稀勢の里引退。横綱としては実力不足だったんだろうな。横綱は勝ち続けるのが義務、怪我は土俵上で治すもの、痛みは精神力で乗り越えるもの
2019年1月16日、大相撲の横綱稀勢の里が現役を引退した。
2017年初場所に念願の幕内初優勝を果たし、日本出身の力士として19年ぶりの横綱昇進を決めた稀勢の里。
新横綱として迎えた3月場所も12日目まで全勝と順調に白星を伸ばしていたが、13日目に日馬富士との横綱対決に敗れて初黒星。土俵外に勢いよく落下した際に肩を強打し、大胸筋部分断裂の大ケガを負ってしまう。
休場の噂も流れたが、14日目以降も強行出場。最終的には13勝2敗の成績で見事連続優勝を果たす。
ところがその代償は大きく、2017年5月場所では途中休場。その後は強行出場→途中休場を繰り返し、結局8場所連続での休場(全休は3場所連続)を強いられることになる。
2018年9月場所で10勝5敗と持ち直すものの、11月場所は初日から精彩を欠き4連敗を喫する。翌11月15日を不戦敗で終え、そのまま途中休場。
進退をかけて挑んだ2019年初場所だったが、またしても初日から3連敗を喫し、ついに引退を決意する。
8場所連続休場、8連敗はともに年6場所制となった1958年以降の横綱ではワースト記録となり、同時に在位12場所は昭和以降では10番目の短命となってしまった。
大相撲の横綱稀勢の里(32)が16日、現役引退を決断しました。師匠の田子ノ浦親方が明らかにしました。稀勢の里の歩みを写真で振り返ります。 https://t.co/eKyvCqysXG
— 読売新聞YOL (@Yomiuri_Online) 2019年1月16日
ワースト記録を更新しまくった稀勢の里。横綱としては実力不足だった
横綱稀勢の里が現役を引退した。
僕自身、ここ数年あまり相撲を観ていなかったのだが、稀勢の里がヤバいという話は各所から聞こえてきたので、それなりに注目はしていた。
「日本相撲協会の暴力禁止規定要旨がオモロ過ぎませんかねw 足りなかったのは自覚じゃなくて一般常識()だろ?」
そして、進退をかけて挑んだ2019年初場所で初日から3連敗。ついに引退を決意したとのこと。
これについてはいろいろと意見があるようだが、率直な感想としては表題の通り。
「稀勢の里は横綱としては実力が足りなかったんだろうな」
8場所連続休場、8連敗は年6場所制がスタートした1958年以降のワースト記録で、横綱在位中の勝率5割も過去最低。休場率8割オーバー、1場所で5個の金星配給もワーストタイ記録とのこと。
大胸筋のケガで得意の左のおっつけの威力が失われたとはいえ、この成績は横綱としてはあまりに厳しい。
下記の記事の通り、「負の記録」と呼ばれても仕方がないのかもしれない。
稀勢の里が残した「負の記録」 和製横綱誕生に暗い影を落とすか#相撲 #稀勢の里 https://t.co/9upaqAvT51
— J-CASTニュース (@jcast_news) 2019年1月16日
横綱とは別格の存在。どんな状況にも対応し、格下に力の差を見せて勝たなくてはならない
そもそも論として、相撲界において横綱は別格の存在でなくてはならない。
立ち合いの変化はご法度で、あらゆる局面においても真正面から受けて立つべき。
相手の技をすべて受け止め、その上で力の差を見せつけて勝利するのが横綱。
どんな手を使っても勝てばいいなどという軽薄な考えが入る余地はどこにもない。
もちろん場所を休むなど話にならないし、常に優勝争いにも絡まなければいけない。
ケガの痛みなどは土俵上の気迫で吹き飛ばせ。
左腕が使えないなら、右腕一本で相手を圧倒しろ。
「巌流島楽しすぎワロタw 舞浜アンフィシアター最高だった。チェ・ホンマンブチ切れご帰宅。ビッグマンには合わないルールだよな」
理想を言えば、横綱はケガをすることすら許されない。途中休場など言語道断。
いつ何時でも万全の状態で土俵に上がり続け、圧倒的な力量差で勝利を重ねるのが横綱であり、それができない場合に残された道は一つ。引退しかない。
これこそが横綱のあるべき姿であり、相撲道の本質と呼ぶべきものである。
そして、それを体現できなかった稀勢の里は、残念ながら「横綱としては実力が足りなかった」と言わざるを得ない。
まあ、大相撲は場所数が多過ぎるよな。こんな過酷なスケジュールでまともにケガが回復するわけがない
といった建前は置いといて、ここから先は本音で。
僕個人の意見を言うなら、単純に大相撲は場所数が多過ぎると思う。
本場所が年6回。
2か月ごとに必ず15連戦を強いられ、それ以外にも春夏秋冬の地方巡業で各地を回らなくてはいけない。合間に相撲教室や総見などの行事も入る。
しかも、毎朝6:00~7:00起床の稽古は一年中続く。
正直、オフ期間などあってないようなもので、ダメージを回復する余裕などどこにもない。ケガをしてもケアする暇もない。
稀勢の里の大胸筋部分断裂がどの程度のものだったかは知らないが、とてもじゃないがこんな状況でコンディションが戻るとは思えない。
厳しい相撲を続ける稀勢の里に対して、
「勝とうという気力が感じられない」
「作られた横綱だから~」
等々の罵声も山ほど聞こえてきたが、いやいやいやいや。気力で何とかなるなら苦労はせんわな。
第一、眠い目をこすりながらの早朝稽古がどの程度効果があるのかもよくわからない。
もっと元気に動ける時間帯にした方が効率的なんじゃない? と素人ながらに思ったりもするのだが。
初めての大相撲観戦感想。入場は中入後がおススメ。フラッと入って飽きたら帰るスタンス。力士の大型化による怪我の多さと取組の単調化。土俵に上がった瞬間満身創痍の照ノ富士
なので、もし本場所を年4回に減らすことができれば、幕内力士の負担は大きく軽減されるはず。
僕は稀勢の里がぶっ壊れたのはケガをしたあとの強行出場より、翌場所以降に無理をした方が大きいと思っているのだが、仮に間隔が3か月あれば回復具合も多少は違っていたかもしれない。
年間の取組数が90番→60番に減れば、ケガの確率も単純に2/3になるしね。
あとは、横綱にも多少の逃げ道を用意してやるのもいいような気はしている。
白鳳「(横綱は)つらい、大変なことなんです。周りからの見た目は良くても、勝たないとダメ。極端に言えば、引退、負けるっていうのは、死ぬってこと」
白鵬 稀勢の里の思い出「63連勝で止められた時」 #白鵬 #稀勢の里 #sumo #大相撲https://t.co/x0LbSnE1o1
— 日刊スポーツ (@nikkansports) 2019年1月16日
横綱は他の力士とは別格。降格もなく「連続休場、連敗=引退」という不文律にはなるほどとは思うが、現実的にはどう考えてもキツい。
それが「横綱の役目」だと言われればそれまでだが、多少はケガをした際の措置があってもいいんじゃないの? と思ったり。年間〇場所以上の休場、取組〇〇番以下の場合は〇%の減給とかね。
興行面や大相撲の伝統を考えると実現は難しそうだが。
「「何か違う」という肌感覚、直感はそこそこ信頼できるよねって話。ZOZO TOWNの1億円バラマキで思ったこと」
進む力士の巨大化。この50年で30kg増量してるんだってさ。そりゃあ過酷にもなるわな
「場所数を減らせば?」などと言うと、「何を言ってる。昔は日本人横綱が強かったじゃないか」と怒られそうだが、それもちょっと違う。
ここ最近、力士の巨大化は目に見えて進んでおり、下記の記事にも「力士の体重は50年で30kg増えた」とある。
力士の体重は50年で30kg増えた。土俵を広くする、という選択肢は?#numberweb #相撲 #大相撲 #sumo https://t.co/E1iY8jKVw7
— Number編集部 (@numberweb) 2018年1月17日
巨漢同士の正面衝突が増えれば、力技での決まり手が増えるのは当然。それに比例して、場所ごとの身体的負担も大きくなる。
それこそ現代の大相撲は貴乃花が活躍した90年代とは比較にならないくらいの激しさなのかもしれない(ガチ派かそうでないかみたいな話はここでは言及しませんが)。
「部落差別ねえ…。それより僕のブラック田舎あるあるを紹介してみようか」
もっと言うと、白鳳や朝青龍が横綱に昇進したのが20代前半だったのに対し、稀勢の里は30歳。アスリートとしては下り坂に差し掛かる時期で、正直そこから大きな飛躍を望むのは難しい。
長年一人横綱を張ってきた白鳳でさえ、ここ数年は経験値と技術でごまかしながら延命を続けている。
稀勢の里の幕内通算714勝は文句なしにすばらしいが、確変を起こすのが少し遅かった感も……。
「NGT山口真帆さんの暴行被害? がシャレになってない件。暴行容疑の男2人が不起訴で釈放。いろいろアウトじゃないの?」
通算優勝回数41回の白鳳の偉大さ。「ケガをしない取り口」を身につけることが横綱にとっては重要な資質
とはいえ、やはりどんなスポーツに対しても「超人を観たい」という願望はあったりする。
過酷なスケジュール、理不尽な不文律の中でも安定して勝ち続けてこその横綱。
そういう意味で、通算優勝回数41回を誇る白鳳のすごさはめちゃくちゃ際立つ。
ある一時期だけ150点を叩き出すより、長期間にわたって85点を取り続けることの偉大さ。しかも、巨漢力士全盛の現代大相撲において。
ここ数年は若干の衰えが見られるものの、現役、引退含めて文句なしにNo.1の横綱と言える。
「歴代最高オールラウンダーはジョーダンorレブロン論争にケリをつける。不毛な議論ほど楽しい? スポーツ選手の価値は数字だけじゃない」
相変わらず貴乃花は何を言ってるのかよーわからんのだが、「ケガを極力しないような取り口を覚えて~」の件だけはめちゃくちゃ納得できる。
元貴親方、稀勢へ贈る言葉「桜の花のようにさっと咲いて散るがごとし」 https://t.co/YUGZd8Amtd
— スポニチアネックス (@sponichiannex) 2019年1月17日
稀勢の里がケガを負った2017年の一番を観ると、低い体勢でぶつかった日馬富士に一気に押し出されていることがわかる。
左のおっつけが得意な稀勢の里は、どちらかと言えば土俵中央で組み合ってからの仕掛けが中心。なので、体勢が整う前にスピード勝負をされると、腰高なまま崩されやすくなる。
コンプリート型の白鳳との決定的な違いは恐らくここ。
強力な左のおっつけと、大きな体躯を活かした押し込み以外に攻めの引き出しがなかった(少なかった)ことが、結果的にあの寄り倒しにつながった感じか。
稀勢の里、休場も…左前肩と胸部負傷で緊急搬送「動かすのが怖い」/春場所 https://t.co/C753aKe13a
— サンスポコム (@SANSPOCOM) 2017年3月24日
単純な身体の強さや腕力、スピードはもちろん、「負けない技術」「省エネで勝つ方法」「ケガをしない取り口」をマスターするのも横綱の重要な資質なのかなと思う。
「那須川天心復活のKO勝利。フェデリコ・ローマをカウンターのハイキック一閃。敗戦のトラウマはさっさと払拭した方がいいよね」
ついでに言うと、とりあえず土俵外にクッションでも敷いておけよとは思うかな。
一段高いところからあんなカッチンコッチンの場所に勢いよくダイブすればね。そりゃあケガもしますよ。
相撲道云々の前に、基本的な安全対策をだな……。
まあ、相撲はスポーツというより、神事の側面が強いからな。
様式が優先されるのは仕方ないっちゃあ仕方ないよな。
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