ラミレスすごい。フッカーを圧倒して6RTKO勝利。でも、デラホーヤには見えないんだよな。むしろデニス・シャフィコフっぽい?【結果・感想】

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テキサス州イメージ
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2019年7月27日(日本時間28日)、米・テキサス州で行われた世界S・ライト級王座統一戦。WBC同級王者ホセ・カルロス・ラミレスとWBO王者モーリス・フッカーの一戦は、6R1分48秒でラミレスが勝利。見事2団体統一に成功した。
 
 
開始直後から上体を振りながら前進するラミレス。
 
対するフッカーも鋭い左リードを放つが、ラミレスの前進はなかなか止まらない。
ラウンド後半、パンチの戻り際に踏み込まれ、左を被弾しバランスを崩すようにダウン。すぐさま立ち上がりスリップをアピールするが、レフェリーに認められず。
その後もラミレスの重厚なプレスと連打に翻弄され、なかなか突破口を見出せない展開が続く。
 
そして迎えた6R。
ラウンド中盤、ラミレスの強烈な左ボディがフッカーを捉える。このパンチでフッカーは明らかに失速。
さらに追い打ちをかけるラミレスの猛攻に耐えられず、ロープ際で連打を浴びる。そのまま棒立ちで打たれっぱなしになったところでレフェリーが試合をストップ。
 
6R1分48秒、終始フッカーを圧倒したラミレスが勝利し王座統一を果たした。
 
「ベテルビエフvsグヴォジクとかいう地球が割れるかもしれない統一戦。退路を断った爆腕と重量級の拳四朗」
 

ホセ・カルロス・ラミレスが予想以上だった。ジャメル・ヘリングvsデニス・シャフィコフ戦っぽかったな

僕が以前から楽しみにしていたホセ・カルロス・ラミレスvsモーリス・フッカー戦。
個人的にこの試合はかなり拮抗すると思っていたのだが、結果はラミレスの6RTKO。フッカーにほぼ何もさせずの圧勝である。
 
 
なるほど……。
ホセ・ラミレスすごいっすね。
 
もう少しフッカーの左リードに手こずると思っていたのだが、まったくそんなことはなく。予想以上の試合巧者というか、一部の方から猛烈に支持されるだけはある。
 
また、何となくこの試合は2016年7月のジャメル・ヘリングvsデニス・シャフィコフ戦とダブって見えたのだが、どうだろうか。
身体を振りながらプレスをかける連打型に長身のアウトボクサーがケチョンケチョンにされるパティーン。
 
「完敗の伊藤雅雪。ヘリングに最後まで追いつけず…。これ系の相手はどうしても鬼門になるよな」
 
あの試合も当初はヘリング有利と言われていたが、ふたを開けてみればシャフィコフの圧勝だった。
シャフィコフのプレスにヘリングのリードがまったく機能せず、あっさり懐に入られ連打を浴びる流れ。ボディ、顔面に自在に打ち分けられ、糞詰まりを起こしたままセコンドが試合を止めるという結末である。
 
そして、ホセ・ラミレスはシャフィコフに比べて上背、リーチがあるため、より早いラウンドで捕まえられた。サイズに恵まれた選手がデニス・シャフィコフやデジャン・ズラチカニンのスタイルを踏襲しているイメージ。
 
 
ちなみにだが、ホセ・ラミレスがオスカー・デラホーヤっぽいという意見がちょくちょく聞こえてくるが、個人的にはあまり似ているとは思えず。どちらかと言えば背の高いミゲール・コットかなぁと。
 
いや、何とも言えませんが。
 

1Rの差し合いで「あ、フッカー厳しい」ってなったよね。得意の左リードがちっとも通用してない

1R。
開始直後からガードを上げ、上体を振りながらじわじわと間合いを詰めるラミレス。
フッカーも左右に動きながら得意の左リードを出すが、激しく頭を動かすラミレスを捉えられない。
 
フッカーの左に合わせてラミレスが踏み込み、さっと方向転換して鋭角に左を振るう。
この動きにフッカーは対応できず、バランスを崩して思わずロープを掴む。
 
さらに2分過ぎ。
左リード→右ストレートへとつなぐフッカー。
だが、ラミレスはその瞬間を狙って前進。同時打ちのタイミングで逆ワンツーを放つ。
 
これによってフッカーは再びバランスを崩し、仰向けにダウンを喫する。すぐさま立ち上がり足を踏まれたとアピールするも認められず。
 
得意の左リードはラミレスにまったく通用せず、逆に踏み込みのきっかけを与えてしまう。
正直、この一連の流れを観た時点で「フッカー、相当厳しいかな?」と思わざるを得ない。
 
「アントニオ・オロスコvsバージル・オルティス、勅使河原弘晶vs大森将平感想。どちらもいい試合で大満足」
 
最初に申し上げたように僕はこの左がもう少し機能すると予想していたが、まさかファーストコンタクトでいきなり見切られてしまうとは。
 
近場でのコンビネーションを得意とするラミレスに比べ、フッカーはインファイトに難がある選手。接近戦になればラミレスが有利なのは間違いないが、さすがに1Rの序盤にその局面が訪れるとは思わなかった。
 
「リング禍の起こりやすい試合を考えてみる。まあ、僕はやっぱり超人が観たいよね。ルールに最適化された達人技」
 

3Rからワンツー主体に切り替えるフッカー。これがうまく機能し、微妙に流れが変わる

3Rに入ると、左ジャブをあきらめワンツー主体の手数勝負に切り替えるフッカー。
時おり右でラミレスの顔面を跳ね上げるなど、この作戦はそこそこ機能していた気がする。
 
そうそう。
こういう思い切りのよさと真正面から打ち合う勇気がモーリス・フッカーのいいところ。
自分のスタイルに固執せず、すぐさまBプランに移行する柔軟性は2018年11月のアレックス・サウセド戦でも見られたもの。
 
恐らく前の足が交差する位置はフッカーの得意な距離ではない。
だが、左リードでは止まらないラミレスに対抗するには打ち合いに応じるしかなく、選択自体は正しかった(と思う)。
ゴング後にも関わらず躊躇なくフルスイングするなど、両者がヒートアップした部分も含めてかなり見応えがあるラウンドだった。
 
「エストラーダvsビーモン予想。ってか、試合になるかなぁコレ。エストラーダ圧勝の予感が…。ビーモンがんがれ」
 

5Rからラミレスがしれっと対応する。右に右のカウンターを合わせ、再びフッカーにロープを背負わせる


ただ、5Rに入るとラミレスがしれっと対応。再びフッカーにロープを背負わせるシーンが目立ち始める。
 
フッカーの左をガードし、追撃の右ストレートに合わせて右をカウンターで返すラミレス。
そのままもう一歩距離を詰め、肩でフッカーを押し込み近場での打ち合いに巻き込む。
 
序盤のラミレスは左リードの戻り際に間合いを詰める動きでフッカーを追い詰めていたが、このラウンド以降はフッカーの右にカウンターを合わせていく流れ。3、4Rでワンツー主体に切り替えたフッカーのBプランをさらに上回り、ラストの6RTKOにつなげる。
 
「やっぱりエストラーダとビーモンじゃ実力差があり過ぎたよな。相手を挑発したりおちょくったりはエストラーダには似合わんけどな」
 
手を出すたびに懐に侵入されるためになかなか自分から攻められないフッカー。しかも、ラミレス自身も手を出さずに前に出てくるので、カウンターの1発狙いも難しい。
 
結果、フリーパスで射程内に入られ、完璧なタイミングで左ボディを被弾。左ガードが下がったところに顔面へのラッシュを浴び、そのままレフェリーストップ。
 
あまりにお見事というか、ラミレスにとってはほぼパーフェクトな勝利と言っていいのではないか。
 
 
僕は前回の予想記事で、
フッカーの左が通用すればフッカー有利。
ラミレスのプレスがそれを上回ればラミレス有利。
などと申し上げたが、実際にはラミレス有利どころの話じゃない。
 
ホセ・ラミレス圧勝もいいところで、「コイツはいったい何を言っているのか」とあの頃の自分を叱り飛ばしてやりたいほどww
 
「しれっとホセ・ラミレスvsモーリス・フッカーだと!? これはおもしろい試合になるんじゃない?」
 
ついでに言うと、WBSS優勝者とホセ・ラミレスの統一戦は絶対に実現してほしい。
僕はジョシュ・テイラーvsレジス・プログレイス戦はプログレイス有利だと思っているのだが、じゃあプログレイスvsホセ・ラミレスはどうなるの? と聞かれると、これまた難しい。
 
てか、その前にWBSS決勝が無事に開催されるかどうかですよね。またゴタゴタしてるみたいだけど。
これはもはや、アイツらの様式美なんでしょうか。
 
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