メイウェザーが神である理由。「カネロ戦はイージーだった」。ビジネスはセンスとタイミング。そして、何より意思の強さが必要なのであるw
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以下はボクシング専門誌「リング」による2019年4月27日付けのパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングである。
1.ワシル・ロマチェンコ
2.テレンス・クロフォード
3.サウル・“カネロ”・アルバレス
4.オレクサンドル・ウシク
5.エロール・スペンスJr.
6.ゲンナジー・ゴロフキン
7.井上尚弥
8.ファン・フランシスコ・エストラーダ
9.マイキー・ガルシア
10.ドニー・ニエテス
1位は文句なしの“ハイテク”ロマチェンコ。そこに安定感抜群の強さを持つがまったく人気が伴わないテレンス・クロフォードが追随し、ゴロフキンとの壮絶な2戦を経て名実ともにボクシング界のスターに上り詰めた“カネロ”・アルバレスが続く。
また、試合間隔の空いた井上尚弥は6→7位とやや順位を下げ、ファン・フランシスコ・エストラーダやドニー・ニエテスは下位で安定している状況。
この順位については、恐らくいろいろな意見があるのだと思う。
特に絶大な人気を誇るとともにアンチも多いカネロに関しては、今の順位に納得がいかない人も多い気がする。
そして、僕個人としては「まあ、いいんじゃない?」という感じ。
そもそもPFPランキングは妄想遊びの側面が強く、クソまじめに捉えてもかえって疲れてしまう。強さ云々よりも「旬」であることを重視するイメージもあるので、なるべく間隔を空けずにインパクトを残した選手のランキングが上がるのかなぁと。
なので、これに関しては毎回「へえ~、そうなんだ~」程度に眺めている次第である。
「カネロvsコバレフ。ちょっと待て、この試合ホントにやるのか? カネロに勝算? マジで言ってんのか?」
フロイド・メイウェザーが神である理由。賛否両論はあるけど、この人はどう考えてもすごいよね
で、表題の件。
2000年代後半~2010年代前半にかけて、PFPランキング上位の常連だったのが今回の主役であるフロイド・メイウェザーJr.。
卓越したディフェンステクニックと超人的な反射神経で5階級制覇を達成し、通算50戦全勝のパーフェクトレコードのまま引退した名王者である。
また、“マネー”の異名を持ち、1試合で莫大なファイトマネーを稼ぐことでも知られる。
ここ最近はMMAのコナー・マクレガーとのボクシングマッチのために1試合限定で現役復帰を果たしたり、日本のRIZINのリングでキックボクサー那須川天心とエキシビジョンマッチを行うなど、引退後も格闘技界に話題を提供し続けている。
「衰えまくったメイウェザーがセンス抜群のマクレガーにTKO勝利!! お前ら最高やww 報酬100億円のメイウェザーは久しぶりのKO」
メイウェザーに関しては賛否両論あるかと思うが、僕はこの人のスタンスはマジですごいと思っている。
引退後に自分の名声をクソほど利用してお金を稼ぐやり方に嫌悪感を示す方は多いが、それも含めてさすがだなと。
特に自らを高く売り込むセンスとタイミング、初志貫徹の意思の強さは凄まじいものがある。
確実に勝てる相手を選び、自分に有利な条件を付きつける。その様子をリアルタイムで見せつけアンチを煽る。「ムカつくから負けてほしい」というファン心理を巧みに利用して注目を集め、その上で安全運転に徹して勝つ。
しかも、「たぶん勝つのはメイウェザーだけど、もしかしたら……」というスレスレのラインをつくのが憎たらしいww
「十中八九メイウェザーが勝つけど、何かの間違いが起こればわからない」
「ちょっと物足りないけど、批判するほどではない」相手を選出し、いっさい間違いを起こさず勝利を得る。少しでも危険だと感じれば、タイミングをずらして時期を待つ。
ここの部分を見極める目利き力はもはや芸術と言っても過言ではないww
先日のカネロvsダニエル・ジェイコブス戦もそう。
ミドル級王座を統一するなど、実力と人気を兼ね備える大スターへと成長したカネロ。正直、ウェルター級時代のメイウェザーでも今のカネロに勝つのは容易ではない(気がする)。
「カネロがジェイコブスに辛勝。相手のよさを消すのが得意なジェイコブス。カネロ打倒一番手はまさかのアイツ?」
だが、2013年時点のカネロはまだまだ若手有望株の1人に過ぎず、メイウェザーの相手としては役不足だった感が強い。この段階のカネロを叩いたことで、メイウェザーは未来永劫「カネロ戦はイージーだった」と言い続けることができる。
相手が未熟だろうが知ったこっちゃない。
カネロに唯一の黒星をつけたという実績だけで、メイウェザーはこの先ずっと格上の立場でいられる。それどころか、カネロが実績を積めば積むほど勝手にメイウェザーの評価も上がり続ける。
つまり、これがメイウェザービジネス()の神髄であり、メイウェザーが神たる所以なのであるww
「メイウェザークズ過ぎワロタw 那須川天心のしくじり先生がクソおもしろかった件。ジャンルを引き上げるって大変よね」
AbemaTVの企画でドタキャンをカマした青木真也。「空気を読まない」ってそういうことじゃないから
先日AbemaTVでO.A.された「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円 挑戦者決定トーナメント」。
結果は元アマチュア全日本ランク4位の藤崎美樹選手と「THE OUTSIDER」元王者大井洋一選手が勝ち残ったわけだが、それよりも「大物格闘家の参戦」として注目されたMMAの青木真也がリング上でドタキャンをカマしたことが話題となっている。
真偽のほどは不明だが、本人によると「ONE Championship」の防衛戦を間近に控えているため大事を取ったとのこと。
「「那須川天心に勝ったら1000万円」企画は正解だったのか? プロ崩れとパンチの得意なキックボクサーのスパーリング風景を見せられて楽しいの?」
正直、これはクッソしょうもないと思う。
僕はこの日は用事があったせいでリアルタイムでは観ていないのだが、青木欠場の話を聞いて一気に興味を失ってしまった。
↓下記の記事で謎の哲学を長々と語っているが、
「【ONE】青木真也「僕が勝ちますよ。受けるんじゃない、挑戦する試合だから」」
いや、違うわ。
全然違う。
あそこでのドタキャンはシンプルにつまらない。
ただそれだけの話。
ヒールってそういうことじゃねえんだわ。
空気を読まないって、そういうことじゃない。
たとえば2010年大みそかの青木真也vs長島☆自演乙☆雄一郎戦。
この試合は1RがK-1ルール、2RがMMAルールというミックスルールで行われ、青木は序盤からドロップキックを放つなど、露骨な時間稼ぎに終始し1Rを逃げ切ってみせる。
そして大ブーイングの中で迎えた2R。
開始直後に自演乙の膝が青木のこめかみを直撃し、まさかの一発失神KO負けを喫する。
「空気を読まずに効率よく勝つこと」を信条とする青木真也が意図せず観客の期待に応えてしまい、結果的に自らのハイライトとなった一戦である。
「RIZINは那須川天心で回ってるからな。イベント後の場内にゴミが散乱。関西の格闘技ファンは民度が低い?」
「ヒールとは」「空気を読まないとは」の答えはメイウェザーが教えてくれる。メイウェザービジネス()は難しいのであるww
これ、メイウェザーだったらどうするかを考えると、「ヒールとは」「空気を読まないとは」の答えが見えてくる。
まず仮に異種格闘技戦のリングに上がるとしても、メイウェザーはミックスルールでは受けない。2017年のコナー・マクレガー戦、2018年の那須川天心戦を見れば明白で、自分に有利なルール以外では絶対に首を縦に振ることはない。
それだけではなく、実際の試合でも相手が自分の土俵からはみ出すことがないよう細かい条件でガチガチに縛る。現役時代のキャッチウェイトもそうだし、那須川戦でのキック禁止ルールもそう。契約条項に法外な罰金を盛り込み、ほんの少しの違反すら許さない状況を確保した上で試合開始のゴングを聞く。
カネロがジェイコブスに課した「体重超過の場合はファイトマネー10%没収ルール」など、ヌル過ぎてお話にならない。
石橋を叩いて叩いて叩きまくり、さらに万全の耐震補強を施してからようやく第一歩目を踏み出す。その過程でどれだけ批判を浴びようが関係なし。むしろ注目を浴びてファイトマネーが上がるなら大歓迎。いっさいブレることなく自らのスタンスを貫く意思の強さこそ、圧倒的ヒールとしての絶対条件なのであるww
「メイウェザーvs那須川天心…。すまん、素直に謝る。この結果は予想してなかった。でもこの2ヶ月ホントに楽しかったわ」
そして、メイウェザーはドタキャンはしない。
2018年末の那須川戦では寸前まで「やる?」「やらない?」とファンをやきもきさせ、本番数日前になっても来日せず。
だが、当日はしっかりとリングに上がり、観客の盛り上がりをよそに階級差、実力差を見せつけての1RKO勝利。“神童”那須川天心をケチョンケチョンにのした上で、空気を読まずに満面の笑みで帰国していった。
今さらあの試合の是非を議論する気はないが、少なくとも年末格闘技の話題をかっさらったことは間違いない。
堀口恭司vsダリオン・コールドウェル戦や井岡一翔vsドニー・ニエテス戦など。他にすばらしい試合はいくつもあったが、やりたい放題のメイウェザーはそれらをすべて空気に変えた。
「格闘技イベントの入場で使われたらテンション爆上がり曲Best5。使用してる選手がいたら一瞬でファンになりますがそれが何か?」
圧倒的Aサイドでいるには、たとえエキシビジョンでも負けるわけにはいかない。リング上で無敗を継続してこそ自分の価値を落とさず、生活レベルも維持できる。
メイウェザーはそれを十二分に理解しているので、勝てる相手としか試合はしないしドタキャンもしない。
逆に青木真也はあのドタキャンによってAbemaTVの企画自体を空気にした。
別に青木真也のことは好きでも嫌いでもないが、この選手にプロレス的な素養があるかどうかは疑問だったりする。
つまり、「空気を読まない」ことにもセンスとタイミング、意思の強さが必須。メイウェザービジネス()はやはり難しい。そのことがよくわかる案件だった。
念のために言っておくが、すべてネタである。
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