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佐々木尽vsブライアン・ノーマンJr.現地観戦。スピードと正確性がレベチ。全身から漂う強者感。必殺の左が当たっても効かない耐久力。絶望のウェルター級、本当にマイッタ【結果・感想】
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佐々木尽vsブライアン・ノーマンJr.現地観戦。スピードと正確性がレベチ。全身から漂う強者感。必殺の左が当たっても効かない耐久力。絶望のウェルター級、本当にマイッタ【結果・感想】

佐々木尽vsブライアン・ノーマンJr.現地観戦。スピードと正確性がレベチ。全身から漂う強者感。必殺の左が当たっても効かない耐久力。絶望のウェルター級、本当にマイッタ【結果・感想】

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2025年6月19日に東京・大田区総合体育館で開催された「NTTドコモ Presents Lemino BOXING」。メインイベントのWBO世界ウェルター級タイトルマッチで王者ブライアン・ノーマンJr.と同級2位佐々木尽が対戦、5R46秒KOでノーマンが勝利し2度目の防衛に成功している。


36年ぶりの国内開催となったウェルター級世界タイトルマッチ。
「歴史を変える」と宣言して日本史上初のウェルター級世界王座戴冠に挑んだ佐々木尽だったが、結果は圧倒的な差を見せられての5RKO負け。
 
 
僕もこの日は「行かないと後々後悔する」と思い、チケットを購入した。
そして15:30の第1試合から全試合を観戦、5時間超えの長丁場により腰とケツが破壊されている笑
 
いや、大田区総合体育館の座席はマジで凶器ですよ。
確かに観やすい会場なのだが、あのカッチンコッチンの座席がすべてを台無しにする。
あれから2日ほど経ってようやく腰とケツが回復してきたことをお伝えする。
 
 
というわけで（どいういうわけ?）メインイベントの佐々木尽vsブライアン・ノーマンJr.戦の感想を言っていく。
 

目次

ブライアン・ノーマンJr.の強者感。やや入れ込み気味の佐々木尽とは雲泥の差があった

まずは青コーナー、挑戦者の佐々木尽が入場。


いつも通り自己陶酔型の作り込んだ仕草だが、表情がやや硬い。
 
いや、硬いな。

 
 
続いて王者ブライアン・ノーマンJr.が登場する。
入場口に姿を見せた途端に「あ、これは強いぞ」と。

 
身体全体から発する空気感が完全に強者のそれ。
必要以上に力むこともなく相手を舐めているわけでもない。初の日本でも何の影響も感じさせない。


ただ“与えられた仕事をしにきた”人。
そして「自分が負けるわけがない」と“わかっている”人。
 
煽りVのナレーションを自分でやったりと凄まじい気合いながらも空回り気味の佐々木尽とは雲泥の差がある。


 


 

佐々木尽が勝つには左ジャブが出るかどうか。接近戦だろうが左フックだろうがあのジャブが重要になる?

試合前に考えた展望は下記。
 
佐々木尽vsブライアン・ノーマンJr.。佐々木尽を応援しない理由が見つからん。いけるぞ佐々木尽。“日本人初のウェルター級世界王者誕生”は字面だけでよだれが溢れる笑
 
ブライアン・ノーマンJr.の印象は運動神経の高さとタイミングで勝負する人。
スピードや見切りに長けていて、飛び込み際のフックやカウンターがめちゃくちゃ鋭い。
 
ディフェンス面は身体の捌き、距離で外す動きが中心。
そのせいでどことなく危なっかしさもあり、決して鉄壁というわけではない。
 
ただ、根本的な能力は文句なしに高い。
佐々木尽がこれを覆すには接近戦でのボディ打ち→左フックのパターンがもっとも可能性がありそうだが、そこに至るまでに尋常じゃないダメージを負うのではないか。
 
そして、何をするにも左ジャブが重要になる。
2023年4月の小原佳太戦ではジャブを駆使してKO勝利を挙げたが、肩の手術以降はそのジャブがいまいち伸びなくなっている。


それこそ前回の坂井祥紀戦の出来だと相当厳しいのではないか。
 
佐々木尽vs坂井祥紀戦。佐々木尽の豪快KOでスカッとしたかったけど。坂井祥紀のディフェンスマスターっぷりが…。“溜め”の大きい佐々木尽と流れるような連打の坂井祥紀
 
そんな感じで佐々木尽があのジャブをどれだけ打てるかに注目していたわけだが……。
 
リング上でコールを待つ間、自分のコーナーで出した左がまあまあトロい。
小原佳太戦で「おお!! これは!!」となった鋭い左は見る影もない。


ブライアン・ノーマンJr.の”強者感”に加えて佐々木尽の左のトロさ。
正直、この時点で「ちょっと厳しいかな?」と思ってしまった。
 

案の定の結果。「ほんのわずかな希望すら残すな」などと冗談っぽく言ったけど笑

実際の試合は案の定というか。
いきなり佐々木尽が初回に2度のダウンを奪われると、3Rにはガードの上から効かされてフラフラに。
得意の左フックとボディストレートで突破口を開こうとするものの、4Rに動きを見切られて5Rに待ってましたの左フックでジ・エンド。
 
試合前に冗談っぽく言った「やってやれブライアン・ノーマンJr.」「ほんのわずかな希望すら残らないほど木っ端微塵に打ち砕いてやれ」がまんま現実になってしまった。


いや、こうは言ったけどさ。
そりゃ佐々木尽を応援してましたよ。
ホントに木っ端微塵にされて絶望しないわけがないんですよ。
 
三代大訓vsアンディ・クルス。力の差は大きかったしどんな対策を立てたかすら伝わらなかったけど、ところどころ通用する部分もあった。それもひっくるめて国内ではノウハウが広がらないのかもしれんね
 

「ノーマンは謙虚でリスペクトがある」ってホントか? 単に眼中になかっただけじゃないの?

開始ゴングの瞬間はマジで「うおーー!! キター♪───Ｏ（≧∇≦）Ｏ────♪」だったんですが。


 
いきなり那須川天心vsフロイド・メイウェザー戦とそっくりの光景を見せられて「あ、アカン」と。


 
劣勢でも怯まず挑発を続ける佐々木尽。

 
この光景はちょっと怖かったですよね。


勝敗云々はともかく無事に立ち上がってくれと。
 
 
一方のノーマンは勝ったあともまったくの普通。


喜びを爆発させることもなく、疲れた表情を見せることもない。
最初から最後まで“淡々と”“スマートに”“仕事を遂行”し、自然体のままリングを下りていった。
 
過去の映像を観る限りこの選手は自分大好きなイケイケ野郎に思えたのだが、実際はどうなのか。
「最近は自分を律することを覚えた」旨のコメントを読んだ覚えがあるが、ここ何戦かで精神面が成熟したのかもしれない。
 
 
試合後のインタビューも完全に“強者側”の言葉でしたからね。
 
「佐々木尽は将来チャンピオンになれる」
「なぜ日本で人気があるかわかった」
「彼はすぐに立ち上がってきた」
「作戦は相手の出方を見て決めようと思っていた」
「自分はまだ力を出し切っていない」
「また日本に戻ってきて試合がしたい」
 
佐々木尽は将来チャンピオンにって、アンタら思いっきり同世代じゃねえか笑
それ以外も杓子定規で模範的、ペラッペラな回答ばかり。
 
「ノーマンは謙虚でリスペクトに溢れている」などと言われていたが、いや、ホントか?
僕にはそもそも佐々木尽のことが眼中にないように思えたのだが。
 
ゲンナジー・ゴロフキンは覇王色の覇気の持ち主（）内容ペラッペラの杓子定規なコメントが最高すぐるw 支配層のみに許されたエレガントさ
 

スピードと精度がレベチ。佐々木尽のパンチも当たっていたけど「効かない」

何というか、パンチのスピードと精度がレベチでしたよね。
“グッ”と力を入れて“ブンッ”と振り回す佐々木尽に対してノーマンはリラックスした構えからノーモーションでスパッと打ち込んでくる。


 
力感がなくスピードと正確性が段違い。
打ち終わりやガードの間を狙って次々にヒットを重ねる。
 
3Rに佐々木尽がフラッフラになっていたのも見えない位置からのパンチやタイミングによるもの。
一見ガードしているようでもしっかり芯で食っていたのだろうと。
 
 
その一方で佐々木尽のパンチも実はぼちぼち当たっていた。
 
ブライアン・ノーマンは目のよさと距離で避ける分、危なっかしさがあると申し上げたが、マジでそんな感じ。
ロープ際での左フックやボディ、右ストレートも何度か入っていた。


ただ、効かない。
ノーマンはパンチを受けてもいっさい動じる素振りを見せない。
戦前から「あのフックが当たりさえすれば」「1発のパワーなら通用するはず」と言われていたその1発が効いていない。
 
国内やアジア圏ではぶん回しで相手を怯ませる→近場の連打に巻き込むのが勝ちパターンだったはずが、1発入れてもケロッとしているせいでちっとも流れがこない。
 
後で聞いた話によると両者は当日体重に5kgほど差があったとか。
根本的なフィジカルも世界基準とアジア圏では開きがあったのだろうと。
 
平岡アンディvsバロッソ、佐々木尽vsカミル・バラ、下町俊貴vs津川龍也。平岡アンディのベストバウト。1、2試合目がガラガラすぎて…
 
身体を伸ばしてボディストレート。

 
からの左フック。

 
この上下のパターンを見せすぎたせいで最後はそこを狙われた感じ。


 
改めて小原佳太戦のジャブがあればと思うが、言っても仕方ないっすよね。
 
佐々木尽が星大翔に11RTKO勝利。コレジャナイ感、期待はずれのモタモタ。小原戦で見せたジャブがいっさい出ない、意味不明なスイッチその他
 

「身体コントロール能力に課題がある」ってのはその通りだと思うけど、実際難しい気がするよ

「自分が思った通りに、思った瞬間に動ける身体コントロール能力」

中重量級の日本人ボクサーは「自分の体を正確に動かす認知力」に課題があるとし、それが伴わなければ「どれだけフィジカルやっても意味がない」

「村田諒太が指摘した日本ボクシング中重量級の課題　佐々木尽をKOした世界王者に見る「ヒント」」
 
これは確かにその通りだと思う。
 
目いっぱい腕を振って“面”でぶっ壊しにいく佐々木尽に対し、ノーマンのパンチはピンポイントに“点”で突き刺さる。
あのスピードと正確性の両立はやはり身体操作のうまさによるものだろうと。
 
要するに頭の中で描いた動きをそのまま再現できるタイプ。
指先まで神経が通っているというか、ゲームのコントローラーで自分を操作できる感覚というか。
録画を見返すと「自分は今こう動いているはず」という通りの映像になっている人たち。
 
 
ただ、それはなかなか難しいとも思っている。
特に身体が大きくなればなるほど身体操作は難しくなるわけで。
ボクシングに限らず一定以上のガタイでこの「認知力」を兼ね備えたアスリートはまあまあの上澄みな気がする。
 
たとえば
・イチロー（野球）
・鈴木桂治（柔道）
・宇佐美秀メイソン（キックボクシング）
・OZAWA（プロレス）
あたりがいわゆる“感度が高い人族”だと思っている。
 
 
そして、佐々木尽はそっち側ではなさそうな……。
 
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