サンウルブズがフォースに大敗。力負けっすね完全に。フォースのゲームプランどおりに進んで理想的に負けた。どうにもならない試合だったな
スーパーラグビーに参戦している日本チーム、サンウルブズが、2016年5月7日に東京・秩父宮でオーストラリアのフォースと対戦した。
結果は22-40で大敗を喫し、戦績を1勝8敗とした。
前節からの連勝を狙ったサンウルブズ。
開始直後にウイング山田が先制トライを奪うものの、インターセプトからのトライを皮切りに逆転を許し、前半を5-26で折り返す。
後半、疲れの見えるフォースに食い下がるが、またしてもインターセプトからトライを許すなど失点を重ねてしまう。
終わってみれば22-40の大敗。
4トライを奪う健闘を見せはしたが、またしてもスーパーラグビーの壁の厚さを思い知る結果となってしまった。
「サンウルブズ勝利!! やればできるじゃねえかww ジャガーズに逆転勝ち」
今日も江戸は日本晴れ。だけど試合は曇り空
この日も快晴の秩父宮ではあったが、試合内容としてはどんよりとスッキリしないものだった。
サウンウルブズを応援している側としては観るべきものが何一つない試合。
逆にフォースにとってはプランどおり。前半で突き放してそのまま逃げきるというチームカラーがそのまま出た理想的な試合展開である。
いや、残念というか。
何も言うことがない。本当に見ての通りだ。
フォースにやりたいことを思いきりやられた試合だったとしか言いようがない。
前回の試合からインターバルが2週間あり、しかもホームの秩父宮。相手はここまで1勝8敗のフォースである。それも1週間前にオーストラリアで試合をしてからの来日だ。コンディション的にも完全に有利な状況での大敗である。
「力の差で負けました。何も言い訳できません」
そう言わざるを得ない試合だった。
「サンウルブズがまさかのストーマーズ戦引き分け!! マジすげえ!! 結成以来のベストゲームでしょ?」
トライに時間をかけ過ぎた。そしてゴールキックが決まらな過ぎた
大きな流れとしては2つ。
1つ目は、後半30分にサンウルブズのカーペンターがトライを奪った場面。
あのトライでサンウルブズが15-33と追い上げるのだが、そこに至るまでに時間を使い過ぎた。恐らくサンウルブズが攻めていた時間が3〜4分続いていたと思うが、もうワンテンポ早くトライを奪えていれば流れが一気に変わったところだった。
恐らくフォースはこういう展開に慣れているのだ。
わかりやすいくらいの先行逃げ切り型のチームなので、後半劣勢に立たされる展開はいつものことなのだろう。ピンチの場面で相手にどう時間を使わせるか、相手をどう疲弊させるかはお手のものなのだ。
しかも、サンウルブズは別に後半の追い上げが得意なチームではない。フォースは劣勢ではあっても、ある程度余裕を持ってディフェンスできていたはずである。
そして、2つ目はゴールキックがまったく決まらなかったことだろう。
今回の試合でサンウルブズが奪ったトライは4つ。最後の山田のトライは勝負が決した後なのでノーカンとして、それまでの3つのトライでゴールを1本も決められていないのである。
たとえばだが、このゴールを3本とも決めていたと仮定すると、後半30分の時点で21-33の12点差である。残り10分で2トライ2ゴールで逆転できる点差であれば、まだ十分勝機は残っていた。会場の雰囲気含め、試合の流れも大幅にサンウルブズに傾いたはずである。
風が強くキックが難しかったのはあるだろうが、その部分は本当に悔やまれる。
繰り返しになるが、フォースのチームカラーは完全な先行逃げ切り型である。
体力のある前半はグランドを走り回ってトライを奪いまくる。早い時間帯で引き離せるだけ引き離しておき、後半は相手の追い上げをフラフラになりながらしのぐ。キックゲームで時間を稼ぎつつ、一か八かのインターセプトを狙いつつ。
今日のサンウルブズは、このフォースの得意パターンにまんまとやられてしまったのである。
「TMOって必要? テレビジョンマッチオフィシャル不要論を唱えてみる。暴論かな?」
密集での狡猾さと、走力を活かしたランプレーに翻弄された
個々のプレーに目を向けると、フォースのフォワードで目についたのは球際の強さだ。密集でのボールの奪い合いが狡猾というか、非常にいやらしい。
イーブン状態のボールに対して、反則ギリギリのラインでボールを奪いにくるのである。
倒れた相手に対し、ラックが成立するかしないかスレスレのタイミングで手を差し入れて相手のボールの動きを止める。そして、あわよくばターンオーバーまで持っていくのだ。
「ワラターズvsサンウルブズ予想!! 強いなワラターズ。これに勝つのは至難の業」
さらに、ボールを持ち込んだシーンでの獲得率の高さもかなりのものだ。
ボールを持ったプレイヤーが芯を外して相手にコンタクトし、自分に有利な姿勢で倒れる。すぐさまサポートプレイヤーがラックを形成し、素早くボールをキープする。そこでさっさとボールを出すわけではなく、周りのプレイヤーとのタイミングをみて、外に展開するかフォワードで縦を突くかの判断を下す。
基本的なプレーではあるものの、1人目のコンタクトの姿勢がいいので攻撃が継続しやすいのである。
そして、バックスは前半のトライラッシュをご覧いただければわかるように、完全にパスランのチームである。
オフェンスラインを深くとり、横に長いパスをつないで外勝負。
ラインの後ろにフルバックとブラインドウイングを立たせて攻撃のバリエーションに幅を持たせる。センター陣の縦突進を交えつつ、最後は走力のあるウイングにボールを渡してフィニッシュという王道パターンである。
また、ボールを持ったプレイヤーが芯を外して当たることを徹底していたことには本当に感心させられた。
タックラーの間合いのわずか外で小さくステップを踏む。これで一瞬タックラーの足を止め、その瞬間を狙ってタックラーのサイドに走り込む。そうすることで、真正面からではなく有利な姿勢を保ちながらタックルを受けることができるのだ。
有利な姿勢とはつまり、上半身を動かせる状態。ボールを自由にコントロールできる状態である。走り込んできたサポートプレイヤーにボールを渡し、スピードを緩めずに攻撃を継続できるのである。
これも基本的なプレーではあるが、スピーディな流れの中でそれを徹底するのはなかなか難しい。個々のプレイヤーにスキルと身体の強さがあってこそ実現できるプレーと言えるのではないだろうか。
「日本vsフィジー予想。ダブルスコアで勝利しろ。フィジーごときに今のジャパンが負けるわけがない」
付け入る隙はあった。でもサンウルブズのオフェンスラインでは難しい……のか?
ただ、解説の大畑氏も言っていたようにフォースのディフェンスにはかなり付け入る隙があったと思う。
基本的に密集サイドに人数を集めた陣形をとる。さらに、アウトサイドのセンターとウイングがかなり下がったポジショニングなので、必然的に外にスペースができやすいのである。
現に外展開でのチャンスは多かったと思うし、トライを奪ったシーンも外に展開した上で相手のギャップを突いたものだった。
そして、フォワードもバックスも待ちのディフェンスが基本なので、スピードをつけて突進することで崩すことは可能だったはずである。
これは密集でのボールの奪い合いに自信のあるチームの特徴なのだが、待ちのディフェンスで相手を早く囲むことができる反面、縦の突進に弱いという面がある。
2015年のW杯で日本代表が南アフリカを敗った試合もまさにこれで、近場でボールを動かしての縦突進を徹底した日本が相手の待ちのディフェンスを突き破って勝利を飾ったのである。
「日本が南アフリカに勝利!! 日本代表を支える外国人。ラグビーW杯で起きた奇跡をひも解く」
ただ、今大会のサンウルブズは強烈な縦突進で突き進むというより、横への展開のラグビーを主としている。この日のフォースのディフェンスをバラバラにするにはややインパクトが足りないと言わざるを得ないだろう。
「また負け…。サンウルブズ11敗目で日本での開催試合を終える…。どうにもなりませんでしたな今日は」
またこれは前から気になっていたのだが、サンウルブズのオフェンスラインがどうも浅い。
展開ラグビーを標榜するチームの方針なのか、バックスの意向なのかは定かではないが、もう少し深目にラインを引いて勢いをつけて走り込んだ方がいいのではないかと思う。
もちろん浅く近いラインを引くことで素早いパス回しができるというメリットもある。だが今のところ、そのメリット以上にアタックの勢いのなさと相手にインターセプトされるリスクの方がはるかに大きいのではないだろうか。
現実的に今日の試合もトライ直後のインターセプトで2度も流れを止められている。トライ後のゴールを含めて、インターセプトだけで14失点である。
チームの方針をガラッと変えるのは難しいのかもしれないが、この部分はもう少し工夫するべき点ではないだろうか。
後、アレだ。
今日のラインアウトが史上最低レベルにゴミだったのはもう切り替えるしかない。「今日は調子が悪かった」とでも言って笑い飛ばしておけばいい。そのくらいポジティブに考えないとやってられない。
次回はシンガポールでのストーマーズ戦。厳しい試合になると思うが、何とか勝て。ラグビー人気のために勝て
次回は5月14日(土)にシンガポールで行われるストーマーズ戦である。現在6勝3敗と勝ち越している強豪を相手にどこまで食い下がれるか。
「サンウルブズこりゃキツいな…。ストーマーズに勝利するにはどうすれば?」
何度も言うが、サンウルブズが負けるたびにファンの関心度は下がっていく。スーパーラグビー初参戦で1勝できたことがすごいとか、参加しているだけでも快挙だとかそんなことは関係ない。勝利こそ、W杯で盛り上がったラグビー熱を継続する最大の処方箋だ。
一応、五郎丸不在のサンウルブズにおいて、イケメン枠で推している山田章仁がこの日も2トライである。しかも計7トライで得点ランキングも上位につけている。まだまだコンテンツとしてのサンウルブズを見捨てるには時期尚早である。
ちなみにだが、あの試合中の「ウォ〜、ウォ〜オオウ、ウォ〜、ウォ〜オオウ」というかけ声。アレが僕にはブーイングにしか聞こえないのだが気のせいだろうか。サンウルブズだけに「狼の遠吠え」と呼ばれているらしいが。
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