那須川天心公開スパーリングと尾川堅一の復帰戦。どちらもよかったんじゃない? 尾川は僕の知る限り過去一の出来かな【結果・感想】

那須川天心公開スパーリングと尾川堅一の復帰戦。どちらもよかったんじゃない? 尾川は僕の知る限り過去一の出来かな【結果・感想】

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2023年4月1日に東京・後楽園ホールで行われた帝拳ジム主催のダイナミックグローブ。中継が日テレG+からU-NEXT配信に移行してから一発目の興行となったわけだが。
 
 
ただ、僕自身はラインナップを見てもあまり興味が湧く試合がなく。
尾川堅一の再起戦(セミファイナル)と4月8日にボクシングデビュー戦を控えた那須川天心の公開スパーリングは絶対にチェックしたいが、それ以外はスルーでいいやと。
 
尾川堅一の試合はリアルタイム視聴、天心のスパーリングは見逃し配信で先ほど視聴を終えた次第である。
 
 
というわけで今回はこの2つについての感想を。
 
寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガ。あれ? これはvsジョナサン・ゴンサレスよりもおもしろいんじゃ…。興味が薄かった試合が楽しみになった笑
 
てか、U-NEXTの配信はなぜ表記が全部アルファベットなんですかね……。
 
基本、映像のクオリティや解説にどうこう言う気はない(消音で観てる)人間なのだが、日本国内の興行を日本の会社が配信するのになぜ日本語じゃないのよ?
 
タイ人選手の名前とか、ちっとも読めないんですがそれは笑
 

那須川天心公開スパーリング

まずはイベント中盤あたりで行われた那須川天心の公開スパーリングについて。


相手を務めた福井勝也は現在日本S・バンタム級11位で戦績は4勝3KO。アマ経験も豊富なオーソドックスの選手である。
 
 
率直な感想としては、「あれ? これはかなりいいんじゃないですかね?」と。
 
福井勝也という選手を僕はまったく知らなかったのだが、動きを観る限りかなり強そう。
視聴後に戦績やアマ経験等を調べて「おお、なるほど」となっている。
 
その福井をスピードで圧倒しつつガードの間から次々パンチを入れていく。
相手の攻撃は抜群の見切りとバックステップで避け、スルスルとサイドに動いて正面を外す。
 
キック時代から前手のジャブは鋭かったが、ボクシングの舞台でもあのジャブは十分通用しそう。
 
さらに持ち味のスピードや目のよさはもちろん、長いラウンドを消化するための押し引きも身につけつつある(気がする)。
 
もちろん試合直前なので両者とも本気ではないが、実力の高さはしっかりと示したのではないか。
 
そんな感じで僕は4月8日の試合がますます楽しみになっている。
 
与那覇勇気の会見がめちゃくちゃイケてた件。「ボクシングからの果たし状」の言葉で外敵感を強調する那須川天心への「俺は甘くないよ」には心底震えたね笑
 

天心の実力は最低でも日本の上位ランカー以上。ますますテンションが上がったよ笑

てか、デビュー戦一週間前に公開スパーリングってすげえっすね。
 
対戦相手も映像を観るだろうし、僕などは減量がしんどい時期に観客の前に出てもいいの? と余計な心配をしてしまったのだが。
 
と言いつつ疲れはまったく感じなかった上に表情も「ホントに減量してるの?」と思うほどナチュラル。
やはり多くの方が言うようにいずれはもう少し下の階級でやるのかもしれない。
 
 
以前は「これは大丈夫か?」「転向後は結構苦労するんじゃねえか?」と思ったこともあった“ボクサー”天心だが、今は期待の方がはるかに大きい。
 
デビュー戦でいきなり与那覇勇気戦、さらに今回の公開スパーリングを観て最低限日本の上位ランカー以上の実力があることは確定した(僕の中では)。
 
仮にこの試合に勝てば次戦で空位の日本S・バンタム級王者決定戦にねじ込むか、もしくは階級を下げて別の道を模索するのか。何とも言えないところだが、とにかく僕のテンションは上がりまくりである笑
 
まあ、応援するのは与那覇勇気だけどww
 
那須川天心vs与那覇勇気現地観戦。天心すごかった。Amazonの中継は絶対に必要だよね。試合順は「打順」なんだよ
 
てか、天心を攻略するには頭が当たるくらいの位置で暴れまくるのがよさそうですね。
見切りもフットワークも使えない間合いでイライラさせるのが有効な気が……。
 

◯尾川堅一vsクライ・セッタポン×(5RTKO)

そして元王者尾川堅一とクライ・セッタポンによる60kg契約10回戦。3度のダウンを奪った尾川が5RTKOで勝利、見事再起に成功した一戦である。


試合の感想としては、めちゃくちゃよかった
リアルタイム視聴だったのもあるが、インパクトとしては那須川天心の公開スパーリングよりもはるかに上。
 
僕の観た尾川堅一の試合の中でもトップクラスの出来だった(と思う)。
 
 
 
対戦相手のクライ・セッタポンもかなり強い相手だった(と思う)。
 
ゴング直前にコーナーでアップを繰り返す姿を観て「おや? これは強そうだぞ?」となり、実際に試合が始まってからも「ああ、やっぱり強いわ」みたいな。
 
構えはややアップライト? 気味で距離は遠め。
ジャブとガードで尾川の攻撃を防ぎ、打ち終わりに高い位置から右を振り下ろす。
 
数値上は尾川堅一の方が上背があるが、パッと見ではセッタポンの方が背が高い印象。
背筋を伸ばして待ち構える分、いったん沈み込んでからパンチを打ち込む尾川よりも大きく感じた。
 
フィジカルの強さもありそうで、どこかで1発当たれば「まさか」もあり得るのでは? という雰囲気の選手である。
 
これはアレだ。
倒されるために来日したかませのタイ人などではない、もう一度世界王者を目指す選手の再起戦にふさわしい相手というヤツ。
 
与那覇勇気vs辻永遠、尾川堅一vsアラン・アルベルカ。与那覇勇気お疲れさまです。「俺は甘くないよ」には心底痺れた。尾川堅一は早くチャンスがくるといいね
 

1R終了時点で「負けることはなさそうだな」と。スピード、ジャブの精度等、尾川が劣る部分は見当たらない

ただ、1Rを終えた時点で尾川が負けることはないだろうと思ったことも確か。
 
パンチスピードや踏み込みの距離、安全圏に退避するバックステップ、その他。
全体的に尾川がセッタポンに劣る部分は見当たらない。
 
特に中間距離でのジャブがまともに当たっていたのを観て「これは大丈夫そうだな」と。
 
スピーディなジャブでセッタポンの顔を跳ね上げ、鋭い踏み込みから得意の右。
さらに近場で連打を浴びせ、セッタポンの反撃姿勢が整う前に距離を取る。
 
微妙に角度を変えつつ出入りとジャブ、強烈な右を駆使して徐々にセッタポンを疲弊させていく。
 
3Rが終わった時点で試合は完全に尾川のペース。タイミングを見て出力を上げれば確実に倒せるだろうなという印象を受けた。
 
アンソニー・ジョシュアvsジャーメイン・フランクリン戦が割とおもしろかった。劣化版クリチコって、クリチコのつまらなさを舐めんなよw 粗野な素顔をさらけ出すのは悪くない
 

5Rからボディ中心に切り替え、セッタポンを混乱させたところで右をボディにズドン

で、5Rからはこれまであまり見せていなかったボディ攻撃を中心に。
 
遠い位置から左でボディを叩き、下を意識させたところで顔面に。
セッタポンをたっぷり迷わせ、右ガードを顎から動かせない状態に追い込む。
 
そして今度はいきなりの右を顔面に…と見せかけてボディへズドン。
フェイントにつられてスウェイした瞬間、無防備になったボディに右が突き刺さる。
この1発で一瞬遅れて膝をつくセッタポン。
 
いや、素晴らしいっすね。
4Rまではほとんど出さなかったボディを重点的に攻め、セッタポンが混乱したところを見計らって右ストレートをボディへ。
身体が伸びきった瞬間に腹に突き刺さっていたのでアレは相当効いたはず。
 
序盤からスピードと正確性で上回り、5Rに攻撃パターンを変えて手詰まりにさせる。
そして仕上げは上と見せかけてのボディ。右ストレートに対する相手の警戒心を逆手に取った試合運び、文句なしのTKO勝利である。
 
デビン・ヘイニーvsワシル・ロマチェンコは案外ロマチェンコ有利かも? でも応援するのはヘイニー。「ヘイニーよ、お前がNo.1だ…」って言いたい笑
 

この日の尾川は僕の観た中ではトップクラスに絶好調。でもオーソドックスの右をもらう感じはこれまでと同じ…

上述の通りこの日の尾川堅一は僕が観た中ではトップクラスの出来。
このコンディションをキープできるなら世界王者返り咲きも十分可能なのではないか。
 
もともとvsサウスポーにはめっぽう強かったが、オーソドックス相手にこれだけやれるのであれば全然いける。


まあでも、オーソドックスの右を側頭部にもらう感じは今回も変わらなかったですね。
実際、セッタポンの右が危ないタイミング、角度で当たるシーンも何度かあったし。
 
基本的にセッタポンは尾川の攻撃を受けきる→尾川が一休みした瞬間の右を狙っていたが、仮にあそこでもう少し深く踏み込まれていたら……。
 
尾川堅一は大きく踏み込んで身体ごと中に入るファイトスタイルなので、どうしても打ち終わりを狙われやすくはある(と思う)。
また前回のジョー・コーディナ戦のように動き出しにドンピシャリのタイミングでもらえばその瞬間に試合は終わる。
 
尾川堅一がジョー・コーディナの狙いすました右で撃沈。距離の遠さとタイミングに慣れる前にもらったな。フラグになるから勝敗予想をしなかったのに笑
 
相手の実力が一定以上(オーソドックス)になればこの危険は常につきまとうのだろうと。
 

狙えそうな王座はIBFのみ。ラヒモフvsコーディナ戦の勝者に挑戦するのが現実的?

なおS・フェザー級の各王者を見ると、現状尾川が狙えそうなのはIBFのみ。
 
現地時間4月22日に英国で現王者シャフカッツ・ラヒモフvs前王者ジョー・コーディナ戦が予定されているが、その勝者に挑戦するのが一番現実的に思える。
 
ラヒモフが勝てば尾川の得意なサウスポーとの対戦、コーディナが勝てば本人が望むリベンジマッチ。どちらにしても絶対に実現しなきゃダメなヤツである笑
 
ちなみに僕としてはコーディナとの再戦よりもラヒモフ戦の方が興味がある。日本開催を目指すのならラヒモフが勝った方がよさそうだしね。
 
 
とまあ、いろいろと前向きな妄想ができる尾川堅一のパフォーマンスだった。
 
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