フォルトゥナ陥落!! イキった末にソーサの左フックを被弾してKO負け。いや、何であそこで攻めたww ソーサのタイミングが合ってたじゃんww
2016年6月24日に中国・北京で行われたWBA世界S・フェザー級レギュラー王座戦。正規王者ハビエル・フォルトゥナが同級8位のジェイソン・ソーサに11RTKOで敗れる波乱が起きた。
序盤からスピードの差を見せつけたフォルトゥナが有利に進める試合展開。
だが、10Rにソーサが左フックでダウンを奪うと一気に形成が逆転する。
11Rに再びソーサのフックがフォルトゥナのアゴを捉えてフォルトゥナが2度目のダウン。一度は立ち上がったものの、ダメージが大きいと判断したレフェリーが試合をストップする。11R42秒TKOでジェイソン・ソーサが勝利を飾り、王座奪還に成功した。
「サーマン←才能だけでやってる人がポーターに辛勝!! ノンストップのハイスピードバトル!!」
フォルトゥナ陥落!! まあ、内山、コラレスを避けた時点であんまり興味なかったけど
フォルトゥナまさかの陥落である。
ニコラス・ウォータースを相手に善戦し、今回のチャンスをつかんだジェイソン・ソーサがまさかのアップセット。一時期、日本の内山高志の対戦相手筆頭として名前が挙がっていたハビエル・フォルトゥナを執念でストップしての王座奪還である。
「ウォータースがソーサにまさかのドロー!! S・フェザー級転向初戦で連勝ストップ。今後のキャリアに暗雲?」
なるほど。
これはちょっと意外というか、この試合によってS・フェザー級戦線の混沌ぶりがますます進んでしまった。
絶対安定王者だと思われていた内山高志が敗れ、三浦隆司に勝利したフランシスコ・バルガスはサリドを相手に引き分け防衛。年間最高試合候補となるほどの激戦の末の防衛である。
「ゾンビか!! サリドがバルガスを追いつめ惜しくもドロー!!」
ロマチェンコとの一騎打ちが期待されたウォータースはファイトマネーでごねて脱落。そのロマチェンコはローマン・マルティネスをまったく問題にせずに王座奪還。
そして今回は無敗のハビエル・フォルトゥナがジェイソン・ソーサに初黒星である。
「ロマチェンコがゴロフキン化? マルティネスに手も足も出させず完勝!! アカンわこりゃww」
半年前の夢見る自分に今の状況を教えたら、いったい何と言うのだろう。
「まずは内山vsフォルトゥナで、次に内山vsウォータース。最後は内山vsロマチェンコでグランドフィナーレを飾れれば最高。そこにガンボアでも絡んでくればもっといい。場所はもちろんラスベガスで。」
↑まったく現実が見えてないですねコイツ。
とりあえず、名前を出したヤツの半分以上いなくなってるぞ?
「これが内山高志の進む道? 日本の至宝が海外進出するためのファイナルアンサーを適当に考察する」
まあ、フォルトゥナに関しては内山戦、コラレス戦を回避してジェイソン・ソーサとの防衛戦に進んだ時点で興味はほぼなくなっていた(真相はよく知らないが)ので、どうでもいいっちゃどうでもいいのだが。
「は? ソーサがロマチェンコに勝てるわけねえじゃんかww え? 棄権した? よし、批判の時間だあああああ」
前にも言ったが、この程度の選手が無敗レコードにこだわっているとろくなことがない。戦績に黒星をつけたくないという理由でマッチメークを小細工し始めると一気に魅力がなくなる。これは僕の持論だが、自分で言うのもなんだが割と的を射ているのではないかと思う。
「ゲイリー・ラッセルがロマチェンコに熱烈片思い? ハイランド戦を2RTKOで圧勝防衛!!」
そういう意味で、今回のフォルトゥナvsソーサ戦も特に興味がわかず、
「ソーサはいい選手だし、スタイル的にはフォルトゥナも危ないかもしれない。まあ、フォルトゥナが勝つと思うけど」
と、死ぬほど適当な予想をしていた。
そして、実際に負けたことを知っても「あ、そう。お疲れさん」という程度で、衝撃らしい衝撃はまったく感じなかった。
ただ、内山の去就にも関係してくるので一応試合はチェックしておくか。
本当にこんな感じである。
「内山進退は五分五分←これ、現役続行するパターンだ。大みそかはコラレスと再戦してるから落ち着け」
何でインファイトしたww あのままポイントアウトでよかったんじゃないの?
「フォルトゥナには興味ないけど、ソーサはいい選手だし内山の今後にも関係するから一応観ておくか」
こんな緩いテンションで観始めた今回のWBA世界S・フェザー級レギュラー王座戦。
一通り眺めた感想としては、
「フォルトゥナがイキって墓穴掘ったな」
といったところだろうか。
11RTKOでフォルトゥナの敗戦が宣告された試合ではあったが、それまで優勢だったのは間違いなくフォルトゥナである。スコア的にも10Rまでは95-92、94-93、96-91とフォルトゥナがリードしている状況だった。
挑戦者のジェイソン・ソーサは確かに頑丈な身体を持ったいい選手である。イメージとは裏腹にリーチも長く上体も柔らかい。ガードを高く上げてにじり寄るだけでなく、飛び込んでのフックなど思いきった攻撃もできる。ウォータースと引き分けただけあり、すばらしい挑戦者だったと思う。
「復ッ活ッ 内山高志復活ッッ 内山高志復活ッッ「試合してェ~~~~」」
だが、スピードや踏み込みのタイミング、フットワークのレンジ、身体のさばきなど、ほとんどの局面で勝っていたのはフォルトゥナである。誇張でもなく、あのまま普通に安全策を続けていれば問題なくポイントアウトできた試合だったのではないだろうか。
ところが、それまで試合を優勢に進めていたフォルトゥナが8Rに入ったところでなぜかインファイトを始めるのである。
これが本当に意味がわからない。
ファンを沸かせようと思ったのか、ソーサが深いダメージを負っていると判断したのか。
強引に前に出て打ち合った結果、10Rにソーサの左フックを被弾して強烈ダウンである。
「ジャーマル・チャーロvsジュリアン・ウィリアムス予想!! チャーロ兄がまたしてもテクニシャンを迎えうつ」
叩き上げのソーサとイキったフォルトゥナの戦力が10Rに逆転した
確かにそれまでの数ラウンド、ソーサはフォルトゥナの動きにかなり対応を見せ始めていた。ダウンを奪われた次のラウンド、6Rあたりからだろうか。試合序盤に散々翻弄されたフォルトゥナのフットワークに落ち着いて対処し、いいタイミングでカウンターを返すシーンが増えていたのである。
「ウォータースvsロマチェンコ決定ワロタww これで内山vsコラレス再戦確定的か?」
左構えのフォルトゥナの右側に大きく踏み込んで右ストレート。これをダッキングで避けるフォルトゥナ。そこから反撃の態勢に入る瞬間、ソーサの返しの左フックがフォルトゥナの鼻先を通過する。
こんな際どいシーンが幾度となく見られ、「ああ、これは危ないな」と思っていた矢先のインファイトだったために「おや?」と思ったのである。
このままだとヤバいと判断したのか、それとも「いける」と思ったのか。
真相はわからないが、あれは明らかにフォルトゥナの判断ミスだったように思える。
以前の記事でも申し上げたように、僕の中でのフォルトゥナの評価は「ザブ・ジュダーの劣化版」。劣化版というより、堅実なザブ・ジュダーといった方が正しいだろうか。
「内山vsフォルトゥナ? WBAからの指令でファン激怒!! って、フォルトゥナもかなりヤバい相手だと思うぞ?」
絶好調時のジュダーはメイウェザーを凌駕するほどのオーバードライブを見せるが、フォルトゥナにはそこまでの爆発力はない。逆にジュダーのように相手を舐めた上でポカをやることもなく、抑えるところは抑えて安全運転ができる。
つまり、この選手の特徴は判定力の高さ。KO率は高いが、実は倒し屋ではない。どちらかというと判定で逃げきるタイプ。これが僕のフォルトゥナに対する評価である。
ただザブ・ジュダー同様、ガードのルーズさと打ち終わりのバランスの悪さ、そして中盤にダラける悪癖は前から気になっていたところではある。6Rあたりでソーサの左フックのタイミングが合ってきたのもこの悪癖が一因といえるだろう。
また、ザブ・ジュダーと違ってパンチが外旋回なのもカウンターを被弾する要因である。ラリアットのような大振りのパンチをあれだけ至近距離で連打すれば嫌でもタイミングは合う。ソーサのような勇敢な選手であればなおさらである。
諦めずに前に出てパンチを打ち続けたソーサの上昇線。
中盤のダラけ癖が出たフォルトゥナの下降線。
この2つの線がちょうど交わったのが6、7Rであり、何を思ったかイキって倒しにいったフォルトゥナとソーサの戦力が逆転したのが10Rだった。要するにそういうことである。
もちろん、フォルトゥナのパンチを再三被弾しながら、そのつど驚異的な回復力で追いすがったソーサはすばらしかった。
右フックを放ったままフォルトゥナの首に右腕を引っかける。
フォルトゥナの腕を掴んで強引にロープを背負わせる。
要所でのダーティさや、捨てパンチを打ってフォルトゥナのフットワークの方向を限定するなどの細かい工夫。
ウォータース戦でも思ったが、この選手にはこれといった決め手がない。
だが、格上の相手を強引に自分の土俵に引き込んで接戦を演出する工夫が随所に見られる。ドロー4つの戦績が示すように、まさしく「叩き上げ」という言葉がピッタリくる選手である。
コラレスと比較するために内山vsコラレス戦を観たら別のことが気になった件
今回のフォルトゥナvsソーサ戦の結果を受けて、内山高志vsジェスレル・コラレス戦を観直してみた。
「ジェスレル・コラレスが内山を粉砕!! 暫定王者がまさかのアップセット!!」
もちろん、ジェイソン・ソーサとコラレス、内山の戦力を比較するためだが、それよりも気になってしまったのが「悪い意味での内山のクリーンさ」である。
僕は以前の記事で、あの試合の敗因の1つとして「内山がピンチの切り抜け方を知らなかった」ことがあると申し上げている。
長期防衛を重ねる間にピンチらしいピンチを迎えたことがなく、クリンチなどエスケープの引き出しがまったくなかった。それがああいうここぞの場面で出てしまった。
それどころか、膝をガクガクさせながら「ラウンド中にやり返しておきたかった」とのたまう始末である。
「「モチベーション」とか「メンタル」とかホント好きだよな。笑わせんなよ」
それを踏まえて今回の試合を観ると、フォルトゥナ、ソーサ両者のダーティさがいっそう際立つのである。
パンチを打った姿勢のまま、相手の腕に自分の腕を絡めて反撃を封じる。
絡められた腕を無理矢理引き抜いて「たまたま当たっちゃった」感を出しながら後頭部に一発。
もみ合いの中で自分の頭を相手の顔面に押し付ける。
離れ際に肘を突き立てたままアゴ先にフックを一発。
もちろんこれは海外の試合を観ていれば日常的に行われていることで、特別珍しいものでもない。
だが内山の試合を観る限り、こういうダーティさは皆無である。
もみ合いになった瞬間、両手を広げてブレイクをアピール。
離れ際の一発もなし。
クリーン過ぎるというか、世間知らずというか。
あの試合後、内山のことを「国内専門王者」「島国王者」などと命名してしまったが、実際それは本当のことだと思う。フォルトゥナやソーサのような修羅場での経験値のなさが、あの試合でモロに出てしまったのである。
今さら内山に対して国内防衛路線どうこうを言う気はない。
だが防衛を重ねる上で、もう少しコラレスやソーサのようなくせ者挑戦者を選択していれば少しは違っていたのかもしれない。そうすれば彼らのようなダーティさを身につけ、ピンチの切り抜け方を自然と覚えられたのではないだろうか。
言うまでもなく、内山高志は日本歴代屈指の素材である。
それが国内の安全路線で防衛を重ねたおかげで、海外のリングに打って出るための技術を身につけることができなかった。これは本当に残念である。
まあ、日本人はダーティなファイトを嫌うからな。
真っ向勝負しないと「卑怯だ」って怒る人間がいるからな。
しかも地上波ゴールデン放送だしな。
環境的にもなかなか難しいのかもしれないな。
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