ルイスがジョシュアに勝利! 動けるデブが動ける2mに勝利! 19年ぶりの何してくれてんねん案件やな【結果・感想】
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2019年6月1日(日本時間2日)、米・ニューヨーク州で行われたWBAスーパ-、IBF、WBO世界ヘビー級タイトルマッチ。同級王者アンソニー・ジョシュアがWBA5位の挑戦者アンディ・ルイスと対戦し、7R1分27秒TKOでルイスが勝利。3団体統一王座の獲得に成功した試合である。
スピーディな踏み込みと近場でのハンドスピードを活かし、序盤から積極的に前に出るルイス。対する王者ジョシュアは小刻みなジャブでルイスの突進を遠ざけ、右ストレートを打ち込むタイミングを測る。
3Rにはリング中央での打ち合いからジョシュアが左フックをヒットし、この日最初のダウンを奪う。
ところがルイスもさっと立ち上がりすぐさま応戦。逆に左フックを当て、追い打ちをかけるようにラッシュを浴びせてダウンを奪い返す。
そして、ラウンド終了間際に2度目のダウンを奪うと、試合のペースはルイスに傾く。
4R以降、サイズ差を活かした左を当て、懸命に体力回復を図るジョシュアだが、ルイスの踏み込みと連打をなかなか防ぎきれない。7Rに入ると、ラウンド序盤からルイスの攻勢を抑えられず、立て続けに2度のダウンを喫してしまう。
何とか立ち上がったジョシュアだが、指示を聞かずにコーナーに戻ったことでレフェリーが試合をストップ。ルイスのTKO勝利が決定した。
「ジョシュアがルイスJr.を再戦で塩漬け。ジョシュアの安全策とルイスの動きの悪さが…。そっくりさん同士の試合か?」
「どうせジョシュアが勝つんだろ?」からの「は? 負けたの?」な1日。こんなことってあるんだな
●この日の僕
午前中から予定があり、外出
↓
12:00過ぎ頃帰宅
↓
「早起きしたし、ちょっと昼寝するか」
「ああ、そういえば今日って、アンソニー・ジョシュアの試合だったっけ?」
「相手は何とかルイスだっけ? どうせジョシュアが勝つだろ」
↓
「はいはい、7RTKOね」
「まあ、そんなもんでしょ」
↓
って、負けたの!?
↓
完全に目が覚める
大体こんな感じである。
「ラッセルさんちっす! 年一のお仕事ご苦労さまッス! キコ・マルチネスに勝利し2019年の勤務を終える。長谷川穂積とは一味違う?」
いや、びっくりした。
まさかアンソニー・ジョシュアが負けるとは……。
だって、2m級のビッグマンはまず負けることはないって(僕が)言ってただろ?
約束が違うじゃねえか(してねー)。
正直、この写真を見た際に「ああ、今回もジョシュアが遠い位置から屠って終わるんだろうな」と、勝敗に対する興味をほぼ失っていたのだが……。
Time to get lively 🗽 #JoshuaRuiz pic.twitter.com/BfIO5ZpiMr
— Anthony Joshua (@anthonyfjoshua) 2019年5月30日
というか、この試合に関しては「ある程度予想はついた」というのはさすがに無理がある気がする。もしアンディ・ルイスの勝利を予想されていた方がいたとしたら、相当の猛者かひねくれ者か? というくらい。
今回はもう、素直に「アンディ・ルイスさん、恐れ入りました」としか言いようがない。
アンディ・ルイスの踏み込みとハンドスピードに期待感。これはもしかしたら? 最後はジョシュアが勝つと思うけど
実際の試合についてだが、とにかくこの試合はアンディ・ルイスの踏み込みの鋭さとハンドスピードが凄まじかった。
ルイスが「動けるデブ」だという情報は何となく耳にしていたのだが、同時に「それでもジョシュアとのサイズを埋めるまでにはいかない」との声も聞こえてきていた。
僕自身もその意見に賛成で、大方ジョシュアが懐の広さを活かしてコツコツダメージを与える展開になるのだろうと。そして、どこかでビッグパンチをヒットして終わらせるんじゃないの? と漠然と思っていた次第である。
「ジョシュアがパーカーを子ども扱い。パーカーはがんばったけどやっぱり2m無双。結局こうなっちゃうんだよな」
ところが初回のファーストコンタクトで、これまでの相手とはやや様子が違うことに気づく。
頭を小刻みに振り、突進のタイミングを測るルイス。
ジョシュアのジャブにそのつど反応し、パンチの戻り際を狙う。
そして20秒過ぎ。
ジョシュアの左をルイスが小さなバックステップでかわし、すぐさま左右フックを放ちながら踏み込む。そのまま一気に距離を詰め、至近距離で強引に腕を振る。
ジョシュアもガードを固めてこれを防ぎ、さっと距離をとってリング中央で対峙。
再び左ジャブを突く展開に。
うん。
アンディ・ルイス、なかなかいいぞ。
あっさりとジョシュアの懐に侵入したし、フックの連打はコンパクトでスピードもある。インファイトがめちゃくちゃ得意そう。
何となくだが、元K-1のマイティ・モーっぽいかな? とも思ったり。
この打ち終わりに距離を詰める作戦が機能すれば、何かが起きる? かも?
最後にはジョシュアが勝つと思うけど。
「日本で中・重量級に人材が集まらない理由? 逆に何でメキシコでは人材が集まるの?」
本当に「何か」が起きやがったww2000年以来の「何してくれてんねん」展開やな
そして、本当にその「何か」が起きてしまうという。
3R序盤。
1発目の左を出したジョシュアがガードを上げて距離を詰め、ルイスの懐に。低い姿勢で左右フックを連打し、強引に左をねじ込みダウンを奪う。
大盛り上がりの中、平然と立ち上がるルイス。
パッと見の印象だが、ほとんどダメージはないように思える。
だが、ダウンを奪ったジョシュアは大歓声を背にさらに間合いを詰め、至近距離でまともに打ち合いを始める。
ルイスも真正面から受けて立ち、危険な距離でヘビー級のパンチが交錯するド迫力の展開に。
硬質でシャープなスイングで前に出るジョシュアに対し、さらにコンパクトなルイスのフックが鋭く内側を通過する。
リング中央での左の打ち合い。
ほぼ相打ちのタイミングながら、よりダメージを負ったのはジョシュアの方。大きくたたらを踏み、ガードを固めて亀になるジョシュア。そのチャンスを逃さず、ルイスが猛然と襲いかかる。
そして、側頭部に右フックを被弾し崩れ落ちるようにジョシュアがダウン!!
まさかの展開に凄まじい歓声と悲鳴が飛び交う。
「ヘビー級のビッグマン無双を打破するには? ワイルダー、ジョシュアの2強を打倒するてっとり早い方法を考える。新階級設立?」
すげえな。
本当にすっげえわ。
僕は結果がわかった状態でこの試合を観たのだが、それでも思わず声が出てしまった。
アンディ・ルイスはそこそこやるのではないかとは思ったが、まさかアンソニー・ジョシュアに勝つとはね。
いや、申し訳ない。
「動けるデブが思った以上にやれるのはわかったが、結局勝つのは動けるビッグマンなんだろ?」などと考えていた時期が僕にもありました。
あのイキり倒していた頃の自分を正座させて2時間説教してやりたい。
このまさかの感じ、過去の試合で言えばどれかな? と考えたのだが、個人的には2000年4月のビタリ・クリチコvsクリス・バード戦かなぁと。
あの試合も確か、ヘビー級の強者同士の潰し合いの機運が高まっていた時期だった記憶がある。
ホリフィールドとの統一戦に勝利したレノックス・ルイスに、近い将来クリチコ兄弟の兄が挑むのでは? という中でのクリス・バードの勝利は完全に「何してくれてんねん」状態だった覚えが……。
「中谷潤人vsミラン・メリンド、赤穂亮vsグオン・ギョンミン感想。ダイナミックグローブ589in後楽園ホール」
今回もいずれ実現するはずのデオンテイ・ワイルダーとの頂上決戦に向けて、DAZNとの契約第1戦をジョシュアが幸先よく勝つはずが……。
もちろんアンディ・ルイスはナイスファイトには違いないが、各プロモーターやDAZN側にとってはマジで頭が痛い出来事なのではないか。
ウラジミール・クリチコの達人っぷりが…。「デカくて動ける」とはすべてにおける上位概念なのであるww
これは僕の勝手な想像なのだが、ウラジミール・クリチコ(全盛期)ならアンディ・ルイスにも普通に勝てるのではないかと思っている。
今回の試合、ジョシュアがインファイトに若干不安があることが露呈したわけだが、恐らくクリチコならそんなことはお構いなしに勝つと予想する。
なぜならデカイから。
クリチコのキャリアで今回のように突進力とハンドスピードのある相手は誰かなぁ? と思い、試しに2011年7月のvsデビッド・ヘイ戦を観てみたのだが、なるほど。これは確かにアンディ・ルイスにも問題なく勝ちそうな気がする。
なぜならデカイから。
前に出した左をヘイの眼前で小刻みに動かし、つっかえ棒のようにして侵入を阻む。そのままモーションの小さいジャブを連打し、軽く顔面を跳ね上げ続ける。
ヘイの強引な突進には絶対に付き合わず、左を前に掲げたままバックステップで退避。奥足重心でいつでも後ろに動ける体勢を維持し、自分のパンチだけが届く位置関係をキープする。
そして、距離が詰まった際には長い両腕を絡め、上からのしかかるように相手の動きを止める。
このパターンで徐々にヘイを疲弊させ、無難に判定勝利してみせたクリチコ。
「いやだから! ブリージールがワイルダーに勝てるわけねえから。ミスマッチ過ぎるから。って、ブロンズ・ボンバァァ…!!」
無理をせず、打ち合わず。
試合自体はクッソつまらなかったが、負けるイメージはゼロ。
インファイトに弱点があろうが、アゴが弱かろうが関係ない。
なぜならデカイから。
自分のサイズを目いっぱい活かした戦法というか、あそこまで勝利のみに徹する精神力はやっぱりさすがだなぁと。
毎回アホみたいに連呼してアレだが、デカくて動けるというのは問答無用に最強なのであるww
ジョシュアはまともに打ち合い過ぎたよな。インファイトにも自信があったんだろうけど
それを踏まえて今回の試合を観返すと、やはりジョシュアは相手の土俵でまともに打ち合い過ぎだったなと。
もちろんアンディ・ルイスの方がデビッド・ヘイよりも突進力、インファイトは上だとは思うが、それでもあまりに同じタイミングで打ち合い過ぎた感が強い。
「ウシクvsスポーン予想。元K-1戦士タイロン・スポーンか。適度に見栄えもよくていいんじゃないでしょうか」
恐らく本人も含め、インファイトにも相当な自信を持っていたのだとは思う。
2mの長身に似合わぬスピードと精度、総合力の高さがジョシュアの持ち味だが、ここまでのインファイトのスペシャリストに遭遇したのは初めて。
すべての数値で80点以上の高得点をマークするジョシュアだが、仮に弱点を挙げるとすればインファイトにある。それに対し、ルイスはインファイトの部分だけがとび抜けて高得点を叩き出す選手。
相手のもっとも得意とするインファイト、120点の領域に自ら飛び込み撃沈した。
相手を舐めていたとか、初の米上陸で力んだとかではなく、単純に相手の土俵で勝負して負けてしまった。それがファイナルアンサーに思える。
なので、仮に再戦があるとすれば、それこそジョシュアはクリチコ戦法に徹するべきかと。
遠い位置から左で顔面、ボディを打ち分け、ひたすらバックステップで距離をとりまくる。試合としては最低だが、2m級のビッグマンが勝つには結局それが一番効率がいい。
まあでも、アンディ・ルイスにもがんばってもらいたいですけどね。
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