まんまだったなウシクvsガシエフ。無策のガシエフが12R空転させられ大差判定負け。WBSS優勝のウシクはヘビー級?【結果・感想】
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2018年7月21日(日本時間22日)、ロシア・モスクワで行われたWBSSクルーザー級決勝戦。WBC、WBO同級王者オレクサンドル・ウシクとIBF、WBAスーパー王者ムラト・ガシエフが対戦し、3-0(120-108、119-109、119-109)の判定でウシクが勝利。見事第1回WBSSトーナメント優勝を果たした試合である。
試合は開始直後から軽快なフットワークと右リードでウシクが優勢に進める展開。
ガシエフもじっくり前に出て危険なスイングを見せるが、ウシクを捉えることができない。
4Rにガシエフの右がカウンターでヒットし、一瞬グラつきを見せるウシク。だがすぐさまクリンチでしのぎ、ラウンド終了のゴングを聞く。
それ以降もウシクの動きは衰えず、ガシエフに付け入る隙を与えない。次々にガードの間から右を通し、がっちりペースを掴んだままラウンドを消化していく。
そして、そのまま12R終了のゴングが鳴り、ウシクが文句なしの勝利を決めた。
なお、ウシクは以前ヘビー級統一王者のアンソニー・ジョシュアと戦いたいと発言しており、今後の動向にも注目が集まる。
「プログレイスvsベラスコ感想。プログレイスすごいね。猛獣的な強さを感じる。そしてWBSSのS・ライト級がクッソ楽しみ」
第1回WBSSはオレクサンドル・ウシクの優勝!! でも、舞台のスケールを除けば普通の試合だったな
日本の井上尚弥の参戦も決まり、大盛り上がりのWBSS。
大注目の第1回クルーザー級トーナメント決勝は、オレクサンドル・ウシクの優勝で幕を閉じた。
会場の華やかな演出や観客の熱狂など。階級最強を決める大会としては言うことなしの舞台。
そして、いずれこの舞台に日本人選手が上がると考えると、それだけでワクワクが止まらない。
先日発表されたWBSSバンタム級一回戦の井上尚弥vsパヤノは、2018年10月予定とのこと。日本開催という話もあり、今から尋常じゃなくテンションが上がっているww
「アーノルド・ケガイって選手がいいなと思いました。WBSSバンタム級に出る選手の戦績をながめてたら出てきました」
とまあ、いまだかつてないほどのスケールで行われたオレクサンドル・ウシクvsムラト・ガシエフ戦だが、感想としては普通だったなと。
舞台の壮大さを除けば完全にウシクの独壇場。
ガシエフの無策っぷりが目立った試合だった。
「WBSSの資金難にはビックリしたな。てっきり大財閥の御曹司が道楽で金出してるもんだとばかり……。バランチェク離脱」
ガシエフがウシクに追いつくのは至難の技。ガシエフの工夫に注目してたけど……
予想記事でも申し上げた(だいぶ前なので忘れたけどww)が、僕はこの試合でガシエフが勝つのは相当難しいと思っていた。
「ウシクvsガシエフ予想。WBSSクルーザー級決勝がサウジアラビアで開催。井上尚弥も次回バンタム級で出場するとか」
射程が短く、近場での差し合いが得意なガシエフ。
破壊力抜群の1発を持ち、当て勘もいい。空いた場所を見つけてスパスパとパンチを放り込むイメージ。
だが、前戦ではリーチの長いドルティコスを大いに持て余し、間合いの外からの攻撃に対する脆さも見せた。
それに対し、オレクサンドル・ウシクはフットワークと角度の選手。
右リードの連打で相手の突進を制御し、絶え間ないポジショニングで正面を取らせない。
同国のワシル・ロマチェンコと似たスタイルと言われるが、実はちょっと違う。
ロマチェンコが自分から動いて空いた場所を探しに行くのに対し、ウシクはどちらかと言えば受け中心。
相手の動きに合わせてサイドに回り、打ち終わりの瞬間を狙って連打を返すタイプである。
「リナレスがロマチェンコにKO陥落。あ〜惜しい。もう少しだったけどな。これがスピード&パワーの偉大さですよ」
そう考えると、射程が短く攻防分離気味のガシエフにウシクが追いつくのは至難の技。
1発の破壊力はあるが、それを発揮できる間合いまでウシクが近づかせてくれるか。
普通にやっているだけでは、ガシエフはウシクの動きについていけずに空転させられる可能性が高いのではないか。
そして、結果的にガシエフは普通にやってしまった。
ウシクの動きを止める工夫も連打に対抗する手立てもなく、ガードを上げてひたすら追いかけるだけ。
射程の外側から山ほど右リードを浴び、さらに一歩近づいて下から顔を跳ね上げられる。
「村田諒太がやっぱりロブ・ブラント戦。ビッグマッチへの足掛かり? 結構いい試合になりそうな…」
何とか近づこうとするも、連打をガードするので手一杯。自慢の剛腕を振り回すタイミングはほとんどない。
時おり危険なタイミングの右がウシクの顔面をかすめるシーンもあったが、そこに至るまでの犠牲が大き過ぎてどうにもならない感じ。
個人的に、この相性の悪さをガシエフがどうクリアするかに注目していたので、今回の無策っぷりには若干拍子抜けだった。
ウシク攻略は前戦のブリエディスが見せてくれた。それをできそうな選手はクルーザー級には見当たらないけどさ
なお、これも予想記事で申し上げたが、準決勝のブリエディスが見せたウシク攻略は本当によかったと思う。
ウシクの右に同時打ちのタイミングで左を合わせ、連打の発動を抑え込む。
サイドへの動きは、軸足を決めたピボットの要領で絶対に正面を外さない。
そして、ウシクの右リードの戻りに合わせて距離を詰め、ボディの連打で足を止める。
常にウシクの懐で対峙し、極力スペースを与えない。
その状態をキープし、近場で先に手を出し続ける。
とにかくウシクの連打を発動させず、自由に動き回らせない作戦。
「カバロウスカスがアブレウに大苦戦の末に判定勝利。今回は苦手なタイプだったな。ジャブの強さでスレスレ生き残った」
後半以降、疲れで足が止まってしまったが、ブリエディスのアレはまさにウシク攻略の一つの答えだったと思う。
なので、オレクサンドル・ウシクに勝つ条件は、
・一歩で間合いを詰める鋭い踏み込み
・ウシクの右を封じ込められる左リード
・サイドに回り込む動きを制御するボディ
・中間距離での駆け引きのうまさ
を兼ね備えた選手という感じだろうか?
ただ、それに合致しそうなタイプはクルーザー級には見当たらない。
階級抜きに考えるのであれば、アンドレ・ウォード一択だとは思うが。
「ウォードが再戦に完勝!! コバレフがキャリア初のKO負けでリベンジ失敗。仕方ないね。ちょっと差があり過ぎたよな」
ウシクがヘビー級に参戦したら? そこそこやれるんじゃないかな? でもvsジョシュア、ワイルダーは厳しそう
また、仮にウシクがヘビー級に参戦したとしたらどこまでやれるか。
何とも言えないところだが、個人的にはそこそこやれると思っている。
「激戦のアレクサンダーvsベルト。思った以上におもしろかったし、思った以上に泥試合だった」
今回の試合を観ても、ウシクは射程の短いファイタータイプにはめっぽう強い。
間合いの外から右リードの雨を降らせ、慎重にサイドに回りながら空いた場所にパンチを当てまくる。
この注意深さとスピード、アングルの調整力があれば、ヘビー級の選手に追いつかれる心配は少ない気がする。
ただ、アンソニー・ジョシュのようなビッグマンを手に負えるかというと、ちょっと難しいかもしれない。
踏み込みのレンジやリーチがクルーザー級とは桁違いで、なおかつヘビー級屈指のスピードもある。
いくらウシクががんばっても、どこかで間に合わなくなりそうな……。
「ジョシュアがパーカーを子ども扱い。パーカーはがんばったけどやっぱり2m無双。結局こうなっちゃうんだよな」
そして、さらに危なそうなのがvsデオンテイ・ワイルダーかなと。
ルイス・オルティスに散々苦戦しながら最後は身体能力でねじ伏せたことを考えると、あの野獣性からウシクが12R逃げ切れる気がしない。
中盤まではいいペースで行っても、後半のどこかで吹き飛ばされてしまいそうな……。
「野獣ワイルダーがオルティスを豪快KO!! やべえ、おもしろかったww オルティスは勝たなきゃダメな試合だったな」
つまり、そこそこやれるとは思うけど、トップ中のトップに通用するかは甚だ疑問だよねという感じか。
まあ「クルーザー級統一王者が満を持してヘビー級参戦!!」というのもロマンがあっていいですけどね。
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