ジャーメル・チャーロがトラウトに完勝。野性味満載の1発狙いで2度のダウンを奪うも倒しきれず。ハード戦はよ【結果・感想】
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2018年6月9日(日本時間10日)、米・ロサンゼルスで行われたWBC世界S・ウェルター級タイトルマッチ。同級王者ジャーメル・チャーロが、元WBA王者でランキング8位のオースティン・トラウトと対戦。2-0(113-113、115-111、118-108)で勝利し、3度目の防衛に成功した試合である。
前戦で強豪エリクソン・ルビンに衝撃的なKO勝利を挙げたチャーロの3度目の防衛戦。
相手は兄ジャーマル・チャーロやジャレット・ハードなどと激闘を繰り広げ、S・ウェルター級のゲートキーパー的な存在となったオースティン・トラウト。過去にはミゲール・コットやサウル・“カネロ”・アルバレス、エリスランディ・ララとの対戦経験もある、文句なしのハイレベルなベテランサウスポーである。
「最強クロフォードがホーンに圧勝で3階級制覇。ん? 最強? いやいや、クロフォードに勝てそうなヤツが1人いるんだが」
試合は序盤からチャーロが鋭い踏み込みでトラウトに襲いかかる。
3Rにはロープ際で側頭部にフックを浴びせてダウンを奪うなど、優位な展開を作る。
トラウトも負けじと巧みなバックステップとカウンターで迎撃。チャーロの拳を空転させ、なかなか決定打を許さない。
そして9R。
ラウンド開始早々、疲れの見え始めたトラウトにチャーロが猛然と襲いかかり、フックの連打を浴びせて2度目のダウンを奪う。
だが、トラウトもすぐに立ち上がって反撃。目いっぱいの力でチャーロに追撃を許さない。
結局、チャーロが12R判定勝利を挙げたものの、期待されたKO勝利はならず。
やや決定力に欠ける部分が目立った試合となった。
「チャーロ兄圧勝やね! センテノを2RKOに沈めて暫定王座獲得。村田諒太との違いが明確でおもしろかった。フィジカル上位の優位性」
大注目のS・ウェルター級。強豪同士の対戦が次々に決まっちゃうのがこの階級。今回の試合もたまりませんなww
注目の世界戦が目白押しだったにもかかわらず、タイソン・フューリーさんの復帰戦によっていろいろなものを失念していた週末。このジャーメル・チャーロvsオースティン・トラウト戦もその1つである。
「タイソン・フューリーが神である理由。セファー・セフェリを4Rノーマス。2年半のブランク明けでロマチェンコ超え」
ここ最近のS・ウェルター級の充実度は目覚ましく、しかも谷間の階級のせいで微妙に不人気。そのためか、強豪同士の対戦がポンポン決定するという逆転現象が起きている。
王者チャーロもジョン・ジャクソン、チャールズ・ハトレイ、エリクソン・ルビンら強豪とのマッチメークを立て続けにクリアし、今回のオースティン・トラウト戦を実現している。
「こんなん予想できるかww ジャーメル・チャーロが怪童ルビンをワンパンKO!! まさかの1R決着で注目の対決を制す」
そして、この試合の勝利によって対抗王者ジャレット・ハードとの一騎打ちに近づいたことは間違いない。
常々「ボクシングはモンキービジネスだ」と申し上げているが、強豪同士の対戦がこれだけ滞りなく決まるパターンはちょっと珍しい(気がする)。
そういう意味でも、この階級からはひと時も目を離せない(忘れてたけど)。
チャーロが苦戦。のらりくらりのトラウトを持て余し、モヤモヤしたままの判定勝利
試合の感想としては、多くの方がおっしゃる通りチャーロ弟が微妙に手こずったなと。
エリクソン・ルビンをワンパンKOに沈めるなど、凄まじい爆発力を見せるジャーメル・チャーロ。
だが、ジョン・ジャクソン戦の苦戦でもわかるように、試合の組み立てや支配力についてはそこまで優れているわけではない。
兄のジャーマルと違って左リードが少なく、どちらかと言えば鋭い踏み込みで距離を詰めるタイプ。「ジャブで距離を測って~」という過程をすっ飛ばして一気に勝負を決めにいくスタイルなので、トラウトのような相手にのらりくらりと空転させられるのもわかる気がする。
「ウォーリントンvsセルビー。お互いがクソ意地張りまくった名試合。目まぐるしくて脳みその処理が追いつかん」
また、今回のトラウトはチャーロのアッパーに細心の注意を払っていた(と思う)。
右で常にあごを守り、ダッキングの際も絶対に動かさない。間違ってもエリクソン・ルビンがKOされたパンチはもらわないという意識が感じられた。
そのせいで側頭部への被弾が増え、2度のダウンを奪われてしまったわけだが。
「サンタ・クルスvsマレス再戦感想。興味なかったけど予想外におもしろかった。ラッセルJr.と統一戦ってマジ?」
チャーロの射程のギリギリ外で対峙し、そこから踏み込みに合わせてバックステップ。
すぐさまガードの間から軽い左をヒットしサイドへ回る。
右リードで距離を測り、チャーロの動き出しを狙って左を打ち込む。
特に終盤は、チャーロの踏み込みのタイミングを完ぺきに掴んだ感が強い。
いい角度で左のカウンターがヒットしていたし、アレがもう少し早く出ていればといったところか。
「バドゥ・ジャックvsスティーブンソン。いい試合過ぎて笑いが止まらんww どっちも出し切った消耗戦」
そう考えると、今のところチャーロ弟がS・ウェルター級最強と呼べるかは僕にはわからない。
判定結果に文句はないが、付け入る隙があることもわかった一戦だった気がする。
「隠れ名選手グラナドス。フォルトゥナをリング外にすっ飛ばして無効試合。グラナドスはちょっと河野公平っぽいよね」
チャーロの野性恐るべし。組み立て? ペース? そんなもん、1発で全部吹き飛ばしたるわ
ただ、この選手の野性味はやっぱりすごい。
恐らく今回のトラウトは、チャーロ対策をめちゃくちゃしてきていたと思う。
・チャーロのアッパーへの警戒
・右でスペースを作り、動き出しにカウンター
・正面に立たず、極力射程内に立ち入らない
いつも以上にアウトボクシングを徹底していた。
「ジャレット・ハードの理不尽フィジカルがトラウトを粉砕する。ダメだトラウト…。パンチがまったく効かない地獄」
そして、ここまでやってもトラウトはチャーロの突進から逃げ切れない。
間合いの外から一瞬で距離をゼロにされ、サイドに回り込む瞬間にフックを被弾。
チャーロのアッパーへの意識が強い分、左のカウンターに一瞬の遅れが生じる。
「やっべえw 巨人ムンギアがアリを爆撃。ムンギアなんだコイツ。プロレスラーみたいだな。は? これでもハードの方がデカいの?」
僕は前回のエリクソン・ルビン戦では、どちらかと言うとルビンの方が有利だと思っていた。
ルイス・ネリのようなクネクネカウンターが得意なルビンなら、チャーロの踏み込みにもタイミングを合わせられる。
しかも、この選手はインファイトでもパワフルな連打が出せる。
ボクシングの幅と言うか、やれることの多さはルビンの方が明らかに上。
チャーロに当たり負けさえしなければ、十分勝機はあるぞ。
「嗚呼ゴロフキンww マーティロスヤンがんばったけどな。ゴロフキンの衰え? あると思います」
ところが、結果はまさかの1発フィニッシュ。
カウンターもクソもない。チャーロは持ち前の野性でエリクソン・ルビンの射程を踏み越え、壮絶なアッパーをねじ込んでしまった。
ぶっちゃけ、あの踏み込みと爆発力があれば、組み立てなどは必要ない。
純粋な戦闘力だけで、ほとんどの相手は何とかなってしまうのではないか。
「エロール・スペンス1RKO勝利。おいおい強杉かww でもオカンポのスペンス対策も間違いじゃなかったよね」
トラウトもがんばったが、結局はチャーロの爆発力に屈した。
もしかしたら、似たようなパターンでエリスランディ・ララにも勝ってしまうのかも。
どこまでいっても、スピード&パワーの大正義を思い知らされる。
「伊藤雅雪やるっきゃねえなオイ。クリストファー・ディアスとフロリダで王座決定戦。勝つね。うん、これは勝つよ」
ジャーメル・チャーロvsジャレット・ハード実現を求む。どうなるかがまったくわからない頂上対決。ハード有利? な気もするけど……
なお、期待されるジャレット・ハード戦についてだが、これはマジで展開がわからない。
被弾も気にせずカウンターを打ちながら前進するジャレット・ハードと、鋭い踏み込みと一瞬の爆発力であっという間に勝負を決めるジャーメル・チャーロ。
「ベストバウトきました。テイラーvsポストル興奮したわ〜ww ポストルに感動したかな。どっちもよかったけど」
上背、リーチともに似通っていて、お互いに自分と同等のフィジカルを持った相手と遭遇するのも初めて。
「ドグボエすげえな。マグダレノに圧勝やんけ。強フィジカルのカウンターでKO勝利。井上尚弥のラスボス交代か?」
相性的にはハードのカウンターが機能しそうな気がするが、トラウトやララ戦のような無遠慮な突進がチャーロ相手にも可能とは思えない。むしろハードのカウンターが間に合わず、最初の差し合いでチャーロに打ち負ける展開になる?
「ムンギアvsリアム・スミス感想。巨神兵ムンギアがスミスのガードをぶっ壊し。スミスもよかったけどねじ伏せられた」
いや待てよ。
インファイトに持ち込めば、至近距離でもカウンターが機能するハードが断然有利。
チャーロの突進に耐えて懐に入れれば、得意の泥沼アリ地獄パターンに持ち込めるのではないか。
左リードの少ないチャーロにとって、ハードの突進は天敵に近い。
でも待てよ。
スピードではチャーロの方が上だし、1発目の剛腕がヒットすれば……。
などなど。
堂々巡りでちっとも結論が出ないww
「停滞は衰退? 現状維持は後退? モンスタークレーマーへの対応策? 日大のタックル問題やアマボク問題で思ったこと」
個人的には、どれだけ打たれてもビクともしなかったハードがグラつくシーンを観たいのだが。
「おおお…ハードがララに勝ちやがった! いい試合だったな。両方がんばった。ちょっとロマvsリゴ戦ぽくもあったかな」
どちらかと言えばジャレット・ハードが有利な気がするが、この組み合わせはとにかくテンションが上がる。
ハードの次戦がララとの再戦なのか、噂されるケル・ブルックになるのかは不明だが、できればさっさと終わらせていただきたい。そして、早々にS・ウェルター級の頂上対決を実現していただければと思う。
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