キングコング:髑髏島の巨神が最高におもしろかった3つの理由。出し惜しみなく、アグレッシブにヘリを打ち落とせ【映画感想】
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映画「キングコング:髑髏島の巨神」を観た。
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「キングコング:髑髏島の巨神」(2017年)
太平洋戦争中の1944年、とある島に墜落したアメリカ兵マーロウと日本兵イカリ。
だが、激しい殺し合いを繰り広げる2人の前に、突如巨大生物が姿を現す。
時は過ぎ1973年。
アメリカ軍がベトナム戦争から撤退を宣言した日、特務研究機関モナークのランダは未知の島・髑髏島への調査許可をウィリス上院議員から無理矢理取りつける。
そして、元特殊空挺部隊のコンラッドをガイドに、ベトナムから帰還予定だったパッカード大佐の部隊を護衛に髑髏島へと飛び立つ。
ヘリコプターで暴風雨を抜けて島に乗り込み、地質調査の名目で爆弾を次々と島に投下する一行。
だが、それが原因で島の守護神「コング」の怒りを買ってしまう。
激高したコングは岩から岩へと飛び移り、片っ端からヘリコプターを叩き落としていく。
移動手段を失い、一行は島で散り散りになってしまう。
彼らが降り立った髑髏島は、巨大生物が生息する独自の生態系を持った場所だった。
身の危険を感じたコンラッドや戦場カメラマンのウィーバーら調査隊は、島を脱出するため急いで島北部に向かう。
だが、目の前でコングに部下を殺されたパッカード大佐だけは、部下の仇を討つためコング抹殺を誓う。
脱出を模索するコンラッドたちと、怨念と憎悪で突き進むパッカードの間で起こる対立。
島を守るコングや、その天敵であるスカル・クローラーの脅威から彼らは逃げ切ることができるのか。
2017年3月に米で公開された怪獣映画で、「キングコング」を題した映画としては8作目となる。
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「キングコング:髑髏島の巨神」が予想をはるかに超えておもしろかった件。何も考えずにご機嫌になれるぞ。グロさえ注意すれば
表題の通りなのだが、映画「キングコング:髑髏島の巨神」を観た。
そして、おもしろすぎてビックリしたww
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常々申し上げているように、僕が映画に求めるものは「わかりやすさ」。
単純明快で爽快感があり、ハッピーエンドならなおいい。
「勇気をもらう」とか「生きる意味を考える」「迷っている自分を見つめ直す」などといったややこしい話はどうでもいい。
肩の力を抜いて気楽に観られること。
暇な休日の午後に、鼻くそをほじりながらボーっと眺められること。
それこそが、僕にとっての「最上級の映画」である。
そして、今回の「キングコング:髑髏島の巨神」はまさしくその条件にピッタリ。
作品の概要も上映当時の評判も知らずに観たのだが、細かいことを考えることなく無条件でご機嫌になれる映画だった。
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なお、今作はPG12指定(12歳未満の方は、保護者の助言・指導が必要)。
人の腕が食いちぎられたり、巨大生物の内臓がドバドバ飛び出したりするので若干のグロ注意ではあります。
この映画を気に入った理由1:ハッピーエンド
まず、僕がこの映画を気に入った最初の理由として、「ハッピーエンドだったこと」が大きい。
「キングコング」を冠した映画は過去にいくつもあるが、僕が最初に観たのは確か2005年制作のもの。1993年作品のリメイクで、アカデミー賞でも3部門を受賞している。
ただ、内容はハッピーエンドにはほど遠い。
無理やりニューヨークに連れてこられたキングコングが市街地を暴れまわり、軍隊を相手に大立ち回りを演じる。そして、最終的にはエンパイア・ステート・ビルから落下して命を落とすという壮絶なラストである。
基本的にハッピーエンドが好きな人間なので、このラストには萎えまくった記憶がある。ヒロインのナオミ・ワッツが美人だったのが唯一の救いというか、鑑賞後の気分はかなりのコバルトブルーだったことを強調しておく。
その印象のせいで、正直、今回の「キングコング:髑髏島の巨神」にもあまり期待はしていなかった。
「途中までコングが無双するけど、どうせラストはしんどいんだろ?」的な。
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ところが、ふたを開けてみれば文句なしのハッピーエンド。
コングが文明社会にねじ込まれる展開もなく、ホームグラウンドの髑髏島ですべてが完結する。
しかも、コングが美人に固執するというお約束パティーンを放棄した思い切りのよさもいい。
というか、そもそも論としてヒロインを含めた登場人物がこぞって魅力的じゃないのがね。逆にコングをキャラ立ちさせたかなと。
割とガチで、僕の印象に残ったのはパッカード大佐役のサミュエル・L・ジャクソンくらい。
この映画を気に入った理由2:出し惜しみせず、わかりやすい
続いて僕がこの映画を気に入った理由の2つ目。
「出し惜しみせず、わかりやすかったこと」。
僕は基本、怪獣映画やパニック映画の類が好きで、「ジュラシックパーク」シリーズや「ジョーズ」「アナコンダ」などでハラハラドキドキするのを楽しいと感じる人間である。
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だが、怪獣映画の代表作である「ゴジラ」シリーズだけは、どうにも納得できない部分が多い。
渡辺謙が出演した2014年の「GODZILLA ゴジラ」については、とにかくゴジラのもったいぶりが尋常じゃなかった。
全編123分中、前半でゴジラの出番はほぼなし。最初の60分までゴジラの背びれとつま先しか映らないという暴挙(記憶違いだったらすみません)に、盛大にブチ切れた次第である。
また、1998年のハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」はもっと酷い。
造形がもはやゴジラの原型をとどめておらず、ただの強化版ティラノサウルスとでも呼べばいいか。
そして、終盤で大量に産み落とされた卵から小さなゴジラが一斉に生まれるのだが、アホかと。「ゴジラの子どもはミニラじゃボケ」と。
「『エイリアン』とか『ジュラシックパーク』とか、いろんなものにインスパイアされ過ぎじゃボケ」と。
これまた、映画を観ながら盛大にブチ切れた覚えがある。
さらに、2016年に東宝映画制作の「シン・ゴジラ」。
大ヒット作品ではあるが、個人的な評価としてはちょっと微妙だった。
いや、だって。
ラスト30分くらい、ずーっとカッチンコッチンじゃないっすかアイツ。
その間、国の行く末を憂う政治家たちが隣国を相手に壮大な駆け引きを展開するわけだが、そういうことじゃない。
僕がゴジラ映画に求めているのは政治的なややこしい小細工ではなく、もっとストレートなわかりやすさ。
街をぶっ壊しまくるゴジラと、それを地球防衛軍がどう退治するかであって、核ガーとか、他国の脅威ガーとかはどうでもいい。
正直、あの映画の見どころは石原さとみのキレッキレの英語と数学教師みたいなスーツだけ。
尋常じゃない消化不良感である。
サービス精神が旺盛すぎる「キングコング:髑髏島の巨神」。いきなり全開で躍動し、ヘリコプターを片っ端から殲滅する
それに引き替え、「キングコング:髑髏島の巨神」の旺盛なサービス精神と言ったら……。
開始1分でクソほどデカい手が出てくるし、何の前触れもなく飛び出したコングが猛然とヘリコプターを壊滅させていく。
水浴びの最中にタコとイカの中間みたいな生物と大バトルをおっぱじめ、ヘリコプターの下敷きになったバッファローをサクッと助ける。
もったいぶろうという気配を微塵も感じない清々しさであるww
さらに、髑髏島に住む生物たちのエキセントリックっぷりもいい。
ラスボスのスカル・クローラーを筆頭に、やたら足が長いクモや、コングに襲いかかるタコ(イカ)。気色悪い顔の翼竜に、倒木に擬態するデカいナナフシ虫など。
とにかく迫力満点で適度にグロテスク。
独自の生態系を築き、地底と地上を自由に行き来する古代生物という設定も抜群。
巨大生物のロマンというか、僕のワクワクスイッチをピンポイントで刺激してくれる映像の数々である。
2005年版での髑髏島が、アグレッシブなジュラシックパークの中にちょっとデカめのゴリラ(体長7.5m)がいるだけだったことを考えると、説得力が凄まじい。
ちなみに今作のコングは体長31.6m。
だいたい10階建てのビルに相当する大きさで、これも視聴者の恐怖心を適度に煽るサイズだった気がする。
映画「ゴジラVSコング」に不安しかない件。また陰キャラコングに戻るのか? 頼むぜオイ。割と期待してんだよ。番長ゴジラが悪役?
この映画を気に入った理由3:サミュエル・L・ジャクソンがウザい
そして、僕がこの映画を気に入った3つ目の理由が「サミュエル・L・ジャクソンのウザさ」。
「魅力的な人物が皆無」「印象的に残ったのはサミュエル・L・ジャクソンのプレストン・パッカード大佐くらい」と申し上げた今作。だが、そのサミュエル・L・ジャクソンこそが、この映画の登場人物中、唯一最大のヒットと言ってもいい(僕の中では)。
諸々の事情でコングへの復讐心を燃やし、コング抹殺に病的なまでに固執するパッカード大佐がとにかくウゼえww
我の強い1人の行動によってパーティ全体がピンチに陥るというのはパニック映画の王道だが、その身勝手さが半端じゃない。
燃え盛る炎の中でコングを睨みつける辺りから「ん? コイツおかしいぞ?」となり、メンバー全員が反対する中、平然と危険地域に乗り込む無謀さを発揮。嫌がる部下を強引に巻き込み、結果的により多くの犠牲を出すという浅はかさである。
確かお前、「部下の仇を討つ」とかほざいてなかったか?
アレは何だったんだww
「大佐」の肩書きを利用しまくる職権乱用っぷりといい、あの極限状態での困ったちゃんには心底イライラさせられたww
最後は「ガッデム……!!」とか言いながらフェードアウトするし、恐らく多くの方が「そりゃこっちのセリフだよ」とツッコんだのではないだろうか。
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物足りなかった部分。ヴォート=ロバーツ君は日本フリークを名乗るには甘い。あの作品をオマージュしないとは何事ぞww
では、最後にこの「キングコング:髑髏島の巨神」の物足りなかった部分について。
監督であるジョーダン・ヴォート=ロバーツは大の日本フリークで、今作でも日本のアニメやゲーム、マンガから多大な影響を受けたと公言している。
米国兵マーロウとともに髑髏島に不時着する日本兵イカリグンペイや、ラスボスのスカル・クローラーは「新世紀エヴァンゲリオン」。島の原住民であるイーウィス族は「もののけ姫」など。さまざまな部分に日本の作品からのオマージュ要素が含まれているとのことである。
確かに作品を通して宮崎駿的な空気は感じたし、マーロウの武器が日本刀だったりとそれっぽい雰囲気も伝わってきた。
ただ残念なことに、まだまだ足りない。
ジブリやエヴァをオマージュしただけでは、日本のアニメやゲームフリークと呼ぶことは到底できない。
なぜなら、ドラゴンボールが入っていないから。
くれぐれも申し上げておくが、日本のアニメ、ゲーム、マンガ好きを語るならドラゴンボールは絶対に外せない。
両手を前に突き出せばかめはめ波が出るし、足を肩幅に広げて踏ん張れば自然と金髪になる。
当然シッポがなくては話にならないし、上級者になれば「弾けて混ざれ」ば月を作れなくてはいけない。
これこそが真の日本フリーク()であり、このレベルに達して初めて「日本の作品に影響を受けた」と公言する資格を得られる。
だが、残念ながら今回の「キングコング:髑髏島の巨神」にはドラゴンボール要素は見当たらない。
申し訳ないが、ヴォート=ロバーツには「顔を洗って出直せ」としか言いようがない。最低限「アバター」のジェームズ・キャメロンくらいはインスパイアされてほしかったところである。
世界は牛久大仏のデカさを舐め過ぎなのである。実在の建造物との大きさ比較とか、あまりにリアリティがない。デカさこそ大正義の最強の大仏さま
まあ、この課題については2020年公開予定と言われる「Godzilla vs. Kong(原題)」に期待かなww
ヴォート=ロバーツ君が監督なのかも知らんけど。
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