井岡vsレベコ決着!! やればできるじゃねえか井岡おいww ボディ一閃!! 11R壮絶TKOで因縁に終止符を打つ【結果】
WBA世界フライ級タイトルマッチが2015年12月31日に大阪エディオンアリーナで行われ、王者の井岡一翔が同級2位の挑戦者ファン・カルロス・レベコを11R1分57秒でTKOに下し、2度目の防衛に成功した。
この両者は2015年4月に第一戦を行い、2-0の僅差判定で井岡が勝利を収めている。だが、レベコ陣営が判定に不服を申し立て、決着戦として今回の再戦が実現した。
「キービン・ララってそんなにダメか? 井岡が勝つと思うけど、普通にいい選手じゃないの?」
因縁の決着戦で完全勝利を収め、井岡が遺恨に終止符を打った試合である。
「井上尚弥が拳を痛めないために? 井岡スタイルに変更すればいいんじゃない?」
あれ? 距離近くね? まさかの接近戦を仕掛ける井岡にビックリ
試合開始のゴングが鳴る。
両者がリング中央で対峙する。
両者を見て最初に思ったのが、
「あれ? 近いぞ?」
「あれ? 近づいてるのは井岡か?」
この試合はどちらかと言えばレベコが距離を詰めて、井岡が左をコツコツと当てて近づかせない展開になると予想していた。そして、抜群の距離感を見せる井岡が第一戦以上の差をつけての判定勝ちを収めると思っていた。
試合前のインタビューで、
「倒して勝ちたい」
「KOを狙う」
と言っていた井岡だが、僕は正直「そう言いつつ塩試合で判定勝ちするんだろ?」と思っていた。「でかいこと言っちゃって、またアンチが増えるぞ」と思っていたのである。
いや、すまん井岡。
あのインタビュー、マジのヤツだったのか。
どうやら前回の試合でレベコ側にイチャモンをつけられたこと、周りに「つまらない」と言われまくったことが相当悔しかったのではないだろうか。
今の井岡にあれだけリスク覚悟の積極的な試合ができるとは思わなかった。
「井上尚弥強し!! パレナスをまったく寄せ付けずに2RでのKO勝利!!」
しかも11Rまでの採点は97-93、96-94、94-96の2-1の井岡リードで、印象よりも相当競っていた試合だったのである。
つまり、もし11、12Rを両方取られていたらドロー判定防衛という計算である。こうなるとまたケチがついて第三戦という話も持ち上がったかもしれない。実はそれほど際どい試合だったのだ。
「内山がフローレスを粉砕!! 誰がゴリラをリングに上げていいって言ったよww」
確かにペースを掴んでいたのもダメージを与えていたのも完全に井岡だが、有効打という意味では大きな差がないラウンドもあったと思う。その場合にレベコの積極性を評価してポイントを与えるジャッジがいたということだろうか。
前回の予想記事でも申し上げたとおり、僕はこの試合は井岡がレベコのロングフックにだけ気をつけて安全運転していれば勝てると思っていた。
実際どうなったかは今となってはわからないが、その可能性は高かったと思う。
「井岡vsノクノイを予想する。てか、井岡圧勝を予想する。今回ばかりはやりやすい相手を厳選した感が」
もしかしたらまた批判に晒されるかもしれない中で、あえてリスクを恐れずにKOを狙い、なおかつ達成してみせた井岡は素直にすばらしかった。
亀田兄弟を引き合いに出されたりとあれこれ批判も多い選手ではあるが、今回のレベコ戦に関してはまったく文句のつけようのない一戦だったと思う。
こんなもんじゃねえだろ井岡は? もっとできるだろが。あ?
僕は前回の記事で「レベコのがんばりに期待している。レベコが井岡からダウンを奪うようなことがあれば、井岡のフォースが覚醒してスーパー井岡が見られるかもしれない」などと無責任なことを申し上げている。
要は、ピンチに陥った井岡が潜在能力を開放させて、これまでの安全運転保守的判定マシーンから脱却できるのではないかという期待を込めての発言である。
「八重樫vsハビエル・メンドサ!! 赤っ恥予想の言い訳をしていくぞww」
まあ「フォース」だの「覚醒」だのというのは冗談だが、このまま安全運転ボクシングを続けて、アムナット戦のように上背のある選手や格上の選手になすすべなく負ける井の中の蛙のまま終わって欲しくないと願ってのことである。
ポテンシャルはある選手だと思うので、どこかで一皮むけてもう一段上に行って欲しい選手と思っているのだ。
すべてを計算し尽くした上でのKO。用意周到な準備とそれを実行するクオリティの高さ
今回のレベコ戦に関しては残念ながら一皮むけるような試合の内容ではなかった。どちらかというと自分と相手の戦力を徹底的に比較研究した上で、どのような試合運びをすればKOまで持ち込めるかという作戦を周到に練った結果だったと思う。
ただ、それもまた井岡らしいと言えば井岡らしい。
前回の試合でレベコの圧力にやや押された感のある井岡が、今回の試合で選択したのは接近戦。
僕は左をコツコツと当てて距離をとるアウトボクシングで判定勝ちを狙うものとばかり思っていたが、井岡が選んだ作戦は逆だった。
相手との距離を自ら潰し、自分から手を出してプレッシャーをかけることでレベコの前進を寸断していたのだ。
そして、この井岡の積極的なボクシングにレベコは完全に戸惑っていた。本来自分がやるべきことを井岡に先にやられたのだ。ペースを握らなくてはならない序盤で、うまく井岡に先手を取られてしまったのである。
結果的に11RのKOパンチとなったボディ狙いの作戦もすばらしかった。
前回の試合でレベコの大振りのフックとハの字気味のガードを見て、ボディが当たりやすいと判断したのだろう。右に一歩踏み込んでの左ボディが再三レベコのみぞおちを捉えていた。
レベコの大振りのフックをダッキングでかわし、上背のないレベコよりもさらに低い状態で懐に潜り込む。そこから頭を右に振りながら左のボディを突き刺すのである。さらに左を意識させておいての右ボディ。このパンチをレベコの脇腹に叩き込むのである。
上下の打ち分けもさすがとしか言いようがない。
9Rの中盤あたりで身体を密着させてのボディの打ち合いになるのだが、そこでスッと右に体重移動してレベコをいなし、身体の流れたレベコの顔面に右フックをダブルでヒットさせる。
さらにレベコが決死の覚悟で前に出てきた瞬間にフッと下がり、打ち終わりにパンチの雨を降らせる。そして再び頭をくっつけてボディの打ち合い。
お見事のひと言である。
このダメージの蓄積で徐々にレベコは失速し、11Rのストップにつながったのである。
老かいで緻密な試合運び。レベコを手のひらで転がす26歳
試合運びの面でも老かいというか周到というか、いっさい若さが感じられない。もちろんいい意味で。アンタ本当に26歳ですか? と聞きたくほどである。
序盤は積極的に距離を詰めることでレベコの前進を止める。
中盤にレベコが井岡のプレッシャーに慣れてきたと見るや、すぐに距離を開ける戦法に切り替えてペースを握らせない。
実際、6、7Rは井岡の前進に慣れ始めたレベコが持ち直しつつあったのだ。それを距離をとる作戦に切り替えることでしっかりと自分にペースを引き戻し、9Rの猛攻につなげているのである。
「井岡がララを11RKOに下して快勝!! エストラーダ戦は…ないかなぁ。案外正規王者vs暫定王者の統一戦になるかもね」
そして9、10Rで完全にレベコを失速させて、とどめの11Rである。
開始から1分間以上、ほぼ手を出さずにレベコの様子をうかがう。
レベコにどれだけの力が残っているのか、踏み込みのスピードはどのくらいなのか。レベコの残りの力を十分把握し、踏み込みのタイミングを掴んだところで反撃開始である。
レベコの右に合わせてカウンターの左をボディに突き刺す。レベコの動きが止まったところでもう一発。さらに返しの右を脇腹へ。
この試合で執拗に攻め続けた箇所にとどめの3発である。
たまらずレベコが膝を折って倒れ込む。
最後の力を振り絞って前に出たレベコの望みを根こそぎ断ち切る残酷なボディ。すべては井岡の手の上で起きた出来事だったと言っても過言ではない。
いや、本当にすばらしい試合だった。
覚醒した井岡が見られたわけではない。
次戦ではまた塩試合をご披露してしまうのかもしれない。
だが、それもまた井岡らしくていいのかなとすら思えてくる。そのくらいいい試合だった。
井岡は今後はどうするのだろうか。
エストラーダとの統一戦(でいいのか?)に進むのか?
でもエストラーダはロマゴンとの再戦が濃厚との報道が出ていたから、もしかしたらその勝者と?
それとも相変わらず国内での安全防衛路線を突き進むのか?
ちょっとわからないが。
「ロマゴン強し!! ビロリアに何もさせずに9回TKO勝ち!!」
まあ、どちらにしろ、今回の試合で不当に低く扱われていた評価が持ち直すことを願うばかりである。
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