野杁正明、KANAともに完敗。メクセンに実力負けのKANAと野杁対策を徹底したリウ・メンヤン。野杁は今後厳しそう…【ONE Friday Fights92感想】

野杁正明、KANAともに完敗。メクセンに実力負けのKANAと野杁対策を徹底したリウ・メンヤン。野杁は今後厳しそう…【ONE Friday Fights92感想】

2024年12月20日にタイで開催された「ONE Friday Fights92」。
元K-1のKANAと野杁正明が参戦するも、両者ともに判定負け。野杁は今年6月の初参戦に続いての連敗となっている。
 
 
元K-1王者がONEに参戦するということで僕も注目していた今回。
第3試合のKANAvsアニッサ・メクセン、第4試合の野杁正明vsリウ・メンヤン戦を中心に視聴したわけだが、その感想を言っていく。
 

×KANAvsアニッサ・メクセン○(判定3-0)

まずは元K-1女子フライ級王者KANAとアニッサ・メクセンの一戦。
僕は両選手ともよく知らないのだが、KANAは以前からこの選手との対戦を熱望していたとか。
 
メクセンはONEでの戦績が4勝2敗(直近2連敗中)で現在36歳とのこと。
プロフィールだけを見れば勝てそうな気もするが……。
 
めちゃくちゃ強かったですね。
 
手足が長く3Rを通して横の動きが止まらない。
常にKANAよりも先に手を出し、打ち終わりにパンチをまとめてくる。
 
足を止めない、動きながら打ってくるためになかなか的が絞れない。
ロー、カーフで足を止めようとするものの、ヒットの瞬間にズラされて威力を半減させられてしまう。
 
逆にKANAは動き出しを狙われ、自分の距離に入る前に被弾、連打の回転力でも上回られる。
どうにか近づいてもそのつど頭を抱えられて動きを封じられる。
ガードを上げて前進したり、カーフとジャブを織り交ぜたりといろいろ試していたが、KANAは最後まで自分の間合いを作れなかった。
 
大雅MMA転向キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 4年前から待ってたぞオイw 那須川天心の次にMMAで観たいと思ってた選手。K-1、RISE王者を経ての参戦もたまらんよね
 

スムーズさが違ったよね。攻防のつなぎがはっきりしているKANAと滑らかなメクセン

何となくだが、両者の瞬間的なスピード、回転力に大きな差はなかったと思う。
 
恐らく一番の違いは打撃のスムーズさ
KANAは動き出しの瞬間、1発1発に力みがあり、攻防のつなぎがはっきりしている。
力を入れてガツガツ打ち合う攻撃は迫力満点だが、全体的にカクカクしていて対処もされやすい。
 
対するメクセンはすべての動きが滑らかで連打もスムーズ。
攻撃を読まれにくく連打の最中にカウンターを合わせることも可能。
 
もしかしたらこれも“打ち合い上等”のK-1ルールに慣れすぎた弊害かもしれない。
 
まあ、一番の理由は単純にメクセンの方が強かったからだと思うが。
 
 
ちなみにメクセンの負けた試合を眺めてみると、対戦相手はメクセンをさらに上回るスピード、滑らかな連打でヒットを重ねていた。
 
クマンドーイが負けただと!? 田丸辰の力強さが段違い。過去の試合で感じた頼りなさは皆無だった。53~55kgはクマンドーイを中心に群雄割拠が進む?
 

○野杁正明vsリウ・メンヤン×(判定3-0)

そして第4試合の野杁正明vsリウ・メンヤン戦について。
 
感想としては、野杁は70kgでは厳しそうだなぁと。
 
この選手は分厚いプレッシャーで相手を下がらせロー、ボディ、膝等で疲弊させる→コーナーに追い詰めたところで連打を浴びせて嫌倒れさせるのが得意なイメージ。
 
2021年9月の安保瑠輝也戦もそうだが、自分が前に出ることが前提のスタイルである。

 
だが階級が上がればそれだけ相手も大きくなる。
後退させるのが難しくなるだけでなくリーチや上背も上がる。
 
しかも今回のリウ・メンヤンは身長183cmと大柄な選手。リング上で対峙した両者の体格差は明らかだった。
 

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シッティチャイと海人を参考に野杁対策を徹底したメンヤン

申し上げたように70kgの舞台では野杁の勝ちパターンがいまいち機能していない。
 
また多くの方がおっしゃっていたように前回のシッティチャイ戦、THE MATCHでの海人戦で野杁対策がバレてしまった感がある。
 
野杁正明vsシッティチャイ。「野杁ですらこうなっちゃうのか」とオモタ。キックボクサーとしての奥深さ、経験値の違いを感じたよ
 
特にリウ・メンヤンの野杁対策はシッティチャイよりもさらに極端だった。
 
開始とともに大急ぎで距離を詰め、のしかかるような態勢で動きを封じる。
前のめりに体重をかけたまま近場の膝、細かいワンツーを浴びせる。
距離がある位置では前蹴りで前進を止め、すぐにスペースを潰して再びロープに押しつける。
 
近場のボディ、膝を得意とする野杁だが、ピッタリくっつかれた状態ではどうしても威力は落ちる。
後ろ体重のまま打つパンチには体重が乗らず、逆に後退を強いられる。
 
 
遠い位置では先手の前蹴り。
すぐに距離を詰めて体格差を活かした物量勝負。
極論、近場の膝やボディは根性で耐えればいい。
 
メンヤン陣営としては、消耗戦に持ち込みさえすれば十分勝機はあると判断したのだろうと。
 
 
シッティチャイの前蹴り、海人の近場勝負。
上述の通り野杁対策が浸透しているのは間違いなさそうである。
 

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野杁は今後さらに厳しくなりそう…。“前に出て打ち合う”選手がいろいろなパターンでやられるONEの舞台

今回はKANA、野杁ともに完敗だった。
KANAは階級もバッチリ、舞台も慣れたリングということで完全に力負け。
 
野杁はK-1で主戦場としていた67.5kgがONEには存在せず、花形の70kgで勝負することを選んだわけだが……。
あれだけ対策されてしまうと今後はさらに厳しくなりそう。
 
これから先も相手は同じことをしてくるだろうし、短期間で接近戦が劇的に向上するとも思えない。
勝つためにはKO一択になるが、前回、今回と得意のボディをしっかり耐えられているのが……。
 
 
KANAは持ち味の馬力を3Rにわたっていなされ、野杁は圧力をかける場面すら作らせてもらえなかった。
もっと言うと、今年1月には武尊がスーパーレックのローで下半身をぶっ壊されている。
 
武尊vsスーパーレック戦が無料公開されたので視聴してみた。思った以上に武尊の完敗ですね。この階級で最強ではないと本人が認めちゃったのも残念
 
“前に出て打ち合う”系の選手がいろいろなパターンでやられていることを考えると、改めてONEはハイレベルな場所なのだと思わされる。
 

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