京口vs久田感想。久田のスカウティングと粘りがすごかった。でも、経験値と勝負どころの見極めに少し差があったかな【結果・感想】

京口vs久田感想。久田のスカウティングと粘りがすごかった。でも、経験値と勝負どころの見極めに少し差があったかな【結果・感想】

大阪飛行機イメージ
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2019年10月1日に大阪、エディオンアリーナ大阪で行われたWBA世界L・フライ級タイトルマッチ。同級スーパー王者京口紘人が同級1位久田哲也と対戦し、3-0(115-112、116-111、117-110)の判定で勝利。2度目の防衛に成功した試合である。
 
 
開始直後からシャープな左をヒットし、順調な立ち上がりを見せる京口。
対する久田も左の差し合いを受けて立つが、中間距離での攻防でやや後れをとる。
 
ところが2Rに入ると、京口が自ら頭を振りながら接近。至近距離での打ち合いを積極的に仕掛けていく。久田もこれに応戦し、ラウンド中盤に鋭い右のカウンターをヒットして主導権を握る。
 
さらにラウンド後半。
久田がガードの間から右カウンターを当て、京口をロープまで後退させる。
ここで一気に畳み掛けたい久田だったが、京口も落ち着いて左を返しながら徐々に立て直す。
 
そして、試合は中盤からだんだんと京口のペースに。
パワフルな右と得意の左ボディを中心に各局面で一歩久田を上回り、着実にポイントを重ねていく。
 
9Rには右フックをクロスでねじ込み、この試合唯一のダウンを奪うなど、最終的には3-0の大差判定で勝利。ポイント差以上に拮抗した内容だったが、最終ラウンドは足を使って距離をとるなど地力の差を見せての防衛となった。
 
拳四朗vs久田哲也ついにやるってよ。久田の分析能力の高さなら一矢報いるかも? 拳四朗はとことんヒールに徹したらおもしろいけどなw
 

京口紘人vs久田哲也クッソおもしろかった。気楽に観始めたつもりが、いつの間にかくぎ付けに

京口紘人と久田哲也によるL・フライ級タイトルマッチ。
先日YouTubeで配信されたものを観たので、その感想を。
 
まず、僕は挑戦者の久田哲也という選手をよく知らない。
拳四朗にタイトルマッチをドタキャンされたという話を聞いたことはあったが、実際に試合を観たことはない。
 
なので、今回京口に挑戦すると聞いてもまったく予想がつかず。
何となく「京口が有利なのかな~」などと漠然と思っていた程度で、どんな流れになるのかもいっさいわからないままボーっと観始めた次第である。
 
 
クッソおもしろかった。
 
はい。
めちゃくちゃおもしろかったです。
 
京口のがんばりはもちろん、久田の粘りと陣営のスカウティングの成果が思いっきり出た試合。
 
「高橋悠斗vs堀川謙一戦、吉野修一郎vsハルモニート・デラ・トーレ戦感想。まさかの週2で後楽園ホール参戦」
 
恐らく久田陣営は京口を山ほど研究し、緻密な作戦を立ててこの試合に臨んだのだと思う。その成果がいたるところに感じられる12Rだったのではないか。
 
僕自身、最初はかなりお気楽なテンションで観始めたのだが、いつの間にかグイグイ引き込まれてしまった。
 

久田陣営のスカウティングと実行力がお見事だった。京口のタイミングを読み切り右のカウンターをヒット

申し上げたように、今回は久田陣営のスカウティングの成果が山ほど出た試合だったと思う。
 
陣営の狙いとしては、恐らくカウンターと至近距離での手数勝負。中間距離で右のカウンターを合わせ、近い位置ではコンパクトな連打で京口のパワーを相殺する作戦だったと想像する。
 
 
僕の中での京口紘人の印象は、堅いガードとパワフルなプレスを得意とする選手。
 
両腕を高く上げてしっかりとテンプルを守り、身体を振りながら距離を詰める。
左ジャブで間合いを測り、右のクロス→左ボディの流れでグイグイ相手を追い詰めるスタイル。
 
ただ、ガードをしっかり固める分やや手数が少なく、左も単発気味。
身体全体の馬力と1発の威力はあるが、カウンターが得意な相手を若干持て余すイメージかなと。
 
そして、今回の久田はこの単発気味の左と、距離を詰めるパターンの少なさを逆手に取った。
 
京口が間合いを詰める際の基本的なパターンは、
「左ジャブ→頭を振って前進」
「いきなりの右クロス」
だいたいこの2つが中心となる。
 
左ジャブを打ったあとに頭を振りながら前に出るため、次のパンチまでにわずかにタイムラグができる。そして、大きくウィービングしながらモーションに入るのがお決まりのアクションなのでカウンターを合わせやすい。
 
2Rに久田の右カウンターが2発ヒットしたが、1発目はまさにこれ。
左ジャブを打つと同時に頭を振って距離を詰め、右のアクションに入る京口。その瞬間に久田が「せーの」で右を合わせる。
あらかじめ準備してきたパンチだったと思うが、本当にお見事なタイミングだった。
 
「フューリーを苦戦させたワリンがクッソいい選手だった件」
 
また、2R残り1分あたりで2発目のカウンターをぶち当てるわけだが、このパンチもまた素晴らしかった。
 
1発被弾してムキになった京口に対し、久田は左ジャブで丁寧に距離を測る。
そして、遠い位置から無理やり飛び込んできた京口の左にドンピシャのタイミングで右を合わせる。右と左の違いはあるが、いきなりビッグパンチを打ち込んでくる京口のパターンを読み切った上でのカウンターである。
 

インファイトではコンパクトな連打で圧倒する久田。このファイトに僕は感動してしまったぞw

さらに近場の差し合いでは、コンパクトな連打で久田が京口を圧倒する。
 
右クロス→左ボディのつなぎにカウンターを合わせ、京口のやや外旋回のスイングの内側を通しまくる。また、京口の右クロスが機能しない近距離では、ガードの下からアッパーをねじ込んで後退させる。
 
マジな話、ここまでインファイトで京口が圧倒されたのにはビックリした。
漠然と「どこかの段階で京口がパワフルなボディをめり込ませてダウンを奪うのかな?」などと思っていたが、そんなシーンが訪れる気配はまったくなく。
 
中間距離では京口のパターンとタイミングを読み切り、凄まじいカウンターをヒット。
至近距離ではコンパクトなパンチを内側から通しまくり、モーションの大きな左ボディにカウンターを合わせる。
 
王者のスタイルを研究し尽くし、根気よく作戦を遂行し続ける久田に僕は感動してしまったww
 
「ゴロフキン大苦戦の末に王座返り咲き。デレフヤンチェンコさんすみません。あんなに手数が出るとは思いませんでした」
 

京口にとってはキャリアでもっとも苦労した一戦。KOへの意識が強過ぎた? かも?

京口紘人についてだが、今回は本当に苦労した一戦だったと思う。
 
久田の対策、入念な準備と根気よさの前に思った通りの試合運びができず。試合後に本人もコメントしていたが、これまでのキャリアでもっともしんどかった試合と言えるのではないか。
 
とはいえ、調子自体はそこまで悪くなかった気がする。
 
開始直後から鋭いジャブで久田の顔面を何度も跳ね上げ、9Rにダウンを奪った右クロスは最初からタイミングが合っていた。
初回の立ち上がりを観る限り、僕は普通に京口が圧倒して終わるのではないかと思ったのだが。


ところが、2Rから自ら前に出てインファイトを仕掛けていく京口。
1R目は遠い位置での差し合いで圧倒していたので、僕はてっきりこのまま右クロスをチラつかせながらジャブを突く流れが続くと思っていた。なので、京口のこのアクションにはかなり驚かされた。
 
 
これはあくまで想像だが、京口という選手はKOに対する意識がかなり強いのかもしれない。
 
辰吉丈一郎直伝の左ボディで悶絶させたい。
ド派手なKOで会場を沸かせたい。
 
しかも今回は初の地元凱旋タイトルマッチ。
前回のタナワット・ナコーン戦が煮え切らない判定勝利だったこともあり、今回は特にKOを意識していたのではないか。
 
 
その結果、踏み込みがやや強引になり、スイングも大振りに。
得意の右クロス→左ボディのコンビネーションを出すにはある程度のスペースが必要で、なおかつジャブを使わず無理やり前に出るためカウンターをもらいやすい。
 
KOにこだわらず落ち着いて左中心に攻めていれば、今回はもう少し楽に勝てた試合だった? かも?


 

「強者のメンタル」に差があったかな。何度も世界戦をクリアしてきた経験値と嗅覚は凄まじい

ただ、そこはやはり無敗の2階級制覇王者。
豪快に効かされた際の対処もよかったし、ペースを奪われてからの巻き返しもさすがだった。
 
2Rに久田のカウンター2発で大きくグラつかされたが、そこからは左を中心に時間を稼いでラウンド終了のゴングを聞く。また、中盤からは左をダブル、トリプルで出したり右クロスをワンツーに変えたりと、久田のカウンター対策も迅速だった。
 
“ジョーちゃんボディ”を当てるためにインファイトにこだわり過ぎた感はあったが、何だかんだで京口の勝利は間違いない。
 
14戦とキャリアは浅いものの、そのうち6戦が世界タイトルマッチ。キャリアの半分近くを世界戦が占める経験値はどう考えても凄まじい。9Rの全力ラッシュを含め、勝負どころを見極める嗅覚はさすがとしか言いようがない。
 
今こそ拳四朗vs京口紘人の統一戦実現を。井岡一翔vs田中恒成はいまいち乗れないけど、こっちの統一戦は大歓迎っス。村田諒太も停滞してるしね
 
対する久田は、苦労に苦労を重ねてようやくこぎつけた初の世界戦。
結果論にはなるが、最初で最後のチャンスとなった2Rに勝負を賭けられなかったのが最後まで響いた感じか。
 
・序盤2R
・苦労を重ねてたどり着いた世界戦
・まだ京口にパンチ力が残っている
 
あの局面で力を出し切れというのもなかなか難しい話だが、格上相手に何かを起こすにはそういう思いきりも必要なのかもしれない。
 
経験値と勝負どころを見極める嗅覚。「強者のメンタル」と言うか、紙一重の部分で京口が久田を一枚上回ったのかなぁと。
 
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