ロベイシ・ラミレスまさか? の陥落。長身のラファエル・エスピノサが新王者に。アンディ・クルスの化け物感はロマチェンコvsローマン・マルティネス戦を思い出した【結果・感想】
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先日のWBC世界S・ライト級タイトルマッチでデビン・ヘイニーが王者レジス・プログレイスを下して2階級制覇を達成したわけだが、今回はそれ以外の試合を。
デビン・ヘイニーほど毎回ファイトスタイルを変えてくる選手も珍しいよな。プログレイスを圧倒、フルマークで2階級制覇
ヘイニーvsプログレイス戦のアンダーで行われたアンディ・クルスvsジョバンニ・ストラフォン戦、同日別会場で開催されたWBO世界フェザー級タイトルマッチ、ロベイシ・ラミレスvsラファエル・エスピノサ戦についてである。
アマチュア出身のアンディ・クルスは順当に勝利したが、同じ元トップアマのロベイシ・ラミレスは判定負けを喫するまさかの事態に。
特にラミレスは日本の井上尚弥の将来的な対戦相手と目されていたこともあり、衝撃はそれなりに大きい。
○アンディ・クルスvsジョバンニ・ストラフォン×(3R53秒KO)
最初はこの試合。
東京五輪金メダリストのアンディ・クルスが迎えたプロ2戦目。26勝5敗1分19KOのジョバンニ・ストラフォンと対戦、3RKOで勝利した一戦である。
まず僕はアンディ・クルスの試合をちゃんと観たのは今回が初めて。
五輪金メダリストということで名前は聞いていたが、特に注目はしてこなかった。
当日もメインイベントのヘイニーvsプログレイス戦がお目当てだったためにリアルタイム視聴はせず。
数日遅れでようやく追いついたところである。
感想としては「おお、これはすごいな」。
「アンディ・クルスがすごい」
「ライト級にまた怪物が出てきた」
といった声はちょいちょい聞こえてきたが、実際に観ると「なるほど、確かにすげえな」と。
Torn to shreds @Andydiamondcruz outclassed his opponent, getting a 3rd round stoppage win.
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— DAZN Boxing (@DAZNBoxing) December 10, 2023
サウスポーのストラフォンの懐にスルスルと入って右をバシバシ当てる。
ジャブのように右を当てまくる、自分は相手のパンチが届かない位置にさっさと移動する。
動き出しの“溜め”がほとんどなくすべての動作を流れるように“こなす”。
一方的な蹂躙を“作業”として淡々と遂行していく。
対戦相手のストラフォンは動きにまったくついていけず、やれることは相打ち覚悟のフルスイングのみ。
だが、その捨て身のぶん回しもモーションに入ったときにはすでにクルスは目の前から消えている。
で、少しでも手を止めればかさにかかって攻めてくる。
ガチで地獄である。
ワシル・ロマチェンコvsローマン・マルティネス戦を思い出した。ロマチェンコの快進撃が始まった試合
何となくだが、今回の試合は2016年6月のワシル・ロマチェンコvsローマン・マルティネス戦を彷彿とさせた。
僕はS・フェザー級時代のロマチェンコはオールタイムベストでもおかしくないと思っているが、ローマン・マルティネス戦はその快進撃が始まった試合。
しかもアンディ・クルスは1発1発のパンチに体重が乗っている印象である。
WOWOWエキサイトマッチの解説者が当時のロマチェンコのフットワークを「水面を移動しているよう」だと言っていたが、それに比べればアンディ・クルスの動きはやや落ちる。
その反面、ダメージの蓄積具合、1発の威力はロマチェンコよりも上。
精神を削られる、何をしても歯が立たない絶望感はロマチェンコ。
はた目から見てもわかりやすくヤバい、周りが「もうやめとけ」と割って入りそうなのがアンディ・クルス。
本人が絶望するか、周りを絶望させるか。
どちらがいいか悪いかではなく、とにかくすごかった。
ヘイニーvsロマチェンコ再視聴。言うほどロマチェンコは勝ってない、ヘイニー勝利と断言するほどでもない。理不尽な罵声を浴びせられたヘイニーが闇落ち。あ〜あ…
×ロベイシ・ラミレスvsラファエル・エスピノサ○(判定0-2 ※113-113、112-114、111-115)
続いてはこの試合。
2023年12月9日(日本時間10日)に米・フロリダ州で行われたWBO世界フェザー級タイトルマッチ。王者ロベイシ・ラミレスがラファエル・エスピノサに判定負けを喫した一戦である。
ロベイシ・ラミレスは近い将来、井上尚弥の壁? になると言われた選手だが、正直僕にはそこまでとは思えず。
清水聡を撲殺した試合は確かにすごかったが、井上のラスボス云々言うほどか? と。
これまで井上vsロベイシ・ラミレス戦の話をしたことは一度もないと思うが、そもそも井上を脅かすような選手ではない、井上がフェザー級にいくまで王座を維持できるかも疑問。
触れる必要性を感じていなかった。
「ロベイシ・ラミレスは井上尚弥、最大の強敵になり得るのか? 元リング誌編集人が検証」
ただ、それを踏まえてもコケるのが早いw
盤石な王者ではないとは言え、まさか2度目の防衛に失敗するとは。
デビン・ヘイニーが圧巻? のパフォーマンスでレジス・プログレイスを下した裏で起きたこの波乱? にはちょっと驚かされた。
身長185cmのフェザー級、エスピノサ。連打型で接近戦もできる
具体的な内容についてだが、何よりラファエル・エスピノサがよかった。
身長185cmのフェザー級という長身痩躯の選手。
しかも上背を活かして遠間で勝負するスタイルではなく自ら試合を動かす連打型でもある。
前回の清水聡(180cm)も同様に長身痩躯だが、エスピノサは清水にはないフットワークを兼ね備えていた。
どちらかと言えばリング中央での差し合いのみだった清水に対し、エスピノサはバックステップやサイドへの移動を織り交ぜながら戦うことが可能。
ガードを上げてにじり寄る&中で勝負したいラミレスにとってはめちゃくちゃやりにくいタイプである。
また、エスピノサは接近戦でもラミレスを上回っていた(と思う)。
中間距離からやや近めの位置では持ち前の馬力を発揮するラミレスだが、額が当たる位置まで近づくと明らかにやりにくそうにする。
一方のエスピノサは下から突き上げるアッパーやガードの外側から巻き込むような軌道のフック、若干低い? ボディを駆使してどんどんヒットを重ねる。
中間距離ではラミレス有利だが、遠い距離と接近戦では断然エスピノサ。
両者の射程の違いがモロに影響した試合だった。
アフマダリエフがゴンサレスに勝利しWBA挑戦権獲得。前回はタパレスがよかったのかもしれん。井上尚弥がフルトン以上に警戒するのもなるほどとオモタ
上体の柔軟性も高い。清水と違って効かされてもすぐに回復する
そして、エスピノサは上体の柔軟性が高いのもいい。
清水聡はラミレスのパンチを芯で食いまくってダメージを蓄積させていったが、エスピノサは動きに柔らかさがあるためいったん効かされてもすぐに回復する。
強かったロベイシ・ラミレス、厳しかった清水聡、期待通りの武居由樹、期待外れの今永虎雅。放置タイム約2時間、スポーツイベントとしてはクソ中のクソでしたね
もっと言うと、効かされた直後に自分から前に出たのがよかった。
ラミレスの得意なフックをカウンターで被弾→膝がガクッと落ちる→この局面であえて打ち合うことで強引にラミレスを守勢に回らせた。
ヤバいパンチをもらったのがいずれもラウンド後半だったことを含め、今回はすべてがエスピノサ寄りだった気がする。
ロマチェンコにインスパイアされた人たち? 機動力に差がある喧嘩四つはこのパターンになりやすい
上記2試合(+ロマチェンコvsマルティネス戦)を観ると、機動力と先読みに優れた選手が死角に回り込む&空いた場所にどんどん連打を浴びせていく流れにはやはり「ほえ~、すげえわ笑」となってしまう。
僕はアンディ・クルスvsジョバンニ・ストラフォン戦もロベイシ・ラミレスvsラファエル・エスピノサ戦も大雑把に言えば似ていると思っていて、特に右vs左の喧嘩四つはこのパターンになりやすい(気がする)。
元S・フライ級王者のジェシー・ロドリゲスもそうだが、要するにロマチェンコにインスパイアされた世代なのだろうと。
ウクライナ出身のトップアマに“ハイテク”と呼ばれるスタイルが多いのも機動力のある選手が喧嘩四つの相手に似た展開を作るのもそう。
ジェシー・ロドリゲスvsサニー・エドワーズおもしろかった。ロマチェンコvsラッセルJr.を思い出した。自分の得意分野で完敗したエドワーズはプライドがズタボロじゃない?
それくらい全盛期のロマチェンコはとんでもないインパクトだったと想像する。
アンディ・クルスのデビュー戦(オーソドックスのファン・カルロス・ブルゴスに判定勝ち)なんて完全に別人ですからね。
初めてのプロのリング、初めての10回戦というのを差し引いても今回とはあまりに違う。
横の動きが使える選手にとっては右vs左の方がやりやすいまであるのかもしれない。
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