歴代最高オールラウンダーはジョーダンorレブロン論争にケリをつける。不毛な議論ほど楽しい? スポーツ選手の価値は数字だけじゃない

歴代最高オールラウンダーはジョーダンorレブロン論争にケリをつける。不毛な議論ほど楽しい? スポーツ選手の価値は数字だけじゃない

シカゴイメージ
2019年3月6日(日本時間7日)、米NBAロサンゼルス・レイカーズに所属するレブロン・ジェームズが、ホームで行われたデンバー・ナゲッツ戦に出場。31得点を挙げ、通算得点で元シカゴ・ブルズのマイケル・ジョーダンの32292点を抜いて歴代4位となった。
 
それを受けて、米スポーツ専門局「ESPN」のスポーツ情報番組「スポーツセンター」は公式インスタグラムを更新。レブロン・ジェームズとマイケル・ジョーダンのスタッツを比較する画像を掲載し、「2人のレジェンド。1対1。(キング)対(史上最高)」とのコメントを添えている。


比較の対象となったのは通算得点、通算リバウンド数、通算アシスト数、通算FG成功率の4つ。
レブロンはすべての部門でジョーダンを上回っており、レブロンのすごさが際立つ投稿となっている。

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この投稿にはファンからの意見が殺到し、どちらが歴代No.1プレイヤーかの議論が広まっているとのこと。
 
「神様」と称されるほどのリスペクトを集め、競技の枠を超える存在となったマイケル・ジョーダン。
そのジョーダンに唯一比肩する可能性を持ったレブロン・ジェームズが、この先どれだけ数字を伸ばすかにも注目が集まる。
 

レブロンがジョーダンの通算得点を超える!! どちらがすぐれたオールラウンダーか? の議論が再燃してるんだってさ

レイカーズのレブロン・ジェームズが通算得点でマイケル・ジョーダンを超えた。記事によると、ハーフタイムには感極まって男泣きするシーンもあったとか。

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A kid from Akron 👑

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そして、これがきっかけでジョーダンとレブロン、どちらが歴代No.1プレイヤーかの議論が再燃しているとのこと。
 
過去のスーパースターとの比較はこれまで幾度となく繰り返されてきたテーマだが、ジョーダンvsレブロンはまさに頂上対決。
“神様”の異名を持ち、競技の枠を飛び越えた存在のマイケル・ジョーダンと、文句なしの現役最強プレイヤー、レブロン・ジェームズ。ともに23番を背負い、オールラウンダーとしてチームをけん引するカリスマ同士。
ファンにとっても興味の尽きないネタである。
 
 
で、今回はこれにガッツリ乗ってやろうという算段なのだが、一応申し上げておくと僕自身はあまりバスケには詳しくない。
NBAやBリーグをボンヤリ観戦して楽しむ程度で、そもそもマイケル・ジョーダンの全盛期をリアルタイムで観てもいない。
 
「渡邊雄太がNBAデビュー! グリズリーズってナニそれ? 高校時代の指導者がすごい。190cmの渡邊にPGをやらせた」
 
さらに、ここ最近のNBAは3ポイントが全盛。
 
ポジションレス、スモールボール化が加速度的に進み、90年代のシャキール・オニールのようにインサイドで支配力を発揮するセンターが激減している。代わりにケビン・デュラントやアンソニー・デイビス、ダーク・ノヴィツキーのような、3Pも打てるビッグマンの台頭が続く。
 
下記の記事によると、2014-15シーズンの平均3Pアテンプト数は22.4本。1993-94シーズンの9.9本から実に倍以上増加しているとのこと。
 
「NBAのスリーポイントシュート増加トレンドが止まらない」
 
それに伴い、ジョーダンやレブロンのようなスコアラー寄りのオールラウンダーの役割も変化するため、一概に数字だけでどちらが上かを判断するのは難しい。
 
何が言いたいかというと、要するにこういう比較は完全にナンセンス。
「歴代No.1プレイヤーは誰か?」という名目で現在と過去のプレイヤーを比べるのは不毛以外の何物でもないことを強調しておく。
 
そして、同時にこういう不毛な議論はめっちゃ楽しいよねという話。
 
 
こんな感じで、クソほど予防線を張ったところでスタートしたいと思う。
 
「NBA史上唯一無二の勝負師コービー・ブライアント逝去。ブラックマンバに捧ぐ24秒バイオレーション」
 

両選手の各スタッツを比較していく。通算記録ではなく、アベレージで

いつも通り前置きが長くなったが、そろそろ本題に。
 
ここからは、両者のスタッツから適当に抜粋したものをそれぞれ比較していこうと思う。
なお、通算成績だと若干不公平感があるので、極力1試合ごとのアベレージを比較することにする。
 
●シーズン数
・マイケル・ジョーダン:1984-85~2002-03(計15シーズン ※途中離脱あり)
・レブロン・ジェームズ:2003-04~2018-19(計15シーズン+α ※2018-19シーズン中のため)
 
●総試合数
・ジョーダン:1072
・レブロン:1190
 
●総スタメン数
・ジョーダン:1039
・レブロン:1189
 
●平均プレータイム
・ジョーダン:38.3
・レブロン:38.6
 
●平均得点
・ジョーダン:30.1
・レブロン:27.2
 
●フィールドゴール成功率
・ジョーダン:.497
・レブロン:.504
 
●3P成功率
・ジョーダン:.327
・レブロン:.344
 
●2P成功率
・ジョーダン:.510
・レブロン:.548
 
●平均リバウンド数
・ジョーダン:6.2
・レブロン:7.4
 
●平均アシスト数
・ジョーダン:5.3
・レブロン:7.2
 
●通算トリプルダブル数
・ジョーダン:28
・レブロン:73(2017-18シーズン終了時点)
 
こうして見ると、1試合の平均得点以外すべての項目でレブロンがジョーダンを上回っていることがわかる。
 
中でも目を引くのが、総スタメン数。
総試合数1190に対し総スタメン数が1189で、レブロンは2007-08シーズンの1試合を除き、出場したすべての試合でスタメンに名を連ねていることになる。
 
また、トリプルダブルはジョーダンの倍以上の数を叩き出すなど、支配力という意味でもレブロンに軍配が上がる(数字の上では)。
 
「にわかファン獲得に一番成功してるのはラグビーじゃなくてバスケだから。川崎ブレイブサンダースvs三遠ネオフェニックス」
 

プレーオフでのスタッツ。一流同士がフルスロットルでぶつかり合う頂上決戦

続いて、プレーオフでのスタッツを比較してみる。
82試合のレギュラーシーズンと違い、強豪チームがフルスロットルでぶつかり合う短期決戦。必然的に主力選手の1試合におけるプレータイムも増加する。
 
●出場回数
・マイケル・ジョーダン:13回
・レブロン・ジェームズ:13回
 
●総試合数
・ジョーダン:179
・レブロン:239
 
●総スタメン数
・ジョーダン:179
・レブロン:239
 
●平均プレータイム
・ジョーダン:41.8
・レブロン:42.0
 
●平均得点
・ジョーダン:33.4
・レブロン:28.9
 
●フィールドゴール成功率
・ジョーダン:.487
・レブロン:.491
 
●3P成功率
・ジョーダン:.332
・レブロン:.332
 
●2P成功率
・ジョーダン:.504
・レブロン:.537
 
●平均リバウンド数
・ジョーダン:6.4
・レブロン:8.9
 
●平均アシスト数
・ジョーダン:5.7
・レブロン:7.1
 
●通算トリプルダブル数
・ジョーダン:歴代10位以下
・レブロン:23(2017-18シーズン終了時点)
 
ここでも平均得点、3P成功率以外はレブロンがジョーダンを上回る。
 
特に目立つのが、平均リバウンド数の7.4→8.9という部分。
平均得点が27.2→28.9とプレータイムほど増えていないのに対し、リバウンド数は約1.5本増。
プレーオフのレブロンはこれまでよりもディフェンス面に力を入れ、オールラウンダー寄りのスコアラー化に拍車がかかっていることがわかる。
 
さらに通算トリプルダブルは歴代2位の23回。
ジョーダンが10位以下なのに比べ、この数は文句なしに凄まじい。プレーオフでのレブロンはレギュラーシーズンと比較しても格段に支配力が高まる感じ。
 
「八村塁の目指すべきはコイツ。NBA1巡目9位指名でワシントン・ウィザーズへ。日本人初の快挙とともに今後の展望」
 

少し突っ込んだスタッツ比較。選手の総合評価や勝利への貢献度など


次は少し突っ込んだスタッツを比較していく。
 
比較対象は、
・PER(Plyaer Efficiency Rating)
・WS(Win Shares)
・VORP(Value Over Replacement Player)
の3つ。
 
PERは「選手を総合的に評価する指標」で、選手のタイプやプレースタイルを極力均一化して統一的に比較するための指標。
WSは「その選手が攻防両面でどれだけ勝利へ貢献したか」を示す指標となる。
そして、VORPは「交代要員レベルの選手との比較」で、平均的な交代要員選手のVORPは「2」とされている。
 
なお、ここでは両選手の全盛期と思われる時期(ジョーダン:1986-87〜1992-93シーズン、レブロン:2007-08〜2013-14シーズン)のアベレージを比較対象とする。
 
●PER
・ジョーダン:30.4
・レブロン:30.1
 
●WS
・ジョーダン:18.9
・レブロン:17.0
 
●VORP
・ジョーダン:10.0
・レブロン:9.5
 
なるほど。
いずれも凄まじいスタッツだが、いわゆるチームへの貢献度ではジョーダンの方が一枚上手のようである。アシスト数や得点数などではレブロンに軍配が上がったが、主人公感や勝負どころの嗅覚などはやはり神様ジョーダンということか。
 
さらに、レブロンの2007-08〜2013-14の7シーズンでの平均出場試合数が75.1試合なのに対し、ジョーダンは1986-87〜1992-93の7シーズンで平均81試合出場。実に7シーズン中4シーズンで全試合出場を果たすという鉄人っぷりを発揮している。
 
この辺りのチームへの献身性も神様ならではと言えるのかもしれない。
 
 
ちなみにだが、彼らが叩き出した上記3つの指標がどれだけとんでもないかというと、
 
●PER
・ステフィン・カリー:31.5(2015-16)
・ジェームス・ハーデン:29.8(2017-18)
・ラッセル・ウェストブルック:30.6(2016-17)
・シャキール・オニール:30.6(1998-99/1999-00)
・チャールズ・バークレー:28.9(1990-91)
・コービー・ブライアント:28.0(2005-06)
 
●WS
・ステフィン・カリー:17.9(2015-16)
・ジェームス・ハーデン:16.4(2014-15)
・ラッセル・ウェストブルック:14.0(2015-16)
・シャキール・オニール:18.6(1999-00)
・チャールズ・バークレー:17.3(1989-90)
・コービー・ブライアント:15.3(2005-06)
 
●VORP
・ステフィン・カリー:9.8(2015-16)
・ジェームス・ハーデン:9.0(2016-17)
・ラッセル・ウェストブルック:12.4(2016-17)
・シャキール・オニール:9.3(1999-00)
・チャールズ・バークレー:9.0(1989-90/1990-91)
・コービー・ブライアント:7.1(2002-03)
 
はっきりと上回っているのはウェストブルックが2016-17シーズンに記録した「VORP:12.4」くらいで、往年の名選手や現役のトッププレーヤーのキャリアハイと比較してもまったく遜色がない。
 
つまり、彼ら2人はNBAのトッププレーヤーがキャリアで1度出せるかどうかのクオリティを7年間にわたってキープし続けたということ。
 
「川崎ブレイブサンダース現地観戦のパワーアップがエグい。一過性のブーム依存はよくないけど、ブームが起きたら絶対逃したらアカン」
 

プレーオフでの総合評価、貢献度、交代選手との比較

ラストはプレーオフでの上記3つの指標を比較していく。
 
こちらも先ほどと同様、両者の全盛期(ジョーダン:1986-87〜1992-93シーズン、レブロン:2007-08〜2013-14シーズン)のアベレージを比較対象とする。
 
●PER
・ジョーダン:29.6
・レブロン:29.0
 
●WS
・ジョーダン:3.4
・レブロン:4.1
 
●VORP
・ジョーダン:2.2
・レブロン:2.4
 
これまた興味深い結果である。
PER(選手の総合的な評価)ではジョーダンが上回るものの、WS(攻防両面での勝利への貢献度)とVORP(交代要員レベルの選手との比較)ではレブロンの方が上。
プレーオフでのレブロンは神様ジョーダン以上の集中力、爆発力を発揮するというわけか。
 
「明るい話題が欲しいぞアイスホッケー界。迫る日本製紙クレインズ廃部とアジアリーグ存亡の危機?」
 
なお、ここでもその他の一流プレイヤーの数値を挙げておく。
 
●PER
・ステフィン・カリー:27.1(2016-17)
・ジェームス・ハーデン:24.9(2017-18)
・ラッセル・ウェストブルック:27.7(2016-17)
・シャキール・オニール:31.0(1997-98)
・チャールズ・バークレー:29.0(1998-99)
・コービー・ブライアント:26.8(2008-09)
 
●WS
・ステフィン・カリー:3.9(2014-15)
・ジェームス・ハーデン:2.7(2014-15)
・ラッセル・ウェストブルック:2.9(2015-16)
・シャキール・オニール:4.7(1999-00)
・チャールズ・バークレー:4.6(1992-93)
・コービー・ブライアント:4.7(2008-09)
 
●VORP
・ステフィン・カリー:2.2(2014-15)
・ジェームス・ハーデン:1.5(2014-15/2017-18)
・ラッセル・ウェストブルック:2.3(2016-17)
・シャキール・オニール:2.3(1999-00)
・チャールズ・バークレー:2.2(1992-93)
・コービー・ブライアント:2.2(2008-09)
 
ほほお……。
短期決戦となるプレーオフでは、単年だけならどの選手もレジェンド2人と渡り合えるスタッツを記録している。
 
ジョーダン、レブロンがとんでもないことはもちろんだが、超一流のフルスロットルがいかにとんでもないか。その事実をはっきり教えてくれる数値である。
 
 
なお、これらの指標はチーム成績に左右される部分が多く、決して公平ではないという意見もある。なので、一連の評価はあくまで目安ということでオナシャス。
 
「スタッツをほじくり返してボクシングの都市伝説を検証する。12Rはみんながんばるから11Rにがんばるべき? 初回は身体が硬い?」
 

結論は「どちらもすげえ」けど、どちらか選ぶならレブロン。でも、スポーツ選手の価値って実力だけじゃないからね

だいたいこんな感じなのだが、どうだろうか。
 
個人的な印象としては、とりあえず「どっちもすげえ」
どっちもすげえけど、あえて選ぶのであればレブロン・ジェームズかなと。
 
シーズンでの安定した高アベレージに加え、プレーオフの集中力、爆発力。稀代のクラッチシューターと言われるマイケル・ジョーダンだが、総合力では残念ながらレブロンに一歩及ばないのではないか。
 
「錦織圭とかいう史上最強()のスロースターター。フルセットでの勝率が歴代1位って、どんだけ勝負強くて燃費悪いんだよ」
 
まあでも、スポーツ選手の価値って単純な実力だけではないですからね。
 
自身のシグネチャーモデル「エア・ジョーダン」は社会現象になるほどの人気を博し、NIKEの爆発的な売り上げに貢献。加えて、ユニフォームのパンツの長さを膝上から膝下の流れへと移行させたり。
マイケル・ジョーダンはかなり早い段階から「スポーツ選手は見た目にこだわるべき」という考えを行動で示した選手である。
 
同時にキャリア初期からウェートトレーニングや試合後のメンテナンスを積極的に取り入れるなど、柔軟で革新的な思考の持ち主でもある。
 
さらに「失敗をすることは耐えられるが、挑戦しないでいることは耐えられない」などの多くの名言や、映画やCMへの出演その他、自己プロデュース能力の高さも群を抜いていた。
 
 
そして、何よりシカゴ・ブルズ一筋だったことは大きい(キャリア最終盤のワシントン・ウィザーズ移籍は蛇足ということで)。
 
移籍が当たり前のアメリカンスポーツにおいて、フランチャイズプレイヤーに対するリスペクトはかなり重要な要素。
 
優勝のためにクリス・ボッシュ、ドウェイン・ウェイドと結託してマイアミ・ヒートに移籍したレブロン・ジェームズとは明らかに一線を画す。
 
「自身のサラリーを下げて別チームに移籍→ビッグ3を形成→優勝→大型契約獲得」という流れは2016年のケビン・デュラントのウォリアーズ移籍にも受け継がれているが、こういうビジネスライクな部分はレブロンがジョーダンに及ばないと思われる一番の要因かもしれない。
 
 
僕自身はルールの盲点をつくことが悪いとは思わないし、選手の移籍を裏切り者呼ばわりする思考もいまいち理解できないのだが。
 

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