり、そのせいでだいたい4、5Rでガス欠が起きる。
 
そこをカバーするべく右リードや足場を決めて打つスタイルを模索したわけだが、それによって初期のアンタッチャブルさ、スケール感が目減りした。
ボクサーとしては洗練されたが瞬間的な煌めきはやや薄れた印象である。


ルイス・ロブレス戦、ジョナサン・ロドリゲス戦あたりで「このアンタッチャブルさを残しつつ右リードを駆使したファイトを向上できるといいね」などと言った覚えがあるが、さすがにそこまで都合よくはいかないっすよね笑
 
那須川天心vsビクトル・サンティリャン。サンティリャンは要注意だと思うぞ。長身サウスポーで右が多彩。しかも顔面がジョン・ジョーンズにちょっと似てるw この選手を完封したらすごい
 
僕もこの記者の意見に賛成なのだが、さじ加減が難しいのよ笑

「偉大なボクサーが常に必ずしも偉大なパンチャーだというわけではない。パーネル・ウィテカー(アメリカ)は歴史的なボクサーであり、ボディ、顔面にダメージを与えるだけのパワーを持っていたが、倒し屋ではなかった。」

「彼らと同様に、テンシンもハードパンチャーのような戦い方をするべきではない。」


 
なお余談だが、この記者の意見は僕の感想と割と近い。
 
中谷潤人は確かにすごかったが、出来自体はよくなかった。
負けはしたが西田凌佑のパフォーマンスは文句なしに素晴らしかった。
今後階級アップした中谷がどんな姿を見せるか、井上尚弥を脅かす存在になれるのかに注目している。


マジでそんな感じっすよね。
 
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