田中マー君、2発のホームランに沈む。大一番に敗れ、2015年シーズンを終える

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海の風景
田中将大の短い秋が終わった。

アメリカ大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースに所属する田中将大投手が6日(日本時間7日)、本拠地ヤンキースタジアムで行われたワイルドカードのアストロズ戦に先発。5回を投げて83球、ホームラン2本を含む4安打3三振3四球で2失点の結果だった。

試合はヤンキース打線が相手先発カイケルの前に沈黙。わずか3安打で3塁を踏めずに0-3で敗れた。この結果、ワイルドカードで敗退となったヤンキースは、2015年シーズンの幕を閉じた。

肘が下がって球が走らない? 出来はよくないぞ

今日の田中将大。正直言って、あまりよくなかった。
前回登板がよくなかったので、大一番の今回こそはと期待したのだが悔しい結果に終わってしまった。

「田中将大、ホームラン被弾で最終戦を飾れず。12勝7敗の成績でシーズンを終える」

初回から相手打者に粘られ球数が増える。
前回登板でも思ったのだが、この2試合の田中のフォームはやや肘が下がり気味で身体の開きも早い。疲れなのか故障からくる下半身の粘りのなさなのかはわからないが、あまりいい状態ではないように思える。

「ヤンキース田中将大復の復活したのか? 不調は続くのか? フォームの比較で検証する」

肘が下がっているため、スプリットが思い通りに落ちない。落ちないスプリットを何とかしようと力みが入り、さらにコントロールが乱れる。余計な力が入って打者の手前でワンバウンドする。空振りも奪えず、結果的に球数が嵩む。
この悪循環で、どうしてもスライダーやカットボールに頼りがちになるのだ。

初回は2三振とセンターフライと絶好の立ち上がりに見えたが、実際はあまりいいとは思わなかった。

さらに肘が下がっているせいでフォーシームが引っかかり、右バッターの外側に大きく外れるボールも目立つ。打者の手元でグイッとくるキレのよさも見られない。

「プレミア12開催に先立ち、日本野球の国際化と国内リーグの強化を同時に実現する方法を考えてみる」

2回の先頭の4番ラスマスに初球のフォーシームをライトスタンドに運ばれるのだが、これも左バッターの外角を狙った球が引っかかって内側に入った球をすくわれたものだった。

そして、今日はとにかくスプリットの落ちがよくなかった。
いいコースに行ってもキレがないのであっさり見逃されるし、2回にバルブエナにセンター前に運ばれたように少し高く入れば軽くすくい上げられる。
積極的に振ってくる打者が多いアストロズ打線は普段の田中であればくみしやすいと思っていたのだが、今日の田中には危険が多すぎる打線であった。

コースを狙い過ぎてコントロールを乱す悪循環

球が走らないので1球1球に慎重になり、コースを狙い過ぎてカウントを悪くする。ランナーを背負った場面で一発を警戒してさらに厳しいコースを狙う。結果的にカウントを悪くして球数が嵩むという悪循環。
2回2アウト1、2塁の場面でカストロに与えたフォアボールなどはその典型だ。

スライダー、カットボールはまあまあよかったと思うのだが、いかんせんコースを狙い過ぎてボール1、2個分外れる場面が多かった。

さらに今日は右打者の内側へのツーシームにもあまりキレを感じなかった。
93、4マイルとスピード表示は出ているのだが、打者は割とあっさりと差し込まれずに引っ張っていた。

4回先頭の6番カルロス・ゴメスに初球のスライダーをレフトスタンドに運ばれたのだが、この球も打たれるべくして打たれた球だった。ちょうどゴメスが一番振り抜きやすい真ん中高めに入ってしまったのだ。今日唯一いいと思っていたスライダーだったが、完全に失投である。

正直、今日の出来でよく5回2失点で抑えられたなという感想である。この辺が悪いなりに何とか試合を作る田中の総合力の高さなのだろう。

目を見張るギアチェンジを見せるも、無念の83球降板でシーズンを終える

ただ、悪いなりにも目を見張るピッチングは見られた。

2回2アウト満塁。ここでのアルトゥーベに対するピッチングは本当によかった。
スプリットは鋭く、最後のツーシームもコースは甘かったが、腕を思い切り振っている分バッターは差し込まれていた。この場面の田中のピッチングはまさしくギアチェンジだった。
さすがにここで点を奪われたらまずいと思ったのだろう。このピッチングが常時できるのであれば誰にも打たれることはないのだが……。

鋭く腕を振れば球の威力は増す。腕の振りが鈍ければ変化球はトロくなるし、まっすぐの威力も半減する。そういうことなのだ。

5回は久しぶりに3人で終わらせた田中だが、いずれの打球もしっかりと捉えられたものばかりだった。

結局この回で降板となるのだが、83球での交代はこれ以上の上がり目はないと判断されたのだろう。相手先発カイケルの出来を考えて、ここで追加点をとられたら試合のすう勢が決まってしまう状況での交代。ある程度仕方ないと言える。

課題はやはり勝負どころでの被弾癖か。この問題を来シーズン、どう解決するか

この後、7回にヤンキースのリリーフ陣が1点を許し0-3。打線はアストロズの先発カイケル、リリーフ陣から最後まで得点を奪えずにシャットアウト負けを喫してしまう。

超満員に膨れ上がったヤンキースタジアム。
開始直後はものすごい盛り上がりを見せていたが、淡々と進行する試合に徐々に雰囲気が停滞していくのが印象的であった。

ここ最近、ヤンキースは打線が完全に沈黙していた。投手陣もサバシアの離脱もあって、厳しいチーム状態だったことは明白である。
たとえこの試合に勝ったとしても、ロイヤルズや.ブルージェイズに勝つのは難しかっただろう。ある意味、ここにたどり着くだけで精一杯だったのだ。負けるべくして負けた試合。そういうことなのだろう。

今日の田中に関しては、勝負どころでの被弾がやはり痛かった。
結局、今シーズンの課題であった一発の多さが肝心なところで出てしまった。シーズン中であれば悪いなりにソロホームラン2本なら上出来だと言えるが、今日のような試合では物足りないと言われても仕方がない。
普段であれば6回3失点のピッチングでOKとなるところだが、今日のような大一番では相手を圧倒する快刀乱麻のピッチングが必要だったのだ。

個人的に今シーズンの田中のスタイルは、長期戦のペナントレースにおいては正解だと思っている。だが、大一番の短期決戦での脆さを露呈したことも確かである。

「田中将大10勝目!! ホームランを許すものの7回3失点の好投で、メジャーデビュー以来2年連続の2桁勝利」

一度のベストピッチよりも6回3失点以内のベターなピッチング。ベストではなくベターを選択した田中。
去年と今年で実力的に通用することは十分に証明できた。だが、田中に求められるのはエースとしての働きである。
長いシーズンの中で、試合を支配するようなベストピッチングを要求される場面は必ずくる。そして、その期待に応えてこそのエースなのだ。

この課題に対し、来シーズンの田中が果たしてどのような答えを出すのか。今後も注目していきたいと思う。

とりあえず2015年シーズン、お疲れさまである。

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