日本、スコットランドに大敗!! 日本ラグビーの運命を握る大一番に敗れる!!【結果・感想】

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森イメージ
ラグビーW杯イングランド大会に参加している日本代表。
第2戦のスコットランド戦が9月23日に行われ、10-45で敗戦を喫した。対戦成績はこれで1勝1敗となり、10月3日に行われるサモア戦以降に予選リーグ突破を賭ける。

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日本ラグビーの未来を変える可能性のある試合に敗退

率直な感想を申し上げると、「いつもの日本ラグビーだったな」という印象だ。

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前半は随所にすばらしいタックルもあり、接戦で後半を迎え勝利の期待を持たせる。だが、後半の開始早々にミスからトライを奪われ流れが変わる。悪い流れを食い止めることができずにズルズルと得点を重ねられ、終わってみれば大差の敗戦。
長年見せ続けてきた日本ラグビーの姿というか、格下のチームが格上のチームにやられる典型的な負け試合であった。

そしてお決まりのセリフ。
「あそこで持ち堪えておけば」
「細かいミスを修正することが大事」
「次につながる負けだった」

いやいや、もういいよそれ。
聞き飽きたよ。
何だよ「次につながる負け」って。
W杯の真っただ中だぜ。どこにつなげる気だよ。今日の収穫をいつ発揮するつもりだよ。

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実を言うと、この試合は絶対に勝たなくてはいけない試合だった。
W杯の成績のみならず、日本ラグビーの未来を左右する試合。それくらい重要な一戦だったのである。

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W杯2連勝ともなれば、世間は「日本ラグビーすげえ!!」と大喝采間違いなしである。勢いそのままにラグビー人気が一気に爆発する可能性すらあったのだ。競技人口減少に悩むラグビー界の起爆剤になることだってできたはずなのだ。

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逆に負けてしまえば「やっぱり」となり、せっかく盛り上がりかけたものがしぼんでしまう。
中三日の大変さなど一般人にはまったく関係ない。スコットランドに負けたことで、南アフリカ戦での歴史的な勝利が霞んでしまったのである。
そういう意味で、今回の試合は日本ラグビー界のためにも意地でも勝たなくてはいけない試合だったのだ。

まあ恨みごとを言っても仕方ない。負けてしまったものはしょうがないので、ここから切り替えていけばいい。

試合自体は随所にいいプレーもあったが、基本は過去の負け試合と同じ轍を踏んだ格好である。 大敗を反省するというより、さっさと忘れて身体を休めることに重点を置けばいいのではないかと思う。

予想以上にスコットランドは日本を警戒していた?

試合の内容を振り返るのであれば、予想以上にスコットランドのディフェンスが速く激しかったことが一番だろう。
個人的には南アフリカ戦のように抱え込むディフェンスをしてくると踏んでいたのだが、そうではなかった。恐らく相当日本の縦突進を警戒していたのだろう。結果として日本のオフェンスは後手に回り、要所でのミスを繰り返す事態に陥った。

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よく「ミスをすると試合の流れを相手に渡してしまう」という話を聞くが、それはちょっと違う。
自分がミスをして相手に流れを渡してしまうのではなく、相手の激しいディフェンスによってミスが誘発されるのだ。

「日本が南アフリカ戦のように縦への突進でボールをつなごうとする」→「スコットランドのタックルが思ったよりも速く激しい」→「正面衝突を避けるために左右にボールを散らす」→「縦への意識が薄れる」→「プレッシャーに圧された精神状態で相手に当たる、パスを出す」→「ミスが起きる」
この悪循環が起こるのである。

つまり、日本が自らのミスで流れを引き渡したのではなく、スコットランドが自分たちに流れを引き寄せていたのだ。ラグビーはディフェンスから。まさにその通りの試合展開だったのである。

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さらに前半の再三にわたるハイパント。向かい風をあえて利用した作戦は本当にうまかった。上空を舞う風を利用したブレ球と激しい寄りで何度となく日本のミスを誘っていた。日本としても、向かい風であれだけ蹴ってくるとは思っていなかったのではないだろうか。
つまりあれも日本自らがミスをしたのではなく、スコットランドにミスをさせられたものだったのである。

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相手の激しいディフェンスが焦りを生み、オフェンス面にも悪影響を及ぼす

スコットランドの激しいディフェンスは、日本のオフェンス面にも大きく影響を及ぼしていた。あのディフェンスが日本の焦りを生んでいたのは明白だった。

前半26分に敵陣でPGを狙わずにトライを狙いにいった場面。会場は大いに沸いたが、はっきり言ってこの選択は違う。まだ勝負をかける時間帯ではないし、7点をもぎ取りにいくほどの点差でもない。完全に焦りからくる選択ミスだった。
恐らく前半15分に5mラインアウトからドライビングモールで奪ったトライの残像が残っていたのだと思うが、あそこは絶対にPGで3点をとりにいく場面だったのだ。
結果は案の定、キツいプレッシャーを受けてのノックオン。これが試合の流れなのである。

さらに言うと、五郎丸のキックが2本外れるのはちょっと想定していなかったのではないだろうか。難しいキックではあったが、五郎丸なら何とかしてくれるという思いがあったはずだ。チームにも多少の動揺が走ったことが予想される。

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前半33分からのラッシュ。あそこはよかった。
前回も言ったが、日本はああいう形で近め近めの位置でボールをつなぐ攻撃をしたいのだ。同時に、試合開始はやや出足の鈍さが見られたタックルに鋭さが出てきたのもこの時間帯からだった。

あのラグビーを後半も続ければ日本は勝てる。さらに「世界一の練習量」で自信をつけた後半。これは十分逆転できる。そう感じさせてくれた時間帯だった。結果としてこの時間帯が試合のハイライトとなってしまったのだが。

勝負どころで自分たちの持ち味を貫けなかった日本。敗退の色が濃厚に

後半10分を過ぎてスコットランドの出足がやや鈍った場面。振り返ってみればここが勝負の分かれ目だった。スコットランドのタックルの鋭さに陰りが見られ、待ちのディフェンスが目立ち始めていた時間帯だったのである。

直前にトライを奪われはしたが、スコットランドとしては相当無理をした上でのトライだった。はっきり言って気にする必要のない失点だったし、十分に逆転のチャンスは残っていた。

だが、後半14分のライン際でのパスワーク。あれがいらなかった。
日本がやらなくてはいけないのはああいうオシャレなパス回しではなく、近め近めで当たるプレー。キャリアの後ろからサポートプレーヤーがなだれ込んでボールをキープし続けるラグビーである。ああいう華麗なパスワークではないのだ。

そして後半16分にトライを奪われるのだが、このトライによってスコットランドの出足は完全に復活してしまった。
もう一度言うが、これが流れである。

この時間帯から日本の焦りが表面化する。ボールをキープして攻め続けてはいるものの、スピードに乗り切れないためゲインが切れない。一発一発のコンタクトで優位な姿勢でボールを出すことができないのだ。

こうなると日本は本当に苦しい。劣勢であればあるほど体力は奪われていくし、相手の調子はどんどん上がってくる。

実質的なとどめとなったのが、後半23分にインターセプトから奪われたトライ。これで試合の大勢は決したといっても過言ではないだろう。

PKからトライを狙うプレー。あそこは何としても1トライが欲しい場面だったのでこの選択自体は正しい。
だが、その後のパスワークが本当にいらなかった。相手のディフェンスが厳しい試合で、ああいうサインプレーはなるべくやってはいけないのだ。何度も言うが、日本の持ち味は近め近めでのボールキープ。強豪国に勝つにはそれしか方法はないのだ。

解説の大畑氏は「スコットランドが一か八かの賭けに出たインターセプトだ」と言ったが、断言するがそれは違う。一か八かの勝負をしていたのは日本だ。当たり前だがパスは投げる数が増えれば増えるほどミスをする可能性が高まる。しかもディフェンスの厳しい相手ならなおさらである。本当に単純な話なのだ。

こうなってしまうと、後は相手にいいようにやられるだけである。
後半27分を過ぎたあたりで完全に日本は足が止まり、逆にスコットランドの動きは俄然よくなる。左右にボールを散らし、前に出られない日本のディフェンスを縦横無尽に切り裂くのだ。

むなしく響く「あきらめるな」。声は届かない

残り10分。
点差は28点。
色濃く漂い始める敗戦へのカウントダウン。

毎度思うのだが、こういう絶望感が漂い始める状況はどう打破すればいいのだろうか。むしろ残り5分を切っていればある程度は開き直れるのだ。
だが、10分というのは本当に微妙である。完全にあきらめるにはまだ早いし、かといって逆転勝利を強く意識するほどの希望も残されていない。折れそうになる気持ちを必死につなぎとめようとするのだが、調子に乗った相手は嵩にかかって攻めてくる。本当に苦しい時間帯である。

「前を向け」
「顔を上げろ」
「あきらめるな」
こういったかけ声が飛ぶのだが、どこか虚しい。

解説の大畑氏は「まだ全然気持ちが折れてないですよ」と言っていたが、申し訳ないが打破する手立ての見つからない人間の空虚な言葉にしか聞こえない。

そして後半33分。
ゴール中央にトライを決められる。
得点45-10。
完全に決まりだ。

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ラスト5分。
もうスコットランドは無理にポイントで競らない。
タックルが発生したあとは無理に人数をかけずに、ラインメイクに入る。1、2本ならとられてもOKの省エネ。さすがである。

レレイ・マフィは無事なのか? 交代の遅れが悔やまれる

前回の試合を受けて後半の日本の強さに期待したのだが、残念だった。
やはり時間帯が深まると、どうしても地力の差が表面化する。最後までこの差を埋めることはできなかった。

最初に申し上げた通り、この試合のことはさっさと忘れて回復に努めるべきだろう。
次戦は10月3日と、日程的には十分な時間がある。反省点を次につなげるとかではなく「いや~、だめだったね~。はっはっは」と明るく笑い飛ばして切り替えた方がいい結果に結びつくのではないかと思うのだが、どうだろうか。

ただ今後を考える上で、レレイ・マフィの負傷はマジで痛かった。
今回の試合、後ワンプレー早く交代できなかったものか。
一つ前のプレーで足をおさえてうずくまっていたとき。あそこで交代しておけば。そうすれば自力で立ち上がれなくなるような事態は防げたのではないだろうか。

「魂のプレー」
「勇敢な桜の戦士」
「大和魂」
常々思っているのだが、こういう一時の感情の起伏よりも、健康な状態で試合に臨む方がよっぽど大事なのではないだろうか。
万雷の拍手とともに退場するレレイ・マフィより、次の試合で躍動するレレイ・マフィが欲しいと思うのは僕だけだろうか。
実際レレイ・マフィが1分でも長くグラウンドに立っていてくれる方が、日本にとっては100倍ありがたいと思うのだが。
代わりに得たものが五郎丸のPG3点では、あまりに代償が大きすぎる。

まあ、この辺の議論は答えが出るものではないので、あまり掘り下げることはしないが。

レレイ・マフィが次の試合に出場可能なのかはわからないが、とにかく次のサモア戦をどうにか勝利して、予選突破の希望をつなげてもらいたいものである。

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