武尊vsデニス・ピューリック。いい動きでしたね。武尊を勝たせるためのマッチメークだったけど。次戦で引退を表明、終活モードの武尊に思うこと【ONE173感想】

武尊vsデニス・ピューリック。いい動きでしたね。武尊を勝たせるためのマッチメークだったけど。次戦で引退を表明、終活モードの武尊に思うこと【ONE173感想】

2025年11月16日に東京・有明アリーナで開催されたONE173。第12試合で元K-1世界3階級制覇王者の武尊がデニス・ピューリックと対戦、2R2分49秒TKOで勝利した試合である。

 
また武尊は試合後のインタビューで次戦での現役引退を表明、最後の相手に今年3月に敗れたロッタン・ジットムアンノンを指名している。
 

武尊vsデニス・ピューリック戦目当てでPPVを(後追いで)購入したよ

先日開催されたONE173。
僕は予定があって現地観戦もリアルタイム視聴もできなかったのだが、今年3月のONE172に続いて日本人選手が大活躍だったとのこと。
 
中でも武尊の久しぶりのTKO勝利にはSNSが沸きまくっていた。
僕も武尊の動向には注目しており、次戦での引退を表明したと聞いて我慢できずにPPVを購入した次第である笑
 
というわけで今回はこの武尊vsデニス・ピューリック戦の感想を。
あくまで結果を知った状態での後追いで。
 

武尊はコンディションがよさそうだった。K-1時代の“最初から倒しにいく”スタイルに戻したんだって

まず今回の武尊はよかったと思う。
 
前回のロッタン戦は試合前に怪我をして最悪のコンディションだったらしいが、それに比べれば全然動けていた(気がする)。
試合運びもK-1時代の“最初から倒しにいく”スタイルに戻したとのこと。これまではONEのラウンドマスト制を意識しすぎて手数を重視したのがよくなかったとか。
 
武尊vsロッタン現地観戦。武尊の“終わり”を明確に感じたよ。ロッタンが絶好調だったとはいえ武尊がああいう負け方をするとは。やっぱりK-1に長く居すぎたよな
 
ローで下を意識させる→距離を詰めてパンチの連打。上と下の打ち分けでダメージを蓄積させつつ持ち前の馬力でねじ伏せる。
確かにこれはK-1時代と同じ勝ちパターン。2024年1月のONE参戦以降、試行錯誤を繰り返して原点に戻ったのだろうと。
 

ピューリックはトップ層と比べればやや落ちる印象。武尊を勝たせるためのマッチメークだったね

その反面、対戦相手は若干アレだった(気がする)。
デニス・ピューリックは2023年12月から勝利がない&現在40歳の選手。ロッタン相手に判定まで粘ったと言ってももともとロッタンはKOが少ない。
武尊を勝たせるためのマッチメークだったのは明白すぎるくらい明白である。
 
実際の試合でも武尊の馬力、上下の散らしに対応できずにロー(カーフ)をもらって後退。で、フックを浴びて吹っ飛ぶようにダウンを喫する。
スーパーレックのローキックや前蹴り、タン・ジンのワンツーのように前進を寸断するネタも持ち合わせていない。
 
この舞台に立てる時点で弱いはずはないと思うが、トップ層と比べれば一段(か二段)落ちる印象である。
 
武尊vsスーパーレック戦現地観戦。いい試合だったけど内容は完敗かな。K-1以外のリングで1勝2敗、トップ選手に2敗は結構重い気がする
 

2Rの中盤あたりにダウンしてない? 一瞬だったのでサラッと流されたけど

恐らく武尊はこの試合でダウンを喫している。
2Rの中盤あたり、打ち合いの中で左フックをもらって一瞬手をつくシーンが見られる。
本当に一瞬だったのでサラッと流されたが、アレはダウンと判定されてもおかしくなかった気がする(キックフワッと勢なのでよーわからん)。
 
あの2Rはピューリックがペースを上げたラウンド。
プレッシャーをかける武尊の顔面にジャブをヒットし中間距離での打ち合いに巻き込む。その中で武尊の動きが止まる瞬間も……。
足のダメージが限界を超える前にピューリックが勝負をかけたのだと思うが、ああいう危なっかしさを含めて“武尊の試合”だった。
 

左をもらいやすい武尊。今までは持ち前の頑丈さでカバーしてきたけど…

ついでに言うと武尊は左をめちゃくちゃもらう。
それもかなり危険なタイミングで。
 
2021年3月のレオナ・ペタス戦では打ち合いの中でカウンター気味の左を被弾→ガクッと腰を落としている。

 
2022年6月の那須川天心戦でのダウンは誰もが驚愕したのではないか。

 
2024年9月のタン・ジン戦ではワンツーからの追撃の左でダウン。

 
2025年3月のロッタン・ジットムアンノン戦では1発目の左に反応できずに後退→追撃の左で豪快にダウン。そのままカウントアウト負けを喫した。

 
武尊はもともとディフェンスに課題があると言われていたが、頑丈さと前に出る馬力ですべてをカバーしてきた。
 
だが近年は激闘によるダメージの蓄積+加齢によって持ち前の頑丈さが失われつつある。
前回のロッタン戦や今回のピューリック戦のようにタイミングよくパンチをもらうとすぐに“コテン”となる。
そのダウンがすべて左というのはなかなかである。
 
武尊vsタン・ジン。武尊反応遅くなったか? 試合開始すぐに「これは勝ちそうだな」と思ったらダウン食らった。本人的には「下に集中しすぎた」らしいけど
 

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終活モードに入った武尊。そのスタンスを全面支持するファンには違和感がある

一連のムーブや発言を聞くと今の武尊は完全に終活モード
 
デニス・ピューリックのカウンターをもらってガクッとなる、完敗したロッタンに再戦を要求する、次戦での引退宣言や奥さんを伴っての会見、などなど。
上を目指してギラつく挑戦者の姿とはちょっと違う。
ONEでベルトを目指す、強い相手を引きずり下ろす役割は与座優貴や野杁正明に任せたのだと思う。
 
それ自体は構わないのだが、そのスタンスを全面的に支持するファンには少々違和感がある。
 
彼らはもともと「K-1が最強で最高」と絶叫する武尊を応援していたはず。
僕はTHE MATCHでの那須川天心vs武尊戦は天心の完勝、ウェイトの問題がなくても武尊は負けていたと思っているが、彼らは頑なにそうではないと主張している。
 
もっと言うと武尊は「世界最強を証明する」と豪語してONEに参戦し、彼らもそこに全乗りしていた。

「僕はずっと世界最強を証明するためにずっとやってきたので、このONEのチャンピオンベルトを日本で取るためにやってきたので、明日、必ず取ります」

「【ONE】「世界最強を証明するためにやってきた」武尊がスーパーレックとピリピリの額の押し合い」
 
スーパーレック戦の前には「武尊が勝つと信じている!!」「武尊が最強」等の言葉を山ほど目にした。
 
 
ところがいつの間にか「武尊の生き様を見届ける!!」にシフトしているという。
 
申し上げたように今回のマッチメークは明らかに武尊を勝たせるためのもの。この相手に勝ったからと言ってロッタンと即再戦できるのは正直微妙である。
「世界最強を証明するためにONEで勝負する武尊」を応援してきたなら当然「おいおい」となるはずが……。
 

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最強を目指すレースから降りた武尊を受け入れるのは(大ファンでもない)僕でも時間がかかったけど…

青木真也やボクシングの井岡一翔もそうだが、格闘家の中にはどこかの段階で“生きざまを見せる”フェーズに入る選手が存在する。
 
武尊もその段階にきている(最強を目指すレースから降りた)わけだが、散々K-1最強を主張し那須川天心に罵声を浴びせてきた人たちまでしれっと方向転換しているのはどうなのよ? いくら何でも都合がよすぎませんか?
と僕などは思うのだが。
 
「武尊の生き方に惚れてるんだ(キリッ」じゃねえんだよ。
その前に清算しなきゃアカンことが山ほどあるだろ。
 
 
武尊の大ファンではない僕でもスーパーレック戦後の「今自分の体で出来る最善の戦い方があの戦い方」という言葉はまあまあショックだった。

 

今の自分が最強ではないことをはっきり認めてしまったというか。
これを受け入れるまでに時間を要したことを覚えているが、多くの方にとってはそうではないらしい。
 
武尊vsスーパーレック戦が無料公開されたので視聴してみた。思った以上に武尊の完敗ですね。この階級で最強ではないと本人が認めちゃったのも残念
 
まあ、それをひっくるめて武尊のカリスマ性なんでしょうね。
全然納得はいかないけど。
 

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