田中マー君覚醒!! スライダーの高速化、スラッター化でレベルアップ。悪いなメジャー、もうマー君は打てないよ

田中マー君覚醒!! スライダーの高速化、スラッター化でレベルアップ。悪いなメジャー、もうマー君は打てないよ

ボルチモアイメージ
2016年5月5日(日本時間6日)、米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースに所属する田中将大投手がボルチモアで行われたオリオールズ戦に先発。8回を投げて102球、被安打5、奪三振7、与四球1で無失点の好投を見せた。

なお試合はヤンキースが延長10回に0-1でサヨナラ負けを喫している。

今シーズンの田中マー君は期待できるぞ!! 2014年の高揚感が戻ってきた

この試合、ご覧になった方はいらっしゃるだろうか。
いや、もちろん大勢いると思うのだが、どう思われただろうか。
僕は正直、興奮が収まらなかった。
これだけの高揚感はマー君のメジャー1年目、2014年の前半以来ではないだろうか。
伝家の宝刀スプリットでメジャーの打者に手も足も出させずひた走っていた連勝街道。あのときの光景がよみがえってくるほどの圧巻のピッチングである。

「2017年田中マー君はサイヤング賞を獲得できるか? 実はダルビッシュよりも可能性が高い?」

前回登板のレッドソックス戦では6回2/3を投げて99球、6安打2失点。
そして今回はさらに内容が向上しての8回無失点である。
開幕直後はあまりの球威のなさに心配していたが、この2試合を観る限り今シーズンはかなり期待してもいいのではないだろうか。

これを読んでいる方は、コイツはたかだか2試合でなぜこんなにべた褒めなのかと思われるかもしれない。2015年シーズンもよかったり悪かったりと不安定なピッチングが続いていたではないかと。

安心していただきたい。
僕がこれだけ田中マー君のピッチングにハイテンションなのにはしっかりとした理由がある。
それがまさしく表題の件、スライダーのスラッター化である。

「マーくん、神の子、中5日。田中将大が黒田化して好投!!」

メジャーでトレンドの速いスライダー「スラッター」をマスターしてレベルアップの田中

「スラッター」という呼び名は僕も最近知ったのだが、ここ数年メジャーでトレンドとなっている「スピードのあるスライダー」をそう呼ぶらしい。
いわゆる「カッター」と「スライダー」の造語で、カッターよりも曲がりが大きく、スライダーよりもスピードが出る球を「スラッター」と呼ぶとのことである。

僕のつたない知識だと、初期にこのスラッターを投げていたのがドジャースのクレイトン・カーショウだ。そして、それをチームメイトの柳賢振が教わって一皮むけたことを記憶している。
そこから徐々にリーグ全体に広がりを見せ、今では好投手が好んで使うウイニングショットの1つとして定着している球である。

18秒~くらいに空振りを奪っている球が例のカーショウの「スラッター」である。
だいたい80マイル後半のスピードで曲がりながら鋭く沈む。
投手によってはもう少し横滑りしたりスピードが出たりとまちまちだが、どの投手が投げるスラッターも従来のスライダーよりスピードがありカッターよりも曲がりが大きいという共通点がある。

そして、この球をここ2試合の田中マー君が投げているのである。

29秒~あたりの球がそうだ。
85マイルで鋭く横に曲がりながら沈んでいる。見事にスラッターである
カッターよりも曲がりが大きく、スライダーよりもスピードがある。楽天時代初期に投げていた縦スラとも違う軌道で、右打者のスイング軌道から逃げるようにキャッチャーミットに吸い込まれていることがわかる。

「大谷165kmキター!! 大谷のストレートの質が悪い? ファールされる160kmより空振りが取れる140kmの方が上?」

開幕直後は心配していました。それが期待感に変わりました

今シーズンの田中は開幕から球速が上がらず、しかもスライダーがまったくダメで右打者に相当苦労する傾向が見られていた。
僕も「まだ開幕直後だし、気温も低いからこれからでしょ」と言いつつ、あまりの球威のなさに心配していた。

「ああ、今シーズンものらりくらりごまかしながら1年乗り切るのかな」
そんな感じで迎えたレッドソックス戦だったわけである。

ところが、この試合では全体的な球威アップが見られており、「お? これは?」と思った次第である。
正確にはその前のレイズ戦から徐々に球威は改善傾向があったのだが、このレッドソックス戦ではさらに腕を鋭く振り降ろす姿を確認することができた。
 
「もっと騒がれていい田中マー君のすごさ。今シーズンはマジでサイヤング賞推しメンです」
 
そして、件のスラッターである。
上述のように今シーズンの田中はスライダーの曲がりが悪く、右打者を打ち取るのにかなり苦労していた。腕の振りが鈍いせいか、得意のスプリットもややドロンとしており空振りが奪えないシーンが目立っていたのである。
だが、この試合では腕を鋭く振っていたおかげで、直球系に威力がありスプリットの鋭さも戻っていた。そこに鋭く外角へ逃げるスラッターが加わり、見事に右打者への対応が改善されていたのである。

「前田健太、抜群の適応力でノーノー未遂!! やべえ、本物だわ」

さらにテンションが上がったのが今日の試合である。
今日のオリオールズ戦の田中はスライダーとスラッターを使い分けていた。
80マイル前半の曲がりの小さいスライダー、そして80マイル中盤~後半の鋭いスラッターの2種類を使い分けて投球の幅をグッと広げていたのである。

実を言うと、前回の登板ではあの球が意識して投げているスラッターなのか、それとも球威アップによって相対的にスライダーの球速が上がっていたのかの判別がついていなかった。

だが、今日のピッチングで確信した。
田中はスラッターを投げている
メジャーでトレンドの「速い変化球」を自分のものにしている。誰に教わったのか、見よう見まねで覚えたのかは定かではないが。
そして、あの球を身につけたことで一段進化したことは間違いない。これまでののらりくらりとごまかすピッチングから脱却できるはずである。

「大谷翔平2016!! 二刀流に大賛成の僕が今さらだけどその理由を語ってみる」

田中が器用なことは重々知っていたつもりだったが、今回は本当に感服した。
田中すげえ。

「大谷翔平さんが今すぐにメジャー移籍しないといけない3つの理由」

マジで期待していいぞ2016年シーズン。ヤンキースのエースが覚醒した

しかも前回前々回同様、全体的に球威がアップしていることも好材料だ。
今日に関して言うと球速自体はそこまで出ていない。だが、ツーシームの威力やスプリットのキレなどは開幕直後に比べてかなり上がってきている。
実はこれもスラッターを投げていることが要因の1つではないかと思っている。スライダーのスピードを上げるには、当然腕を鋭く振る必要がある。それが相対的に他の球種にも好影響を与えているのだ。

球威がアップしたおかげで、ある程度大胆なピッチングができることも大きい。
これまで左打者には外のツーシームとスプリットがほとんどで、そこに意表を突いたカーブを混ぜるというのが主なパターンだった。
だが、今日は左打者の膝もとにスラッターを投げ込むことで、外に逃げる球をさらに効果的に見せることができていた。左打者の内側に鋭角に食い込む球を覚えたことで、さらにピッチングの幅が広がったのである。

初回2アウトランナーなしからの3番クリス・デービスとの勝負などはその典型だ。
0-2と追い込んだカウントから1球外にスプリットを外してボール。
内側のスラッターでファールを打たせ、最後はもう1球外のスプリット。これを引っかけさせて内野ゴロである。左打者の内側へのスラッターを効果的に使った組み立てといえるのではないだろうか。

これまでの田中は左打者の内側への球種がやや不足している部分があった。
あえて言うならあまり投げないカッターと、投げミスが即ホームランボールになるハイリスクなフロントドアくらい。基本は外中心の配球だったものが、スラッターを使い始めたことでゾーン全体で勝負できるようになったのである。

右打者の外にはより鋭く逃げる球。
左打者には膝もとに食い込みながら沈む球。
世界最高峰の投球術にさらに強力な武器が加わったことになる。
 
「田中マー君快投!! フライボール・レボリューションへの対抗策? 2シームを減らしてスライダーとカッター、カーブを増やす?」
 
いや、たまりませんな。
前回の記事で、今シーズンの成績をホームラン数と登板数が同数くらいで防御率3点台中盤~後半と予想したが、この予想は大きく外れることを確信している。
もちろんシーズン通してどうなるかはわからないが、このピッチングを続けていけばいろいろな数字が大幅に改善するはずである。

「2016年の田中マー君成績予想!! 靭帯断裂? 被本塁打数、防御率、投球回は?」

悪いなメジャー。
君らは田中マー君をもう打てんよ。

そんな戯言を言いたくなるほど、今の僕はテンションが上がっている。

まあ、そこまで甘くはないだろうし、こういう強気なことを言うと大恥をかくというのがいつものパターンなのだが……。

ちなみにヤンキースの弱さについては特に何もないっす。

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